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『嘔吐』の果てに主人公が見た『現実』
第120話 『偉大なる中佐殿』の期待を全身で受ける『神前誠少尉候補生』
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「なんだい、ビビったかい?今なら逃げてもいいぜ。俺は気にしねえよ……『偉大なる中佐殿』……クバルカ・ラン中佐はどうだか知らねえがな」
あまりのことの重大性におびえる誠の目の前ににやけた若い男がいた。
自称46歳、バツイチ、コブツキ。そして脳内はピンク色の『駄目人間』。
それだというのに、その言葉には実に計り知れない『重み』があった。
「クバルカ中佐が……僕を……『斬る』んですか?」
恐る恐る誠は尋ねた。
嵯峨は静かに神戸を横に振った。
「アイツはそんなに『ひどい上官』じゃねえよ。あいつは見たまんま、『永遠の8歳児』なんだ。かわいい女の子なんだよ。部下を危ない目に逢わせたくない。人を傷つけるのが大嫌い。そんな優しい奴なんだよ、あいつは。おまえさんも優しいな。似た者同士だ。そんな優しいおまえさんに『偉大なる中佐殿』の期待を裏切ることができるかな?」
タバコをくゆらせながら言う嵯峨を見て誠は困惑した。
いまだ会ったことのない嵯峨の娘とは、いつも目にしている小さな幼女に見えるランのことではないか、誠はそう思った。
「裏切れないです……僕は……期待にこたえたいです……『特殊な部隊』のみんなの……」
無理やりの笑みを浮かべながら誠はそう言い切った。
「……そうか。じゃあ、『偉大なる中佐殿』……クバルカ・ラン中佐から作戦の詳細を聞いてこい。あいつもこの命令については知ってる。あいつなりに考えて、おまえさんの『回収・補給』の能力を生かせるようにしてくれるはずだ。『人類最強』の上司だよ、あいつは」
嵯峨の言葉に誠は静かに敬礼した後、この展望ルームを後にした。
あまりのことの重大性におびえる誠の目の前ににやけた若い男がいた。
自称46歳、バツイチ、コブツキ。そして脳内はピンク色の『駄目人間』。
それだというのに、その言葉には実に計り知れない『重み』があった。
「クバルカ中佐が……僕を……『斬る』んですか?」
恐る恐る誠は尋ねた。
嵯峨は静かに神戸を横に振った。
「アイツはそんなに『ひどい上官』じゃねえよ。あいつは見たまんま、『永遠の8歳児』なんだ。かわいい女の子なんだよ。部下を危ない目に逢わせたくない。人を傷つけるのが大嫌い。そんな優しい奴なんだよ、あいつは。おまえさんも優しいな。似た者同士だ。そんな優しいおまえさんに『偉大なる中佐殿』の期待を裏切ることができるかな?」
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「……そうか。じゃあ、『偉大なる中佐殿』……クバルカ・ラン中佐から作戦の詳細を聞いてこい。あいつもこの命令については知ってる。あいつなりに考えて、おまえさんの『回収・補給』の能力を生かせるようにしてくれるはずだ。『人類最強』の上司だよ、あいつは」
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