1,409 / 1,503
撮影開始
撮影
しおりを挟む
機動部隊の『詰め所』と呼ばれる事務作業の机に誠が倒れ伏したのは別に日課の8キロマラソンに疲れたからではなかった。
実動部隊隊員には特に任務が無い限り毎日8キロのランニングが課せられている。元々高校時代に野球部のエースだった誠からすれば軽いランニング程度のものだったが、今日のそれは明らかにつらすぎた。昨日アメリアとかなめと話し合ってどうなったのか分からないが、カウラがニコニコしながら誠の隣を走る。サイボーグであるためランニングに参加しないかなめは走り終えた誠にスポーツ飲料の缶を差し出してきた。
「誠ちゃん!」
そして突っ伏せる誠に笑顔のアメリアがいつの間にか背中に立っていて、彼の頭を軽く叩く。
「なんですか?クラウゼ少佐まで……」
めんどくさそうに頭を上げる誠だが、一瞬でアメリアの表情が変わったのを見てびっくりして立ち上がる。カウラはその光景を見ながらただ困ったような笑みを浮かべていた。
「何よその顔。まあ良いわ。ちょっと来てくれない?」
そう言って誠は連れ出された。廊下を進み、アメリアはいつもは倉庫になっている部屋をノックする。
「神前が来たのか?」
中からの声の主は意外にも嵯峨だった。そのままアメリアはドアを開けて中に入る。カプセルのようなものが並んでいる倉庫扱いだったこの部屋。その中の一つから嵯峨が顔を出している。その頭にはヘルメットのようなものをかぶっていた。
「隊長も覚悟決めてくださいよ。一応この話は隊長が去年……」
「分かったよ、やれば良いんだろ?」
そう言って嵯峨がカプセルに横たわる。それを見て安心したようにカウラはカプセルの縁に立つ。
誠が目を凝らすと他にカウラとなぜか小夏までカプセルの中で顔に奇妙なマスクのようなものをつけて横になっている。
「なんです?これ」
呆れたように誠が自分向けと思われるカプセルを指差す。
「撮影よ!セットなんて作る予算も無いからバーチャルで全部やろうと言うわけ」
そう言ってアメリアは誠にそのカプセルに横たわることを強制しようとする。昨日かなめに聞かされた撮影方法を思い出して納得するがいま一つぴんとこない。
「まあ、いいですよ。変な効果は無いんでしょうね」
「おい、神前。プロの技術に文句をつける気か?」
そう言うのは奥にモニターをにらみつけながら座っているおそらく釣り部の隊員の見慣れない男が座っていた。さすがに誠は悟って小夏達の様子を観察する。アイマスクのようなものをつける彼女達の口元が笑っているように見えたので誠は覚悟を決めるとアメリアが指し示すカプセルに寝転んだ。
「この人は新藤中尉……艦船運航部の警備担当よ……元傭兵で平時には映像作家をしてたのよ」
アメリアは得意げにひげ面の新藤を紹介した。
「元傭兵……」
静かにうなづく新藤を見て誠は正直恐怖を感じた。元傭兵と言うだけあって迫力のあるひげ面にはそれ相応のすごみが感じられた。
「はいこれ」
そう言ってアメリアがヘルメットを差し出す。徹夜明けと言うことでいつもより明らかに疲れているようで、笑顔がどこと無くぎこちない。
「分かりましたよ」
誠はそのまま体をカプセルの中で安定させるとヘルメットをかぶった。それに付属した視界を確保するためのバイザーをおろすとそこはどこかで見たような部屋だった。
『これ僕の部屋じゃないか!』
確かにこれは実家の誠の部屋だった。夏にコミケの前線基地としてアメリア達を呼んだ時にアメリアが撮った部屋の内装なのは間違いなかった。きっちり本棚には誠が作った美少女キャラのフィギュアと大量の漫画が並んでいる。
「始動するわよ!」
アメリアの声が響くとカプセルのふたが閉まる。そして誠の意識はバイザー越しの見慣れた部屋に吸い込まれていった。
誠の着ている服が寝巻きに変わる。
『このまま開始5分で着替えて食堂に下りる』
目の前にに指示が入る。昨日の渡された台本を思い出し、カウラの幼馴染で大学に通うために下宿していると言う後付設定が加筆されたのを思い出しながら頭を掻いて見せた。
「凝りすぎでしょ、アメリアさん」
誠はそう言いながら東都の実家と同じ間取りの部屋のベッドから起き上がり、かつてのように箪笥から服を取り出す。
『誠ちゃん。ちゃんと着替えるのよ』
天の声のように響くのはアメリアの声だった。誠は急かされるようにジーンズをはいてTシャツを着込む。そしてそのまま誠の実家と同じ間取りの階段を下りて出番に向けて食堂の入り口で待機した。
視界に入る台本にはすでに小夏、そして嵯峨が食堂で食事をしていると言う設定が見えた。カウラは炊飯器からご飯を盛っているということで誠の視界の外にいる。誠はそのままカウントが0になったのを確認して食堂に入った。
「お兄ちゃん遅いよ!」
そう小夏が叫ぶ。
「ごめんな、ちょっと……うわっ!」
誠は台詞を読むのをやめて叫んだ。小夏、嵯峨、そしてカウラ。そして自分の席にも明らかに不審などんぶりが置かれていた。
嵯峨がその中身を摘み上げる。芋虫である。どんぶりの中にはうごめく芋虫がいっぱいに盛られていた。小夏は誠から関心をどんぶりに移すとそのまま一匹の芋虫を手にしてそのまま口に入れた。
「なんですか?これは!」
思わず絶叫する誠。だが、小夏も嵯峨もカウラも何も言わずにどんぶりの中の芋虫を手に取ると口に運んだ。
「なにって……リョウナンヘラクレスオオゾウムシの幼虫だろ?」
嵯峨は何事も無いように一匹の芋虫を取り出すと口に運んだ。
「これってグロテスクだけど癖になるんだよね」
同じよう小夏は口に二匹の芋虫を入れて頬張る。カウラもおいしそうに食べ続ける。
「待った!タンマ!」
叫ぶ誠に目の前の下宿先の家族達が冷たい視線を投げてくる。
『どうしたの?誠ちゃん。何か不都合が……』
アメリアの明らかに笑いをこらえている声がさらに誠をいらだたせた。
「これ……マジっすか!勘弁してくださいよ!」
ほとんど半泣きで誠は叫ぶ。
「仕方ないわね。でもこれをクリアーできないと出番が少なくなるわよ」
「出番はどうでもいいから!これ何とかしてください!」
どんぶりを指差す誠にテーブルに付く人々が冷たい視線を送る。
「予定通り誠ちゃんは寝坊と言うことで……カウラちゃん。B案で行きましょう。じゃあ誠ちゃんはしばらく休みね」
アメリアの言葉とともに視界が黒く染められる。誠はバイザーをはずしてそのまま生暖かい視線をにやけるアメリアに向けた。
「ああ、そういえば誠ちゃんは遼南レンジャーの資格は持ってないわよね。まあレンジャー資格試験の時にはあれを食べるのは通過儀礼みたいなものだから……でも結構おいしいのよ」
そう言ってアメリアは自慢の紺色の長い髪を掻き分ける。そのまま誠は仕方がないというように立ち上がろうとした。そしてすぐに先ほどのうごめく芋虫を頬張る嵯峨達を思い出して口を押さえた。
「ああ、誠ちゃんも見たいんじゃないの?そのバイザーでうちの新藤さんのカメラと同じ視線でストーリーが見えるはずよ」
気が進まないものの誠は嬉しそうでありながら押し付けがましいアメリアの言葉に渋々バイザーを顔につけた。
実動部隊隊員には特に任務が無い限り毎日8キロのランニングが課せられている。元々高校時代に野球部のエースだった誠からすれば軽いランニング程度のものだったが、今日のそれは明らかにつらすぎた。昨日アメリアとかなめと話し合ってどうなったのか分からないが、カウラがニコニコしながら誠の隣を走る。サイボーグであるためランニングに参加しないかなめは走り終えた誠にスポーツ飲料の缶を差し出してきた。
「誠ちゃん!」
そして突っ伏せる誠に笑顔のアメリアがいつの間にか背中に立っていて、彼の頭を軽く叩く。
「なんですか?クラウゼ少佐まで……」
めんどくさそうに頭を上げる誠だが、一瞬でアメリアの表情が変わったのを見てびっくりして立ち上がる。カウラはその光景を見ながらただ困ったような笑みを浮かべていた。
「何よその顔。まあ良いわ。ちょっと来てくれない?」
そう言って誠は連れ出された。廊下を進み、アメリアはいつもは倉庫になっている部屋をノックする。
「神前が来たのか?」
中からの声の主は意外にも嵯峨だった。そのままアメリアはドアを開けて中に入る。カプセルのようなものが並んでいる倉庫扱いだったこの部屋。その中の一つから嵯峨が顔を出している。その頭にはヘルメットのようなものをかぶっていた。
「隊長も覚悟決めてくださいよ。一応この話は隊長が去年……」
「分かったよ、やれば良いんだろ?」
そう言って嵯峨がカプセルに横たわる。それを見て安心したようにカウラはカプセルの縁に立つ。
誠が目を凝らすと他にカウラとなぜか小夏までカプセルの中で顔に奇妙なマスクのようなものをつけて横になっている。
「なんです?これ」
呆れたように誠が自分向けと思われるカプセルを指差す。
「撮影よ!セットなんて作る予算も無いからバーチャルで全部やろうと言うわけ」
そう言ってアメリアは誠にそのカプセルに横たわることを強制しようとする。昨日かなめに聞かされた撮影方法を思い出して納得するがいま一つぴんとこない。
「まあ、いいですよ。変な効果は無いんでしょうね」
「おい、神前。プロの技術に文句をつける気か?」
そう言うのは奥にモニターをにらみつけながら座っているおそらく釣り部の隊員の見慣れない男が座っていた。さすがに誠は悟って小夏達の様子を観察する。アイマスクのようなものをつける彼女達の口元が笑っているように見えたので誠は覚悟を決めるとアメリアが指し示すカプセルに寝転んだ。
「この人は新藤中尉……艦船運航部の警備担当よ……元傭兵で平時には映像作家をしてたのよ」
アメリアは得意げにひげ面の新藤を紹介した。
「元傭兵……」
静かにうなづく新藤を見て誠は正直恐怖を感じた。元傭兵と言うだけあって迫力のあるひげ面にはそれ相応のすごみが感じられた。
「はいこれ」
そう言ってアメリアがヘルメットを差し出す。徹夜明けと言うことでいつもより明らかに疲れているようで、笑顔がどこと無くぎこちない。
「分かりましたよ」
誠はそのまま体をカプセルの中で安定させるとヘルメットをかぶった。それに付属した視界を確保するためのバイザーをおろすとそこはどこかで見たような部屋だった。
『これ僕の部屋じゃないか!』
確かにこれは実家の誠の部屋だった。夏にコミケの前線基地としてアメリア達を呼んだ時にアメリアが撮った部屋の内装なのは間違いなかった。きっちり本棚には誠が作った美少女キャラのフィギュアと大量の漫画が並んでいる。
「始動するわよ!」
アメリアの声が響くとカプセルのふたが閉まる。そして誠の意識はバイザー越しの見慣れた部屋に吸い込まれていった。
誠の着ている服が寝巻きに変わる。
『このまま開始5分で着替えて食堂に下りる』
目の前にに指示が入る。昨日の渡された台本を思い出し、カウラの幼馴染で大学に通うために下宿していると言う後付設定が加筆されたのを思い出しながら頭を掻いて見せた。
「凝りすぎでしょ、アメリアさん」
誠はそう言いながら東都の実家と同じ間取りの部屋のベッドから起き上がり、かつてのように箪笥から服を取り出す。
『誠ちゃん。ちゃんと着替えるのよ』
天の声のように響くのはアメリアの声だった。誠は急かされるようにジーンズをはいてTシャツを着込む。そしてそのまま誠の実家と同じ間取りの階段を下りて出番に向けて食堂の入り口で待機した。
視界に入る台本にはすでに小夏、そして嵯峨が食堂で食事をしていると言う設定が見えた。カウラは炊飯器からご飯を盛っているということで誠の視界の外にいる。誠はそのままカウントが0になったのを確認して食堂に入った。
「お兄ちゃん遅いよ!」
そう小夏が叫ぶ。
「ごめんな、ちょっと……うわっ!」
誠は台詞を読むのをやめて叫んだ。小夏、嵯峨、そしてカウラ。そして自分の席にも明らかに不審などんぶりが置かれていた。
嵯峨がその中身を摘み上げる。芋虫である。どんぶりの中にはうごめく芋虫がいっぱいに盛られていた。小夏は誠から関心をどんぶりに移すとそのまま一匹の芋虫を手にしてそのまま口に入れた。
「なんですか?これは!」
思わず絶叫する誠。だが、小夏も嵯峨もカウラも何も言わずにどんぶりの中の芋虫を手に取ると口に運んだ。
「なにって……リョウナンヘラクレスオオゾウムシの幼虫だろ?」
嵯峨は何事も無いように一匹の芋虫を取り出すと口に運んだ。
「これってグロテスクだけど癖になるんだよね」
同じよう小夏は口に二匹の芋虫を入れて頬張る。カウラもおいしそうに食べ続ける。
「待った!タンマ!」
叫ぶ誠に目の前の下宿先の家族達が冷たい視線を投げてくる。
『どうしたの?誠ちゃん。何か不都合が……』
アメリアの明らかに笑いをこらえている声がさらに誠をいらだたせた。
「これ……マジっすか!勘弁してくださいよ!」
ほとんど半泣きで誠は叫ぶ。
「仕方ないわね。でもこれをクリアーできないと出番が少なくなるわよ」
「出番はどうでもいいから!これ何とかしてください!」
どんぶりを指差す誠にテーブルに付く人々が冷たい視線を送る。
「予定通り誠ちゃんは寝坊と言うことで……カウラちゃん。B案で行きましょう。じゃあ誠ちゃんはしばらく休みね」
アメリアの言葉とともに視界が黒く染められる。誠はバイザーをはずしてそのまま生暖かい視線をにやけるアメリアに向けた。
「ああ、そういえば誠ちゃんは遼南レンジャーの資格は持ってないわよね。まあレンジャー資格試験の時にはあれを食べるのは通過儀礼みたいなものだから……でも結構おいしいのよ」
そう言ってアメリアは自慢の紺色の長い髪を掻き分ける。そのまま誠は仕方がないというように立ち上がろうとした。そしてすぐに先ほどのうごめく芋虫を頬張る嵯峨達を思い出して口を押さえた。
「ああ、誠ちゃんも見たいんじゃないの?そのバイザーでうちの新藤さんのカメラと同じ視線でストーリーが見えるはずよ」
気が進まないものの誠は嬉しそうでありながら押し付けがましいアメリアの言葉に渋々バイザーを顔につけた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
アルケミスト・スタートオーバー ~誰にも愛されず孤独に死んだ天才錬金術師は幼女に転生して人生をやりなおす~
エルトリア
ファンタジー
孤児からストリートチルドレンとなり、その後も養父に殺害されかけたりと不幸な人生を歩んでいた天才錬金術師グラス=ディメリア。
若くして病魔に蝕まれ、死に抗おうと最後の研究を進める彼は、禁忌に触れたとして女神の代行者――神人から処刑を言い渡される。
抗うことさえ出来ずに断罪されたグラスだったが、女神アウローラから生前の錬金術による功績を讃えられ『転生』の機会を与えられた。
本来であれば全ての記憶を抹消し、新たな生命として生まれ変わるはずのグラスは、別の女神フォルトナの独断により、記憶を保有したまま転生させられる。
グラスが転生したのは、彼の死から三百年後。
赤ちゃん(♀)として生を受けたグラスは、両親によってリーフと名付けられ、新たな人生を歩むことになった。
これは幸福が何かを知らない孤独な錬金術師が、愛を知り、自らの手で幸福を掴むまでの物語。
著者:藤本透
原案:エルトリア
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる