1,308 / 1,503
第21章 かすかな希望
亡き息子のこと
しおりを挟む
「本当にこのたびは……」
応接用のソファーに腰掛けながらかなめはそう切り出した。目の前の老人がおどおどとしている様を見て自分の甲武帝国宰相の娘、次期四大公筆頭と言う身分が恨めしく感じられた。
老人は相変わらず黙っている。事件の始まりに彼のところを尋ねたときは彼女のそんな素性も知らずにうどん屋の亭主と客と言う関係だったと言うのに、この老人の息子、志村三郎の葬儀で老人が手にしている金色の一億東和円の入金されたカードを渡した時からどことなくぎこちない関係になってしまったことを後悔した。
「いいえ……それよりこれ……なんですけど」
金色カードをテーブルに置いてかなめに差し出す老人。かなめからも老人の瞳には覚悟のようなものがあるのが見て取れた。
「一度……差し上げたものです。受け取れません」
恐らくこの様子を盗撮しているだろうカウラ達はこのカードの中身をランから聞いてどよめいていることだろうと想像すると、かなめには苦い笑みが浮かぶ。
「でも……こんなことをしていただくことは……」
「私と三郎さんが付き合っていたのは事実ですから……それに私にかかわらなければ彼はきっと死ななかった」
そう言って笑顔を作っているが、老人はただテーブルの上のカードをさらに押し出すために手を伸ばすだけだった。
「ですから……私としても」
「じゃあ、これを貰えば息子が帰ってくるんですか?」
老人の言葉にかなめは言葉が詰まった。かなめにははじめての経験だが、叔父である嵯峨の前に詰め寄る先の大戦中非人道的作戦に従事し、処刑された嵯峨の部下達の親達の姿でいつか自分も同じことを言われるだろうと思っていた。
実際にそんな光景をぶつけられて初めてかなめは目が覚めたような気がした。
「知っていますよ。警察の人が来てアイツが何をしていたかはわかっていますから。じゃあなおさらこれはいただけません。人様のものは盗むな。商売は信用が大事だ。弱いものの気持ちを分かれ。いろんなことを教えましたが奴は一つだって守れないままなりばかりでかくなって……」
そう言う老人の目に涙が浮かぶ。かなめもようやく諦めてカードに手を添えて自分の手元に寄せた。
「アイツのしたことが許されないことだとはわかっています。命で償うような悪いことだって事も……でも奴はワシのたった一人の息子なのも事実ですから……」
老人が似合わない白いジャケットの袖で涙を拭う。かなめは何も言えないまま黙って老人を見つめていた。
「わかりました。これは受け取れないんですね」
かなめの言葉に静かに老人はうなづいた。ようやく気持ちを切り替えたように唇をかみ締めたまま老人は無理のある笑みを浮かべる。
「でも一つだけ……一つだけ教えていただけませんか?」
遠慮がちに老人が口を開いた。ためらいがちにかなめもうなづく。
「アイツは死ぬ前の日にうちの店に来て……突然、『俺は幸せなのかもしれないな』なんて言ったんですよ。アイツが……明らかに死ぬ前の数日。あなたと再会してからアイツは表情が変わったんです。そんな奴にとって……あなたにとって……あの馬鹿息子はどんな存在になりますか?」
老人の視線が痛くかなめに突き刺さった。かなめは黙ったまましばらく志村三郎という存在について考えてみた。
かなめの沈黙はしばらく続いた。
三郎と過ごした東都での工作活動任務中の日々。思い出しても割り切ることが出来るほど軽くはなかった。身体を任せたからと言うわけではなく、非正規部隊の隊員として任務遂行の為に近づいたシンジケートの中で頭角を現しつつあった野心に燃えていた三郎の笑顔が思い出される。だが、その任務が終わってもかなめは三郎と会う日々を過ごしていた。
お互い会う必要など無かったのに、いつの間にか当然のように二人は同じときを過ごした。東都の租界でのシンジケート同士の抗争が激化し、同盟軍の部隊が侵攻した。それまでシンジケートに押されていた東都警察の包囲網が完成し、同盟機構の司法局員が駐留するようになって甲武軍は東都の権益を諦めてかなめにも帰国命令が出た。その時もぼんやりと密輸組織の元締めに収まって喜ぶ三郎のことを考えていたのは確かだった。
「確かに……東都といえば、まずアイツを思い出します」
弱々しくしか吐き出せない言葉にかなめは自分でも驚いていた。
「あの街に再びやってきて、アイツと会おうと思ったこともあります……」
ここまで言葉を繋げてようやくかなめにも心の余裕が出来た。視線を上げると涙を浮かべる老人がかなめを見つめていた。
「でも……もう会えませんでした。何も再びここに来た時の身分が正規部隊の隊員だったからと言うわけじゃないんです。アイツがあのまま変わらなかった。むしろ以前は反吐が出ると言った組織幹部に成り上がったのが裏切られたと思っていたのは事実ですけど……でも……もう終わったことだったので……」
「そうでしょう。それでよかったんですよ」
老人の目は優しくかなめを見つめていた。先ほどまで息子を殺された被害者の目だったそれが、優しくかなめのことを見守っている父親の目に変わっていた。
「今回の出来事もアイツの自業自得ですよ。ただ、アイツのことをこれからも心にかけてくれるのなら……おかしい話ですね。忘れろと言ったり忘れるなと言ったり。年をとるとどうにも愚痴っぽくなってしまって……。今のあなたは立派な将校さんだ。本当はアイツのことなんか忘れてもらいたいと言うのに……親馬鹿って奴ですか」
力なく笑う老人にかなめも無理に笑顔を作って見せる。老人は取って置きの白いジャケットからハンカチを出して涙を拭った。
「そうだ!私は商売人ですから。この前……東和政府から租界を出るための居住許可が出たんですよ」
租界から東都に渡るには多種多様な事務手続きが必要だった。かなめもその手続きに2~3年の時間がかかることを知っていた。我慢していた涙腺の疼きを笑顔が凌駕したおかげで少しばかり安心しながらうなづく。
「それで、実はここの部隊の艦がある港の隣の市にに弟夫婦がいましてね。店舗の建物だけあるんだがって話が来てまして……」
「お店、移るんですね」
ようやく救われたような話を聞いたかなめは溜まった涙を素早くふき取った。
「ええ、多賀港の隣の新港ですから。確か……司法局実働部隊の運用艦は多賀港を母港にしていましたよね?」
老人もようやくさっぱりとした表情でかなめに笑いかけてくる。かなめもまたそんな老人を見てようやく落ち込んだ気持ちから救われる気がした。
「じゃあ食べに行っても良いですよね」
「もちろんですよ!それにそちらの技術者さん達が多賀港にもいるそうじゃないですか?」
笑顔の老人が言葉を飲み込んだのは、ドアが突然開き、驚きの表情を浮かべていたかなめの目に、誠やカウラ、アメリアまでもが嬉しそうな表情で飛び込んできたからだった。
「おい、説明しろ。どうしてここにお前等が乱入して来るんだ?」
「せっかくなじみの美味しいうどん屋ができるってのに……かなめちゃんだけがなんて……ねえ」
アメリアはそう言ってかなめにわらいかける。
アメリアとカウラの言葉にかなめの言葉が詰まる。そんなかなめ達のやり取りを老人は笑顔で見つめていた。
応接用のソファーに腰掛けながらかなめはそう切り出した。目の前の老人がおどおどとしている様を見て自分の甲武帝国宰相の娘、次期四大公筆頭と言う身分が恨めしく感じられた。
老人は相変わらず黙っている。事件の始まりに彼のところを尋ねたときは彼女のそんな素性も知らずにうどん屋の亭主と客と言う関係だったと言うのに、この老人の息子、志村三郎の葬儀で老人が手にしている金色の一億東和円の入金されたカードを渡した時からどことなくぎこちない関係になってしまったことを後悔した。
「いいえ……それよりこれ……なんですけど」
金色カードをテーブルに置いてかなめに差し出す老人。かなめからも老人の瞳には覚悟のようなものがあるのが見て取れた。
「一度……差し上げたものです。受け取れません」
恐らくこの様子を盗撮しているだろうカウラ達はこのカードの中身をランから聞いてどよめいていることだろうと想像すると、かなめには苦い笑みが浮かぶ。
「でも……こんなことをしていただくことは……」
「私と三郎さんが付き合っていたのは事実ですから……それに私にかかわらなければ彼はきっと死ななかった」
そう言って笑顔を作っているが、老人はただテーブルの上のカードをさらに押し出すために手を伸ばすだけだった。
「ですから……私としても」
「じゃあ、これを貰えば息子が帰ってくるんですか?」
老人の言葉にかなめは言葉が詰まった。かなめにははじめての経験だが、叔父である嵯峨の前に詰め寄る先の大戦中非人道的作戦に従事し、処刑された嵯峨の部下達の親達の姿でいつか自分も同じことを言われるだろうと思っていた。
実際にそんな光景をぶつけられて初めてかなめは目が覚めたような気がした。
「知っていますよ。警察の人が来てアイツが何をしていたかはわかっていますから。じゃあなおさらこれはいただけません。人様のものは盗むな。商売は信用が大事だ。弱いものの気持ちを分かれ。いろんなことを教えましたが奴は一つだって守れないままなりばかりでかくなって……」
そう言う老人の目に涙が浮かぶ。かなめもようやく諦めてカードに手を添えて自分の手元に寄せた。
「アイツのしたことが許されないことだとはわかっています。命で償うような悪いことだって事も……でも奴はワシのたった一人の息子なのも事実ですから……」
老人が似合わない白いジャケットの袖で涙を拭う。かなめは何も言えないまま黙って老人を見つめていた。
「わかりました。これは受け取れないんですね」
かなめの言葉に静かに老人はうなづいた。ようやく気持ちを切り替えたように唇をかみ締めたまま老人は無理のある笑みを浮かべる。
「でも一つだけ……一つだけ教えていただけませんか?」
遠慮がちに老人が口を開いた。ためらいがちにかなめもうなづく。
「アイツは死ぬ前の日にうちの店に来て……突然、『俺は幸せなのかもしれないな』なんて言ったんですよ。アイツが……明らかに死ぬ前の数日。あなたと再会してからアイツは表情が変わったんです。そんな奴にとって……あなたにとって……あの馬鹿息子はどんな存在になりますか?」
老人の視線が痛くかなめに突き刺さった。かなめは黙ったまましばらく志村三郎という存在について考えてみた。
かなめの沈黙はしばらく続いた。
三郎と過ごした東都での工作活動任務中の日々。思い出しても割り切ることが出来るほど軽くはなかった。身体を任せたからと言うわけではなく、非正規部隊の隊員として任務遂行の為に近づいたシンジケートの中で頭角を現しつつあった野心に燃えていた三郎の笑顔が思い出される。だが、その任務が終わってもかなめは三郎と会う日々を過ごしていた。
お互い会う必要など無かったのに、いつの間にか当然のように二人は同じときを過ごした。東都の租界でのシンジケート同士の抗争が激化し、同盟軍の部隊が侵攻した。それまでシンジケートに押されていた東都警察の包囲網が完成し、同盟機構の司法局員が駐留するようになって甲武軍は東都の権益を諦めてかなめにも帰国命令が出た。その時もぼんやりと密輸組織の元締めに収まって喜ぶ三郎のことを考えていたのは確かだった。
「確かに……東都といえば、まずアイツを思い出します」
弱々しくしか吐き出せない言葉にかなめは自分でも驚いていた。
「あの街に再びやってきて、アイツと会おうと思ったこともあります……」
ここまで言葉を繋げてようやくかなめにも心の余裕が出来た。視線を上げると涙を浮かべる老人がかなめを見つめていた。
「でも……もう会えませんでした。何も再びここに来た時の身分が正規部隊の隊員だったからと言うわけじゃないんです。アイツがあのまま変わらなかった。むしろ以前は反吐が出ると言った組織幹部に成り上がったのが裏切られたと思っていたのは事実ですけど……でも……もう終わったことだったので……」
「そうでしょう。それでよかったんですよ」
老人の目は優しくかなめを見つめていた。先ほどまで息子を殺された被害者の目だったそれが、優しくかなめのことを見守っている父親の目に変わっていた。
「今回の出来事もアイツの自業自得ですよ。ただ、アイツのことをこれからも心にかけてくれるのなら……おかしい話ですね。忘れろと言ったり忘れるなと言ったり。年をとるとどうにも愚痴っぽくなってしまって……。今のあなたは立派な将校さんだ。本当はアイツのことなんか忘れてもらいたいと言うのに……親馬鹿って奴ですか」
力なく笑う老人にかなめも無理に笑顔を作って見せる。老人は取って置きの白いジャケットからハンカチを出して涙を拭った。
「そうだ!私は商売人ですから。この前……東和政府から租界を出るための居住許可が出たんですよ」
租界から東都に渡るには多種多様な事務手続きが必要だった。かなめもその手続きに2~3年の時間がかかることを知っていた。我慢していた涙腺の疼きを笑顔が凌駕したおかげで少しばかり安心しながらうなづく。
「それで、実はここの部隊の艦がある港の隣の市にに弟夫婦がいましてね。店舗の建物だけあるんだがって話が来てまして……」
「お店、移るんですね」
ようやく救われたような話を聞いたかなめは溜まった涙を素早くふき取った。
「ええ、多賀港の隣の新港ですから。確か……司法局実働部隊の運用艦は多賀港を母港にしていましたよね?」
老人もようやくさっぱりとした表情でかなめに笑いかけてくる。かなめもまたそんな老人を見てようやく落ち込んだ気持ちから救われる気がした。
「じゃあ食べに行っても良いですよね」
「もちろんですよ!それにそちらの技術者さん達が多賀港にもいるそうじゃないですか?」
笑顔の老人が言葉を飲み込んだのは、ドアが突然開き、驚きの表情を浮かべていたかなめの目に、誠やカウラ、アメリアまでもが嬉しそうな表情で飛び込んできたからだった。
「おい、説明しろ。どうしてここにお前等が乱入して来るんだ?」
「せっかくなじみの美味しいうどん屋ができるってのに……かなめちゃんだけがなんて……ねえ」
アメリアはそう言ってかなめにわらいかける。
アメリアとカウラの言葉にかなめの言葉が詰まる。そんなかなめ達のやり取りを老人は笑顔で見つめていた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる