1,266 / 1,503
第8章 捜査権限
急襲
しおりを挟む
その日の深夜。誠は一人、アサルトライフルHK53を抱えて、路地裏のごみの山の陰で待機していた。
東都租界、同盟軍第三基地。東都駐留遼南軍の駐在基地は目の前に見える。魔都と呼ばれる東都租界の住民達もさすがに表立って軍の施設に近づくのは気が引けるようで、基地の入り口でたむろする警備兵以外の人の気配は感じなかった。
『なんだよ、敵兵が起きてるぞ。遼帝国軍の見張りは眠いと眠るんじゃないのか?』
感応通信でかなめが愚痴る。光学迷彩を使用して待機している彼女の姿を当然ながら誠は見ることが出来ない。
『都市伝説をあてにするとは、腕が鈍ったんじゃないですか?』
裏口からの襲撃の機会をうかがっている島田の声が響く。正面部隊への対応の指揮はラン、カウラとかなめ、そして誠が攻撃を担当する。裏門の対応には指揮は茜。それにラーナとサラ、島田が待機していた。
「寒いですよマジで」
そう愚痴る誠だがそこに不意に光学迷彩を解いたかなめが現れて驚いて銃を向ける。
「おい、物騒なの下げろよ」
実地偵察を終えて帰ってきたかなめは、誠を押しのけると後ろでライフルを抱えているランに声をかける。
「緊張感はゼロだ。あの衛兵達、規則どおりに銃の薬室には弾が入っていないみたいだぞ」
そんなかなめの言葉にランは右手を上げた。影を静々と進む誠達。警備兵達は雑談を続けるばかりで気づくわけも無かった。
直前、30メートル。衛兵達はまだ気づく様子は無い。ランに二回肩を叩かれたかなめは光学迷彩を展開する。
衛兵達の談笑が突然止まる。眼鏡の衛兵の首をぎりぎりと何かが締め付けていた。話し相手をしていた色黒の伍長が驚いたように銃に手をやるが何者かの足がそれを蹴飛ばす。
「今だ!」
ランの声を聴くとカウラは突入する。カウラがベストから取り出した薬剤を警備兵の顔面に散布すると彼等はそのまま意識を失った。
「さて、結果はどうなるのかねえ」
そう言いながら光学迷彩を解除してかなめは基地のゲートをくぐる。同時に裏手からも発砲音が響き始める。
「向こうも始まった。西園寺、先導を頼むぞ」
ランは呆然と窒息して倒れこんだ警備兵を見下ろしていた視線を引っ張り上げて立ち上がる。正門の警備兵が倒されているが、裏門の派手な銃撃戦に気を引かれている基地の兵士達は寝ぼけた調子でとりあえず護身用の拳銃を手に裏門へ走っている様が見える。
「撃つなよ神前。アタシ等は見つかったら作戦中止だ」
先頭を歩いていたかなめが振り返る。誠は大きくうなづいた。隊舎の建物の裏手、影の中を誠達は進む。遭遇する敵兵はいない。
「茜もやれば出来る子なんだな」
かなめは皮肉のつもりでそう言うと影の中を確認しながら裏の武器庫の隣をすり抜けようとする。
「誰だ!」
武器管理を担当しているような感じの士官が拳銃を向けているのが誠の目にも入った。しかし慌てずにかなめはそのまま士官の手に握られた拳銃を蹴り落とす。そしてすぐさまサバイバルナイフを手に士官を締め上げた。
「眠ってろ」
かなめは士官の口に薬剤のスプレーをねじ込むと噴射する。意識を失う男を確認すると、そのままラン達を引き連れて隣の別棟にたどり着いた。
「さあて、どんなものにお目にかかれるかねえ」
軽口を良いながら飛び出したかなめは歩哨を叩き伏せて入り口の安全を確保した。
かなめはホルスターから抜いた拳銃を握って建物の内部に突入する。誠も続くが人の気配はまるで無かった。
「一本道か」
脱出口を確保しようと銃を構えるカウラだが、その建物の長く続く廊下を見て進むかなめに続いた。
「おかしくねーか?」
最後尾で警戒するランの言葉が真実味を帯びて誠にも響いた。そして倉庫のような扉を見つけたかなめが誠を呼び寄せる。誠はサブマシンガンの銃口の下に吊り下げられたショットガンの銃口を鍵に向けて引き金を引く。
轟音の後、すぐさま鍵の壊れた扉を蹴破りかなめが室内に突入する。
「空だな」
ランの言葉がむなしく何も無い部屋に響いた。かなめはすぐさま部屋を飛び出しそのまま廊下を進む。地下へ向かう階段で先頭を行くかなめは、手を上げて後続のラン達を引き止めた。
「誰かいるな」
誠はその言葉に銃口を上げるが、冷ややかなランの視線が目に入る。
「気づかれたらどうするんだ?」
陽動部隊の派手な銃撃音が響く中それは杞憂かもしれないと誠は口を尖らせるが、カウラはそれを見て肩を叩くとゆっくりと下へ向かうかなめの後ろに続いた。明らかに人の出入りがあった建物だった。埃も汚れも無い階段。そして避難用のランプも点灯している。
そして地下の入り口のシャッターにたどり着いたかなめはポケットから聴診器のような器具を取り出すと壁に押し付ける。
「間違いねえ。人がいるぞ」
そう言って誠の顔をかなめは見上げる。誠はシャッターの横の防火扉の鍵に手を伸ばすと自然と扉は開いた。そのままかなめが体当たりで扉から進入、それにカウラとランが続く。誠もその後に続いて赤い非常灯の照らす部屋へと入った。
「これはやられたな」
ランがつぶやく。誠もその言葉の意味を理解した。
廊下には紙の資料が散乱していた。実験資材と思われる遠心分離機が銃で破壊されて放置されている。床にはガラスと刺激臭を放つ液体が広がり、明らかにすべての証拠を抹消した後のように見えた。
すべてが水泡に帰した瞬間だった。
東都租界、同盟軍第三基地。東都駐留遼南軍の駐在基地は目の前に見える。魔都と呼ばれる東都租界の住民達もさすがに表立って軍の施設に近づくのは気が引けるようで、基地の入り口でたむろする警備兵以外の人の気配は感じなかった。
『なんだよ、敵兵が起きてるぞ。遼帝国軍の見張りは眠いと眠るんじゃないのか?』
感応通信でかなめが愚痴る。光学迷彩を使用して待機している彼女の姿を当然ながら誠は見ることが出来ない。
『都市伝説をあてにするとは、腕が鈍ったんじゃないですか?』
裏口からの襲撃の機会をうかがっている島田の声が響く。正面部隊への対応の指揮はラン、カウラとかなめ、そして誠が攻撃を担当する。裏門の対応には指揮は茜。それにラーナとサラ、島田が待機していた。
「寒いですよマジで」
そう愚痴る誠だがそこに不意に光学迷彩を解いたかなめが現れて驚いて銃を向ける。
「おい、物騒なの下げろよ」
実地偵察を終えて帰ってきたかなめは、誠を押しのけると後ろでライフルを抱えているランに声をかける。
「緊張感はゼロだ。あの衛兵達、規則どおりに銃の薬室には弾が入っていないみたいだぞ」
そんなかなめの言葉にランは右手を上げた。影を静々と進む誠達。警備兵達は雑談を続けるばかりで気づくわけも無かった。
直前、30メートル。衛兵達はまだ気づく様子は無い。ランに二回肩を叩かれたかなめは光学迷彩を展開する。
衛兵達の談笑が突然止まる。眼鏡の衛兵の首をぎりぎりと何かが締め付けていた。話し相手をしていた色黒の伍長が驚いたように銃に手をやるが何者かの足がそれを蹴飛ばす。
「今だ!」
ランの声を聴くとカウラは突入する。カウラがベストから取り出した薬剤を警備兵の顔面に散布すると彼等はそのまま意識を失った。
「さて、結果はどうなるのかねえ」
そう言いながら光学迷彩を解除してかなめは基地のゲートをくぐる。同時に裏手からも発砲音が響き始める。
「向こうも始まった。西園寺、先導を頼むぞ」
ランは呆然と窒息して倒れこんだ警備兵を見下ろしていた視線を引っ張り上げて立ち上がる。正門の警備兵が倒されているが、裏門の派手な銃撃戦に気を引かれている基地の兵士達は寝ぼけた調子でとりあえず護身用の拳銃を手に裏門へ走っている様が見える。
「撃つなよ神前。アタシ等は見つかったら作戦中止だ」
先頭を歩いていたかなめが振り返る。誠は大きくうなづいた。隊舎の建物の裏手、影の中を誠達は進む。遭遇する敵兵はいない。
「茜もやれば出来る子なんだな」
かなめは皮肉のつもりでそう言うと影の中を確認しながら裏の武器庫の隣をすり抜けようとする。
「誰だ!」
武器管理を担当しているような感じの士官が拳銃を向けているのが誠の目にも入った。しかし慌てずにかなめはそのまま士官の手に握られた拳銃を蹴り落とす。そしてすぐさまサバイバルナイフを手に士官を締め上げた。
「眠ってろ」
かなめは士官の口に薬剤のスプレーをねじ込むと噴射する。意識を失う男を確認すると、そのままラン達を引き連れて隣の別棟にたどり着いた。
「さあて、どんなものにお目にかかれるかねえ」
軽口を良いながら飛び出したかなめは歩哨を叩き伏せて入り口の安全を確保した。
かなめはホルスターから抜いた拳銃を握って建物の内部に突入する。誠も続くが人の気配はまるで無かった。
「一本道か」
脱出口を確保しようと銃を構えるカウラだが、その建物の長く続く廊下を見て進むかなめに続いた。
「おかしくねーか?」
最後尾で警戒するランの言葉が真実味を帯びて誠にも響いた。そして倉庫のような扉を見つけたかなめが誠を呼び寄せる。誠はサブマシンガンの銃口の下に吊り下げられたショットガンの銃口を鍵に向けて引き金を引く。
轟音の後、すぐさま鍵の壊れた扉を蹴破りかなめが室内に突入する。
「空だな」
ランの言葉がむなしく何も無い部屋に響いた。かなめはすぐさま部屋を飛び出しそのまま廊下を進む。地下へ向かう階段で先頭を行くかなめは、手を上げて後続のラン達を引き止めた。
「誰かいるな」
誠はその言葉に銃口を上げるが、冷ややかなランの視線が目に入る。
「気づかれたらどうするんだ?」
陽動部隊の派手な銃撃音が響く中それは杞憂かもしれないと誠は口を尖らせるが、カウラはそれを見て肩を叩くとゆっくりと下へ向かうかなめの後ろに続いた。明らかに人の出入りがあった建物だった。埃も汚れも無い階段。そして避難用のランプも点灯している。
そして地下の入り口のシャッターにたどり着いたかなめはポケットから聴診器のような器具を取り出すと壁に押し付ける。
「間違いねえ。人がいるぞ」
そう言って誠の顔をかなめは見上げる。誠はシャッターの横の防火扉の鍵に手を伸ばすと自然と扉は開いた。そのままかなめが体当たりで扉から進入、それにカウラとランが続く。誠もその後に続いて赤い非常灯の照らす部屋へと入った。
「これはやられたな」
ランがつぶやく。誠もその言葉の意味を理解した。
廊下には紙の資料が散乱していた。実験資材と思われる遠心分離機が銃で破壊されて放置されている。床にはガラスと刺激臭を放つ液体が広がり、明らかにすべての証拠を抹消した後のように見えた。
すべてが水泡に帰した瞬間だった。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる