69 / 77
動き出す状況
第69話 状況確認
しおりを挟む
「西園寺さん!」
誠の言葉に階段を登ろうとしていたかなめが振り返る。
「法術反応です。しかもこれまでのものとは違います!これまでの誰とも違う感じです。もしかして……」
「ここに来て急にか。これは動いたようだな……おそらく水島をここに飛ばした誰かだ」
カウラはそう言うととりあえず三階に向かう階段の踊り場で銃を手に上の階を警戒しているかなめの隣でしゃがみこんだ。
「第三勢力か?でももしあのダンビラで切りつけてくるような連中が増えたらどうするよ」
タレ目で上官を見つめるかなめ。カウラはしばらく沈黙した後口を開いた。
「その場合は一時撤収だな。私達の戦力ではどうにもできない」
カウラの言葉に遅れてきたアメリアもうなづく。
「でも……」
「神前。オマエは数に入れてねえからな」
失った右腕の跡をさすりながらかなめが天井を向いてつぶやく。
「西園寺さん……」
半分泣きながらの誠の言葉。しかし事実だった。法術が使える以外はかなめ達に比べれば素人に毛が生えたような存在なのは自分が一番自覚している。女性士官三人ははじめからそれが当たり前だと言うように、少しばかりセンチメンタルな表情を浮かべている誠の存在を忘れようしつつ上の階を警戒していた。
「第三勢力だとしたら……戦力が気になるわね……」
「今のアタシ等でどうにかなる相手なら……ちょうど良い転換点だ。北川達はこのままじゃ挟み撃ちだからな。油断ができれば後は双方が損耗するのを待って騒動から逃げたがってる水島を引き離してそのまま捕縛といけるな」
かなめはそれだけ言うとそのまま階段を登り始めた。
「そう上手く行けばいいけどね。いっそのこと神様にでも祈ろうかしら」
アメリアが誠の背中を叩く。それに気がついて誠もカウラとともにかなめのあとに続く。
フロアーが広がるとかなめは動きを止めた。静かに周りを見渡す。すでに夜と言っていい時間帯。明かりの無い廃墟では目はかなめだけが頼りだった。
「気配がしねえ。赤外線反応なし。北川の奴は上に向かったか」
そう言いながらかなめは壁伝いに三階にたどり着いた。それを確認するとカウラと誠もその後に続いた。
「北川さんの拳銃は脅威にならないとしてももう一人の例の辻斬り。相手にするにはきついわよ」
アメリアの言葉にかなめは頷いた後そのまま四階に上がる階段に取り付いた。
「きつくても仕方がない。これ以上事態が良くなることは考えにくいからな。島田の部下達が駐屯地からここまではどう急いでもあと10分はかかる。それまでに結果は出るだろう」
「おう、それまでに決めるぞ」
カウラの言葉に振り向いてにやりと微笑んだ後かなめは飛ぶようにして階段を駆け上がって行った。
誠の言葉に階段を登ろうとしていたかなめが振り返る。
「法術反応です。しかもこれまでのものとは違います!これまでの誰とも違う感じです。もしかして……」
「ここに来て急にか。これは動いたようだな……おそらく水島をここに飛ばした誰かだ」
カウラはそう言うととりあえず三階に向かう階段の踊り場で銃を手に上の階を警戒しているかなめの隣でしゃがみこんだ。
「第三勢力か?でももしあのダンビラで切りつけてくるような連中が増えたらどうするよ」
タレ目で上官を見つめるかなめ。カウラはしばらく沈黙した後口を開いた。
「その場合は一時撤収だな。私達の戦力ではどうにもできない」
カウラの言葉に遅れてきたアメリアもうなづく。
「でも……」
「神前。オマエは数に入れてねえからな」
失った右腕の跡をさすりながらかなめが天井を向いてつぶやく。
「西園寺さん……」
半分泣きながらの誠の言葉。しかし事実だった。法術が使える以外はかなめ達に比べれば素人に毛が生えたような存在なのは自分が一番自覚している。女性士官三人ははじめからそれが当たり前だと言うように、少しばかりセンチメンタルな表情を浮かべている誠の存在を忘れようしつつ上の階を警戒していた。
「第三勢力だとしたら……戦力が気になるわね……」
「今のアタシ等でどうにかなる相手なら……ちょうど良い転換点だ。北川達はこのままじゃ挟み撃ちだからな。油断ができれば後は双方が損耗するのを待って騒動から逃げたがってる水島を引き離してそのまま捕縛といけるな」
かなめはそれだけ言うとそのまま階段を登り始めた。
「そう上手く行けばいいけどね。いっそのこと神様にでも祈ろうかしら」
アメリアが誠の背中を叩く。それに気がついて誠もカウラとともにかなめのあとに続く。
フロアーが広がるとかなめは動きを止めた。静かに周りを見渡す。すでに夜と言っていい時間帯。明かりの無い廃墟では目はかなめだけが頼りだった。
「気配がしねえ。赤外線反応なし。北川の奴は上に向かったか」
そう言いながらかなめは壁伝いに三階にたどり着いた。それを確認するとカウラと誠もその後に続いた。
「北川さんの拳銃は脅威にならないとしてももう一人の例の辻斬り。相手にするにはきついわよ」
アメリアの言葉にかなめは頷いた後そのまま四階に上がる階段に取り付いた。
「きつくても仕方がない。これ以上事態が良くなることは考えにくいからな。島田の部下達が駐屯地からここまではどう急いでもあと10分はかかる。それまでに結果は出るだろう」
「おう、それまでに決めるぞ」
カウラの言葉に振り向いてにやりと微笑んだ後かなめは飛ぶようにして階段を駆け上がって行った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
グラディア(旧作)
壱元
SF
ネオン光る近未来大都市。人々にとっての第一の娯楽は安全なる剣闘:グラディアであった。
恩人の仇を討つ為、そして自らの夢を求めて一人の貧しい少年は恩人の弓を携えてグラディアのリーグで成り上がっていく。少年の行き着く先は天国か地獄か、それとも…
※本作は連載終了しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる