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第10章 引っ越し準備
朝食風景
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「班長!飯の準備ができました!」
部屋を見回している誠達に向けて食事当番の下士官が声をかけに来た。
「アタシ等のはあるか?」
「ああ、班長と菰田曹長の分を回したから大丈夫ですよ」
「オメエなあ……そんな……飯ぐらい多めに作れよ」
島田ががっくりとうなだれた。
「自業自得でしょ?コンビニ弁当でも買って食えばいいじゃないですか」
そう言うとアメリアは勝ち誇ったように笑う。
「そんな金ねえっての!」
「サラに買ってきてもらえば?」
アメリアの言葉を聴くと、島田は携帯を持ってそのまま消えていく。
「すまんなあ菰田。アタシ等は飯食ってくるから掃除の段取りとか考えといてくれや」
うなだれる菰田の肩を叩きながらかなめ率いる一行は食堂を目指した。
「飯付きか……やっぱ良いよな。アタシは料理ができねえから……助かるわ」
「さすが……甲武一の貴族様でいらっしゃることで」
アメリアはそう言って苦笑いを浮かべた。
「アメリアはよくこの寮に泊まっていると聞くが……」
カウラの言葉にかなめはアメリアを怒りの表情でにらみつけた。
「サラとパーラが一緒にいるわよ……ネタ作りとか、深夜放送を聞いたりとか……まあ、面白いわよ、ここ」
「そりゃあよかった……で、もしかしたら神前の部屋に泊まったとか言わねえよな」
「そうだけど何か?」
今度はかなめが殴りかかろうとしたのをカウラが止める。
「ああ、サラとパーラも島田君も一緒よ。まったく二人して何やってんだか」
そう言うとアメリアはさっさと食堂に入った。殺気立っているかなめとカウラを刺激しないようにしながら誠も入ってくる。一部に冷ややかな視線を投げてくるのはヒンヌー教徒達だった。
「いい身分じゃねえか、うらやましいねえ」
トレーを手にしながら立つかなめの姿がタレ目を際立たせる。彼女が食堂中を見回るが、多くの隊員は三人を珍しそうに眺めている。
「それにしても……むさくるしいところねえ」
そういいながらまんざらでもない表情のアメリアが厨房の前のトレーを手にする。そして椀に粥を取るとピクルスを瓶からトレーに移す。
「ったく朝から精進料理かよ……ここは寺かよ、ここは」
一汁一菜と言った風情の食事をかなめはしみじみと眺める。
「必要なカロリーは計算されているはずだ、不満だったらそれこそコンビニで買ってくれば良い」
すべてをとり終えたカウラがそのまま近くの席に座る。自然に誠がカウラの隣に座ったとたん、一斉に視線が誠に突き刺さってくる。さらにアメリアが正面に、反対側にはかなめが座った。
三人とも別に気にすることも無く黙々と食事を始めた。誠は周りからの視線に首をすくめながら、トレーに入れた粥をすくった。
「いい身分だな」
コンビニの袋を下げた菰田が食堂に入ってくる。誠は苦手な先任曹長から目を逸らす。管理部は豊川支部でも異質な存在である。隊舎の電球の交換から隊員の給与計算。はたまた所轄の下請けでやっている駐車禁止の切符切りの時にかなめが乱闘で壊した車の請求書の整理まで、その活動範囲が広い割にあまり他の隊員との接触が無い。
さらにいつもカウラと一緒に行動していると言うことで、島田から関わらないように言われていることもあって、菰田にはヒンヌー教の教祖と言う以外のイメージがわいてこない。
「リゾットねえ、確かにここのそれは絶品なんだよな」
そんな菰田はそう言いながらそのままコンビニの袋から握り飯を取り出して包装を破る。
「そうだな。これはなかなか捨てたものじゃない」
「そうでしょベルガー大尉!」
我がことのようにカウラを見つめて菰田が叫ぶ。だがすぐにカウラの顔が誠を見ていることに気づいて視線を落とす。
「シーチキンかよ。男ならそこで梅干じゃねえのか?」
かなめは菰田の買ってきたコンビニの握り飯を指差す。
「西園寺さんが食べるわけじゃないでしょ?好きだから仕方が無いんですよ」
そう言って自棄になったように菰田は握り飯にかぶりつく。
「残りは明太子と高菜ねえ、いまいちぱっとしないわね」
「クラウゼ少佐。余計なお世話です」
アメリアの茶々をかわすと菰田はテーブルに置かれたやかんから番茶をコップに注いだ。
「そう言えば部屋なんですけど、三つのうちどこにしますか?」
明らかにアメリアとかなめを無視して菰田はカウラに話しかける。
「私は別にこだわりは無いが」
「それじゃあお前が一番奥の部屋な」
そう言ってかなめは粥を口に運ぶ。その表情は明らかに量が足りないと言う不機嫌なものだった。
「じゃあ私が手前の……」
「テメエだといつ神前を襲うかわからねえだろ?アタシがそこに……」
「それはやめるべきだな。アメリアより西園寺の方が危ない」
「どういう意味だ!ベルガー!」
完全に菰田のことを忘れてカウラとかなめがにらみ合う。
「やめましょうよ。食事中ですし」
誠のその言葉で二人はおとなしく座った。誠の言うことはカウラとかなめは聞くという事実が食堂中に知れ渡る。痛い視線を感じて振り返った誠の目の前に、嫉妬に狂うとはどういうことかと言う見本のような菰田の顔があった。
「神前、お前に言われると腹が立つな」
そう言いながら菰田は高菜の握り飯に手をつけた。
「菰田君……嫉妬は見苦しいわよ」
アメリアの時々開く鋭い眼光のひと睨みでヒンヌー教徒の刺すような視線が止んで誠は一息ついた。
「でも、ここは本当に安くていいわね……家賃が。この部屋の賃料なら近くにロッカールーム借りても今の三分の一の値段だもの」
アメリアはゆっくりとリゾットをすする。
「しかし、島田の奴。将校に昇進したくせに何でここを出ねえのか?」
「将校と言っても准尉だ。あくまで正規の士官が技術部部長に着任するまでのつなぎだからな」
かなめの愚痴に付き合うカウラ。いつものことながら見事なコンビネーションだと思いながら誠も粥をすする。
一方、高菜の握り飯を手にする菰田は明らかに不機嫌そうに見えた。
「そういえばグリファン少尉達が来てないですね」
誠は島田とセットの彼女のサラのことを思い出しながらそう言った。
「サラか?あいつは低血圧だからな……パーラが起こしてるんだろ、今頃は」
いつの間に気に入ったのかかなめはリゾットを満足げに食べていた。携帯をいじっているアメリアはサラとパーラに連絡をつけるつもりだろう。周りを見れば当番の隊員達が食器を戻している。
「アイツ等また有給か?残りあるのかよ」
「西園寺。貴様に心配されるほどではないだろ?」
そう言うとカウラは食べ終わったトレーを近くにいた技術部の男子隊員に渡した。
「サラとパーラなら駐車場まで来てるって。島田の馬鹿がメンチカツ弁当じゃなきゃ嫌だとか言ったもんで5軒もコンビニ回って見つけてきたって怒ってたわよ」
「奴らしいや」
かなめがそう言って笑う。とりあえず誠も場の流れに従うようにして笑みを作って見せた。
携帯を仕舞うアメリアの隣でかなめは含み笑いを浮かべていた。
「すいませんねえ、待っていただいちゃって」
島田、サラ、パーラが出勤しようとする当番隊員を押しのけて入ってくる。
「別に待ってなんかいねえよ」
そう言いながらトレーの隅に残ったリゾットをかなめはかき集める。カウラは散々文句を言いながら旨そうにリゾットを食べるかなめをいつものような冷めた目で見ていた。
「ちゃんとおやつも買ってきたよ」
サラが机の上にポテトチップスの袋を置いた。さらに島田、パーラも手一杯の菓子やジュースをテーブルに広げる。
「ちょっと弁当食いますから」
島田はコンビニ弁当を広げた。
「神前、食い終わったか?」
番茶をすするかなめの視線が誠を捕らえる。
「まあどうにか。それじゃあ島田先輩、僕達掃除をしてきます」
「頼むわ。すぐ追いつくと思うけど」
誠は島田の弁当を見て驚いた。島田はもう半分以上食べ終わっている。
「島田先輩、よくそんな速度で食えますね」
「まあな。俺等の仕事は時間との戦いだからな。神前もやる気になれば出来ると思うぞ」
島田は一口でメンチカツをかみ砕いて飲み込んだ。
「そんなことはどうでも良いんだ。サラとパーラ。神前達を手伝ってやれよ。それじゃあ行くぜ」
立ち上がったかなめは、トレーをカウンターに持っていく。
「私達の分も持ってってくれたら良かったのに」
そう言いながらカウラと誠のトレーを自分の上に乗せ、アメリアはそれをカウンターまで運ぶ。
「別にそれくらいで文句言われることじゃねえよ」
かなめはそう言いながらけだるいしぐさで頭を掻いた。
部屋を見回している誠達に向けて食事当番の下士官が声をかけに来た。
「アタシ等のはあるか?」
「ああ、班長と菰田曹長の分を回したから大丈夫ですよ」
「オメエなあ……そんな……飯ぐらい多めに作れよ」
島田ががっくりとうなだれた。
「自業自得でしょ?コンビニ弁当でも買って食えばいいじゃないですか」
そう言うとアメリアは勝ち誇ったように笑う。
「そんな金ねえっての!」
「サラに買ってきてもらえば?」
アメリアの言葉を聴くと、島田は携帯を持ってそのまま消えていく。
「すまんなあ菰田。アタシ等は飯食ってくるから掃除の段取りとか考えといてくれや」
うなだれる菰田の肩を叩きながらかなめ率いる一行は食堂を目指した。
「飯付きか……やっぱ良いよな。アタシは料理ができねえから……助かるわ」
「さすが……甲武一の貴族様でいらっしゃることで」
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「アメリアはよくこの寮に泊まっていると聞くが……」
カウラの言葉にかなめはアメリアを怒りの表情でにらみつけた。
「サラとパーラが一緒にいるわよ……ネタ作りとか、深夜放送を聞いたりとか……まあ、面白いわよ、ここ」
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「そうだけど何か?」
今度はかなめが殴りかかろうとしたのをカウラが止める。
「ああ、サラとパーラも島田君も一緒よ。まったく二人して何やってんだか」
そう言うとアメリアはさっさと食堂に入った。殺気立っているかなめとカウラを刺激しないようにしながら誠も入ってくる。一部に冷ややかな視線を投げてくるのはヒンヌー教徒達だった。
「いい身分じゃねえか、うらやましいねえ」
トレーを手にしながら立つかなめの姿がタレ目を際立たせる。彼女が食堂中を見回るが、多くの隊員は三人を珍しそうに眺めている。
「それにしても……むさくるしいところねえ」
そういいながらまんざらでもない表情のアメリアが厨房の前のトレーを手にする。そして椀に粥を取るとピクルスを瓶からトレーに移す。
「ったく朝から精進料理かよ……ここは寺かよ、ここは」
一汁一菜と言った風情の食事をかなめはしみじみと眺める。
「必要なカロリーは計算されているはずだ、不満だったらそれこそコンビニで買ってくれば良い」
すべてをとり終えたカウラがそのまま近くの席に座る。自然に誠がカウラの隣に座ったとたん、一斉に視線が誠に突き刺さってくる。さらにアメリアが正面に、反対側にはかなめが座った。
三人とも別に気にすることも無く黙々と食事を始めた。誠は周りからの視線に首をすくめながら、トレーに入れた粥をすくった。
「いい身分だな」
コンビニの袋を下げた菰田が食堂に入ってくる。誠は苦手な先任曹長から目を逸らす。管理部は豊川支部でも異質な存在である。隊舎の電球の交換から隊員の給与計算。はたまた所轄の下請けでやっている駐車禁止の切符切りの時にかなめが乱闘で壊した車の請求書の整理まで、その活動範囲が広い割にあまり他の隊員との接触が無い。
さらにいつもカウラと一緒に行動していると言うことで、島田から関わらないように言われていることもあって、菰田にはヒンヌー教の教祖と言う以外のイメージがわいてこない。
「リゾットねえ、確かにここのそれは絶品なんだよな」
そんな菰田はそう言いながらそのままコンビニの袋から握り飯を取り出して包装を破る。
「そうだな。これはなかなか捨てたものじゃない」
「そうでしょベルガー大尉!」
我がことのようにカウラを見つめて菰田が叫ぶ。だがすぐにカウラの顔が誠を見ていることに気づいて視線を落とす。
「シーチキンかよ。男ならそこで梅干じゃねえのか?」
かなめは菰田の買ってきたコンビニの握り飯を指差す。
「西園寺さんが食べるわけじゃないでしょ?好きだから仕方が無いんですよ」
そう言って自棄になったように菰田は握り飯にかぶりつく。
「残りは明太子と高菜ねえ、いまいちぱっとしないわね」
「クラウゼ少佐。余計なお世話です」
アメリアの茶々をかわすと菰田はテーブルに置かれたやかんから番茶をコップに注いだ。
「そう言えば部屋なんですけど、三つのうちどこにしますか?」
明らかにアメリアとかなめを無視して菰田はカウラに話しかける。
「私は別にこだわりは無いが」
「それじゃあお前が一番奥の部屋な」
そう言ってかなめは粥を口に運ぶ。その表情は明らかに量が足りないと言う不機嫌なものだった。
「じゃあ私が手前の……」
「テメエだといつ神前を襲うかわからねえだろ?アタシがそこに……」
「それはやめるべきだな。アメリアより西園寺の方が危ない」
「どういう意味だ!ベルガー!」
完全に菰田のことを忘れてカウラとかなめがにらみ合う。
「やめましょうよ。食事中ですし」
誠のその言葉で二人はおとなしく座った。誠の言うことはカウラとかなめは聞くという事実が食堂中に知れ渡る。痛い視線を感じて振り返った誠の目の前に、嫉妬に狂うとはどういうことかと言う見本のような菰田の顔があった。
「神前、お前に言われると腹が立つな」
そう言いながら菰田は高菜の握り飯に手をつけた。
「菰田君……嫉妬は見苦しいわよ」
アメリアの時々開く鋭い眼光のひと睨みでヒンヌー教徒の刺すような視線が止んで誠は一息ついた。
「でも、ここは本当に安くていいわね……家賃が。この部屋の賃料なら近くにロッカールーム借りても今の三分の一の値段だもの」
アメリアはゆっくりとリゾットをすする。
「しかし、島田の奴。将校に昇進したくせに何でここを出ねえのか?」
「将校と言っても准尉だ。あくまで正規の士官が技術部部長に着任するまでのつなぎだからな」
かなめの愚痴に付き合うカウラ。いつものことながら見事なコンビネーションだと思いながら誠も粥をすする。
一方、高菜の握り飯を手にする菰田は明らかに不機嫌そうに見えた。
「そういえばグリファン少尉達が来てないですね」
誠は島田とセットの彼女のサラのことを思い出しながらそう言った。
「サラか?あいつは低血圧だからな……パーラが起こしてるんだろ、今頃は」
いつの間に気に入ったのかかなめはリゾットを満足げに食べていた。携帯をいじっているアメリアはサラとパーラに連絡をつけるつもりだろう。周りを見れば当番の隊員達が食器を戻している。
「アイツ等また有給か?残りあるのかよ」
「西園寺。貴様に心配されるほどではないだろ?」
そう言うとカウラは食べ終わったトレーを近くにいた技術部の男子隊員に渡した。
「サラとパーラなら駐車場まで来てるって。島田の馬鹿がメンチカツ弁当じゃなきゃ嫌だとか言ったもんで5軒もコンビニ回って見つけてきたって怒ってたわよ」
「奴らしいや」
かなめがそう言って笑う。とりあえず誠も場の流れに従うようにして笑みを作って見せた。
携帯を仕舞うアメリアの隣でかなめは含み笑いを浮かべていた。
「すいませんねえ、待っていただいちゃって」
島田、サラ、パーラが出勤しようとする当番隊員を押しのけて入ってくる。
「別に待ってなんかいねえよ」
そう言いながらトレーの隅に残ったリゾットをかなめはかき集める。カウラは散々文句を言いながら旨そうにリゾットを食べるかなめをいつものような冷めた目で見ていた。
「ちゃんとおやつも買ってきたよ」
サラが机の上にポテトチップスの袋を置いた。さらに島田、パーラも手一杯の菓子やジュースをテーブルに広げる。
「ちょっと弁当食いますから」
島田はコンビニ弁当を広げた。
「神前、食い終わったか?」
番茶をすするかなめの視線が誠を捕らえる。
「まあどうにか。それじゃあ島田先輩、僕達掃除をしてきます」
「頼むわ。すぐ追いつくと思うけど」
誠は島田の弁当を見て驚いた。島田はもう半分以上食べ終わっている。
「島田先輩、よくそんな速度で食えますね」
「まあな。俺等の仕事は時間との戦いだからな。神前もやる気になれば出来ると思うぞ」
島田は一口でメンチカツをかみ砕いて飲み込んだ。
「そんなことはどうでも良いんだ。サラとパーラ。神前達を手伝ってやれよ。それじゃあ行くぜ」
立ち上がったかなめは、トレーをカウンターに持っていく。
「私達の分も持ってってくれたら良かったのに」
そう言いながらカウラと誠のトレーを自分の上に乗せ、アメリアはそれをカウンターまで運ぶ。
「別にそれくらいで文句言われることじゃねえよ」
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