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やりすぎた『手洗い歓迎』にあきれる『駄目人間』と『盗聴』

第41話 戦いの予告

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「『中佐殿』。ちょっと、頼みたいことがあるんだ」

 そこまで言うと、嵯峨はエロ雑誌の下から一枚の写真を取り出す。

 そして、嵯峨は軍人風の丸刈りの東洋人の写真をランの前に置いた。

「なんだよ……この軍服。『甲武国』の『海軍軍人』……それも『エリート』だな。面で分かるよ。その野郎をどうしろってんだ……」

 ランの視線の先で嵯峨は静かに目を閉じる。

「ちょっと、『殺生』をしてくれ。『社会的』に消してくれ。『生物学的』には興味がねえから。俺」

 そう言うと嵯峨は静かに『甲種焼酎』の入ったグラスを口に運ぶ。

 ランは静かにうなづいて、辺りを見回す。

「盗聴器の件だろ?……聞きたい奴は聞けばいいさ。アイツ等『社会的』には人間扱いされてるだけの『有機物』だもん。俺みたいに『脳味噌』が入ってる『人間』の言葉なんざ……分からねえよ。あといつも俺達を嗅ぎまわってる『廃帝』の方は今回は動いている気配はない……今のところだけどな。『ビッグプラザー』はすべて分かったうえでガン無視だ。当然だろうな、奴の興味のある話じゃねえから」

 茶を片手に嵯峨はスルメをかじった。

「そいつを社会的に抹殺する過程で、神前が『廃帝』対策のために、俺達と同じ『法術師』になるのが本当の目的。この男のことは、正直、どうでもいい。たんなる『廃帝』と『ビッグブラザー』との戦いののろしを上げる口実だから」

 沈黙が続く。

「なあに、こいつが『エリート』過ぎて『有機物』の集団。……『甲武』の貴族至上主義過激派の『官派』をあおって『クーデター』とか言うのをするらしいんでね。消えてほしいというだけの話。遼州同盟の偉い人の多数決の結果、そう決めたわけ」

 『大正ロマンあふれる国』と呼ばれる『甲武国』。だが、その下にマグマのごとく軍部や官僚を中心とする『官派』と民衆を支持基盤とするの『民派』の対立があることはランも知っていた。

「『クーデター』か……『廃帝』がお気に入りの『甲武国』陸軍は動かねーのか?」

 ランは男の写真を手に取るとそう言った。

「陸軍の『官派』は置き去り。俺のところに話が来た段階ではね。……つまんねえ話だろ?」

 嵯峨はそういうと大きな隊長の椅子の上で大きく伸びをする。

「お耳障りは勘弁ね『中佐殿』。『甲武国』は俺の『育った』国だ。今は無き『遼南共和国』出身の『中佐殿』の手を煩わすのはどうも……いずれ司法局実働部隊うちにも正式に指示が出るはず……命令書の『書式』は知らねえがな」

 そう言うと嵯峨は静かにタバコをふかして『エロ記事』を読み始めた。

「……以上。お話は終了。ご拝聴ありがとう!自称『善人』の『人間以下の糞虫』さん!」

 嵯峨はわざとらしく大声を張り上げてそう言った。の視線は、その言葉とは無関係にエログラビアに張り付いている。
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