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『女王様』と『正義のヒロイン』と『偉大なる中佐殿』
第143話 『法術師』のための『戦場』
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『姐御……すみませんねえ……アタシの支配している士族共はものを知らねえもんで……距離1200……ってなんだか国籍不明の観測無人機が山ほどどありますけど……撃ちます?』
かなめのその声にランは静かに首を振る。
『観測機は外で待ってる諸外国の艦隊の奴だ。連中にはこれから起きる楽しい出来事に付き合ってもらうからな』
小さなランの口元に自信に満ちた笑みが浮かんだ。
『ギャラリーは大切にしろってことか。分かった。とりあえず制圧を最優先に進行する!』
かなめの叫びで誠はここまで来てだんだん自分がもう後戻りできない状況に来たことを分かった。
誠は『回収・補給』係などでこの『特殊な部隊』に配属されたわけではないこと。
そしてどうやら誠の予想とは全く違う『才能』をラン達から期待されていること。
結果、多くの人が『死を迎える』こと。
『距離700か……丁度いーくれーだ。そんじゃーアタシは近藤の旦那とその部下達に『心理戦』を仕掛ける』
ランは突然そんなことを言った。誠は『心理戦』の意味は知っていたがなぜ『処刑』にそれが必要なのかわからずにいた。
『西園寺。アタシが近藤相手に『楽しいお話』をしている間に、好きなタイミングで『光学迷彩』で隠れて敵を狩れ』
『そのつもりだよ……姐御』
かなめはそう言うと一人隊から先行して加速をかけた。
『カウラはこの宙域一帯にジャマーを仕掛けて通信機器を潰せ。動く敵は『指向性ECM』で完全に無力化すんのがオメーの仕事だ』
『了解です、中佐』
カウラは位置取りを変えなかったが、機体の背中に積んだ通信妨害装置のアンテナが動いているのが誠の機体からも確認できた。
『神前。オメーに良ーことを教えてやる』
「クバルカ中佐、今更何ですか?」
誠はもうなんとかこの場をしのぐという思考しかできないでいた。逃げることはできないが、何とか生き延びることばかり考えていた。
『オメーに教えた三つの大事なこと、『根性』、『気配り』、『体力』のほかに社会で生きていくには必要なことがあんだ』
諭すような口調でランはそう言った。他に頼るもののない誠はその言葉に静かにうなづいた。
『それは『気合』と『元気』だ!』
誠は小さな『脳味噌筋肉』の言うことに開いた口がふさがらなかった。
『アタシの心理戦が終わったら、アタシが合図する。そしたら『跳べ』』
ランはそう言って笑った。
「『跳べ』って……」
意味不明な言葉を聞くのはこの『特殊な部隊』ではよくあることだったが、その中でも最上級に意味不明な言葉に誠は困惑した。
『『空間跳躍』の座標設定はアタシがやる。オメーは『跳べ』。05式乙の『法術増幅装置』があれば敵の目の前まで跳べる!そして05式乙型の腰のサーベルを引き抜いて『剣よ!』と叫んで、『那珂』のブリッジめがけて振り回せ!それで終いだ!』
「そんな!できないですよ!そんなこと!なんですか!『法術増幅装置』って!」
誠は本気で思った。これは『特殊』過ぎる命令で『不可能』な話だと。
ランは画面の中でほほ笑んでいた。かなめもカウラもまるで誠にはそれができて当然という笑みを浮かべている。
『言っとく。アタシが『気合』と『元気』についてオメーに教えなかったのは。そいつがオメーにもうすでに持ってるからだ。これからオメーは『気合』だけで巡洋艦を沈める。地球人にはできねー遼州人のオリジナル必殺技だ!オメーのかーちゃんからオメーならできるって聞いた。大丈夫だ!かーちゃんの見立てを信じろ』
「僕は普通の遼州人ですよ!そんなことできません!そんなの無理です!」
誠は叫ぶが三人の女性上司はできて当然という顔をしていた。
『やれねーと思ったらできねーが……オメーはできるんだ。『跳べる』し、『剣よ』と叫ぶと目の前のすべてが吹き飛ぶ。『05式特戦乙型』に積んでる『法術増幅装置』はその力を引き出す機械だ。神前のような『法術師』の力を引き出すための機体なんだ』
「『法術師』って……なんですか?」
誠は普通に聞くしかなかった。
『遼州は350年前、地球からその『力』で独立した。気合と元気で超能力を引き出す『技』だ。地球では絵空事だった『力』だが、遼州人にはその『力』がある。その使い道をアタシ等はオメーのお袋さんから指示されたんだ。テメーならできる』
ランはそう言って満足げに笑った。
騙されていた自分を誠は再確認した。
それと同時に『空間跳躍』とやらができなければ鈍重な05式乙型ではかなめの戦うであろう戦場には届かないことがわかってきた。
自分が矢面に立つのはごめんだと思いながら、ランが始める『心理戦』に興味を惹かれて誠は彼女の言葉に耳を傾けることにした。
かなめのその声にランは静かに首を振る。
『観測機は外で待ってる諸外国の艦隊の奴だ。連中にはこれから起きる楽しい出来事に付き合ってもらうからな』
小さなランの口元に自信に満ちた笑みが浮かんだ。
『ギャラリーは大切にしろってことか。分かった。とりあえず制圧を最優先に進行する!』
かなめの叫びで誠はここまで来てだんだん自分がもう後戻りできない状況に来たことを分かった。
誠は『回収・補給』係などでこの『特殊な部隊』に配属されたわけではないこと。
そしてどうやら誠の予想とは全く違う『才能』をラン達から期待されていること。
結果、多くの人が『死を迎える』こと。
『距離700か……丁度いーくれーだ。そんじゃーアタシは近藤の旦那とその部下達に『心理戦』を仕掛ける』
ランは突然そんなことを言った。誠は『心理戦』の意味は知っていたがなぜ『処刑』にそれが必要なのかわからずにいた。
『西園寺。アタシが近藤相手に『楽しいお話』をしている間に、好きなタイミングで『光学迷彩』で隠れて敵を狩れ』
『そのつもりだよ……姐御』
かなめはそう言うと一人隊から先行して加速をかけた。
『カウラはこの宙域一帯にジャマーを仕掛けて通信機器を潰せ。動く敵は『指向性ECM』で完全に無力化すんのがオメーの仕事だ』
『了解です、中佐』
カウラは位置取りを変えなかったが、機体の背中に積んだ通信妨害装置のアンテナが動いているのが誠の機体からも確認できた。
『神前。オメーに良ーことを教えてやる』
「クバルカ中佐、今更何ですか?」
誠はもうなんとかこの場をしのぐという思考しかできないでいた。逃げることはできないが、何とか生き延びることばかり考えていた。
『オメーに教えた三つの大事なこと、『根性』、『気配り』、『体力』のほかに社会で生きていくには必要なことがあんだ』
諭すような口調でランはそう言った。他に頼るもののない誠はその言葉に静かにうなづいた。
『それは『気合』と『元気』だ!』
誠は小さな『脳味噌筋肉』の言うことに開いた口がふさがらなかった。
『アタシの心理戦が終わったら、アタシが合図する。そしたら『跳べ』』
ランはそう言って笑った。
「『跳べ』って……」
意味不明な言葉を聞くのはこの『特殊な部隊』ではよくあることだったが、その中でも最上級に意味不明な言葉に誠は困惑した。
『『空間跳躍』の座標設定はアタシがやる。オメーは『跳べ』。05式乙の『法術増幅装置』があれば敵の目の前まで跳べる!そして05式乙型の腰のサーベルを引き抜いて『剣よ!』と叫んで、『那珂』のブリッジめがけて振り回せ!それで終いだ!』
「そんな!できないですよ!そんなこと!なんですか!『法術増幅装置』って!」
誠は本気で思った。これは『特殊』過ぎる命令で『不可能』な話だと。
ランは画面の中でほほ笑んでいた。かなめもカウラもまるで誠にはそれができて当然という笑みを浮かべている。
『言っとく。アタシが『気合』と『元気』についてオメーに教えなかったのは。そいつがオメーにもうすでに持ってるからだ。これからオメーは『気合』だけで巡洋艦を沈める。地球人にはできねー遼州人のオリジナル必殺技だ!オメーのかーちゃんからオメーならできるって聞いた。大丈夫だ!かーちゃんの見立てを信じろ』
「僕は普通の遼州人ですよ!そんなことできません!そんなの無理です!」
誠は叫ぶが三人の女性上司はできて当然という顔をしていた。
『やれねーと思ったらできねーが……オメーはできるんだ。『跳べる』し、『剣よ』と叫ぶと目の前のすべてが吹き飛ぶ。『05式特戦乙型』に積んでる『法術増幅装置』はその力を引き出す機械だ。神前のような『法術師』の力を引き出すための機体なんだ』
「『法術師』って……なんですか?」
誠は普通に聞くしかなかった。
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ランはそう言って満足げに笑った。
騙されていた自分を誠は再確認した。
それと同時に『空間跳躍』とやらができなければ鈍重な05式乙型ではかなめの戦うであろう戦場には届かないことがわかってきた。
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