レジェンド・オブ・ダーク 遼州司法局異聞

橋本 直

文字の大きさ
上 下
1,338 / 1,531
第9章 誠の実家

実家

しおりを挟む
「しかし混むなあ、高速じゃねえよ。これ低速だよ」 

「そんな誰でも考え付くようなことを言って楽しいか?」 

 かなめの言葉に運転中のカウラが突っ込みを入れる。

 誠の実家は東都の東側、東都東区浅草寺界隈である。東都の東に広がる台地にある都市、豊川市にある司法局実働部隊の寮からでは東都の都心に向かわなければならない。

 まだ朝早いというのに都心部に入ってからはほとんど車はつながった状態で、さらに高速道路の出口があと3キロというところにきて車の動きは完全に止まった。

「すいませんねえ……ええ、たぶんあと一時間くらいかかりそうなんです」 

 携帯端末で母の薫とアメリアが話しているのをちらりと見ながら、助手席で誠は伸びをしながらじっと目の前のタンクローリーの内容物を見ていた。危険物積載の表示が見える。誠はそれを見ながら少しばかり心配しながらじっとしている。

「サラ達は仕事か……こんなことなら出勤のほうが楽だわ」 

 かなめがそう言ってようやく話を終えて端末を閉じたアメリアをにらみつける。

「なによ」 

 アメリアに言われてかなめは口笛を吹いてごまかす。

そんなカウラのつぶやきにアメリアは現実に引き戻されて不快感に顔をしかめる。そして大きく一つため息をつくと緊張した面持ちでカウラに食って掛かる。

「駄目よ!カウラちゃん。私達はオフなの、休日なの、バカンスなの」 

「バカンス?馬鹿も休み休み言えよ……あれ?バカがかぶって面白いギャグが言えそう……えーと」 

「かなめちゃんは黙って!」 

 駄洒落を考えていたかなめをアメリアは思い切り怒鳴りつける。その気合の入り方にカウラも少しばかりおとなしくアメリアの言うことを聞くつもりのようにちらりと振り向く。

「要するに仕事の話はするな。そう言いたい訳だろ?」 

 なだめるようにカウラがそう言うとアメリアは納得したようにうなづく。

「そう、わかっているならちゃんと運転する!前!動いたわよ」 

 タンクローリーが動き出したのを見てのアメリアの一言。仕方なくカウラは車を動かす。

 周りを見ると都心部のオフィスビルは姿を消し、中小の町工場やマンションが立ち並ぶ街が見える。

「あとどんだけかかる?」 

 明らかにかなめがいらだっているのを見て誠は心配になってナビを見てみた。

「ああ、この先100メートルの事故が原因の渋滞ですから。そこを抜ければすぐですよ」 

 そんな誠の言葉通り、東都警察のパトカーのランプが回転しているのが目に入る。

「なるほどねえ、安全運転で行きましょうか」 

 窓に張り付いているかなめに大きくため息をつくと、カウラはそのまま事故車両と道路整理のためのパトロールカーの脇を抜け目の前に見える高速道路の出口に向けて車を進めた。

「懐かしいだろ、神前!」 

「そんなに懐かしいほど久しぶりじゃないです。先月だって画材取りに戻ったし」 

 高速から降りて下町の風景を見るといつもかなめはハイになる。あちこち眺めているかなめをめんどくさそうにアメリアが見つめる。

 確かに新興住宅街が多い豊川とはまるで街の様子が違った。車はそれなりに走っているが歩いている人も多く、屋根瓦の二階家や柳の植えられた柳の街路樹など、下町の雰囲気を漂わせる光景がかなめには珍しいのだろうと思っていた。

「でもいいわよね、こういう街。豊川はおんなじ規格の家ばかりで道を覚えるのが面倒で……」 

「どうでもいいが覚えてくれ」 

 カウラに突っ込まれてアメリアが舌を出す。かなめは完全におのぼりさんのように左右を見回して笑顔を振りまいている。

「甲武の鏡都の下町も似たようなものじゃないのか?」 

 大理石の正門が光る工業高校の前の信号を左折させながらカウラが話題を振った。

「あそこはどちらかというと東都の湾岸地区みたいなところだったぜ。もっとぎすぎすしてて餓鬼のころは近づくと怒られたもんだ」 

 かなめの言葉に誠は納得した。彼女は一応は甲武一の名家のお姫様である。何度かテレビでも見た彼女が育った屋敷町は誠にも威圧感を感じるような凄味があった。

 湾岸地区や東都租界のような無法地帯はかなめが潜入工作隊員としてもぐりこんだ場所だった。こういう下町の雰囲気は体験する機会はかなめには無かったのだろう。

「おい!駄菓子屋があるぞ。寄って行くか?」 

 かなめの言葉に誠は見慣れた古い店構えを見ていた。昔の懐かしい記憶が再生される。小学生時代から良く通っていた駄菓子屋。子供相手ということで今ぐらいの時間に登校する子供達を目当てに店を開け、彼等がいなくなると店を閉めるという変わったおばあさんがやっている店だった。

「子供じゃないんだから……それにもうすぐ着くんでしょ?」 

 アメリアの言葉に頬を膨らましてかなめはアメリアをにらみつける。車はそのまま駄菓子屋を通り過ぎると狭い路地に向かって走っていく。

「でも……ここの一方通行はややこしいな」 

 カウラはそういいながら今度は車を左折させた。歩けば二三分の距離だが、路地は狭く車がすれ違えないので一方通行になっている。

 まだ店を開けていない八百屋の角を曲がり、金型工場の横を入ってようやく誠の実家の道場の門が目に入ってきた。

「おい……あれ」 

 かなめが指をさすまでも無く門のところで箒で道を掃いている和服の女性が目に入る。

「ああ、皆さん!」 

 気がついて手を振るのは誠の母、神前薫だった。手を振る彼女に思わず誠は目をそらした。

「どうもお邪魔します」

 車を止めるとアメリアはいつものように素早く車から降りて頭を下げる。

「これ……蕎麦です。叔父貴からの土産でして……」

 トランクを開けたかなめが荷物の中から袋を出して誠の母に渡した。

「これはどうもご丁寧に……客間は片付いていますから荷物はそちらに」

 薫の言葉に甘えるようにして四人はそのまま道場の入口を兼ねた大きな玄関に上がり込む。

「それにしても早かったんですね、皆さん」 

 客間のテーブルにアメリア、カウラ、かなめの順で並んで座る。アメリアは正座、カウラは横座り、かなめは胡坐をかいている。

「ええ、渋滞はありましたがなんとか」 

 そう言って出された茶碗に手を伸ばそうとするカウラだが、安定が悪いのでふらふらと伸びた手が湯飲みを取り落としそうになる。

「そんな不安定な座り方するからだ。体育座りでもしてろ」 

 かなめはそう吐き捨てると悠々と茶をすする。そこで突然アメリアが立ち上がる。

「すいません……座卓ありますか?」 

「そうですね、ベルガーさんや西園寺さんも……」 

「ああ、アタシはいいですよ。まあ正座で五分持たない誰かと違いますから」 

 そのかなめは挑発的にそう言った。にんまりと笑うかなめのタレ目はカウラを捉えている。同じく勝ち誇った笑みを浮かべているアメリアの視線がカウラに飛ぶ。だが、アメリアは膝から下の痺れに耐えかねてそのまま座り込んでしまう。

「じゃあ、ちょっと待っててくださいね」 

 そう言うと薫は消えていく。すぐにアメリアの顔が誠の目の前に動いてきた。

「何度も言うけど、あれお姉さんじゃないの?本当にお母さん?」 

 毎回言われ続けてもう誠は飽き飽きしていた。実物を見たのは夏のコミケの前線基地にここを使ったとき。その時同じ質問を何度も受けたのでもう答えをする気力も無かった。

「ああ、叔父貴の写真でもあの顔だぞ。あれじゃねえか?頭を使う人間は、年をくいにくいって言うじゃん」 

「言わないわよ」 

 アメリアの一言だがかなめは黙って茶をすする。

 かなめの叔父、司法局実働部隊隊長である嵯峨惟基が新人の甲武陸軍の東和大使館付武官時代。彼はこの道場に挑戦を仕掛けてきたという。

 その時、めったに他流試合では剣をとらない母が彼の相手をした場面の映像は誠も目にしていた。それは一瞬であの嵯峨が倒される映像だった。

「まあ僕はそういうものだと思っていましたから……」 

「そうだろうな。身近な人間は気づかないものだ」 

 カウラは体育すわりのままうなづいてみせる。そこに笑顔で座卓を手にした薫が戻ってきた。

 言われて意識して見るとやはり自分の母は妙に若く見えた。高校時代あたりからそのことは誠自身も引っかかっていた。だがそんな意識していた時期も過ぎるとそういうものだと受け入れてしまっている自分がいた。

「はい、これ。カウラさんとアメリアさん」 

 薫はそのまま二人に木製の座卓を渡す。そしていつものようににこやかに笑う母に誠は少しばかり安心した。

「ありがとうございます……でも本当にお母様はお若いですね」 

 受け取りながらのアメリアの言葉ににっこりと笑う薫だが特に言葉も無くそのまま誠の隣に座った。

「嫌だわ本当にお上手で、でも、カウラさん。クリスマスが誕生日なんて素敵ですよね」 

 そう言うと薫は茶をすすってうれしそうにカウラを見つめる。

「まあ、特に私の場合は関係ないですが」 

 薫の言葉にカウラは微笑を浮かべながら答える。カウラがまんざらでもないときの表情を最近誠は覚えていた。

「でも結構広い庭で……建物も古そうですし……」 

「悪かったですね。中古住宅で」 

 誠はアメリアの言葉に思わず突っ込んでしまう。

「そういう意味じゃないわよ、誠ちゃん。由緒正しいというか、風格があるというか……」 

 アメリアはごまかすようにそう言うと茶をすすった。そんなやり取りを薫はほほえましく眺めていた。

「そういえば神前一刀流の継承者は現在は薫さんじゃないですか?」 

 すっかりくつろいでかなめはそう言った。薫はにこやかに笑いながらうなづいた。

「ええ、私の四代前の遼南の庶子の姫君が始めたという話ですけど」 

 真剣な表情を浮かべる薫にかなめはうなづいてみせる。

「ほう、じゃあちょっと見せてもらえませんかね。アタシは剣術に疎いんで」 

 挑発的にかなめはそう言った。

 誠は遼流剣術の達人であり、薙刀を使ってはあの嵯峨を子ども扱いしてみせるかなめの母、康子の存在を知っていた。当然、かなめも徹底して鍛えられており、とても剣術に疎いというのは謙遜以外の何ものでもない。

 前回の夏の来訪の時は一戦交えたことも無かったが、今回はそんな用事も無い。腕に自信のあるかなめならではの挑戦だった。

「それよりカウラさんの誕生日プレゼントはまだお買いになっていないんじゃないですか?とりあえずそちらの方を先にされては」 

 まるでかなめの言葉を聞かなかったとでも言うように薫は立ち上がった。それを見てアメリアも立ち上がる。

「そうですね。かなめちゃん、行くわよ」 

「行くってどこに?」 

 薫に試合を断られて不愉快そうなかなめにあきれ果てたようにアメリアはため息をつく。

「決まってるでしょ?買い物よ」 

 そう言うアメリアに目をつけられてしぶしぶ誠も立ち上がった。

「こいつへのプレゼントか?いいじゃん、そこらの駄菓子屋でメロンソーダでも買ってやれば喜ぶだろ?」 

「それがお前のおごりだったら私は自分で金を払う」 

 カウラは立ち上がり見下すような視線をかなめに向ける。

「そんな子供じゃないんだから。そうだ!カウラさんは私と一緒にお買い物しましょうよ。その間に三人でカウラさんへのプレゼントを買っておくって言うのはどうかしら」 

 自分の提案に自信があるというように薫は胸を張って見せる。

「じゃあそれで。行くわよかなめちゃん」 

 アメリアに腕を引っ張られてかなめはようやく重い腰を上げた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第六部 『特殊な部隊の特殊な自主映画』

橋本 直
SF
毎年恒例の時代行列に加えて豊川市から映画作成を依頼された『特殊な部隊』こと司法局実働部隊。 自主映画作品を作ることになるのだがアメリアとサラの暴走でテーマをめぐり大騒ぎとなる。 いざテーマが決まってもアメリアの極めて趣味的な魔法少女ストーリに呆れて隊員達はてんでんばらばらに活躍を見せる。 そんな先輩達に振り回されながら誠は自分がキャラデザインをしたという責任感のみで参加する。 どたばたの日々が始まるのだった……。

法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘

橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった その人との出会いは歓迎すべきものではなかった これは悲しい『出会い』の物語 『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる 法術装甲隊ダグフェロン 第三部  遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。 一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。 その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。 この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。 そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。 『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。 誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。 SFお仕事ギャグロマン小説。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~

阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。 転生した先は俺がやっていたゲームの世界。 前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。 だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……! そんなとき、街が魔獣に襲撃される。 迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。 だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。 平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。 だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。 隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀

さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。 畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。 日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。 しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。 鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。 温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。 彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。 一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。 アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。 ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。 やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。 両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は? これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。 完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...