上 下
3 / 187
完全に『パイロット失格』の新人登場

第3話 運命を決める『配属辞令』

しおりを挟む
| 

 神前誠しんぜんまこと少尉候補生は目の前の配属辞令を手にして、一人ブツブツつぶやいていた。

 周りに人がいないのを確認するとそれを読み上げる。

「遼州同盟会議・遼州同盟司法局 実働部隊 機動部隊、第一小隊に配属する……ってなんだよ、遼州同盟司法局って?」

 誠は『司法』と聞いて『司法試験』を思い出す。

 『司法試験』と言えば『弁護士』を思い出す。

 『弁護士』と言えば『サスペンスドラマ』で犯人を追い詰める人だと思った。

 誠は大卒のわりに社会常識の欠如した偏差値教育の生み出した『理系脳』の持ち主だった。

「公務員で『司法』関係者と言えば『警察』か『裁判所』じゃん。どっちもパイロットはいらないと思うんだけどな……」

 そう言って誠は周りを見る。

 朝の出勤時間と言うこともあり、通り過ぎる人も少なくはない。それでも誠を気にかけることなく、大柄の誠をかわして自動ドアを出たり入ったりしていた。

 誠は再び辞令に目をやった。

「それに、実働部隊……って何?」

 そう言いながら誠はただ困惑していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

愛しのアリシア

京衛武百十
SF
彼女の名前は、<アリシア2234-LMN>。地球の日本をルーツに持つ複合企業体<|APAN-2(ジャパンセカンド)>のロボティクス部門が製造・販売するメイド型ホームヘルパーロボットの<アリシアシリーズ>の一体である。 しかし彼女は、他のアリシアシリーズとは違った、ユニークな機体だった。 まるで人間の少女のようにくるくると表情が変わり、仕草もそれこそ十代の少女そのものの、ロボットとしてはひどく落ち着きのないロボットなのである。 なぜなら彼女には、<心>としか思えないようなものがあるから。 人類が火星にまで生活圏を広げたこの時代でも、ロボットに搭載されるAIに<心>があることは確認されていなかった。それを再現することも、意図的に避けられていた。心を再現するためにリソースを割くことは、人間大の機体に内蔵できるサイズのAIではまったく合理的ではなかったからである。 けれど、<千堂アリシア>とパーソナルネームを与えられた彼女には、心としか思えないものがあるのだ。 ただしそれは、彼女が本来、運用が想定されていた条件下とは全く異なる過酷な運用が行われたことによって生じた<バグ>に過ぎないと見られていた。 それでも彼女は、主人である千堂京一を愛し、彼の役に立ちたいと奮闘するのであった。

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記

武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
時司巡(ときつかさめぐり)は制服にほれ込んで宮之森高校を受験して合格するが、その年度から制服が改定されてしまう。 すっかり入学する意欲を失った巡は、定年退職後の再任用も終わった元魔法少女の祖母に相談。 「それなら、古い制服だったころの宮の森に通ってみればぁ?」「え、そんなことできるの!?」 お祖母ちゃんは言う「わたしの通っていた学校だし、魔法少女でもあったし、なんとかなるよ」 「だいじょうぶ?」 「任しとき……あ、ちょっと古い時代になってしまった」 「ええ!?」  巡は、なんと50年以上も昔の宮之森高校に通うことになった!

SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男
SF
数百万のプレイヤー人口を誇るオンラインゲーム『SSC(Star System Conquest)』。 数千数万の艦が存在するこのゲームでは、プレイヤーが所有する構造物「ホールドスター」が活動の主軸となっていた。 『Shin』という名前で活動をしていた黒川新輝(くろかわ しんき)は自らが保有する巨大ホールドスター、『Noa-Tun』の防衛戦の最中に寝落ちしてしまう。 次に目を覚ましたシンの目の前には、知らない天井があった。 夢のような転移を経験したシンだったが、深刻な問題に直面する。 ノーアトゥーンは戦いによってほぼ全壊! 物資も燃料も殆どない! 生き残るためにシンの手にある選択肢とは....? 異世界に転移したシンキと、何故か一緒に付いてきた『Noa-Tun』、そして個性派AIであるオーロラと共に、異世界宇宙の開拓が始まる! ※小説家になろう/カクヨムでも連載しています

チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~

クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。 だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。 リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。 だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。 あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。 そして身体の所有権が俺に移る。 リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。 よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。 お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。 お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう! 味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。 絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ! そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!

グラッジブレイカー! ~ポンコツアンドロイド、時々かたゆでたまご~

尾野 灯
SF
人類がアインシュタインをペテンにかける方法を知ってから数世紀、地球から一番近い恒星への進出により、新しい時代が幕を開ける……はずだった。 だが、無謀な計画が生み出したのは、数千万の棄民と植民星系の独立戦争だった。 ケンタウリ星系の独立戦争が敗北に終ってから十三年、荒廃したコロニーケンタウルスⅢを根城に、それでもしぶとく生き残った人間たち。 そんな彼らの一人、かつてのエースパイロットケント・マツオカは、ひょんなことから手に入れた、高性能だがポンコツな相棒AIノエルと共に、今日も借金返済のためにコツコツと働いていた。 そんな彼らのもとに、かつての上官から旧ケンタウリ星系軍の秘密兵器の奪還を依頼される。高額な報酬に釣られ、仕事を受けたケントだったが……。 懐かしくて一周回って新しいかもしれない、スペースオペラ第一弾!

処理中です...