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誠の本当の『仲間達』
第124話 誠の相談に乗る気さくな幼女
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誠は展望ルームから出ると、緊張からくる胃のむかつきを抑えようとハンカチで口を押えながらながらエレベータルームにたどり着いた。
彼はとりあえず自分の決断を伝えようと、『特殊な部隊』司法局実働部隊機動部隊長である『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐の個室を目指した。
エレベータが誠のいる階に到着して扉が開く。
中には先客がいた。あの幼女だった。
『偉大なる中佐殿』と『特殊な部隊』で呼ばれ尊敬を集めるカリスマ、クバルカ・ラン中佐その人だった。
「クバルカ中佐!」
誠は嵯峨から告げられた『非情で危険な任務』について確かめようと小さなランに声をかけた。
「なんだ?神前。ここじゃあなんだから話なら食堂で聞くぞ」
そう言ってランは誠に笑顔を向けた。相変わらずどう見ても8歳の女の子にしか見えない。
誠は彼女の大きな目を見て、その脳内が完全に『体育会系鬼軍曹』そのものである事実に気づいた。
誠は幼女にしては迫力のありすぎるランの態度におどおどしながら、エレベータに乗り込んだ。
「クバルカ中佐の執務室に行くんじゃないですか?」
そう言ってみる誠だが、ランは否定するように首を振った。
「いいや、食堂に行く。アタシの部屋は神前には刺激が強いからな」
エレベータは食堂のある共有フロアーに到着した。
ランは小さな体で肩で風をきって歩く。誠もおずおずとその後ろに従った。
廊下一面に『魚拓』や大物を釣り上げた記念写真が並ぶ。
「また今日も魚ですか?」
体力自慢の誠も『点滴』と『魚料理』の繰り返しの日々には飽きてきた。
「アタシは慣れたぞ。旬じゃねえが『しらぽん』が酒に会う」
ランはまた珍妙な発言をする。
「『しらぽん?』」
不思議そうにランを眺める誠を見ながら、彼女は食堂に入った。
「『しらぽん』もしらねーのか?マダラの白子にポン酢をかけるんだ。だから『白子ポン酢』。略して『しらぽん』。伏見の辛口にこれがあれば……」
どう見ても8歳女児の酒の肴の話を聞く現実に耐えられなかったので、誠は食堂の奥のテーブルに黙って腰かけた。
ランは誠の正面に座って誠の顔を見ると静かにうなづいた。
「どうせアレだろ?近藤とか言う『クーデター首謀者』を隊長が処刑しろって言ったことだろ?」
誠の正面に腰を掛けたランはそう言ってにっこり笑った。すごくかわいかった。
「神前、今、アタシに『萌え』たな」
いつもの貫録のある幼女の顔でランはそう言ってにんまりと笑った。
「僕は……『ロリコン』じゃない……と思いますけど……」
自分は『特殊』では無いと言い張りたい気持ちを我慢しながらそう言った。
誠は自分の性癖が違法なモノでは無いと主張したかった。
誠はランのかわいい姿に萌えていたので静かにうなづいた。
「無理もねーな。誰もが避けて通れない道なんだ。アタシをかわいいと思う。守りたいと身の程も知らずに勘違いする……罪だな、アタシは」
ランはそう言って天井を見上げた。その瞳は遠い星でも見上げるような情感を込めたそれだった。
「自分で言いますか?普通」
誠の言葉をランは完全に無視した。
彼はとりあえず自分の決断を伝えようと、『特殊な部隊』司法局実働部隊機動部隊長である『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐の個室を目指した。
エレベータが誠のいる階に到着して扉が開く。
中には先客がいた。あの幼女だった。
『偉大なる中佐殿』と『特殊な部隊』で呼ばれ尊敬を集めるカリスマ、クバルカ・ラン中佐その人だった。
「クバルカ中佐!」
誠は嵯峨から告げられた『非情で危険な任務』について確かめようと小さなランに声をかけた。
「なんだ?神前。ここじゃあなんだから話なら食堂で聞くぞ」
そう言ってランは誠に笑顔を向けた。相変わらずどう見ても8歳の女の子にしか見えない。
誠は彼女の大きな目を見て、その脳内が完全に『体育会系鬼軍曹』そのものである事実に気づいた。
誠は幼女にしては迫力のありすぎるランの態度におどおどしながら、エレベータに乗り込んだ。
「クバルカ中佐の執務室に行くんじゃないですか?」
そう言ってみる誠だが、ランは否定するように首を振った。
「いいや、食堂に行く。アタシの部屋は神前には刺激が強いからな」
エレベータは食堂のある共有フロアーに到着した。
ランは小さな体で肩で風をきって歩く。誠もおずおずとその後ろに従った。
廊下一面に『魚拓』や大物を釣り上げた記念写真が並ぶ。
「また今日も魚ですか?」
体力自慢の誠も『点滴』と『魚料理』の繰り返しの日々には飽きてきた。
「アタシは慣れたぞ。旬じゃねえが『しらぽん』が酒に会う」
ランはまた珍妙な発言をする。
「『しらぽん?』」
不思議そうにランを眺める誠を見ながら、彼女は食堂に入った。
「『しらぽん』もしらねーのか?マダラの白子にポン酢をかけるんだ。だから『白子ポン酢』。略して『しらぽん』。伏見の辛口にこれがあれば……」
どう見ても8歳女児の酒の肴の話を聞く現実に耐えられなかったので、誠は食堂の奥のテーブルに黙って腰かけた。
ランは誠の正面に座って誠の顔を見ると静かにうなづいた。
「どうせアレだろ?近藤とか言う『クーデター首謀者』を隊長が処刑しろって言ったことだろ?」
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「神前、今、アタシに『萌え』たな」
いつもの貫録のある幼女の顔でランはそう言ってにんまりと笑った。
「僕は……『ロリコン』じゃない……と思いますけど……」
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「無理もねーな。誰もが避けて通れない道なんだ。アタシをかわいいと思う。守りたいと身の程も知らずに勘違いする……罪だな、アタシは」
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「自分で言いますか?普通」
誠の言葉をランは完全に無視した。
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