70 / 73
第十三章 過去と現在
第70話 意外な一面
しおりを挟む
誠の不用意な言葉に意外にもパーラは傷ついていないようだった。にこやかにほほ笑むとそのまま話を続けた。
「『人工的』ねえ……初対面の人はそう思うかもしれないけど私はそうは思わないわよ。あの娘、意外とパチンコが好きだったりするのよ」
「パチンコ……ですか?」
思わず声が裏返る。誠はあの氷のような表情でパチンコ屋の開店を待っている姿を思いえがいて少し驚愕した。冷静沈着なカウラが無表情でパチンコを打っている姿は誠には想像もつかなかった。
「まあ、うちに配属された当初はかなりの依存症だったのよ。それこそ給料全部つぎ込んじゃうぐらいのひどいもの。だけど今はクバルカ中佐の『荒療治』で、まあ週に一回程度に収まってるけど……結構勝ってるみたいよ。この前も私とパーラにプレゼントくれたし」
パーラは何気なく『依存症』などと言う言葉を口にした。
「そんなに……あの堅そうなベルガー大尉がパチンコ依存症だったなんて想像もつかないですけど……ギャンブル依存症は隊長だけで充分でしょ」
正直、誠にはあの真面目そうなカウラがそんな過去を持っていたなどとは想像もつかなかった。
「人は見かけによらないものよ。カウラちゃん『パチンコの無い生活は想像できない』とか言ってたわよね」
島田とじゃれあうのに飽きて振り向いてきたサラの言葉が誠のカウラ感の崩壊に追い打ちをかけた。そして以外にもあの無表情なカウラにそんな一面があることを知って誠はなぜか親近感を覚えている自分を見つけた。
「そんな『パチンコの無い生活は想像できない』って言ってるんですよね。パチンコチェーンがあるんですか『ゲルパルト』には」
好奇心に駆られて誠はそう言った。パチンコ屋だらけの東和共和国ならいざ知らず、外惑星のドイツ文化圏のゲルパルト連邦共和国にパチンコ屋が存在するのが想像もつかなかった。
「ああ、私達の『製造プラント』は大戦末期に敵対する『連合軍』に接収されたから。私もサラも、当然カウラちゃんも、前の戦争では中立だった『東和共和国』で『ロールアウト』したのよ。だから出身国や国籍は『東和共和国』よ。カウラちゃんが『ロールアウト』した施設の周りには、当然ながら『パチンコ屋』が周りにいっぱいあったでしょうね。あの子は後期覚醒体だから施設を出たら何もかも珍しかったんでしょ?そこにたまたまパチンコ屋があったら……それこそ生活を投げうってはまり込むのも無理は無いわよ」
パーラが言う『ロールアウト』の意味が『出荷』という意味らしいことは分かった。そして、カウラの出荷先がどうやら『パチンコ屋』の近くだったことは想像がついた。
「でもパーラさんはパチンコやらないですよね?」
ギャンブル依存症の気配の無さそうなパーラに誠はそう問いかけた。
「ギャンブルなんて胴元が儲かるようにできてるもの。初期覚醒体の私やサラはそこら辺の教育はちゃんと受けてから『ロールアウト』したの。でも後期覚醒体のカウラがどんな教育を受けて『ロールアウト』したかは知らないし、今はカウラの唯一の趣味なんだから。邪魔しちゃだめよ」
パーラはあくまで常識人だ。誠の確信はさらに深まった。
「『人工的』ねえ……初対面の人はそう思うかもしれないけど私はそうは思わないわよ。あの娘、意外とパチンコが好きだったりするのよ」
「パチンコ……ですか?」
思わず声が裏返る。誠はあの氷のような表情でパチンコ屋の開店を待っている姿を思いえがいて少し驚愕した。冷静沈着なカウラが無表情でパチンコを打っている姿は誠には想像もつかなかった。
「まあ、うちに配属された当初はかなりの依存症だったのよ。それこそ給料全部つぎ込んじゃうぐらいのひどいもの。だけど今はクバルカ中佐の『荒療治』で、まあ週に一回程度に収まってるけど……結構勝ってるみたいよ。この前も私とパーラにプレゼントくれたし」
パーラは何気なく『依存症』などと言う言葉を口にした。
「そんなに……あの堅そうなベルガー大尉がパチンコ依存症だったなんて想像もつかないですけど……ギャンブル依存症は隊長だけで充分でしょ」
正直、誠にはあの真面目そうなカウラがそんな過去を持っていたなどとは想像もつかなかった。
「人は見かけによらないものよ。カウラちゃん『パチンコの無い生活は想像できない』とか言ってたわよね」
島田とじゃれあうのに飽きて振り向いてきたサラの言葉が誠のカウラ感の崩壊に追い打ちをかけた。そして以外にもあの無表情なカウラにそんな一面があることを知って誠はなぜか親近感を覚えている自分を見つけた。
「そんな『パチンコの無い生活は想像できない』って言ってるんですよね。パチンコチェーンがあるんですか『ゲルパルト』には」
好奇心に駆られて誠はそう言った。パチンコ屋だらけの東和共和国ならいざ知らず、外惑星のドイツ文化圏のゲルパルト連邦共和国にパチンコ屋が存在するのが想像もつかなかった。
「ああ、私達の『製造プラント』は大戦末期に敵対する『連合軍』に接収されたから。私もサラも、当然カウラちゃんも、前の戦争では中立だった『東和共和国』で『ロールアウト』したのよ。だから出身国や国籍は『東和共和国』よ。カウラちゃんが『ロールアウト』した施設の周りには、当然ながら『パチンコ屋』が周りにいっぱいあったでしょうね。あの子は後期覚醒体だから施設を出たら何もかも珍しかったんでしょ?そこにたまたまパチンコ屋があったら……それこそ生活を投げうってはまり込むのも無理は無いわよ」
パーラが言う『ロールアウト』の意味が『出荷』という意味らしいことは分かった。そして、カウラの出荷先がどうやら『パチンコ屋』の近くだったことは想像がついた。
「でもパーラさんはパチンコやらないですよね?」
ギャンブル依存症の気配の無さそうなパーラに誠はそう問いかけた。
「ギャンブルなんて胴元が儲かるようにできてるもの。初期覚醒体の私やサラはそこら辺の教育はちゃんと受けてから『ロールアウト』したの。でも後期覚醒体のカウラがどんな教育を受けて『ロールアウト』したかは知らないし、今はカウラの唯一の趣味なんだから。邪魔しちゃだめよ」
パーラはあくまで常識人だ。誠の確信はさらに深まった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
特殊装甲隊 ダグフェロン『廃帝と永遠の世紀末』 遼州の闇
橋本 直
SF
出会ってはいけない、『世界』が、出会ってしまった これは悲しい『出会い』の物語
必殺技はあるが徹底的な『胃弱』系駄目ロボットパイロットの新社会人生活(体育会系・縦社会)が始まる!
ミリタリー・ガンマニアにはたまらない『コアな兵器ネタ』満載!
登場人物
気弱で胃弱で大柄左利きの主人公 愛銃:グロックG44
見た目と年齢が一致しない『ずるい大人の代表』の隊長 愛銃:VZ52
『偉大なる中佐殿』と呼ばれるかっこかわいい『体育会系無敵幼女』 愛銃:PSMピストル
明らかに主人公を『支配』しようとする邪悪な『女王様』な女サイボーグ 愛銃:スプリングフィールドXDM40
『パチンコ依存症』な美しい小隊長 愛銃:アストラM903【モーゼルM712のスペイン製コピー】
でかい糸目の『女芸人』の艦長 愛銃:H&K P7M13
『伝説の馬鹿なヤンキー』の整備班長 愛する武器:釘バット
理系脳の多趣味で気弱な若者が、どう考えても罠としか思えない課程を経てパイロットをさせられた。
そんな彼の配属されたのは司法局と呼ばれる武装警察風味の「特殊な部隊」だった
そこで『作業員』や『営業マン』としての『体育会系』のしごきに耐える主人公
そこで与えられたのは専用人型兵器『アサルト・モジュール』だったがその『役割』を聞いて主人公は社会への怨嗟の声を上げる
05式乙型 それは回収補給能力に特化した『戦闘での活躍が不可能な』機体だったのだ
そこで、犯罪者一歩手前の『体育会系縦社会人間達』と生活して、彼らを理解することで若者は成長していく。
そして彼はある事件をきっかけに強力な力に目覚めた。
それはあってはならない強すぎる力だった
その力の発動が宇宙のすべての人々を巻き込む戦いへと青年を導くことになる。
コアネタギャグ連発のサイキック『回収・補給』ロボットギャグアクションストーリー。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
【改訂版】特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第一部 『特殊な部隊始まる』
橋本 直
SF
青年は出会いを通じて真の『男』へと成長する
『特殊な部隊』への配属を運命づけられた青年の驚きと葛藤の物語
登場人物
気弱で胃弱で大柄左利きの主人公 愛銃:グロックG44
見た目と年齢が一致しない『ずるい大人の代表』の隊長 愛銃:VZ52
『偉大なる中佐殿』と呼ばれるかっこかわいい『体育会系無敵幼女』 愛銃:PSMピストル
明らかに主人公を『支配』しようとする邪悪な『女王様』な女サイボーグ 愛銃:スプリングフィールドXDM40
『パチンコ依存症』な美しい小隊長 愛銃:アストラM903【モーゼルM712のスペイン製コピー】
でかい糸目の『女芸人』の艦長 愛銃:H&K P7M13
『伝説の馬鹿なヤンキー』の整備班長 愛する武器:釘バット
理系脳の多趣味で気弱な若者が、どう考えても罠としか思えない課程を経てパイロットをさせられた。
そんな彼の配属されたのは司法局と呼ばれる武装警察風味の『特殊な部隊』だった
しかも、そこにこれまで配属になった5人の先輩はすべて一週間で尻尾を撒いて逃げ帰ったという
そんな『濃い』部隊で主人公は生き延びることができるか?
SFドタバタコメディーアクション
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる