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戦いの記録
多数派工作
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ハンガーの前ではちょうど先に車を降りたアメリアがアンケート用紙を西高志兵長から受け取っているところだった。
「早いねえ、なんだ?まさか組織票とか……」
そう言うかなめの言葉に西は引きつった笑みを浮かべているとそこに島田が顔を出した。そしてそのままアメリアに挑戦的な笑みを浮かべて切り出した。
「ああ、うちはサラの案で行くことにした」
きっぱりとアメリアにそう言うと島田はそのままハンガーの奥へと消えていく。
「技術部の組織票か。うちじゃあ一番の大所帯だこれは合体ロボで決まりかな」
カウラはどういう表情をしていいのかわからないらしく、あいまいな笑みを浮かべつつそう言った。だが、すぐにアメリアの表情は不敵な笑みに変わった。
「おい、アメリア。最大勢力の技術部の組織票が動いたんだ。諦めろ」
かなめはそのままアメリアの肩に手をやった。
「ふっふっふ……」
声に出して不気味な笑い声を出すアメリアにかなめは少し引いた表情を浮かべる。
「とりあえず機動部隊の部屋まで行くわよ」
アメリアはそのまま奥の階段へとまっすぐに向かっていく。
「馬鹿だねえ。人数的にはあと数を稼げるのは艦船管理部ぐらいのもんだぜ。アイツ等釣りしか興味ねえからな……無効票しか期待できねえぞ」
ぶつぶつとかなめはつぶやく。誠から見てもかなめの言うことが正解だった。その割にはアメリアの表情は明るく見えた。
「はい!管理部は全員一致でファンタジー路線に決めましたので!」
階段を上りきったところで突然飛び出してきた菰田がいきなりカウラにアンケートを渡す。だが、大勢が決まったと思っているカウラは愛想笑いの出来損ないのような微妙な笑みを浮かべてそれを受け取っただけだった。
「菰田、島田が動いたんだ。諦めろ。もうサラの要望の合体ロボで決まりみたいだから。それに……」
かなめの響く声に気づいたのか、突然実働部隊詰め所の扉が開いてサラが飛び出してきた。
「アメリア!ずるいわよ!」
そう言ってサラは息を切らしてアメリアの首にぶら下がろうとする。
「ふっふっふはっはっはー!」
大爆笑を始めたアメリアに誠もかなめもカウラも何が起きたのかと戸惑いの視線を小夏に向けた。サラが両手を大きく広げて威嚇するようにアメリアを見つめている。その様はあまりに滑稽で誠は危うく噴出すところだった。
「だって同盟司法局本局とか東和陸軍とかから次々魔法少女支持の連絡が届いてるのよ!確かにうちだけしか投票できないって決まってないけど!」
サラの言葉に誠は高笑いを続けるアメリアをのぞき込んだ。
「この馬鹿ついに他の部隊まで巻き込みやがった」
かなめは呆れて立ち尽くす。カウラはその言葉を聞かなかったことにしようとそのまま奥の更衣室へ早足で向かった。
「だってあのアンケートの範囲の指定は無かったじゃないの。そうよ、勝てばいいのよ要するに!」
アメリアはそう言うとそのまま誠の右手を引っ張ってカウラに続いて歩き続ける。
「何で僕の手を握ってるんですか?」
突然の状況の変化に誠はついていけない。だが、そんな誠にアメリアは向き直ると鋭く人差し指で彼の顔を指差した。
「それは!誠ちゃんが魔法少女デビューを果たすからよ!」
先に更衣室の前で振り返ったカウラが凍りついた。かなめが完全に呆れた生き物でも見るような視線を送ってくる。小夏は手を打って納得したような表情を浮かべる。
誠はなにが起きたのかまったくわからないと言うようにぽかんと口を開けていた。
「早いねえ、なんだ?まさか組織票とか……」
そう言うかなめの言葉に西は引きつった笑みを浮かべているとそこに島田が顔を出した。そしてそのままアメリアに挑戦的な笑みを浮かべて切り出した。
「ああ、うちはサラの案で行くことにした」
きっぱりとアメリアにそう言うと島田はそのままハンガーの奥へと消えていく。
「技術部の組織票か。うちじゃあ一番の大所帯だこれは合体ロボで決まりかな」
カウラはどういう表情をしていいのかわからないらしく、あいまいな笑みを浮かべつつそう言った。だが、すぐにアメリアの表情は不敵な笑みに変わった。
「おい、アメリア。最大勢力の技術部の組織票が動いたんだ。諦めろ」
かなめはそのままアメリアの肩に手をやった。
「ふっふっふ……」
声に出して不気味な笑い声を出すアメリアにかなめは少し引いた表情を浮かべる。
「とりあえず機動部隊の部屋まで行くわよ」
アメリアはそのまま奥の階段へとまっすぐに向かっていく。
「馬鹿だねえ。人数的にはあと数を稼げるのは艦船管理部ぐらいのもんだぜ。アイツ等釣りしか興味ねえからな……無効票しか期待できねえぞ」
ぶつぶつとかなめはつぶやく。誠から見てもかなめの言うことが正解だった。その割にはアメリアの表情は明るく見えた。
「はい!管理部は全員一致でファンタジー路線に決めましたので!」
階段を上りきったところで突然飛び出してきた菰田がいきなりカウラにアンケートを渡す。だが、大勢が決まったと思っているカウラは愛想笑いの出来損ないのような微妙な笑みを浮かべてそれを受け取っただけだった。
「菰田、島田が動いたんだ。諦めろ。もうサラの要望の合体ロボで決まりみたいだから。それに……」
かなめの響く声に気づいたのか、突然実働部隊詰め所の扉が開いてサラが飛び出してきた。
「アメリア!ずるいわよ!」
そう言ってサラは息を切らしてアメリアの首にぶら下がろうとする。
「ふっふっふはっはっはー!」
大爆笑を始めたアメリアに誠もかなめもカウラも何が起きたのかと戸惑いの視線を小夏に向けた。サラが両手を大きく広げて威嚇するようにアメリアを見つめている。その様はあまりに滑稽で誠は危うく噴出すところだった。
「だって同盟司法局本局とか東和陸軍とかから次々魔法少女支持の連絡が届いてるのよ!確かにうちだけしか投票できないって決まってないけど!」
サラの言葉に誠は高笑いを続けるアメリアをのぞき込んだ。
「この馬鹿ついに他の部隊まで巻き込みやがった」
かなめは呆れて立ち尽くす。カウラはその言葉を聞かなかったことにしようとそのまま奥の更衣室へ早足で向かった。
「だってあのアンケートの範囲の指定は無かったじゃないの。そうよ、勝てばいいのよ要するに!」
アメリアはそう言うとそのまま誠の右手を引っ張ってカウラに続いて歩き続ける。
「何で僕の手を握ってるんですか?」
突然の状況の変化に誠はついていけない。だが、そんな誠にアメリアは向き直ると鋭く人差し指で彼の顔を指差した。
「それは!誠ちゃんが魔法少女デビューを果たすからよ!」
先に更衣室の前で振り返ったカウラが凍りついた。かなめが完全に呆れた生き物でも見るような視線を送ってくる。小夏は手を打って納得したような表情を浮かべる。
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