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第3章 魔都
悪徳の都
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「これは……また。ゲットーと呼ぶべきだろうな」
それまで運転に集中しているかのようだったカウラのつぶやきも当然だった。外の港湾地区が崩れた瓦礫の町ならば、コンクリートむき出しの高い貧相なビル群がならぶ租界は刑務所か何かの中のようなありさまだった。時々屋台が出ているのが分かるが、一体その品物がどこから運び込まれたかなどと言うことは誠にもわからない。
「まあアタシもここができてすぐに来たんだけどな。まああのころは何にも無い埋立地に仮設テントとバラックがあるばかりだったな。しかし……こうしてみるとその時代の方がまだましだったかもな」
そう小声でランがつぶやくのが聞こえる。
「そう言えばクバルカ中佐は遼南出身でしたよね」
誠の言葉にランはうんざりした顔を見せる。
「まあな、遼南共和軍にいた人間は遼南人民政府樹立で逃げ出すしかなかったわけだし。軍のパイロットの資格持ちで追放の対象だったアタシはまだましな方さ。自力でここにたどり着いた連中が暮らしを立て直そうとしたときには胡散臭い連中がここに街を作って魔窟が一つ出来上がった。そしてその利権をめぐり……」
「アタシ達のような非正規任務の兵隊さんがのこのこやってきてその筋の方々に武器を売って大戦争を始めたってわけだ」
かなめは嫌な過去を思い出したように苦笑いを浮かべる。建てられて十年も経っていないはずなのに多くのビルの壁には亀裂が走っている。所々階段がなくなっているのは抗争の最中に小銃の掃射でも浴びたのだろうか。そう思う誠の心とは無関係に車は走る。
「カウラ、ちょっと止めな」
かなめは突然そう言う。カウラがブレーキを踏んでまっすぐ行けば港に着くという大通りの路肩に車を止めるとすぐにどこから沸いたのか兵隊が駆け寄ってくる。
「南方諸島軍か」
都市型のグレーの戦闘服の袖に派手な赤い鳥のマークの刺繍をつけている兵士達はそのまま銃を背負って車の両脇に群がる。
「トマレ!」
窓を開けた誠に銃を突き付けて南方諸島の正規軍の兵士は叫んだ。誠は後ろのかなめに目をやるが、かなめもランもただニヤニヤ笑いながら怯えた様子の誠を見つめているだけだった。
「カネ、カネ!トウワエン!イチマン!」
どうやらアルバイト気取りの兵士達は通行料を巻き上げるつもりのようだった。ニヤついた笑みを浮かべる兵士がそう言うとかなめは爆笑を始めた。それに気づいた若い褐色の肌の兵士が車のドアに手をやる。壊されると思ったのかカウラはドアの鍵を開けた。
「かなめさん!勘弁してくださいよ!」
そう言ってそのまま引き出された誠は路上に這わされる。そしてすぐに兵士は誠の脇に拳銃があるのを見つける。そのままにんまりと笑い銃を突きつける兵士とそれをくわえタバコで見ていた下士官が後部座席で爆笑するかなめとランに銃を向けている。
「ケンジュウ、ミノガス、30マン!30マン」
そのままかなめとランも車から降ろされる。下士官は良い獲物を見つけたとでも言うようにくわえていたタバコを地面に投げ捨てた。
「30万円?ずいぶんと安く見られたもんだ。じゃあこれで手を打ってもらおうかな」
ランはそう言うと再び身分証を取り出して下士官に見せる。そしてランの左手はすでに拳銃の銃口を下士官の額に向けていた。タバコを吸いなおそうとした下士官の口からタバコが落ちる。彼はそのまま誠の後頭部に銃口を向けていた部下の首根っこを押さえて誠の知らない言葉で指示を出した。
兵士が突然銃を背負いなおし、青い顔で誠を見つめる。
「カネ、カネ、30マン!」
兵士の言葉の真似をして手を出すかなめを見つめると、兵士達は今にも泣き出しそうな顔で走り去っていった。
「正規軍もここじゃあ夜盗と変わらねえ。良い勉強になったろ?これがここの真実さ」
そう言うとかなめはそのままポケットからタバコを取り出して火をつけた。
「でも、南方諸島でしょ?あそこは遼州南半球ではもっとも民主化が進んだ国でそれなりに治安も安定していますし、主要産業は観光ですから……あの兵士達は……」
そう言って立ち上がる誠をかなめは呆れた表情で見守る。
「あのなあ、そう言う考えは安全地帯にいる人間が自分はあいつ等と違うと思い込んだときの発想だな。ここじゃあつまらない不条理で、誰もがいつくたばってもおかしくない。そんなところに仕事ってことで放り込まれて頭のタガが揺るがない人間がいるのなら見てみみたいもんだな」
そう言ってかなめは周りを見渡す。正規軍との交渉に勝利したと言うような形になった誠達を見て下心のある笑顔を浮かべて近づいてくる租界の住民の姿が見える。
「巻き込まれたら面倒だ。とっととおさらばするか」
そう言うとかなめは吸いかけのタバコを投げ捨てて再び車の後部座席に体をねじ込む。誠も慌てて助手席に乗り込む。
「早く出せよ」
ランの言葉にカウラはアクセルを踏み込んだ。
「あれもまた人間の摂理さ」
路上で子供達が突然走り出したカウラの車に罵声に近い叫び声を上げていた。
「この街では暴力とカネ以外のものに何一つの価値も無いんだ。仕事でここに来ることはこれからもあるだろうからな、良く覚えておけ。まあそういう意味ではアタシ等の商売道具は暴力の方だがな」
かつてのこの地での任務を思い出しているのか、かなめの目が死んでいた。その隣で窓から外を見ているランの瞳もその幼げな面持ちとは相容れないような老成した表情を形作っている。
「西園寺にしては的確な状況説明だな」
黙ってかなめの言葉を聞いていたカウラがバックミラーの中のかなめを見つめる。
「何言うんだよカウラ。アタシの説明はいつだって的確だろ?」
そう言ったかなめの瞳に久しぶりに生気が戻る。カウラはそれに満足したように倉庫街のような道に車を走らせる。そこには廃墟の町で見なかった働き盛りの男達が群れていた。袋に入ったのは小麦か米か、ともかく麻袋を延々と運び続ける男達の群れ。周りではどう見ても堅気には見えない背広の男達が手伝うつもりも無く談笑しているのが見える。
「租界内外の物品の流通は制限されているんじゃないですか?」
「神前。西園寺の言葉を聞いてなかったのか?駐在部隊だって同じこの魔窟に巣食う住人なんだ。もらうものをもらえば見てみぬふりさ、それに仲良くお仕事に励むってのも美しい光景だろ?」
ランの皮肉の篭った言葉に誠は目を開かせられた。東都湾岸地区の急激な治安悪化により三年前に東和政府は同盟軍の駐留を許可した。同盟会議の決議により駐留軍はその裁量の範囲内で必要な資材の搬入や輸送を独自に行う権利を与えられることになった。それがこの魔窟では明らかに部隊に必要な補給としては多すぎる量が倉庫に送られていく。さすがに後ろめたいと感じているのか、付近には駐留部隊の兵士の姿は無かった。
「ここの物資がこの街を支えているんですね」
次々と運び込まれる穀物の入った麻袋がパレットにある程度積み上げられると。中の見えない木箱と一緒にフォークリフトで倉庫から建物の裏へと運ばれていく。その向こうでは冷凍貨物のコンテナが軍用の塗料のまだ落ちていない中古のクレーンに吊るされて巨大な倉庫に飲み込まれる。
そしてそのどの作業にも生命力を吸い取られていると言うような姿の男達のうごめきが見て取れた。
「でもこんなに物資が?一体どこに?」
ただ誠はその圧倒的な物流の現場に圧倒されながら流れていく港の景色を見送っていた。
「物資の行き先?それはアタシ等の仕事じゃねーよ。東都警察か安城の機動部隊にでも当たってくれよ」
そう言ってランが小さい胸の前に腕を組む。その様子が面白かったようでかなめがまねをして豊かな胸に腕を押し付ける。そしてバックミラーに写る二人の様子にカウラが噴出した。
「何考えてんだ、オメー等は!」
そう言うとランは子供のように頬を膨らませた。もしこの顔をアメリアが見たら『萌えー!』と叫んで抱きつくほど幼子のようにかわいい表情だと思った誠は自分の口を押さえた。
それまで運転に集中しているかのようだったカウラのつぶやきも当然だった。外の港湾地区が崩れた瓦礫の町ならば、コンクリートむき出しの高い貧相なビル群がならぶ租界は刑務所か何かの中のようなありさまだった。時々屋台が出ているのが分かるが、一体その品物がどこから運び込まれたかなどと言うことは誠にもわからない。
「まあアタシもここができてすぐに来たんだけどな。まああのころは何にも無い埋立地に仮設テントとバラックがあるばかりだったな。しかし……こうしてみるとその時代の方がまだましだったかもな」
そう小声でランがつぶやくのが聞こえる。
「そう言えばクバルカ中佐は遼南出身でしたよね」
誠の言葉にランはうんざりした顔を見せる。
「まあな、遼南共和軍にいた人間は遼南人民政府樹立で逃げ出すしかなかったわけだし。軍のパイロットの資格持ちで追放の対象だったアタシはまだましな方さ。自力でここにたどり着いた連中が暮らしを立て直そうとしたときには胡散臭い連中がここに街を作って魔窟が一つ出来上がった。そしてその利権をめぐり……」
「アタシ達のような非正規任務の兵隊さんがのこのこやってきてその筋の方々に武器を売って大戦争を始めたってわけだ」
かなめは嫌な過去を思い出したように苦笑いを浮かべる。建てられて十年も経っていないはずなのに多くのビルの壁には亀裂が走っている。所々階段がなくなっているのは抗争の最中に小銃の掃射でも浴びたのだろうか。そう思う誠の心とは無関係に車は走る。
「カウラ、ちょっと止めな」
かなめは突然そう言う。カウラがブレーキを踏んでまっすぐ行けば港に着くという大通りの路肩に車を止めるとすぐにどこから沸いたのか兵隊が駆け寄ってくる。
「南方諸島軍か」
都市型のグレーの戦闘服の袖に派手な赤い鳥のマークの刺繍をつけている兵士達はそのまま銃を背負って車の両脇に群がる。
「トマレ!」
窓を開けた誠に銃を突き付けて南方諸島の正規軍の兵士は叫んだ。誠は後ろのかなめに目をやるが、かなめもランもただニヤニヤ笑いながら怯えた様子の誠を見つめているだけだった。
「カネ、カネ!トウワエン!イチマン!」
どうやらアルバイト気取りの兵士達は通行料を巻き上げるつもりのようだった。ニヤついた笑みを浮かべる兵士がそう言うとかなめは爆笑を始めた。それに気づいた若い褐色の肌の兵士が車のドアに手をやる。壊されると思ったのかカウラはドアの鍵を開けた。
「かなめさん!勘弁してくださいよ!」
そう言ってそのまま引き出された誠は路上に這わされる。そしてすぐに兵士は誠の脇に拳銃があるのを見つける。そのままにんまりと笑い銃を突きつける兵士とそれをくわえタバコで見ていた下士官が後部座席で爆笑するかなめとランに銃を向けている。
「ケンジュウ、ミノガス、30マン!30マン」
そのままかなめとランも車から降ろされる。下士官は良い獲物を見つけたとでも言うようにくわえていたタバコを地面に投げ捨てた。
「30万円?ずいぶんと安く見られたもんだ。じゃあこれで手を打ってもらおうかな」
ランはそう言うと再び身分証を取り出して下士官に見せる。そしてランの左手はすでに拳銃の銃口を下士官の額に向けていた。タバコを吸いなおそうとした下士官の口からタバコが落ちる。彼はそのまま誠の後頭部に銃口を向けていた部下の首根っこを押さえて誠の知らない言葉で指示を出した。
兵士が突然銃を背負いなおし、青い顔で誠を見つめる。
「カネ、カネ、30マン!」
兵士の言葉の真似をして手を出すかなめを見つめると、兵士達は今にも泣き出しそうな顔で走り去っていった。
「正規軍もここじゃあ夜盗と変わらねえ。良い勉強になったろ?これがここの真実さ」
そう言うとかなめはそのままポケットからタバコを取り出して火をつけた。
「でも、南方諸島でしょ?あそこは遼州南半球ではもっとも民主化が進んだ国でそれなりに治安も安定していますし、主要産業は観光ですから……あの兵士達は……」
そう言って立ち上がる誠をかなめは呆れた表情で見守る。
「あのなあ、そう言う考えは安全地帯にいる人間が自分はあいつ等と違うと思い込んだときの発想だな。ここじゃあつまらない不条理で、誰もがいつくたばってもおかしくない。そんなところに仕事ってことで放り込まれて頭のタガが揺るがない人間がいるのなら見てみみたいもんだな」
そう言ってかなめは周りを見渡す。正規軍との交渉に勝利したと言うような形になった誠達を見て下心のある笑顔を浮かべて近づいてくる租界の住民の姿が見える。
「巻き込まれたら面倒だ。とっととおさらばするか」
そう言うとかなめは吸いかけのタバコを投げ捨てて再び車の後部座席に体をねじ込む。誠も慌てて助手席に乗り込む。
「早く出せよ」
ランの言葉にカウラはアクセルを踏み込んだ。
「あれもまた人間の摂理さ」
路上で子供達が突然走り出したカウラの車に罵声に近い叫び声を上げていた。
「この街では暴力とカネ以外のものに何一つの価値も無いんだ。仕事でここに来ることはこれからもあるだろうからな、良く覚えておけ。まあそういう意味ではアタシ等の商売道具は暴力の方だがな」
かつてのこの地での任務を思い出しているのか、かなめの目が死んでいた。その隣で窓から外を見ているランの瞳もその幼げな面持ちとは相容れないような老成した表情を形作っている。
「西園寺にしては的確な状況説明だな」
黙ってかなめの言葉を聞いていたカウラがバックミラーの中のかなめを見つめる。
「何言うんだよカウラ。アタシの説明はいつだって的確だろ?」
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「神前。西園寺の言葉を聞いてなかったのか?駐在部隊だって同じこの魔窟に巣食う住人なんだ。もらうものをもらえば見てみぬふりさ、それに仲良くお仕事に励むってのも美しい光景だろ?」
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「ここの物資がこの街を支えているんですね」
次々と運び込まれる穀物の入った麻袋がパレットにある程度積み上げられると。中の見えない木箱と一緒にフォークリフトで倉庫から建物の裏へと運ばれていく。その向こうでは冷凍貨物のコンテナが軍用の塗料のまだ落ちていない中古のクレーンに吊るされて巨大な倉庫に飲み込まれる。
そしてそのどの作業にも生命力を吸い取られていると言うような姿の男達のうごめきが見て取れた。
「でもこんなに物資が?一体どこに?」
ただ誠はその圧倒的な物流の現場に圧倒されながら流れていく港の景色を見送っていた。
「物資の行き先?それはアタシ等の仕事じゃねーよ。東都警察か安城の機動部隊にでも当たってくれよ」
そう言ってランが小さい胸の前に腕を組む。その様子が面白かったようでかなめがまねをして豊かな胸に腕を押し付ける。そしてバックミラーに写る二人の様子にカウラが噴出した。
「何考えてんだ、オメー等は!」
そう言うとランは子供のように頬を膨らませた。もしこの顔をアメリアが見たら『萌えー!』と叫んで抱きつくほど幼子のようにかわいい表情だと思った誠は自分の口を押さえた。
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