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第2章 翌日の出来事
食事当番
しおりを挟む僕は雫に顔を見られないようにして頭を抱き締める。そうだ、そうだよ。雫はストーカーなんだ。
「僕は雫が大大大大好きだから、、、、、」
焦りや緊張を悟られないように優しさを全力で声に滲ませ雫に伝える。
雫と初夜を迎える前に僕が見つけた小型カメラ。恋人になった後でも雫はパソコンで僕の日常をずっと見ていたんだ。あの時に雫は言っていた。
───『舞白さん。俺はね?舞白さんから離れると死んでしまうほど弱いんです。だから、カメラをつけて舞白さんをいつも見てるんです。仕事中とか、趣味に熱中して部屋にこもる時とか。さすがにお風呂やトイレは付けてないですよ?カメラ、、、、、』
仕事中、つまり僕の仕事部屋。雫が絶対不可侵条約を結んだ部屋。そこにカメラがある、、、、、っ!日記を見ているのを見られていた?それとも僕が雫の部屋にいた時から知っていた?カメラに運良く写ってなかったとしてもっ
───『あと、盗聴はトイレ以外は付けてます』
盗聴器!!!あぁ、僕、何か言ってたよね?!どうしよ、何言ってた?決定的なこと言ってないよね?いやでもカメラもあるから、、、、、、、終わったぁ、完全に詰みじゃん!バレてるじゃんこれ!
「、、、、、、、舞白さん、思い出しちゃったんですね」
どう考えたって僕に逃げ道がないことへの焦りとどうしてあの時、ストーカー行為を続けることに対して辞めさせなかったのかという後悔が頭を占めた。それにこれからどうすればいいのかということで頭がグルグルになって抱き締めていた雫のことを忘れていた
「、、、、、舞白さんっ!俺の事、嫌いになりましたか?もう一緒に居るの嫌ですか?俺の顔を見るのも嫌になりました?俺のこと、、、、、置いてどこかへ行っちゃうんですか?俺の────」
「え?ちょ、ちょっと落ち着いて」
雫が焦りを含んだ声で僕に矢継ぎ早に質問を投げかける。質問全部が僕にとってはありえない話だった。
「雫、僕はどこにも行かないよ。さっきも言ったけど雫が大好きでずっと一緒にいたい。雫のいる今の生活が幸せなんだから」
そう言えば雫は顔をあげて僕を見つめる。その瞳はまだ暗い闇の中にあって、僕の言葉が何一つ届いてないと理解する。
───この人は優しいから
「舞白さん。どこまで思い出しましか?」
僕の欲しい言葉を言ってくれてるんだ。舞白さんを裏切った僕を、酷いことをした僕を、、、、、、、、、、舞白さんは遂に思い出してしまった
ああ、先の言葉を聞きたくない
その言葉は僕にとって幸せの終わりを告げるだろうから
「何も思い出してないよ?」
聞いても聞いても聴き足りない可愛い声音から発せられた言葉は幸せの終わりを終わらす言葉だった。
「思い出してないんですか、、、、、?」
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