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出会い……それは『あって欲しくない』社会との出会いだった

第31話 人を支配する女

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「選べ……『愛玩動物』か、『射撃の的』か……どっちでも人間扱いをするつもりはねえけどな」

 かなめの狂気の選択に誠は素早く決断をした。

「……分かりました。生きるために『ペット』になります」

 誠は自分の生存欲求に従ってそう言った。『愛玩動物』よりも『ペット』の方が親しみが込められるだけに誠は最後の抵抗でそう言った。

「殺さないでやったんだ……我ながら、優しいな……アタシ。オメエのおびえた顔……なかなか良かったぜ。まさにアタシの『ペット』にふさわしい態度だ」

 灰色のタンクトップに黒の皮のホルスターを身に着けた『射殺マニア』は、満足げな笑みを浮かべて静かに銃をホルスターに収めた。

「あと、アタシの家は『平安貴族』なんで、鎌倉以降の武家とか……一切認めてねえから」

 かなめはそう言って笑った。

「僕……理系なんでわからないんですけど……」

 文系知識ゼロの誠はそう言ってただわけもなく笑う。

「『この世をば わが世とぞ思ふ 望月の欠けたることも なしと思へば』……てのがアタシの家のキーワードでね。地球人に対しては何をしてもいいって意味なんだ……オメエ地球人じゃねえな?」

 明らかに分かる『女王様』な態度に誠はただ静かに首を振り、地球人にとっては異星人である遼州人に生まれた事実を少しだけ喜んだ。

「そうか……じゃあ、レアな『愛玩動物』として飼ってやる。よかったな……地球人の『サムライ』じゃなくて……アタシは生まれた『甲武国』って地球人の国でここ東和共和国ではレアな職業である『貴族』の頭をやってるんだわ。平安風の雅な『関白』なんで、『平将門』とかの『サムライ』だったらアタシに殺されなきゃならないのが普通らしいからな……」

 誠はかなめのイカレタ思想についていけずにただ自分が『サムライ』ではないことに感謝するばかりだった。
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