1,193 / 1,503
第2章 実験
試射
しおりを挟む
『神前曹長!安全装置解除の指示が出ました!』
誠の05式の足元の観測装置をいじっていた西の顔がモニターに広がる。
「了解!第一安全装置解除。続いてエネルギー接続一段階、開始」
次第に鼓動が高鳴るのを感じながら、誠はいつものシミュレータの時のように思った通りに動く自分の手を感心しながら見つめていた。
『これが昨日の投球でできたらなあ』
そんな雑念が頭をよぎる。考えてみれば試合途中で抜けてきたので、結果がどうなったのか知らない自分に気付いて思わず苦笑していた。
『法力チャージに入ります!』
西の声で再び誠の意識が引き戻された。体に一瞬脱力感のようなものが走った。モニターに表示されたエネルギーゲージは次第に上がっていく。それにつれて法力のゲージも急激に上がり始めた。
『範囲指定お願いします!』
甲高い西の声が頭に響く。誠は管制システムを起動し、自分の意識とそれをリンクさせる。これまでのシミュレーションで指定した範囲と比べて圧倒的に広い範囲である。だが、誠もこれまで何もせずにいたわけではない。ランに言わせると『アサルト・モジュールパイロットとしては二流以下だが法術師としての能力は一流』な誠である。管制システムに模擬干渉空間を展開し、ほぼこの演習場一円をその範囲に指定する。
『それではその状態で待機してください!』
そんな西の言葉だが、この状態を維持するのは非常につらいものだった。模擬干渉空間の維持にはかなりの精神力が必要になる。少しでも法力の維持を怠ればはじめからやり直し。しかし、これを兵器として使用するためにはこの状態を維持しつつ、周囲に気をかけるくらいのことが出来なければ意味が無いことも誠は十分にわかっていた。
『いつも西園寺さんやカウラさんがいるとは限らないからな』
そう思いながら静かに西のいる野戦管制室を見る下ろした。三人の東和陸軍の作業服を着た女性が西と話をしているところだった。すぐにその三人が誠の所属する第二小隊の小隊長、カウラ・ベルガー大尉、二番機担当西園寺かなめ大尉、そして運用艦『ふさ』の艦長であるアメリア・クラウゼ少佐だと分かった。
『西園寺さん?カウラさん?それにアメリアさん?』
『よう!元気にしとるか!』
『駄目ですよ!今大事なところなんですから!』
西の制止を無視してモニターに飛び込んできたのは西園寺かなめ大尉のタレ目だった。
『馬鹿だねえ西の餓鬼は。この位の邪魔で撃てなくなるなら意味ねえじゃねえか』
そう言ってかなめはいつものようにまなじりを下げる。そこに割って入ったのはアメリア・クラウゼ少佐だった。
『ねえ、あの小さい姐御に苛められなかった?』
「クバルカ中佐はたぶんコントロールルームですよ」
誠はギリギリのところで法力チャージと上司達との会話を続けていた。
『邪魔するなと言ったじゃないか』
画面の端でエメラルドグリーンのポニーテールをなびかせてカウラ・ベルガー大尉がつぶやいた。『小さい姐御』と言う言葉がつぼに入ったのか、かなめがカウラの隣で腹を抱えて笑っている。
「あのー。ちょっと黙っていていただけますか?」
さすがの誠も雑念に負けそうになってついそう言っていた。
『酷い!誠ちゃんには私の言葉は届かないのね!』
わざと泣き声を装うようにアメリアの声が響く。画面の端からアメリアの肩を叩いているのはカウラだろう。
「そう言う意味じゃないんですけど……」
誠がそう言ったとき、管制室の画面が05式の全周囲モニターに開いた。
『遊ばないでください!とりあえず標的の準備はできました。最終安全装置の解除まで行ってください!』
ひよこの顔が大写しにされて、誠は少しばかり引き気味に火器管制システムの設定に移った。訓練場を示す地図が開き、誠の干渉空間が展開される。干渉空間には二種類あり、その活用方法については誠は飛躍的に制御技術向上させていた。
一つは直接展開空間。
それは平面状に展開され、シールドや位相転移、すなわち瞬間移動などを行うことができる展開発動者専用の空間である。これを展開できるのは司法局でも誠と隊長の嵯峨惟基特務大佐とその娘で法術特捜主席捜査官の嵯峨茜警視正、さらに副隊長で第一小隊長のクバルカ・ラン中佐だけと言う特殊な技能である。
そしてもう一つが一般に『テリトリー』と呼ばれる干渉空間だった。
それは展開した法術者の意識レベルによって変性可能な干渉空間である。その『テリトリー』の運用に長けているのはパイロキネシストだとされていた。パイロキネシス……発火能力者は隊にいないのでその能力がどういったものかは誠も知らなかったが、誠自身もある程度の『テリトリー』内の意識を把握する能力は持っていた。
干渉空間、テリトリーの展開を開始すると、下で騒いでいたかなめ達の顔色が変わった。再び誠の全身から力が抜けていくような感覚が走る。
「干渉空間展開率30……40……50……」
小さなウィンドウに記された演習場の地図が次第に赤く染まる。目の前を見ると、干渉済みの空間がゆらゆらと陽炎のように誠の目に見えた。
『法術エネルギーブースト開始。最終安全装置の解除を確認』
そう言うと誠は火器管制モードになった画面を見つめる。さすがにこの状況ではふざけるつもりが無いようで、足元で観測機器をいじっている西をかなめ達三人は黙ってみているようだった。
『周囲に識別反応無し!発射よろし!』
ひよこの指示が下される。誠はトリガーに指をかけた。
「発射!」
誠がトリガーを引いた。薄い桃色の光線が揺らめく干渉空間を飲み込む。反動や爆風が起こることも無く、目の前が桃色の光で満たされた。その光景が見えたのは一秒にも満たない瞬間だろう。
戻った視界の中に見えるのは発砲前とまるで変わらない演習場の景色だった。
『なんだよ。こりゃ?』
はじめに口を開いたのはかなめだった。誠も、干渉空間を解除する脱力感の中で非常に手ごたえのなさを感じていた。
『これはですねえ、広域犯罪やテロなどの非常事態に被疑者の意識を奪うことで事件解決の……』
『んなことはわかってんだよ!だけどなんだ?こんなでかくて強そうな武器だっつうのに、なあ!』
まじめに説明しようとする西を押さえつけてかなめが話題をアメリアに振った。
『確かに。カタルシスと言うものが無いわね』
そう言ってアメリアは紺色のロングヘアーをかきあげる。
『貴様等……何がしたくて軍に入ったんだ?』
カウラが二人の言葉に呆れた顔をする。誠も二人の反応に少し呆れながらも手ごたえの無さに不安になる自分に気づいていた。
誠の05式の足元の観測装置をいじっていた西の顔がモニターに広がる。
「了解!第一安全装置解除。続いてエネルギー接続一段階、開始」
次第に鼓動が高鳴るのを感じながら、誠はいつものシミュレータの時のように思った通りに動く自分の手を感心しながら見つめていた。
『これが昨日の投球でできたらなあ』
そんな雑念が頭をよぎる。考えてみれば試合途中で抜けてきたので、結果がどうなったのか知らない自分に気付いて思わず苦笑していた。
『法力チャージに入ります!』
西の声で再び誠の意識が引き戻された。体に一瞬脱力感のようなものが走った。モニターに表示されたエネルギーゲージは次第に上がっていく。それにつれて法力のゲージも急激に上がり始めた。
『範囲指定お願いします!』
甲高い西の声が頭に響く。誠は管制システムを起動し、自分の意識とそれをリンクさせる。これまでのシミュレーションで指定した範囲と比べて圧倒的に広い範囲である。だが、誠もこれまで何もせずにいたわけではない。ランに言わせると『アサルト・モジュールパイロットとしては二流以下だが法術師としての能力は一流』な誠である。管制システムに模擬干渉空間を展開し、ほぼこの演習場一円をその範囲に指定する。
『それではその状態で待機してください!』
そんな西の言葉だが、この状態を維持するのは非常につらいものだった。模擬干渉空間の維持にはかなりの精神力が必要になる。少しでも法力の維持を怠ればはじめからやり直し。しかし、これを兵器として使用するためにはこの状態を維持しつつ、周囲に気をかけるくらいのことが出来なければ意味が無いことも誠は十分にわかっていた。
『いつも西園寺さんやカウラさんがいるとは限らないからな』
そう思いながら静かに西のいる野戦管制室を見る下ろした。三人の東和陸軍の作業服を着た女性が西と話をしているところだった。すぐにその三人が誠の所属する第二小隊の小隊長、カウラ・ベルガー大尉、二番機担当西園寺かなめ大尉、そして運用艦『ふさ』の艦長であるアメリア・クラウゼ少佐だと分かった。
『西園寺さん?カウラさん?それにアメリアさん?』
『よう!元気にしとるか!』
『駄目ですよ!今大事なところなんですから!』
西の制止を無視してモニターに飛び込んできたのは西園寺かなめ大尉のタレ目だった。
『馬鹿だねえ西の餓鬼は。この位の邪魔で撃てなくなるなら意味ねえじゃねえか』
そう言ってかなめはいつものようにまなじりを下げる。そこに割って入ったのはアメリア・クラウゼ少佐だった。
『ねえ、あの小さい姐御に苛められなかった?』
「クバルカ中佐はたぶんコントロールルームですよ」
誠はギリギリのところで法力チャージと上司達との会話を続けていた。
『邪魔するなと言ったじゃないか』
画面の端でエメラルドグリーンのポニーテールをなびかせてカウラ・ベルガー大尉がつぶやいた。『小さい姐御』と言う言葉がつぼに入ったのか、かなめがカウラの隣で腹を抱えて笑っている。
「あのー。ちょっと黙っていていただけますか?」
さすがの誠も雑念に負けそうになってついそう言っていた。
『酷い!誠ちゃんには私の言葉は届かないのね!』
わざと泣き声を装うようにアメリアの声が響く。画面の端からアメリアの肩を叩いているのはカウラだろう。
「そう言う意味じゃないんですけど……」
誠がそう言ったとき、管制室の画面が05式の全周囲モニターに開いた。
『遊ばないでください!とりあえず標的の準備はできました。最終安全装置の解除まで行ってください!』
ひよこの顔が大写しにされて、誠は少しばかり引き気味に火器管制システムの設定に移った。訓練場を示す地図が開き、誠の干渉空間が展開される。干渉空間には二種類あり、その活用方法については誠は飛躍的に制御技術向上させていた。
一つは直接展開空間。
それは平面状に展開され、シールドや位相転移、すなわち瞬間移動などを行うことができる展開発動者専用の空間である。これを展開できるのは司法局でも誠と隊長の嵯峨惟基特務大佐とその娘で法術特捜主席捜査官の嵯峨茜警視正、さらに副隊長で第一小隊長のクバルカ・ラン中佐だけと言う特殊な技能である。
そしてもう一つが一般に『テリトリー』と呼ばれる干渉空間だった。
それは展開した法術者の意識レベルによって変性可能な干渉空間である。その『テリトリー』の運用に長けているのはパイロキネシストだとされていた。パイロキネシス……発火能力者は隊にいないのでその能力がどういったものかは誠も知らなかったが、誠自身もある程度の『テリトリー』内の意識を把握する能力は持っていた。
干渉空間、テリトリーの展開を開始すると、下で騒いでいたかなめ達の顔色が変わった。再び誠の全身から力が抜けていくような感覚が走る。
「干渉空間展開率30……40……50……」
小さなウィンドウに記された演習場の地図が次第に赤く染まる。目の前を見ると、干渉済みの空間がゆらゆらと陽炎のように誠の目に見えた。
『法術エネルギーブースト開始。最終安全装置の解除を確認』
そう言うと誠は火器管制モードになった画面を見つめる。さすがにこの状況ではふざけるつもりが無いようで、足元で観測機器をいじっている西をかなめ達三人は黙ってみているようだった。
『周囲に識別反応無し!発射よろし!』
ひよこの指示が下される。誠はトリガーに指をかけた。
「発射!」
誠がトリガーを引いた。薄い桃色の光線が揺らめく干渉空間を飲み込む。反動や爆風が起こることも無く、目の前が桃色の光で満たされた。その光景が見えたのは一秒にも満たない瞬間だろう。
戻った視界の中に見えるのは発砲前とまるで変わらない演習場の景色だった。
『なんだよ。こりゃ?』
はじめに口を開いたのはかなめだった。誠も、干渉空間を解除する脱力感の中で非常に手ごたえのなさを感じていた。
『これはですねえ、広域犯罪やテロなどの非常事態に被疑者の意識を奪うことで事件解決の……』
『んなことはわかってんだよ!だけどなんだ?こんなでかくて強そうな武器だっつうのに、なあ!』
まじめに説明しようとする西を押さえつけてかなめが話題をアメリアに振った。
『確かに。カタルシスと言うものが無いわね』
そう言ってアメリアは紺色のロングヘアーをかきあげる。
『貴様等……何がしたくて軍に入ったんだ?』
カウラが二人の言葉に呆れた顔をする。誠も二人の反応に少し呆れながらも手ごたえの無さに不安になる自分に気づいていた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
潜水艦艦長 深海調査手記
ただのA
SF
深海探査潜水艦ネプトゥヌスの艦長ロバート・L・グレイ が深海で発見した生物、現象、景観などを書き残した手記。
皆さんも艦長の手記を通して深海の神秘に触れてみませんか?
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる