1,422 / 1,531
宿命の対決
第47話 魔導の戦い
しおりを挟む
「なるほど!アタシに本気を出させたいわけだな!」
ランもまた力の限り自分の身長を超える剣を振りかざす。二人の得物が激突し、強烈な光があたりを覆った。
「なに?なにが起きたの!」
上空でまぶしさに小夏は目をつぶってしまう。
「小夏!」
思わずグリンが叫ぶ。そしてかなめは強力そうなこぶしを握り締めて笑みを浮かべる。
三人に見守られる中、強烈な光がいくつもの稲妻で当たりを染めながら次第に薄くなっていく様子が見て取れた。
「やるもんだな……」
肩で息をして小夏の桃色に輝く杖に受け止められた剣をランは手馴れたように腰の鞘に収める。その赤いドレスはぼろぼろに破れ、頬にはいくつもの傷が見て取れた。
「ランちゃんもね」
同じく小夏も魔法少女の衣装をぼろぼろにしながら杖を掲げる。そのまま息を整えながら二人は上空で見詰め合った。
『青春だねえ』
突然抜けたような声が響いたので誠は驚いた。いつの間にか会議室に紛れ込んでいた嵯峨がウィンドウ越しに割り込んでくる。
『嵯峨さん。良いんですか?お仕事は』
春子の言葉に誠もいくつか付け足したい気分だった。
『ちょっとくらい匿ってくれたっていいじゃないですか』
『サボるな!』
女性としてはハスキーな張りのある声。それが遼州同盟司法局機動隊、通称『特務公安隊』隊長の安城秀美のものであることは誠にもすぐに分かった。昨日同盟本部に法務司法執行機関および治安関係団体幹部会議を『頭が痛い』と言って欠席して隊長室で刀を研いでいたところは誠も目撃していた。
『春子さん、嵯峨特務大佐はお借りしますから』
『どうぞご自由にお使いください』
春子に見放されて落ち込んでいるだろう嵯峨の顔を想像して誠は思わず笑いそうになる。再び誠が画像に意識を向けるとすでに逃げ去ったランを見送る小夏の姿があった。
「小夏!なんで私に助けを求めなかったの?せっかく捕まえられるチャンスだったのに!」
すでに戦いは引き分けに終わりランが逃げ去った後だった。サラは小夏のところまで降下すると責め立てた。でも口を真一文字に結んだ小夏は謝るつもりはないというようにサラをにらみつける。
「良いじゃねえか!このくらいの気迫が無けりゃあ戦いなんてできないもんだ」
相変わらずどう見ても敵の魔女と言うか機械人間のように見えるかなめが良い顔で小夏の頭を撫でる。
「そんなスポーツじゃないんだよ!いつかは決着をつけなきゃいけない……」
そう叫ぶグリンの口にかなめは手をやる。
「それよりこのままにしておくつもりか?」
かなめはそう言うと下の光景を見下ろした。グリンだけでなく小夏もサラも眼下の光景を眺めた。神社と中学校の木々の頭の部分が焼け焦げ煙を揚げている。一方ランが突風を吹かせた影響で小学校のガラスがすべて砕けて無残な姿を晒していた。
「分かりましたよ!後で明石司令に報告します!」
そう言うとグリンは両手を広げた。彼の手からあふれ出た光の粒が中学校と隣の鎮守の森を包む。木々は再び生き生きと茂り始め、中学校の砕けた窓ガラスが元に戻っていく。
『これは凄いな』
『え?カウラさん来てたんですか?』
突然のカウラの声に少しばかり誠は焦った。次のシーンは明石の喫茶店に誠に会いにカウラがやってくる場面になるはずだった。
画面では中学校の屋上に舞い降りてもとの制服姿に戻る小夏が映されていた。
『おい、アメリア。ちょっといろいろといじりたい場面があるんだが……少し休憩ってことにならないかな』
映像担当の新藤の声が響く。
『そうですか、じゃあしばらく休憩しましょう』
映像関係の責任者の一声で、バイザーの中に映っていた画面が消える。誠はそのままヘルメットを外してカプセルから起き上がる。
「あー疲れた……あっ!食べちゃったんだ!ずるいんだ!」
いち早く飛び上がるようにして起きていた小夏が入り口に置かれたおはぎが入っていた重箱が空になったのを指して膨れっ面をしている。
「だって硬くなったらもったいないじゃない!」
そう言ってサラは重箱に蓋をしている。その脇では小夏の怒っている姿が面白いのか、珍しくニコニコ笑いなが明石が口を動かしている。
「よし、それじゃあ仕事に戻るぞ」
そう言うとカウラは誠の襟首をつかむ。小夏とサラ達がにらみ合っている状況を見物していた誠はかなめの手を引っ張って会議室から廊下へと歩き出した。
「なんだよ神前。アタシは仕事は終わってるんだよ!」
そう言って逃げ出そうとするかなめに誠は泣きついた。
「僕の端末の画面をどうにかしてくださいよ」
廊下に出た誠の言葉にかなめは頭を掻く。そして思い出したようにかなめが手を打ったところから彼女が自分のしたことを忘れていることに誠はただ呆然としていた。
「分かったよ。しかし、オメエ等仕事が遅いねえ」
「電子戦対応装備のサイボーグを基準で判断されてはたまらないな」
そう言ってカウラはかなめを余裕の表情で一瞥するとそのまま実働部隊の部屋へと向かう。部隊長の余裕を見せられたかなめは明らかに含むところがあると言う表情でカウラについて歩く。
「まあ、しゃあねえかな。隣の怖い警視正殿の面目を潰すわけにもいかねえだろう……しな!」
そう言うとかなめは法術特捜の間借りしている部屋のドアを開けた。ドアには茜が張り付いていたが、誠と目が会うと空々しい笑顔を浮かべて茜は奥へと消えていった。
「信用ねえな、神前は」
「え?僕がですか?」
不満そうな誠の声を聞くとかなめはいかにもうれしそうな笑顔を浮かべて早足で詰め所に向かう。さっさと部屋に入ったカウラに二人は顔を見合わせてドアを開く。
かなめの言葉に誠も部屋の中をのぞき込む。
「まあいいや、神前ちょっと待ってろ」
誠のモニターは相変わらず映画の画面が映し出されていた。
すぐさま画像が切り替わり、茜に指示されたプロファイリング資料が映し出される。
「ああ、これでようやく仕事ができそうですよ」
「そうか。それなら今隊長室に呼び出された奴の分までがんばれや」
かなめはそう言うと自分の席に戻る。
「呼び出された?」
そう言ってカウラの顔を見ると彼女はすぐにドアの外を指差した。隊長室をノックしているアメリアの姿が見える。
「ああ、安城さんが来るのが分かってれば対策も立てれたのにねえ。カウラの奴、知ったんだろうな」
連続放火事件のファイルをモニターで眺めながらコメントをくわえる作業を続けているかなめが画面を見たままそう言った。嵯峨がどうしても下手に出なければならないまじめに仕事をすることを要求する相手、それが安城秀美少佐だった。司法局の特殊部隊でも一番精鋭とされる機動部隊の指揮官の来訪で嵯峨が形式的なお小言をアメリアにしなければならなくなった様子を見ながら誠は大きくため息をついた。
「カウラさんも大変ですね」
かなめは机に足を投げ出してそのまま天井を見ながら人の悪そうな笑みを浮かべていた。誠はようやく連続放火事件の資料の整理を終えて最後の車上荒らしの事件の資料を探すために画面をスクロールさせていた。
「でもこれでしばらくはアメリアに付き合う必要もなくなるな」
そう言ってかなめは笑う。それに誠は愛想笑いを浮かべるしかなかった。
「じゃあ仕事がんばれよ」
かなめに言われて誠は苦笑いを浮かべる。誠はようやく仕事を再開した。
ランもまた力の限り自分の身長を超える剣を振りかざす。二人の得物が激突し、強烈な光があたりを覆った。
「なに?なにが起きたの!」
上空でまぶしさに小夏は目をつぶってしまう。
「小夏!」
思わずグリンが叫ぶ。そしてかなめは強力そうなこぶしを握り締めて笑みを浮かべる。
三人に見守られる中、強烈な光がいくつもの稲妻で当たりを染めながら次第に薄くなっていく様子が見て取れた。
「やるもんだな……」
肩で息をして小夏の桃色に輝く杖に受け止められた剣をランは手馴れたように腰の鞘に収める。その赤いドレスはぼろぼろに破れ、頬にはいくつもの傷が見て取れた。
「ランちゃんもね」
同じく小夏も魔法少女の衣装をぼろぼろにしながら杖を掲げる。そのまま息を整えながら二人は上空で見詰め合った。
『青春だねえ』
突然抜けたような声が響いたので誠は驚いた。いつの間にか会議室に紛れ込んでいた嵯峨がウィンドウ越しに割り込んでくる。
『嵯峨さん。良いんですか?お仕事は』
春子の言葉に誠もいくつか付け足したい気分だった。
『ちょっとくらい匿ってくれたっていいじゃないですか』
『サボるな!』
女性としてはハスキーな張りのある声。それが遼州同盟司法局機動隊、通称『特務公安隊』隊長の安城秀美のものであることは誠にもすぐに分かった。昨日同盟本部に法務司法執行機関および治安関係団体幹部会議を『頭が痛い』と言って欠席して隊長室で刀を研いでいたところは誠も目撃していた。
『春子さん、嵯峨特務大佐はお借りしますから』
『どうぞご自由にお使いください』
春子に見放されて落ち込んでいるだろう嵯峨の顔を想像して誠は思わず笑いそうになる。再び誠が画像に意識を向けるとすでに逃げ去ったランを見送る小夏の姿があった。
「小夏!なんで私に助けを求めなかったの?せっかく捕まえられるチャンスだったのに!」
すでに戦いは引き分けに終わりランが逃げ去った後だった。サラは小夏のところまで降下すると責め立てた。でも口を真一文字に結んだ小夏は謝るつもりはないというようにサラをにらみつける。
「良いじゃねえか!このくらいの気迫が無けりゃあ戦いなんてできないもんだ」
相変わらずどう見ても敵の魔女と言うか機械人間のように見えるかなめが良い顔で小夏の頭を撫でる。
「そんなスポーツじゃないんだよ!いつかは決着をつけなきゃいけない……」
そう叫ぶグリンの口にかなめは手をやる。
「それよりこのままにしておくつもりか?」
かなめはそう言うと下の光景を見下ろした。グリンだけでなく小夏もサラも眼下の光景を眺めた。神社と中学校の木々の頭の部分が焼け焦げ煙を揚げている。一方ランが突風を吹かせた影響で小学校のガラスがすべて砕けて無残な姿を晒していた。
「分かりましたよ!後で明石司令に報告します!」
そう言うとグリンは両手を広げた。彼の手からあふれ出た光の粒が中学校と隣の鎮守の森を包む。木々は再び生き生きと茂り始め、中学校の砕けた窓ガラスが元に戻っていく。
『これは凄いな』
『え?カウラさん来てたんですか?』
突然のカウラの声に少しばかり誠は焦った。次のシーンは明石の喫茶店に誠に会いにカウラがやってくる場面になるはずだった。
画面では中学校の屋上に舞い降りてもとの制服姿に戻る小夏が映されていた。
『おい、アメリア。ちょっといろいろといじりたい場面があるんだが……少し休憩ってことにならないかな』
映像担当の新藤の声が響く。
『そうですか、じゃあしばらく休憩しましょう』
映像関係の責任者の一声で、バイザーの中に映っていた画面が消える。誠はそのままヘルメットを外してカプセルから起き上がる。
「あー疲れた……あっ!食べちゃったんだ!ずるいんだ!」
いち早く飛び上がるようにして起きていた小夏が入り口に置かれたおはぎが入っていた重箱が空になったのを指して膨れっ面をしている。
「だって硬くなったらもったいないじゃない!」
そう言ってサラは重箱に蓋をしている。その脇では小夏の怒っている姿が面白いのか、珍しくニコニコ笑いなが明石が口を動かしている。
「よし、それじゃあ仕事に戻るぞ」
そう言うとカウラは誠の襟首をつかむ。小夏とサラ達がにらみ合っている状況を見物していた誠はかなめの手を引っ張って会議室から廊下へと歩き出した。
「なんだよ神前。アタシは仕事は終わってるんだよ!」
そう言って逃げ出そうとするかなめに誠は泣きついた。
「僕の端末の画面をどうにかしてくださいよ」
廊下に出た誠の言葉にかなめは頭を掻く。そして思い出したようにかなめが手を打ったところから彼女が自分のしたことを忘れていることに誠はただ呆然としていた。
「分かったよ。しかし、オメエ等仕事が遅いねえ」
「電子戦対応装備のサイボーグを基準で判断されてはたまらないな」
そう言ってカウラはかなめを余裕の表情で一瞥するとそのまま実働部隊の部屋へと向かう。部隊長の余裕を見せられたかなめは明らかに含むところがあると言う表情でカウラについて歩く。
「まあ、しゃあねえかな。隣の怖い警視正殿の面目を潰すわけにもいかねえだろう……しな!」
そう言うとかなめは法術特捜の間借りしている部屋のドアを開けた。ドアには茜が張り付いていたが、誠と目が会うと空々しい笑顔を浮かべて茜は奥へと消えていった。
「信用ねえな、神前は」
「え?僕がですか?」
不満そうな誠の声を聞くとかなめはいかにもうれしそうな笑顔を浮かべて早足で詰め所に向かう。さっさと部屋に入ったカウラに二人は顔を見合わせてドアを開く。
かなめの言葉に誠も部屋の中をのぞき込む。
「まあいいや、神前ちょっと待ってろ」
誠のモニターは相変わらず映画の画面が映し出されていた。
すぐさま画像が切り替わり、茜に指示されたプロファイリング資料が映し出される。
「ああ、これでようやく仕事ができそうですよ」
「そうか。それなら今隊長室に呼び出された奴の分までがんばれや」
かなめはそう言うと自分の席に戻る。
「呼び出された?」
そう言ってカウラの顔を見ると彼女はすぐにドアの外を指差した。隊長室をノックしているアメリアの姿が見える。
「ああ、安城さんが来るのが分かってれば対策も立てれたのにねえ。カウラの奴、知ったんだろうな」
連続放火事件のファイルをモニターで眺めながらコメントをくわえる作業を続けているかなめが画面を見たままそう言った。嵯峨がどうしても下手に出なければならないまじめに仕事をすることを要求する相手、それが安城秀美少佐だった。司法局の特殊部隊でも一番精鋭とされる機動部隊の指揮官の来訪で嵯峨が形式的なお小言をアメリアにしなければならなくなった様子を見ながら誠は大きくため息をついた。
「カウラさんも大変ですね」
かなめは机に足を投げ出してそのまま天井を見ながら人の悪そうな笑みを浮かべていた。誠はようやく連続放火事件の資料の整理を終えて最後の車上荒らしの事件の資料を探すために画面をスクロールさせていた。
「でもこれでしばらくはアメリアに付き合う必要もなくなるな」
そう言ってかなめは笑う。それに誠は愛想笑いを浮かべるしかなかった。
「じゃあ仕事がんばれよ」
かなめに言われて誠は苦笑いを浮かべる。誠はようやく仕事を再開した。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第六部 『特殊な部隊の特殊な自主映画』
橋本 直
SF
毎年恒例の時代行列に加えて豊川市から映画作成を依頼された『特殊な部隊』こと司法局実働部隊。
自主映画作品を作ることになるのだがアメリアとサラの暴走でテーマをめぐり大騒ぎとなる。
いざテーマが決まってもアメリアの極めて趣味的な魔法少女ストーリに呆れて隊員達はてんでんばらばらに活躍を見せる。
そんな先輩達に振り回されながら誠は自分がキャラデザインをしたという責任感のみで参加する。
どたばたの日々が始まるのだった……。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる