法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣

橋本 直

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第三十六章 彼女達の思い

第162話 戦いの詳細

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「今回の出動は結構ヤバいんだ。神前も聞かされたとーり甲武の刑罰は厳しい。負けたら後は無いと敵も必死に戦うだろーな。そして、それなりの死人が出る。間違いなくだ」

 ランはそう言って箸を置いた。

「そうですよね……戦闘艦に乗った人を殺す任務なんて……同乗しているたくさんの人が死にますね。命令でその近藤とか言う人の部下になっただけなのに」

 どんぶりに伸びかけた手をひっこめた誠はそう言って苦笑いを浮かべた。

「そうだ……結構な数、人が死ぬことになる……身勝手な理想を掲げた上官の尻拭いを押し付けられた連中には同情するしかねーよ」

 まじめな表情でランはそう言った。

「軍では上官の命令が全てですからね。特に身分制度の厳しい甲武の命令系統の厳しさは僕にでも予想が付きます」

 誠もこの部隊に入ってからこれまで関心も持たなかった社会と言うものを学んでいた。

「そーだ。でもまー近藤さんの部下にも『官派』に染まっていない連中もいるから出撃を拒否する奴が結構な数いる……そいつ等だけは助けたい……」

 ランはそう言うと腕組みをして誠をにらみつけた。

「そう言う人はどうしているんですか?」

 誠は箸を置いて真正面からランを見つめた。

「おそらく倉庫や営倉に軟禁されてるだろーな……『那珂』を沈めるとして、ブリッジを一撃で破壊してケリをつけなきゃそいつ等も一緒にお陀仏だ」

 ランはそう言いながらどんぶりをかきこむ。

「ブリッジを一撃で……できるんですか?230ミリロングレンジレールガンじゃ直撃を食らわせないと無理ですよ。そんなことができるのは西園寺さんくらいじゃ無いですか?うちでは」

「西園寺でもレールガンの有効射程に入れるかどうか……。アタシ達には火力が足りねーんだ。火力がな……でもまーアタシにはその火力を使える奴に覚えがある……」

 そう言うとランは箸の進まない誠の目を見つめてきた。

「僕……ですか?僕は射撃はド下手ですよ。それともダンビラで何とかしろって言うんですか?西園寺さんが飛び込めない弾幕に僕がどうこうできる訳無いじゃ無いですか」

 誠がそう言うとランは安心するような笑みを浮かべて立ち上がった。そしてそのまま食堂のカウンターに向かって歩き出した。

「分かんねーみてーだな……じゃーアタシは部屋で一杯やるから失礼するわ。……久しぶりの固形物だろ……味わって食えよ」

 ランは食堂の担当者から小皿に乗せた白子ポン酢を受け取るとそう言って立ち去った。

 誠は久しぶりに見る食事と呼べる食事である『かつ丼』を前にランの最後の言葉の意味を考えながら割り箸を手に取った。


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