1,416 / 1,531
休みのようなもの
昼食
しおりを挟む
画面の中でリンが十分にかなめの折檻を楽しみ終えたというところで画像が消えた。
「あっちもお休みみたいですね」
そう言って誠は伸びをする。
「まあ……なんて言うか……」
頭を掻きながら嵯峨はそのまま立ち上がった。
「隊長……大丈夫ですか?」
いつの間にか自分のデスクに戻って仕事を続けていたアンが青い顔の嵯峨を見上げた。
「大丈夫だろ?数なら神前の方が食べてるんだ。あーあ、胃がもたれる」
嵯峨はそう言い残して部屋を出て行った。三段目の半分以上を食べつくされた重箱とポットと急須が残されている。
「アン軍曹。悪いが急須の中を代えてくれないか?」
「了解です!」
カウラの言葉に椅子から跳ね上がったアンは、そのまま誠に笑顔を浮かべて急須を持って部屋を出て行く。
「ふう、さすがに腹が膨れますね」
これで最後にしようと誠はおはぎを口に運ぶ。さすがに口の中も甘ったるくなって嵯峨の気持ちも理解できるような気分だった。
「今、女将さんはあっちの部屋に居るんだろ?」
カウラもさすがに甘さにやられたようで、明らかにペースを落として一個のおはぎをゆっくりと食べ続けている。
「まあアメリアさんは甘いものには目が無いですからね」
その名前を聞くとカウラもかえでもリンも納得したようにうなづく。
「おう、元気しとったか?」
そう言いながら急須の茶葉を取り替えてきたアンに続いて明石清海中佐が部屋に入ってくる。その大柄な割にまるで借りてきた猫のようにおとなしく開いていた丸椅子に腰掛けた。
「どうじゃ、神前……だいぶ堂に入ってきたみたいやな」
アンが気を利かせて明石がここに残していった大きな湯飲みに茶を注いでいる。
「そんなこと無いですよ……クバルカ中佐の訓練についていくのがやっとで」
そう言う誠の言葉には嘘は無かった。柄の悪い小学生にしか見えないランだが、言うことはすべて理にかなっていて新米の自覚のある誠にはその全てがためになるように感じていた。
「まあワシはそう言うことは苦手じゃったからのう」
明石は大きな湯飲みを開いているロナルドの机に置く。
「それよりも明石中佐の方が大変ではないんですか?調整担当って同盟軍とか政治部局とかに顔を出さなければいけないわけですから」
久しぶりの上官の姿に笑顔を浮かべながらカウラがたずねる。
「まあな、居づらいちゅうかー……何をしたらええかわからんちゅうか……まあ今はとりあえず頭を下げるのが仕事みたいなもんやからな」
そう言って剃りあげた頭を叩きながら明石はいつもの豪快な笑い声を上げた。
「いつも思うんですが……私達、こんなことしていて良いんですか?」
その質問は誠の口ではなくカウラから発せられた。トレードマークのサングラスを直す明石はそのまま視線をカウラに向けた。
「なんでやねん?」
不思議そうにサングラスの中の目はカウラを見つめる。その切り替わりに戸惑ったカウラは誠の目を見た。
「日常的に任務と直接関係ない仕事ばかりやってて……東和軍や警察からいろいろ言われてるんじゃないかって思うんですけど」
誠がそう言うと明石は快活な笑い声を上げた。
「ああ、言うとるぞあのアホ共。田舎で農業や野球やって給料もろうとるとかな。まあそう言うとる奴のどたまぶち割るのがワシの仕事やからな。まあ本気では殴らんで。半分は事実なんや」
「明石中佐。くれぐれも暴力沙汰は……」
席からカウラが声をかける。
「分かっとるわい。これはいわゆる言葉のあや言う奴や」
そう言い放って再び明石は笑い出す。だが手を出さなくても見たとおりの巨漢。そして勇猛で知られた甲武第三艦隊、通称『播州党』の元エースの明石ににらまれて黙り込むしかない東和軍や同盟の偉い人達の顔を想像すると誠は申し訳ない気持ちになった。
「お、おはぎ残っとるやないか。ワレ等もはよ食わんと、硬とうなってまうど。さあ、神前」
そう言って明石は素早く自分の分のおはぎをくわえると次のおはぎを誠に差し出す。
「えーと……いただきます」
こわごわそう言うと誠はおはぎを受け取る。それを満足げに見ながら明石はすぐにもう一つをカウラに差し出した。
「ありがとう……ございます」
複雑な表情でカウラはおはぎを受け取る。それを見てそれまでおはぎに手を出さなかったアンが最後のおはぎを手に取った。
「やっぱり女将さんの料理はええのう。まあしばらくはこっちで年度末の査察に向けての段取り考えなあかんからちょくちょく邪魔させてもらうわ」
そう言って明石は口の周りのあんこをぬぐうと立ち上がった。
「じゃあ邪魔したな」
明石が部屋を出たところで何かを見つけたというように、一瞬、嫌な顔をした後出ていく。その入れ替わりで入ってきたのがアメリアだった。
アメリアはそのままポットに手を伸ばして、手にしていた美少年キャラが裸で絡み合うと言う誤解を招きかねない絵の描かれた自分の湯飲みに白湯を注いでいる。
「甘い!甘いわよ!」
白湯を飲んですぐにそう言うとアメリアは先ほどまで明石が座っていた丸椅子に腰掛けた。
「どうしたんだ?お前は甘いものは好きだろ?」
カウラはそう言いながら急須にお湯を入れる。アメリアはそれを奪い取ると湯飲みに茶を注いだ。
「何でも限度ってものがあるわよ……ああ、こっちにも女将さんからのがあったのね。でもこのくらいなら楽勝でしょ」
そう言ってアメリアは空の重箱を見つめる。
「そうでもないぞ。隊長がへろへろになったからな」
カウラの言葉にかえでと渡辺がうなづく。
「ああ、あの人は問題外よ。でも……さすがにねえ私もこれだけあると私でもお手上げだわ」
そう言いながらアメリアは手にした湯飲みを啜った。
「技術部の連中にも分けてやれば良いのに」
モニター越しにカウラがそう言って苦笑いを浮かべる。そんな彼女にアメリアは首を振る。
「だめよ、島田君が許すわけないじゃないの。本庄君の減量月間が発動してからは技術部は勤務時間中の間食禁止令が出ているじゃない」
先日の健康診断で技術部一の巨漢の本庄以下三人の血糖値異常のの結果が届いた。それをを見た島田は技術部の勤務中の間食の禁止を指示していた。彼らは実働部隊や管理部の面々がスナック菓子を頬張るのを指をくわえてみているだけだった。
「ああ、島田は……一度決めたら結構そう言うところは締めるからな」
そう言いながらカウラは明らかに無理そうな顔をしながらおはぎを飲み下す。
「それにしてもいつここまで仕上げたんですか、台本」
誠は渡されていた台本とかなり違う台詞や演技を思い出してアメリアを見つめた。
「ああ、昨日の晩に新藤さんと煮詰めたから。まあ小夏ちゃんは注文つけるだけつけたらとっとと寝ちゃったけどね」
そう言いながら笑っているアメリアに疲労の色は見えない。
元々戦闘用に遺伝子を操作して作られたアメリア達の体力は普通の人間のそれとは明らかに違った。事実スポーツ選手で活躍している彼女達の同胞は男女の区別のないカテゴリーのスポーツで記録を次々と書き換えていた。
「お待たせしました!」
西とひよこが再び入ってくる。二人はそのままビニール袋をかえでとリンに差し出す。
「ご苦労さん」
そう言って明石は西が持ってきたぶっかけうどんに手を伸ばした。
「中佐よく食べますね。うちのところじゃ小夏ちゃんだけですよ、弁当頼んだの」
そう言いながらアメリアはうどんのふたを開けて中から汁を取り出している明石を驚いたように見つめている。
「ええやんか。飯食うぐらい……クラウゼも食うか?」
明石は素早く割り箸を口でくわえて割り、そのまま汁と麺をなじませている。
「えーと、まあなんと言うか……遠慮しとくわ」
愛想笑いを浮かべながらアメリアは答えた。誠もカウラもそれに付き合うように湯飲みやカップに手を伸ばした。
「しかし、さっきはあのおはぎが全部なくなるとは思わなかったんですが……」
西が感心したように三段の重箱のすべてに詰まっていたおはぎを食べつくした人々見つめている。
「西、そこの弁当。ハンガーで待っている連中が居るんじゃないのか?」
そんなカウラの言葉にレベッカと西は気がついたというように詰め所の入口に向かう。
「それじゃあ……アメリアさん、用があったら呼んでくださいね」
「ああ、そこらへんは新藤さんの裁量なんでー」
出て行く西に一同はやる気のない手を振る。
「それじゃあ、私も戻ろうかな」
そう言ってアメリアは手に痛いカップを持って立ち上がる。
「まあ、なんだ。がんばってくれ」
カウラは複雑な表情を浮かべる。誠もまたさわやかに手を振るアメリアをぼんやりと眺めながらカップのそこに沈んだ茶葉の濃いお茶を飲みこんだ。
「あっちもお休みみたいですね」
そう言って誠は伸びをする。
「まあ……なんて言うか……」
頭を掻きながら嵯峨はそのまま立ち上がった。
「隊長……大丈夫ですか?」
いつの間にか自分のデスクに戻って仕事を続けていたアンが青い顔の嵯峨を見上げた。
「大丈夫だろ?数なら神前の方が食べてるんだ。あーあ、胃がもたれる」
嵯峨はそう言い残して部屋を出て行った。三段目の半分以上を食べつくされた重箱とポットと急須が残されている。
「アン軍曹。悪いが急須の中を代えてくれないか?」
「了解です!」
カウラの言葉に椅子から跳ね上がったアンは、そのまま誠に笑顔を浮かべて急須を持って部屋を出て行く。
「ふう、さすがに腹が膨れますね」
これで最後にしようと誠はおはぎを口に運ぶ。さすがに口の中も甘ったるくなって嵯峨の気持ちも理解できるような気分だった。
「今、女将さんはあっちの部屋に居るんだろ?」
カウラもさすがに甘さにやられたようで、明らかにペースを落として一個のおはぎをゆっくりと食べ続けている。
「まあアメリアさんは甘いものには目が無いですからね」
その名前を聞くとカウラもかえでもリンも納得したようにうなづく。
「おう、元気しとったか?」
そう言いながら急須の茶葉を取り替えてきたアンに続いて明石清海中佐が部屋に入ってくる。その大柄な割にまるで借りてきた猫のようにおとなしく開いていた丸椅子に腰掛けた。
「どうじゃ、神前……だいぶ堂に入ってきたみたいやな」
アンが気を利かせて明石がここに残していった大きな湯飲みに茶を注いでいる。
「そんなこと無いですよ……クバルカ中佐の訓練についていくのがやっとで」
そう言う誠の言葉には嘘は無かった。柄の悪い小学生にしか見えないランだが、言うことはすべて理にかなっていて新米の自覚のある誠にはその全てがためになるように感じていた。
「まあワシはそう言うことは苦手じゃったからのう」
明石は大きな湯飲みを開いているロナルドの机に置く。
「それよりも明石中佐の方が大変ではないんですか?調整担当って同盟軍とか政治部局とかに顔を出さなければいけないわけですから」
久しぶりの上官の姿に笑顔を浮かべながらカウラがたずねる。
「まあな、居づらいちゅうかー……何をしたらええかわからんちゅうか……まあ今はとりあえず頭を下げるのが仕事みたいなもんやからな」
そう言って剃りあげた頭を叩きながら明石はいつもの豪快な笑い声を上げた。
「いつも思うんですが……私達、こんなことしていて良いんですか?」
その質問は誠の口ではなくカウラから発せられた。トレードマークのサングラスを直す明石はそのまま視線をカウラに向けた。
「なんでやねん?」
不思議そうにサングラスの中の目はカウラを見つめる。その切り替わりに戸惑ったカウラは誠の目を見た。
「日常的に任務と直接関係ない仕事ばかりやってて……東和軍や警察からいろいろ言われてるんじゃないかって思うんですけど」
誠がそう言うと明石は快活な笑い声を上げた。
「ああ、言うとるぞあのアホ共。田舎で農業や野球やって給料もろうとるとかな。まあそう言うとる奴のどたまぶち割るのがワシの仕事やからな。まあ本気では殴らんで。半分は事実なんや」
「明石中佐。くれぐれも暴力沙汰は……」
席からカウラが声をかける。
「分かっとるわい。これはいわゆる言葉のあや言う奴や」
そう言い放って再び明石は笑い出す。だが手を出さなくても見たとおりの巨漢。そして勇猛で知られた甲武第三艦隊、通称『播州党』の元エースの明石ににらまれて黙り込むしかない東和軍や同盟の偉い人達の顔を想像すると誠は申し訳ない気持ちになった。
「お、おはぎ残っとるやないか。ワレ等もはよ食わんと、硬とうなってまうど。さあ、神前」
そう言って明石は素早く自分の分のおはぎをくわえると次のおはぎを誠に差し出す。
「えーと……いただきます」
こわごわそう言うと誠はおはぎを受け取る。それを満足げに見ながら明石はすぐにもう一つをカウラに差し出した。
「ありがとう……ございます」
複雑な表情でカウラはおはぎを受け取る。それを見てそれまでおはぎに手を出さなかったアンが最後のおはぎを手に取った。
「やっぱり女将さんの料理はええのう。まあしばらくはこっちで年度末の査察に向けての段取り考えなあかんからちょくちょく邪魔させてもらうわ」
そう言って明石は口の周りのあんこをぬぐうと立ち上がった。
「じゃあ邪魔したな」
明石が部屋を出たところで何かを見つけたというように、一瞬、嫌な顔をした後出ていく。その入れ替わりで入ってきたのがアメリアだった。
アメリアはそのままポットに手を伸ばして、手にしていた美少年キャラが裸で絡み合うと言う誤解を招きかねない絵の描かれた自分の湯飲みに白湯を注いでいる。
「甘い!甘いわよ!」
白湯を飲んですぐにそう言うとアメリアは先ほどまで明石が座っていた丸椅子に腰掛けた。
「どうしたんだ?お前は甘いものは好きだろ?」
カウラはそう言いながら急須にお湯を入れる。アメリアはそれを奪い取ると湯飲みに茶を注いだ。
「何でも限度ってものがあるわよ……ああ、こっちにも女将さんからのがあったのね。でもこのくらいなら楽勝でしょ」
そう言ってアメリアは空の重箱を見つめる。
「そうでもないぞ。隊長がへろへろになったからな」
カウラの言葉にかえでと渡辺がうなづく。
「ああ、あの人は問題外よ。でも……さすがにねえ私もこれだけあると私でもお手上げだわ」
そう言いながらアメリアは手にした湯飲みを啜った。
「技術部の連中にも分けてやれば良いのに」
モニター越しにカウラがそう言って苦笑いを浮かべる。そんな彼女にアメリアは首を振る。
「だめよ、島田君が許すわけないじゃないの。本庄君の減量月間が発動してからは技術部は勤務時間中の間食禁止令が出ているじゃない」
先日の健康診断で技術部一の巨漢の本庄以下三人の血糖値異常のの結果が届いた。それをを見た島田は技術部の勤務中の間食の禁止を指示していた。彼らは実働部隊や管理部の面々がスナック菓子を頬張るのを指をくわえてみているだけだった。
「ああ、島田は……一度決めたら結構そう言うところは締めるからな」
そう言いながらカウラは明らかに無理そうな顔をしながらおはぎを飲み下す。
「それにしてもいつここまで仕上げたんですか、台本」
誠は渡されていた台本とかなり違う台詞や演技を思い出してアメリアを見つめた。
「ああ、昨日の晩に新藤さんと煮詰めたから。まあ小夏ちゃんは注文つけるだけつけたらとっとと寝ちゃったけどね」
そう言いながら笑っているアメリアに疲労の色は見えない。
元々戦闘用に遺伝子を操作して作られたアメリア達の体力は普通の人間のそれとは明らかに違った。事実スポーツ選手で活躍している彼女達の同胞は男女の区別のないカテゴリーのスポーツで記録を次々と書き換えていた。
「お待たせしました!」
西とひよこが再び入ってくる。二人はそのままビニール袋をかえでとリンに差し出す。
「ご苦労さん」
そう言って明石は西が持ってきたぶっかけうどんに手を伸ばした。
「中佐よく食べますね。うちのところじゃ小夏ちゃんだけですよ、弁当頼んだの」
そう言いながらアメリアはうどんのふたを開けて中から汁を取り出している明石を驚いたように見つめている。
「ええやんか。飯食うぐらい……クラウゼも食うか?」
明石は素早く割り箸を口でくわえて割り、そのまま汁と麺をなじませている。
「えーと、まあなんと言うか……遠慮しとくわ」
愛想笑いを浮かべながらアメリアは答えた。誠もカウラもそれに付き合うように湯飲みやカップに手を伸ばした。
「しかし、さっきはあのおはぎが全部なくなるとは思わなかったんですが……」
西が感心したように三段の重箱のすべてに詰まっていたおはぎを食べつくした人々見つめている。
「西、そこの弁当。ハンガーで待っている連中が居るんじゃないのか?」
そんなカウラの言葉にレベッカと西は気がついたというように詰め所の入口に向かう。
「それじゃあ……アメリアさん、用があったら呼んでくださいね」
「ああ、そこらへんは新藤さんの裁量なんでー」
出て行く西に一同はやる気のない手を振る。
「それじゃあ、私も戻ろうかな」
そう言ってアメリアは手に痛いカップを持って立ち上がる。
「まあ、なんだ。がんばってくれ」
カウラは複雑な表情を浮かべる。誠もまたさわやかに手を振るアメリアをぼんやりと眺めながらカップのそこに沈んだ茶葉の濃いお茶を飲みこんだ。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第六部 『特殊な部隊の特殊な自主映画』
橋本 直
SF
毎年恒例の時代行列に加えて豊川市から映画作成を依頼された『特殊な部隊』こと司法局実働部隊。
自主映画作品を作ることになるのだがアメリアとサラの暴走でテーマをめぐり大騒ぎとなる。
いざテーマが決まってもアメリアの極めて趣味的な魔法少女ストーリに呆れて隊員達はてんでんばらばらに活躍を見せる。
そんな先輩達に振り回されながら誠は自分がキャラデザインをしたという責任感のみで参加する。
どたばたの日々が始まるのだった……。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる