178 / 187
『特殊な部隊』で始まる新たな日常
第178話 実はあっちこっちにあった『逃げ場』
しおりを挟む
そう言う誠を嵯峨は腕組みをして見上げた。
「そりゃあ、おまえさんが『偏差値馬鹿』の薄ら馬鹿だからわからねえんだな。まず、『偉大なる中佐殿』の教育方針がかなり『パワハラ』を帯びてる段階で、なんでお袋とか大学の就職課に連絡しなかったの?」
「あ……」
嵯峨に指摘されて初めて誠はこの『特殊な部隊』からごく普通に逃げ出す方策に気づいた。
「それってありなんですか?」
「ありも何も……普通の社会人ならそのくらいの常識はあるだろ……自分の置かれている環境が異常だったら人に言う。そのくらいの発想ができないとこの世にうんざりして来世に救いを求めちゃうようになるよ……新興宗教でも入っとけよおまえさんは……あれはいい金になるみたいだね、俺は興味ないけど」
あっさりと嵯峨はそう言って誠を同情を込めた瞳で見上げた。
「でも……一応、東和宇宙軍は公務員なんで。安定してるんで」
誠はそう言って嵯峨に食い下がろうとした。
「そうなんだ……それもね、実のところ俺やランに『ここは特殊すぎるんで』と言えば何とか逃げられたんだ……」
あっさりと嵯峨はそう言ってにやりと笑った。
「逃げるって……どこに?」
誠は嵯峨の言葉が理解できずに戸惑ってそう言った。
「だって……うち、『お役所』だもん。いろんな取引先とか、隣の『菱川重工業』との取引とかあるわけだ。そうするとね、うちで要らない人材とか欲しがるわけよ……あっちもいい人材の確保には苦労してるから。だから、『出向』と言う形で、とりあえずこの『特殊な部隊』から外れて、他の生きる道を探せる人生があるの」
驚愕の事実を嵯峨はさらりとさも当然のように言い放った。
「そんな……僕の友達もそんな話はしてませんでしたよ!僕の大学は理系では私大屈指の難易度の大学ですけど!」
反論する誠に嵯峨は明らかに見下したような視線を浴びせた。
「そんなもん、大学の難易度と就職先のレベルは比例しないもんだよ。偏差値馬鹿の入る『ベンチャー』の株式上場すらしてない小さな会社や経営者が『独裁者』している会社は別だけど、普通に株式を一部上場している会社ならそんな『出向』なんて話は普通だよ。当然うちは『お役所』だもん。うちの水が合わなけりゃ他にいくらでも生きるすべはあるんだ。自分の置かれた環境がすべてだなんて考えるのは『お馬鹿』の思い込みだね。おまえさんにも『倉庫作業員』や『体力馬鹿営業』以外にも、『技術の分かる経営顧問のサブ』なんかの引き合いは今でもあるんだ……どうする?今からでもそっちに『逃げ出す』ことはできるけど……」
嵯峨はあっさりと誠の社会経験不足の裏を突く大人の事情を誠に告げた。
「でも……西園寺さんは僕を『愛玩動物』として飼育する責任に目覚めていますし……カウラさんはなんか僕を成長させることに生きがいを見出したみたいですし……アメリアさんは笑い屋として僕が必要みたいですし……島田先輩は舎弟の僕を見逃してくれるはずもなさそうですし……」
誠は思っていた。もうすでに自分はこの『特殊な部隊』の一員になっていると。
「そうなんだ……おまえさんの奴隷根性はよくわかった。まあ、おまえと心中するつもりのパーラの名前が出てこなかったのは本人に直接伝えておくわ」
またもや嵯峨はとんでもない発言をした。パーラがそれほど自分を思ってくれているはずは無いと思っていた。行きつく先が『心中』だということは、遼州星系では愛する男女が『心中』するのがごく普通なことだという地球人には理解不能な事実を認めたとしても、それはそれで自分は死にたくないので嫌だった。
「僕は逃げません!」
誠の宣言に嵯峨は本当にめんどくさそうな顔をした。
「逃げてもいいのに……本当に逃げないの?今からでも遅くないよ……東都警察はおまえさんを交番勤務の剣道部の部員としてほしがってるんだから」
相変わらずなんとか誠をこの『特殊な部隊』から逃げ出すように仕向けたい『駄目人間』の意図に反したい誠は首を横に振った。
「あっそうなんだ。まあ、逃げたくなったら言ってよ。俺や『偉大なる中佐殿』は出入りの業者なんかにいつも『使える人材はいないか』って聞かれてばっかで疲れてるんだ」
そう言って嵯峨は誠に出ていくように手を振った。
誠は嵯峨の馬鹿話につかれたので敬礼をしてその場を立ち去った。
「そりゃあ、おまえさんが『偏差値馬鹿』の薄ら馬鹿だからわからねえんだな。まず、『偉大なる中佐殿』の教育方針がかなり『パワハラ』を帯びてる段階で、なんでお袋とか大学の就職課に連絡しなかったの?」
「あ……」
嵯峨に指摘されて初めて誠はこの『特殊な部隊』からごく普通に逃げ出す方策に気づいた。
「それってありなんですか?」
「ありも何も……普通の社会人ならそのくらいの常識はあるだろ……自分の置かれている環境が異常だったら人に言う。そのくらいの発想ができないとこの世にうんざりして来世に救いを求めちゃうようになるよ……新興宗教でも入っとけよおまえさんは……あれはいい金になるみたいだね、俺は興味ないけど」
あっさりと嵯峨はそう言って誠を同情を込めた瞳で見上げた。
「でも……一応、東和宇宙軍は公務員なんで。安定してるんで」
誠はそう言って嵯峨に食い下がろうとした。
「そうなんだ……それもね、実のところ俺やランに『ここは特殊すぎるんで』と言えば何とか逃げられたんだ……」
あっさりと嵯峨はそう言ってにやりと笑った。
「逃げるって……どこに?」
誠は嵯峨の言葉が理解できずに戸惑ってそう言った。
「だって……うち、『お役所』だもん。いろんな取引先とか、隣の『菱川重工業』との取引とかあるわけだ。そうするとね、うちで要らない人材とか欲しがるわけよ……あっちもいい人材の確保には苦労してるから。だから、『出向』と言う形で、とりあえずこの『特殊な部隊』から外れて、他の生きる道を探せる人生があるの」
驚愕の事実を嵯峨はさらりとさも当然のように言い放った。
「そんな……僕の友達もそんな話はしてませんでしたよ!僕の大学は理系では私大屈指の難易度の大学ですけど!」
反論する誠に嵯峨は明らかに見下したような視線を浴びせた。
「そんなもん、大学の難易度と就職先のレベルは比例しないもんだよ。偏差値馬鹿の入る『ベンチャー』の株式上場すらしてない小さな会社や経営者が『独裁者』している会社は別だけど、普通に株式を一部上場している会社ならそんな『出向』なんて話は普通だよ。当然うちは『お役所』だもん。うちの水が合わなけりゃ他にいくらでも生きるすべはあるんだ。自分の置かれた環境がすべてだなんて考えるのは『お馬鹿』の思い込みだね。おまえさんにも『倉庫作業員』や『体力馬鹿営業』以外にも、『技術の分かる経営顧問のサブ』なんかの引き合いは今でもあるんだ……どうする?今からでもそっちに『逃げ出す』ことはできるけど……」
嵯峨はあっさりと誠の社会経験不足の裏を突く大人の事情を誠に告げた。
「でも……西園寺さんは僕を『愛玩動物』として飼育する責任に目覚めていますし……カウラさんはなんか僕を成長させることに生きがいを見出したみたいですし……アメリアさんは笑い屋として僕が必要みたいですし……島田先輩は舎弟の僕を見逃してくれるはずもなさそうですし……」
誠は思っていた。もうすでに自分はこの『特殊な部隊』の一員になっていると。
「そうなんだ……おまえさんの奴隷根性はよくわかった。まあ、おまえと心中するつもりのパーラの名前が出てこなかったのは本人に直接伝えておくわ」
またもや嵯峨はとんでもない発言をした。パーラがそれほど自分を思ってくれているはずは無いと思っていた。行きつく先が『心中』だということは、遼州星系では愛する男女が『心中』するのがごく普通なことだという地球人には理解不能な事実を認めたとしても、それはそれで自分は死にたくないので嫌だった。
「僕は逃げません!」
誠の宣言に嵯峨は本当にめんどくさそうな顔をした。
「逃げてもいいのに……本当に逃げないの?今からでも遅くないよ……東都警察はおまえさんを交番勤務の剣道部の部員としてほしがってるんだから」
相変わらずなんとか誠をこの『特殊な部隊』から逃げ出すように仕向けたい『駄目人間』の意図に反したい誠は首を横に振った。
「あっそうなんだ。まあ、逃げたくなったら言ってよ。俺や『偉大なる中佐殿』は出入りの業者なんかにいつも『使える人材はいないか』って聞かれてばっかで疲れてるんだ」
そう言って嵯峨は誠に出ていくように手を振った。
誠は嵯峨の馬鹿話につかれたので敬礼をしてその場を立ち去った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
レジェンド・オブ・ダーク 遼州司法局異聞
橋本 直
SF
地球人類が初めて地球外人類と出会った辺境惑星『遼州』の連合国家群『遼州同盟』。
その有力国のひとつ東和共和国に住むごく普通の大学生だった神前誠(しんぜんまこと)。彼は就職先に困り、母親の剣道場の師範代である嵯峨惟基を頼り軍に人型兵器『アサルト・モジュール』のパイロットの幹部候補生という待遇でなんとか入ることができた。
しかし、基礎訓練を終え、士官候補生として配属されたその嵯峨惟基が部隊長を務める部隊『遼州同盟司法局実働部隊』は巨大工場の中に仮住まいをする肩身の狭い状況の部隊だった。
さらに追い打ちをかけるのは個性的な同僚達。
直属の上司はガラは悪いが家柄が良いサイボーグ西園寺かなめと無口でぶっきらぼうな人造人間のカウラ・ベルガーの二人の女性士官。
他にもオタク趣味で意気投合するがどこか食えない女性人造人間の艦長代理アイシャ・クラウゼ、小さな元気っ子野生農業少女ナンバルゲニア・シャムラード、マイペースで人の話を聞かないサイボーグ吉田俊平、声と態度がでかい幼女にしか見えない指揮官クバルカ・ランなど個性の塊のような面々に振り回される誠。
しかも人に振り回されるばかりと思いきや自分に自分でも自覚のない不思議な力、「法術」が眠っていた。
考えがまとまらないまま初めての宇宙空間での演習に出るが、そして時を同じくして同盟の存在を揺るがしかねない同盟加盟国『胡州帝国』の国権軍権拡大を主張する独自行動派によるクーデターが画策されいるという報が届く。
誠は法術師専用アサルト・モジュール『05式乙型』を駆り戦場で何を見ることになるのか?そして彼の昇進はありうるのか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる