1,258 / 1,531
第3章 魔都
過去の男
しおりを挟む
「それじゃあ行くぞ」
そう言ってかなめは立ち上がる。見事に数分でうどんを完食して見せた彼女に驚いて誠は顔を上げる。
「おい急ぐなよ。まだ食ってるんだから」
そう言いながらランは最後の一すすりをした。その視線の先には湯気の上がる汁を吹くカウラがいた。
かなめは仕方がないというようにどっかと椅子に座る。
「姐御、これから暇……なわけ無いっすよね」
「そうだ暇なわけがねえな」
三郎の言葉にぞんざいにそう言うとかなめはポケットからタバコを取り出した。気を利かせるようにライターを差し出す三郎の手を払いのけてかなめは自分のライターで火をつけた。
「昔は俺の方が火をつけてくれたもんですのにねえ」
「アタシがタバコに火をつけてやった連中の多くは墓の下にいるからな。そうだ!今からでも遅くないから送ってやろうか?三途の川の向こう」
そう言って素早く拳銃を取り出すかなめに三郎は立ち上がって両手を上げて泣き顔を作って見せる。
「馬鹿は止めろ。食べ終わったぞ」
カウラが立ち上がるとそのままかなめは銃をホルスターに戻した。
「すまねーな大将。勘定はこの馬鹿で良いのかい」
そう言って足が届かない椅子から飛び降りてランがカウンターに向かう。
「なに、また来てくれよ。あんた遼南だろ?」
店の親父はふてくされる息子を無視して小さなランのことをうれしそうに見つめる。さすがに誤解を解くのも面倒なようでランは照れ笑いを浮かべながら財布を取り出す。
「おー。やっぱり分かるか。うどんの食い方ひとつにもこだわるのが遼南人の心意気って奴だからな……そこのチンピラ」
ランはそう言うと三郎を見上げる。三郎もかなめの知り合いと言うこともあり、その上司のランを子供を見る目ではなく真剣に見つめていた。
「人の売り買いは金にはなるかも知れねーが手の引き時が肝心だぞ」
親父とは違って三郎の目は真剣だった。ランのくぐった修羅場を資料で見せられている誠も二人の緊張した雰囲気に息を飲んだ。
「ご高説感謝します」
そんなランの言葉に三郎は皮肉たっぷりにそうやり返した。そしてその様子にサディスティックな笑顔を振りまきながら、肩で風を切るようにさっそうとランは店を出る。誠も三郎に追い立てられるようにして租界の道路に転がり出た。
「凄いですね、あの三郎とか言うヤクザ相手に一歩も引かないなんて」
店を出てずんずんと歩くランがそんな言葉を言った誠を振り向いた。いかにもあきれ果てたそんな表情が浮かんでいる。
「オメーなあ。自分の仕事が何かわかって言ってんのか?軍人は舐められたら終いだ……そんぐらい覚えとけ」
それだけ言ってランは骨董屋の前に止められたカウラの車に乗り込む。
「精進しろよ。新兵さん!」
かなめはそう言って誠の肩を叩いて続いて車に体を押し込む。誠は彼女が助手席のシートを戻すとそこに座った。
「カウラ。ちょっと良いか」
そう言うとかなめは自分用の端末をサイドブレーキの上に置いた。『志村三郎』と言う租界管理局のパーソナルデータがそこには映っていた。
「先に言っておくけどアイツとの関係はオメエ等の想像通りさ。まあアタシは娼婦以外にも甲武陸軍の工作部隊員と言う顔があったわけだが」
かなめの言葉が暗くなる。誠はいくつもの疑問が渦巻いていたが、そのかなめの顔を見て口に出すことが出来なかった。
「おい、西園寺。貴様の戦闘における判断の正確さや義体性能を引き出す能力は私も感服しているんだ」
静かにカウラがそう言いながらかなめの死んだ魚のようになる目を見つめている。
「だとしてもだ。なぜ甲武四大公の筆頭がこんな汚れ仕事に携わるんだ?生まれを重視する甲武なら私のような人造人間を引き受けて育成するとか方法はあったろうに」
その言葉にただ無表情で返すかなめに車内の空気は次第に重くなっていった。外の景色はただ建ってからの年月からみると不思議なほど痛みの目立つビルが続いている。そんな中で誠は黙ってかなめを振り返っていた。
「カウラ。そいつは……」
かなめの表情が曇る。カウラも自分の言葉がかなめの心に刺さったことに気づいて黙り込んだ。
「そいつは物を知らない、甲武と言う国の構造を知らない人間の台詞だな」
相変わらずうつろな瞳のかなめをじっと誠は見つめていた。
「アタシが入った陸軍は親父とは対立関係にあった組織だ。爺さんを三回爆殺しようとしたのは退役軍人の貴族主義活動家ということだが、全員が陸軍の予備役の身分だった連中だ。今じゃ語り草の醍醐将軍のアフリカでの活躍にしても、西園寺家の被官と言う醍醐さんの家柄を煙たがれて僻地に飛ばされたと言うのが実情みたいなもんだ」
かなめの抑揚の無い言葉に誠は心をかきむしられる気分がした。回りの計画性の欠如した建物の群れもそんな気持ちに後押しをするように感じられてくる。
「前の甲武の内戦、『官派の乱』のきっかけも、自分になびかない陸軍への政治干渉を狙った親父の挑発に陸軍が乗っかったのが真実だ」
そう言うとかなめは窓を開けてタバコを取り出す。いつもなら怒鳴りつけるカウラも珍しくかなめのすることを黙って見つめていた。
「『官派の乱』に負けて外への発言が出来なくなった陸軍の貴族主義的な勢力は、露骨な反政府人事を内部で展開したわけだ。内戦で勝利した陸軍の親父のシンパの醍醐文隆将軍がしばらく陸軍大臣に就任できなかったのもすべては陸軍の貴族主義勢力の根回しが原因だからな」
「なるほど、内戦の敗北で頭の上がらなくなった陸軍の貴族主義者が民主勢力の旗頭の西園寺義基首相の娘に汚れ仕事を引き受けさせて面子を潰そうとしたわけか……まるで餓鬼の発想だな」
明らかにかなめのタバコを嫌がるように仰ぎながらランが言葉をつむぐ。
「でも西園寺公がお前の配属にブレーキをかけるくらいのことは出来たんじゃないのか?公爵家の嫡子が元娼婦なんてスキャンダル以外の何者でもないぞ」
カウラの言葉には誠も賛同できた。甲武の貴族制度はもはや形骸になりつつあると言っても長年の伝統がすぐに廃れるはずは無い。誠はそう思いたかった。かなめが見知らぬ租界の成金達にもてあそばれる姿など想像もしたくなかった。
「ああ、でもアタシは志願したんだ」
あっさりそう言うとかなめはタバコを携帯灰皿に押し込んだ。カウラはその様子と気が抜けたような表情の要を見るとそのまま車を出した。
「親父さんへのあてつけか?」
ぼそりとランがつぶやく。ドアに寄りかかるようにしてかなめは上の空で外を眺める。街は再び子供達が駆け巡るスラム街の様相を呈してくる。
「それもあるな。『貴族制は国家の癌だ』なんて言ってるくせに法律上の利権だけはきっちり確保している親父の鼻をあかしたかったって気持ちが無いって言ったら嘘になるよ。自分の手で何かをしたい、親父や醍醐のとっつぁんの世話にはなりたくない。そうつっぱってたのも事実だからな」
かなめは上の空でつぶやく。その姿はコンクリートの壁など一撃で砕くような軍用義体の持ち主のかなめにしてはあまりにも小さく見えて誠は目をそらして正面を向いて街を眺めていた。冬の日差しは弱弱しく見える。まだ時間が早いのか繁華街にたどり着いたカウラの車の両脇には無人の酒場と売春窟が続く。
その時ランの携帯端末がけたたましく鳴った。ランは黙ってそれを取り出して画面をのぞき込む。
「おう、茜達も仕事が済んだらしい。このまま寮に直帰だ」
ランの言葉がむなしく響く。カウラもランも一人ぼんやりと外を眺めているかなめに気を使って黙り込む。誠もこの痛々しい空気に耐えられずに外を眺める。
警備部隊は遼北人民軍に変わっていた。だが彼等もやる気がなさそうにカウラの『ハコスカ』を眺めているだけだった。
「良いことも無い街だったが、なかなかどうして、アタシの今を作ったのはこの街なのかも知れねえな」
ぼんやりと窓の外を眺めていたかなめがそんなことをつぶやいた。カウラはその声にはじかれるようにして車のアクセルを踏み込み、大通りへと向かった。
そう言ってかなめは立ち上がる。見事に数分でうどんを完食して見せた彼女に驚いて誠は顔を上げる。
「おい急ぐなよ。まだ食ってるんだから」
そう言いながらランは最後の一すすりをした。その視線の先には湯気の上がる汁を吹くカウラがいた。
かなめは仕方がないというようにどっかと椅子に座る。
「姐御、これから暇……なわけ無いっすよね」
「そうだ暇なわけがねえな」
三郎の言葉にぞんざいにそう言うとかなめはポケットからタバコを取り出した。気を利かせるようにライターを差し出す三郎の手を払いのけてかなめは自分のライターで火をつけた。
「昔は俺の方が火をつけてくれたもんですのにねえ」
「アタシがタバコに火をつけてやった連中の多くは墓の下にいるからな。そうだ!今からでも遅くないから送ってやろうか?三途の川の向こう」
そう言って素早く拳銃を取り出すかなめに三郎は立ち上がって両手を上げて泣き顔を作って見せる。
「馬鹿は止めろ。食べ終わったぞ」
カウラが立ち上がるとそのままかなめは銃をホルスターに戻した。
「すまねーな大将。勘定はこの馬鹿で良いのかい」
そう言って足が届かない椅子から飛び降りてランがカウンターに向かう。
「なに、また来てくれよ。あんた遼南だろ?」
店の親父はふてくされる息子を無視して小さなランのことをうれしそうに見つめる。さすがに誤解を解くのも面倒なようでランは照れ笑いを浮かべながら財布を取り出す。
「おー。やっぱり分かるか。うどんの食い方ひとつにもこだわるのが遼南人の心意気って奴だからな……そこのチンピラ」
ランはそう言うと三郎を見上げる。三郎もかなめの知り合いと言うこともあり、その上司のランを子供を見る目ではなく真剣に見つめていた。
「人の売り買いは金にはなるかも知れねーが手の引き時が肝心だぞ」
親父とは違って三郎の目は真剣だった。ランのくぐった修羅場を資料で見せられている誠も二人の緊張した雰囲気に息を飲んだ。
「ご高説感謝します」
そんなランの言葉に三郎は皮肉たっぷりにそうやり返した。そしてその様子にサディスティックな笑顔を振りまきながら、肩で風を切るようにさっそうとランは店を出る。誠も三郎に追い立てられるようにして租界の道路に転がり出た。
「凄いですね、あの三郎とか言うヤクザ相手に一歩も引かないなんて」
店を出てずんずんと歩くランがそんな言葉を言った誠を振り向いた。いかにもあきれ果てたそんな表情が浮かんでいる。
「オメーなあ。自分の仕事が何かわかって言ってんのか?軍人は舐められたら終いだ……そんぐらい覚えとけ」
それだけ言ってランは骨董屋の前に止められたカウラの車に乗り込む。
「精進しろよ。新兵さん!」
かなめはそう言って誠の肩を叩いて続いて車に体を押し込む。誠は彼女が助手席のシートを戻すとそこに座った。
「カウラ。ちょっと良いか」
そう言うとかなめは自分用の端末をサイドブレーキの上に置いた。『志村三郎』と言う租界管理局のパーソナルデータがそこには映っていた。
「先に言っておくけどアイツとの関係はオメエ等の想像通りさ。まあアタシは娼婦以外にも甲武陸軍の工作部隊員と言う顔があったわけだが」
かなめの言葉が暗くなる。誠はいくつもの疑問が渦巻いていたが、そのかなめの顔を見て口に出すことが出来なかった。
「おい、西園寺。貴様の戦闘における判断の正確さや義体性能を引き出す能力は私も感服しているんだ」
静かにカウラがそう言いながらかなめの死んだ魚のようになる目を見つめている。
「だとしてもだ。なぜ甲武四大公の筆頭がこんな汚れ仕事に携わるんだ?生まれを重視する甲武なら私のような人造人間を引き受けて育成するとか方法はあったろうに」
その言葉にただ無表情で返すかなめに車内の空気は次第に重くなっていった。外の景色はただ建ってからの年月からみると不思議なほど痛みの目立つビルが続いている。そんな中で誠は黙ってかなめを振り返っていた。
「カウラ。そいつは……」
かなめの表情が曇る。カウラも自分の言葉がかなめの心に刺さったことに気づいて黙り込んだ。
「そいつは物を知らない、甲武と言う国の構造を知らない人間の台詞だな」
相変わらずうつろな瞳のかなめをじっと誠は見つめていた。
「アタシが入った陸軍は親父とは対立関係にあった組織だ。爺さんを三回爆殺しようとしたのは退役軍人の貴族主義活動家ということだが、全員が陸軍の予備役の身分だった連中だ。今じゃ語り草の醍醐将軍のアフリカでの活躍にしても、西園寺家の被官と言う醍醐さんの家柄を煙たがれて僻地に飛ばされたと言うのが実情みたいなもんだ」
かなめの抑揚の無い言葉に誠は心をかきむしられる気分がした。回りの計画性の欠如した建物の群れもそんな気持ちに後押しをするように感じられてくる。
「前の甲武の内戦、『官派の乱』のきっかけも、自分になびかない陸軍への政治干渉を狙った親父の挑発に陸軍が乗っかったのが真実だ」
そう言うとかなめは窓を開けてタバコを取り出す。いつもなら怒鳴りつけるカウラも珍しくかなめのすることを黙って見つめていた。
「『官派の乱』に負けて外への発言が出来なくなった陸軍の貴族主義的な勢力は、露骨な反政府人事を内部で展開したわけだ。内戦で勝利した陸軍の親父のシンパの醍醐文隆将軍がしばらく陸軍大臣に就任できなかったのもすべては陸軍の貴族主義勢力の根回しが原因だからな」
「なるほど、内戦の敗北で頭の上がらなくなった陸軍の貴族主義者が民主勢力の旗頭の西園寺義基首相の娘に汚れ仕事を引き受けさせて面子を潰そうとしたわけか……まるで餓鬼の発想だな」
明らかにかなめのタバコを嫌がるように仰ぎながらランが言葉をつむぐ。
「でも西園寺公がお前の配属にブレーキをかけるくらいのことは出来たんじゃないのか?公爵家の嫡子が元娼婦なんてスキャンダル以外の何者でもないぞ」
カウラの言葉には誠も賛同できた。甲武の貴族制度はもはや形骸になりつつあると言っても長年の伝統がすぐに廃れるはずは無い。誠はそう思いたかった。かなめが見知らぬ租界の成金達にもてあそばれる姿など想像もしたくなかった。
「ああ、でもアタシは志願したんだ」
あっさりそう言うとかなめはタバコを携帯灰皿に押し込んだ。カウラはその様子と気が抜けたような表情の要を見るとそのまま車を出した。
「親父さんへのあてつけか?」
ぼそりとランがつぶやく。ドアに寄りかかるようにしてかなめは上の空で外を眺める。街は再び子供達が駆け巡るスラム街の様相を呈してくる。
「それもあるな。『貴族制は国家の癌だ』なんて言ってるくせに法律上の利権だけはきっちり確保している親父の鼻をあかしたかったって気持ちが無いって言ったら嘘になるよ。自分の手で何かをしたい、親父や醍醐のとっつぁんの世話にはなりたくない。そうつっぱってたのも事実だからな」
かなめは上の空でつぶやく。その姿はコンクリートの壁など一撃で砕くような軍用義体の持ち主のかなめにしてはあまりにも小さく見えて誠は目をそらして正面を向いて街を眺めていた。冬の日差しは弱弱しく見える。まだ時間が早いのか繁華街にたどり着いたカウラの車の両脇には無人の酒場と売春窟が続く。
その時ランの携帯端末がけたたましく鳴った。ランは黙ってそれを取り出して画面をのぞき込む。
「おう、茜達も仕事が済んだらしい。このまま寮に直帰だ」
ランの言葉がむなしく響く。カウラもランも一人ぼんやりと外を眺めているかなめに気を使って黙り込む。誠もこの痛々しい空気に耐えられずに外を眺める。
警備部隊は遼北人民軍に変わっていた。だが彼等もやる気がなさそうにカウラの『ハコスカ』を眺めているだけだった。
「良いことも無い街だったが、なかなかどうして、アタシの今を作ったのはこの街なのかも知れねえな」
ぼんやりと窓の外を眺めていたかなめがそんなことをつぶやいた。カウラはその声にはじかれるようにして車のアクセルを踏み込み、大通りへと向かった。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?


【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる