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第一章 『特殊な部隊』海へ行く
第5話 欠席者多数の合宿
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「『ビッグブラザーの加護』が消えちまったのはもう終わったことだ。それより何度も言うけどさっき言ってた海での夏合宿の件だけど、アタシは欠席でよろしく」
ランは腕組みしながら先ほどまでの難しい表情を説いて満面の笑みでつぶやく。
「仕事なら仕方ないわね。機動部隊は一名欠員……っと」
アメリアはそう言って手元のメモ帳に印をつけた。そんな彼女の背後から小柄なカーリーヘアーの女子隊員が入ってきた。
部隊専任看護師の神前ひよこだった。
いつものように軽い足取りでアメリアに近づいてくる。
「クラウゼ少佐。技術部の参加希望者決まりましたけど。野球部の人は全員出るんですけど……」
アメリアは彼女の手からすぐにその手帳を受取ると少しがっかりしたようにため息をついた。
「ふうん、ずいぶんとまあ……参加人数少ないのね。あの連中は飲み代で首が回らないから今回の合宿の会費は出せないって言うんでしょ?せっかくかなめちゃんの顔が効く高級ホテルに格安で泊まれるって言う話なのにねえ。つまんないの」
その予想に反する海合宿の不人気ぶりにアメリアは珍しく落ち込んだような表情を浮かべた。
「野球部の連中はアタシが『欠席したら射殺する』って釘差しといたからな。他の連中は今の海に出るクラゲが恐いんだろ。クラゲを舐めてるからだ、クラゲを」
ため息をつくアメリアをかなめが冷やかしながら視線を誠に向ける。
「おめえはアタシの『下僕』だから、強制参加な。それ以前に本格的に投げ込むところを見てみたいから休むとか言ったら射殺する」
かなめは銃弾の入った愛銃の銃口を容赦なく誠に向けた。普通なら驚くところだったが、かなめが人に実弾の入った銃の銃口を向けるのはいつもの事なので誠もすでにこの『特殊な部隊』の異常なパワハラには慣れっこになっていた。
「はい……」
新入りの誠に拒否権は無いので、そう言うしかなかった。しかし、『特殊』な上司とは言え美人が多い実働部隊なので誠はごく自然と嬉しそうな顔をすることができた。
「それより隊長は行かないのか?って言うまでもないか」
アメリアの手にある参加者名簿に目をやりながらカウラはそう言った。
この『特殊な部隊』の主である、部隊長・嵯峨惟基特務大佐。一見、25歳すぎに見えるが実は46歳の中年『駄目人間』がこんなめんどくさいイベントに出るわけがないことは、入隊後半月余りの誠にもよくわかった。
「隊長ですか?何でも第二小隊の増設の打ち合わせで手が離せないとかで……まあ、あの人は小遣い3万円だから参加費自体払えないでしょうけどね」
ひよこはカウラに苦笑いを浮かべながらそう言った。
「それじゃあ……サラ!小夏ちゃんに連絡した?」
アメリアは手にしていた名簿を自分によこすようにと手を伸ばしてきたかなめに手渡した。
「うん!ちゃんと予定空けてもらってるわよ!」
ピンクのセミロングの髪をかき上げながらサラは元気にそう答えた。
「小夏ちゃんも来るんですね。となると月島屋の女将も……」
誠はそう言って一人手持ち無沙汰にしているパーラに声をかけた。
「そうね……この前のゲリラライブにも来てたしね。イベントを一番楽しみにしてるのは小夏ちゃんだもの」
アメリアの言葉でいかにこの『特殊な部隊』が、年中イベントだけをやっている暇人の集団であるかが誠にも分かった。
そして実働部隊の夜の拠点となっている焼鳥屋『月島屋』の看板娘、家村小夏と女将の家村春子の二人もこういうイベントには欠かせない存在なんだと誠はこの会話から理解することができた。
ランは腕組みしながら先ほどまでの難しい表情を説いて満面の笑みでつぶやく。
「仕事なら仕方ないわね。機動部隊は一名欠員……っと」
アメリアはそう言って手元のメモ帳に印をつけた。そんな彼女の背後から小柄なカーリーヘアーの女子隊員が入ってきた。
部隊専任看護師の神前ひよこだった。
いつものように軽い足取りでアメリアに近づいてくる。
「クラウゼ少佐。技術部の参加希望者決まりましたけど。野球部の人は全員出るんですけど……」
アメリアは彼女の手からすぐにその手帳を受取ると少しがっかりしたようにため息をついた。
「ふうん、ずいぶんとまあ……参加人数少ないのね。あの連中は飲み代で首が回らないから今回の合宿の会費は出せないって言うんでしょ?せっかくかなめちゃんの顔が効く高級ホテルに格安で泊まれるって言う話なのにねえ。つまんないの」
その予想に反する海合宿の不人気ぶりにアメリアは珍しく落ち込んだような表情を浮かべた。
「野球部の連中はアタシが『欠席したら射殺する』って釘差しといたからな。他の連中は今の海に出るクラゲが恐いんだろ。クラゲを舐めてるからだ、クラゲを」
ため息をつくアメリアをかなめが冷やかしながら視線を誠に向ける。
「おめえはアタシの『下僕』だから、強制参加な。それ以前に本格的に投げ込むところを見てみたいから休むとか言ったら射殺する」
かなめは銃弾の入った愛銃の銃口を容赦なく誠に向けた。普通なら驚くところだったが、かなめが人に実弾の入った銃の銃口を向けるのはいつもの事なので誠もすでにこの『特殊な部隊』の異常なパワハラには慣れっこになっていた。
「はい……」
新入りの誠に拒否権は無いので、そう言うしかなかった。しかし、『特殊』な上司とは言え美人が多い実働部隊なので誠はごく自然と嬉しそうな顔をすることができた。
「それより隊長は行かないのか?って言うまでもないか」
アメリアの手にある参加者名簿に目をやりながらカウラはそう言った。
この『特殊な部隊』の主である、部隊長・嵯峨惟基特務大佐。一見、25歳すぎに見えるが実は46歳の中年『駄目人間』がこんなめんどくさいイベントに出るわけがないことは、入隊後半月余りの誠にもよくわかった。
「隊長ですか?何でも第二小隊の増設の打ち合わせで手が離せないとかで……まあ、あの人は小遣い3万円だから参加費自体払えないでしょうけどね」
ひよこはカウラに苦笑いを浮かべながらそう言った。
「それじゃあ……サラ!小夏ちゃんに連絡した?」
アメリアは手にしていた名簿を自分によこすようにと手を伸ばしてきたかなめに手渡した。
「うん!ちゃんと予定空けてもらってるわよ!」
ピンクのセミロングの髪をかき上げながらサラは元気にそう答えた。
「小夏ちゃんも来るんですね。となると月島屋の女将も……」
誠はそう言って一人手持ち無沙汰にしているパーラに声をかけた。
「そうね……この前のゲリラライブにも来てたしね。イベントを一番楽しみにしてるのは小夏ちゃんだもの」
アメリアの言葉でいかにこの『特殊な部隊』が、年中イベントだけをやっている暇人の集団であるかが誠にも分かった。
そして実働部隊の夜の拠点となっている焼鳥屋『月島屋』の看板娘、家村小夏と女将の家村春子の二人もこういうイベントには欠かせない存在なんだと誠はこの会話から理解することができた。
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