1,163 / 1,503
第8章 海と特殊な部隊
体調不良
しおりを挟む
「遅いっすよー西園寺さん!」
バスの横の荷物入れの前に立っている島田が叫んだ。そしてその目が誠に向くと明らかに何か含むような笑顔に変わった。
「済まねえ!あと一人は乗れるだろ?こいつ乗せてってくれ」
そう言うとかなめは後ろに続く茜を指差した。
「隊長のお嬢さんですか?まあ乗れますけど……なんでここに?」
島田達は不思議そうな視線を茜に送る。
「ちょっとしたご挨拶ですわ。かなめさん、誠さんが遅れてますけど、よろしいのですか?」
「いいんだよ。あいつなら」
そう言ってかなめはバスに駆け込む。カウラとアメリアがその後に続く。ようやく肩で息をしながら荷物を抱えて走る誠が現れる。
「何だってこんなに重いんだよ」
ようやくバスのところまでやってきて、誠はそのまま路上に腰を下ろした。島田は誠の足元にあるかなめのバッグを拾い、一瞬驚いた後、誠を見つめた。
「これ西園寺さんの荷物か。この格好はサブマシンガンでも入ってるんじゃないのか?」
そう言いながら荷物を客席下の空間に島田が詰めていく。誠はへたり込んだままじっとそんな島田を見上げていた。
荷物を積み終えて扉を閉める島田の前で息を整えようと座りなおしている誠がいた。
「神前。なんか顔色悪いけど大丈夫か?」
心配そうに手を出した島田の助けを借りて誠は立ち上がった。相変わらず脂汗が流れる。かなめ達の修羅場で流れるいつものそれとは明らかに違う。どっと倦怠感が襲う。立ちくらみのようなものまでが視界をゆがんだ。
「とりあえず、バスに乗るぞ」
その様子に少し真剣な顔をしながら、島田は誠を抱えるようにしてバスに乗り込んだ。
「なんだ?どこかおかしいのか?」
島田の肩を借りてようやく立っている様な有様の誠に運転席のカウラが尋ねてくる。
「平気です、何とか……」
島田の手から離れて元気なところを見せようとする誠だが、その足元は誰が見てもおぼつかないものだった。
「かなめちゃんに殴られたの?」
「うるせえ、サラ!何でいつもアタシがぶったことになるんだ?」
もうすでにバスに置いたままだったウォッカの小瓶を口にしているかなめが叫ぶ。
「日ごろの行いだよ、この外道!」
「小夏!テメエ表に出ろ!いいから……」
小夏が席から身を乗り出して後部座席にふんぞり返るかなめをにらみつけていた。
「静かに!」
アメリアの一言で二人は落ち着いて椅子に腰を落ち着ける。騒ぐ要素が無くなった車内が静まり帰った。そうなると明らかに様子がおかしい誠に周りの目が集まる。
「誠ちゃんは具合が悪そうだから奥で寝かせてあげましょう」
アメリアはそう言うと立ち上がって後ろを見た。一番後ろの席で菰田達ヒンヌー教徒から酒を押し付けられていた西と目が合った。
「さあ、神前曹長が大変ですよ!」
にこやかにそう言うと肩を貸していた島田は眼力で西を前の座席に移動させて誠を一番後ろの座席に連れて行く。
「大丈夫?誠ちゃん」
アメリアはそう言って誠の手を取る。横たわった誠が薄目を開けると夕日の赤に染められて紫色に輝くアメリアの長い髪が見えた。
「平気だろ?前だって力を使ったときそのまま気絶したこともあったじゃねえか。たぶん同じ理屈なんじゃないか?まあ叔父貴に後で報告する必要は有るかも知れねえがな」
淡々とそう言うとかなめは菰田達をにらみつける。さすがに命が惜しいので菰田も席を立ち空いている前の席に移る。島田から誠を支えるのを引き継いだかなめがゆっくりと青ざめた表情の誠を寝かせて彼の前の席に陣取った。
「法術発動の効率が悪いかも知れませんわね。わかりました。しばらくは私が訓練の相手をさせていただくわ」
いつの間にかかなめの隣にちょこんと座っていた茜にかなめとカウラは驚いた。
「嵯峨茜。貴様が訓練をするというのか?」
カウラの言葉に棘がある。誠は倒れたままそんなカウラと茜を見上げていた。
「仕方がないことではありませんの?現在、法術特捜の構成員は三人ですわ。とてもこれから多発するであろう事件に対応するには手が足りない状況ですもの。誠さんのお力も借りなければなりませんから。当然お父様もそのおつもりですわよ」
明らかに誠の占有を宣言した茜の態度に不愉快そうにかなめは再びウォッカをあおる。
「オメエ、基地に常駐でもするつもりか?」
あざ笑うつもりで言ったかなめの言葉に無言で茜がうなづく。そして彼女が冗談を言うような人間ではないことを知っているかなめはただ呆れたように口に咥えていた酒瓶を座席横に置いた。
「仕方ないですわね。上層部は現在法術特捜に必要な人材を集めている最中。しばらくは比較的暇なお父様の部隊の応援で仕事をすることになりそうですわね。それにしても……ガサツな誰かさんと年中顔を合わせることを想像するとうんざりしますわね」
再び皮肉を炸裂させて切れ長の目で茜はかなめを見つめる。その余裕のある態度がさらにかなめをヒートアップさせた。
「何だと!コラ!」
思わず立ち上がったかなめは隣のカウラと誠に付き添っているアメリアに取り押さえられる。
「静かにしないとだめよ!病人がいるんですから!」
再び前の席からアメリアの叫び声が聞こえる。その言葉に間違いが無いので仕方ないと言うようにかなめはうなだれる。一方一人余裕で茜は手にした剣を握りなおしている。
「それにあなた達では神前君の本来の能力を開発することは出来ませんわ。その資格があるのはお父様かクバルカ中佐……それに私だけ」
かなめはその言葉を聞くとうつむいてしまった。誠は二人のやり取りを黙って横になったまま見上げていた。そしてどちらかと言うと冷徹にも見える茜の言葉に一言言いたいと思いながらも自由に任せない自分の体を呪っていた。
「出ますよ!座ってくださいね!」
島田の声が響く。バスはゆっくりと動き出した。
「茜さん」
誠はようやく言葉を搾り出せる程度に回復していた。
「何かしら?」
「これからもこんなことが続くんですか?」
誠のその言葉に一同は静まり返った。誠の法術の力を狙っての襲撃事件。二月で二回というのは明らかに多い頻度なのは全員が知っている。
「そうなるわね。私がお父様からいただいたシミュレータと実機の起動時に発生させた法力の展開に関するデータを見させていただいた限りでは、誠さんの潜在能力の高さは驚異的と言っても過言ではないレベルですわ。それこそ数千万人に一人いるかどうか」
「僕が、ですか」
誠はその言葉にうなだれた。一月前にはただの射撃が下手な幹部候補生に過ぎなかった自分がそんな重要な存在になっていた事実に打ちのめされた。
「そして、その精神的弱さも矯正する必要がありますわね」
大きすぎる自分の力。それに振り回されているようで何も出来ない自分。無力感にさいなまれて目をつぶった。
「とりあえず寝ます。着いたら起こしてください」
そう言うと誠は目をつぶった。
誠は目をつぶる。彼を囲むかなめ、茜、アメリアが小声で話し合っているのが聞こえてくる。かなめが声を荒げようとするたびに、アメリアがそれを制している。振動が適度な子守唄となり、交代でカラオケを歌い続けているサラとパーラの歌声が次第に誠の意識を奪っていった。
バスの横の荷物入れの前に立っている島田が叫んだ。そしてその目が誠に向くと明らかに何か含むような笑顔に変わった。
「済まねえ!あと一人は乗れるだろ?こいつ乗せてってくれ」
そう言うとかなめは後ろに続く茜を指差した。
「隊長のお嬢さんですか?まあ乗れますけど……なんでここに?」
島田達は不思議そうな視線を茜に送る。
「ちょっとしたご挨拶ですわ。かなめさん、誠さんが遅れてますけど、よろしいのですか?」
「いいんだよ。あいつなら」
そう言ってかなめはバスに駆け込む。カウラとアメリアがその後に続く。ようやく肩で息をしながら荷物を抱えて走る誠が現れる。
「何だってこんなに重いんだよ」
ようやくバスのところまでやってきて、誠はそのまま路上に腰を下ろした。島田は誠の足元にあるかなめのバッグを拾い、一瞬驚いた後、誠を見つめた。
「これ西園寺さんの荷物か。この格好はサブマシンガンでも入ってるんじゃないのか?」
そう言いながら荷物を客席下の空間に島田が詰めていく。誠はへたり込んだままじっとそんな島田を見上げていた。
荷物を積み終えて扉を閉める島田の前で息を整えようと座りなおしている誠がいた。
「神前。なんか顔色悪いけど大丈夫か?」
心配そうに手を出した島田の助けを借りて誠は立ち上がった。相変わらず脂汗が流れる。かなめ達の修羅場で流れるいつものそれとは明らかに違う。どっと倦怠感が襲う。立ちくらみのようなものまでが視界をゆがんだ。
「とりあえず、バスに乗るぞ」
その様子に少し真剣な顔をしながら、島田は誠を抱えるようにしてバスに乗り込んだ。
「なんだ?どこかおかしいのか?」
島田の肩を借りてようやく立っている様な有様の誠に運転席のカウラが尋ねてくる。
「平気です、何とか……」
島田の手から離れて元気なところを見せようとする誠だが、その足元は誰が見てもおぼつかないものだった。
「かなめちゃんに殴られたの?」
「うるせえ、サラ!何でいつもアタシがぶったことになるんだ?」
もうすでにバスに置いたままだったウォッカの小瓶を口にしているかなめが叫ぶ。
「日ごろの行いだよ、この外道!」
「小夏!テメエ表に出ろ!いいから……」
小夏が席から身を乗り出して後部座席にふんぞり返るかなめをにらみつけていた。
「静かに!」
アメリアの一言で二人は落ち着いて椅子に腰を落ち着ける。騒ぐ要素が無くなった車内が静まり帰った。そうなると明らかに様子がおかしい誠に周りの目が集まる。
「誠ちゃんは具合が悪そうだから奥で寝かせてあげましょう」
アメリアはそう言うと立ち上がって後ろを見た。一番後ろの席で菰田達ヒンヌー教徒から酒を押し付けられていた西と目が合った。
「さあ、神前曹長が大変ですよ!」
にこやかにそう言うと肩を貸していた島田は眼力で西を前の座席に移動させて誠を一番後ろの座席に連れて行く。
「大丈夫?誠ちゃん」
アメリアはそう言って誠の手を取る。横たわった誠が薄目を開けると夕日の赤に染められて紫色に輝くアメリアの長い髪が見えた。
「平気だろ?前だって力を使ったときそのまま気絶したこともあったじゃねえか。たぶん同じ理屈なんじゃないか?まあ叔父貴に後で報告する必要は有るかも知れねえがな」
淡々とそう言うとかなめは菰田達をにらみつける。さすがに命が惜しいので菰田も席を立ち空いている前の席に移る。島田から誠を支えるのを引き継いだかなめがゆっくりと青ざめた表情の誠を寝かせて彼の前の席に陣取った。
「法術発動の効率が悪いかも知れませんわね。わかりました。しばらくは私が訓練の相手をさせていただくわ」
いつの間にかかなめの隣にちょこんと座っていた茜にかなめとカウラは驚いた。
「嵯峨茜。貴様が訓練をするというのか?」
カウラの言葉に棘がある。誠は倒れたままそんなカウラと茜を見上げていた。
「仕方がないことではありませんの?現在、法術特捜の構成員は三人ですわ。とてもこれから多発するであろう事件に対応するには手が足りない状況ですもの。誠さんのお力も借りなければなりませんから。当然お父様もそのおつもりですわよ」
明らかに誠の占有を宣言した茜の態度に不愉快そうにかなめは再びウォッカをあおる。
「オメエ、基地に常駐でもするつもりか?」
あざ笑うつもりで言ったかなめの言葉に無言で茜がうなづく。そして彼女が冗談を言うような人間ではないことを知っているかなめはただ呆れたように口に咥えていた酒瓶を座席横に置いた。
「仕方ないですわね。上層部は現在法術特捜に必要な人材を集めている最中。しばらくは比較的暇なお父様の部隊の応援で仕事をすることになりそうですわね。それにしても……ガサツな誰かさんと年中顔を合わせることを想像するとうんざりしますわね」
再び皮肉を炸裂させて切れ長の目で茜はかなめを見つめる。その余裕のある態度がさらにかなめをヒートアップさせた。
「何だと!コラ!」
思わず立ち上がったかなめは隣のカウラと誠に付き添っているアメリアに取り押さえられる。
「静かにしないとだめよ!病人がいるんですから!」
再び前の席からアメリアの叫び声が聞こえる。その言葉に間違いが無いので仕方ないと言うようにかなめはうなだれる。一方一人余裕で茜は手にした剣を握りなおしている。
「それにあなた達では神前君の本来の能力を開発することは出来ませんわ。その資格があるのはお父様かクバルカ中佐……それに私だけ」
かなめはその言葉を聞くとうつむいてしまった。誠は二人のやり取りを黙って横になったまま見上げていた。そしてどちらかと言うと冷徹にも見える茜の言葉に一言言いたいと思いながらも自由に任せない自分の体を呪っていた。
「出ますよ!座ってくださいね!」
島田の声が響く。バスはゆっくりと動き出した。
「茜さん」
誠はようやく言葉を搾り出せる程度に回復していた。
「何かしら?」
「これからもこんなことが続くんですか?」
誠のその言葉に一同は静まり返った。誠の法術の力を狙っての襲撃事件。二月で二回というのは明らかに多い頻度なのは全員が知っている。
「そうなるわね。私がお父様からいただいたシミュレータと実機の起動時に発生させた法力の展開に関するデータを見させていただいた限りでは、誠さんの潜在能力の高さは驚異的と言っても過言ではないレベルですわ。それこそ数千万人に一人いるかどうか」
「僕が、ですか」
誠はその言葉にうなだれた。一月前にはただの射撃が下手な幹部候補生に過ぎなかった自分がそんな重要な存在になっていた事実に打ちのめされた。
「そして、その精神的弱さも矯正する必要がありますわね」
大きすぎる自分の力。それに振り回されているようで何も出来ない自分。無力感にさいなまれて目をつぶった。
「とりあえず寝ます。着いたら起こしてください」
そう言うと誠は目をつぶった。
誠は目をつぶる。彼を囲むかなめ、茜、アメリアが小声で話し合っているのが聞こえてくる。かなめが声を荒げようとするたびに、アメリアがそれを制している。振動が適度な子守唄となり、交代でカラオケを歌い続けているサラとパーラの歌声が次第に誠の意識を奪っていった。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
潜水艦艦長 深海調査手記
ただのA
SF
深海探査潜水艦ネプトゥヌスの艦長ロバート・L・グレイ が深海で発見した生物、現象、景観などを書き残した手記。
皆さんも艦長の手記を通して深海の神秘に触れてみませんか?
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
レジェンド・オブ・ダーク遼州司法局異聞 2 「新たな敵」
橋本 直
SF
「近藤事件」の決着がついて「法術」の存在が世界に明らかにされた。
そんな緊張にも当事者でありながら相変わらずアバウトに受け流す遼州司法局実働部隊の面々はちょっとした神前誠(しんぜんまこと)とカウラ・ベルガーとの約束を口実に海に出かけることになった。
西園寺かなめの意外なもてなしや海での意外な事件に誠は戸惑う。
ふたりの窮地を救う部隊長嵯峨惟基(さがこれもと)の娘と言う嵯峨茜(さがあかね)警視正。
また、新編成された第四小隊の面々であるアメリカ海軍出身のロナルド・スミスJr特務大尉、ジョージ・岡部中尉、フェデロ・マルケス中尉や、技術士官レベッカ・シンプソン中尉の4名の新入隊員の配属が決まる。
新たなメンバーを加えても相変わらずの司法局実働部隊メンバーだったが嵯峨の気まぐれから西園寺かなめ、カウラ・ベルガー、アイシャ・クラウゼの三人に特殊なミッションが与えられる。
誠はただ振り回されるだけだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる