1,113 / 1,531
第43章 勝利の宴
味覚の殿堂
しおりを挟む
「しかし……緊張するとすぐに吐瀉するとは……少したるんでいるんじゃないのか?」
医務室から出ると誠を捕まえたカウラがそう言ってにらみつけた。
「カウラ……こいつになんか文句あんのか?」
「西園寺さん……良いんですよ……」
誠は頭を掻きながら笑っていた。
「今日の宴会の主役は我等がヒーローである誠ちゃんよ!なんでも『釣り部』がとっておきの『クエ』を出すから、『クエ鍋』なんですって!よかったわね、誠ちゃん」
糸目でほほ笑むアメリアの口調には純粋に誠をおもちゃにするお姉さん気質があふれていた。
「『クエ鍋』?なんだよ『クエ』って……『食う』から鍋だろ?とっておきなら『トラフグ』とか『アンコウ』とかじゃねえの?」
島田は意味も分からず彼女のサラと見つめあう。この二人はアホなので誠も知っている『高級料理』の知識がないことは予想ができた。
「島田君……『フグ』はね、養殖ができるから安いのがあるの!『アンコウ』は獲るのに底引き網漁を使うから獲れるときはいっぺんに取れるわけ。でも『クエ』は滅多に獲れない幻の魚なの。うちの『釣り部』だって年に数回ぐらいしか食べないんだから……」
無知な島田のボケにパーラが丁寧なフォローを入れた。
「年に数回もクエを食べるって……うちの『釣りマニア』はどういう食生活を送ってるんですか?」
さすがの誠も彼等が魚のみでたんぱく質を取っていることは今でも信じられなかった。
「西園寺大尉!」
急にアメリアがそう叫んだ。
「なんだよ、芸人」
かなめは嫌々そう言ってアメリアのハイテンションに付き合う。
「私は『少佐』。かなめちゃんは『中尉』。そして、私はこの『ふさ』の艦長 なの。かなめちゃん流に言うと『格が違う』わけ?分かった?」
そう言うアメリアの態度には嫌味の成分があふれていた。
『ハイ!少佐殿』
普段自分が『女王様』としてふるまっているだけに以後の偉そうな態度が否定されると感じたのか、かなめはわざとらしくそう叫んだ。
「西園寺中尉はガスコンロ等の物資をハンガーに運搬する指揮を執ること!ラビロフ中尉!グリファン少尉!島田曹長!」
アメリアは視線をパーラ・ラビロフ、サラ・グリファン、島田正人の三名に向けた。
『ハイ!』
「以上は会場の設営の指揮を担当!以上!かかれ!」
『了解!』
三人はアメリアのこんな急な態度の変化に慣れているらしく、きびきびとした態度で廊下を走っていった。
「僕とカウラさんはなにを?」
残された誠とカウラはアメリアのおもちゃにされる恐怖から顔を引きつらせて彼女の糸目を見つめた。
「ああ、誠ちゃんは主賓でしょ?それにカウラちゃんはいい子だからそのお供。今頃は、『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐がご自慢の『いい酒』を選んでいるころだと思うけど」
そう言ってアメリアは二人を置いて今来た医務室に足を向けた。
「アメリアさん。どこに行くんですか?」
誠の問いにアメリアは満面の笑みを浮かべる。
「当然、隊長に持ってきた甲種焼酎以外の酒の供出を要求するわけ。何かあった時に『甲武国』の偉い軍人さんに送る用の酒も持ってきてるはずだから。どうせあの人にはどうせ安酒しか口に合わないって公言してるし」
そんなアメリアの一言に誠は彼女がある意味『鬼』である事実に気づいて驚愕した。
誠とカウラ。二人は医務室を出て廊下を格納庫に向けて歩いた。技術部員がコンロやテーブルを持って走るのが目に入る。一方、運航部の『ラストバタリオン』の女子士官達がビールや焼酎を台車に乗せて行きかう。
「何でこんな用意が良いんですか?」
次々と出てくる宴会用品に呆れながら誠がカウラに尋ねた。
「いいんじゃないのか?たまに楽しむのも」
カウラは笑顔を保ったままで、脇をすり抜ける技術部員の不思議そうな視線を見送っていた。
「そう言えば『釣り部』の人は見ないのですが、調理中ですか?」
「ああ、あいつ等か?魚類にすべてをささげ、『神』とあがめる連中だからな。これからそれを食する前に『神』に祈りでも捧げてるんじゃないか?」
「はあ……」
誠は彼等の『釣り』に対する情熱をこの数日で理解していたので、彼等が隊員の誰かを生贄に捧げていたとしても不思議だとは思わなかった。
「土鍋、あるだけ持ってこい!そこ!しゃべってる暇あったらテーブル運ぶの手伝え!」
エレベータの所では島田が部下達を指揮していた。
「島田先輩!」
「おう、ちょっと待てよ。とりあえず設営やってるところだから。そこの自販機でジュースでも買ってろ!俺は奢らないがな!」
そう言って島田はまた作業に戻る。
「そうだな、誠。少し休んでいくか?」
カウラが自分の名前の方を呼んでくれた。少しばかりその言葉が頭の中を回転する。
「どうした?」
不思議そうにカウラは誠をエメラルドグリーンの瞳で見つめる。
「そうですね。ははは、とりあえず座りましょう」
そう言うと頭をかきながら誠はソファーに腰掛けた。
「何を飲む?マックスコーヒーで良いか?」
「甘いの苦手なんで、普通のコーヒー。出来ればブラックで」
カウラは自分のカードを取り出すとコーヒーを選んだ。ガタガタと音を立てて熱いコーヒーの缶が落ちてくる。
「熱いぞ、気をつけろ」
そう言うとカウラは缶コーヒーを誠に手渡した。
「どうだ?ここの居心地は」
野菜ジュースを取り出し口から出しながらカウラがそう尋ねた。この『特殊な部隊』は編成されてまだ二年半と言う司法実力部隊である。彼女も東和共和国陸軍に所属していた経歴がある以上、同じように嵯峨の強烈な個性に染まった司法局実働部隊に戸惑ったこともあるのだろう。
「出動の後はいつもこんな感じなんですか?」
誠は隣に座ったカウラの緑の髪を見ながら缶コーヒーを啜る。
「出動は、部隊創設以来二回目だ。ほとんどは東都警察の特殊部隊の増援、同盟加盟国の会議時の警備の応援、災害時の治安出動などが多いな。もっとも、最近は県警の縄張り意識が強くなってきて、あちらの人手が足りないと言うことでネズミ捕りの応援や路駐の摘発なんてことしかしないこともある」
そう言いながら野菜ジュースのふたを開けるカウラ。エレベータはひっきりなしに食堂とハンガーの間を往復し続けた。
医務室から出ると誠を捕まえたカウラがそう言ってにらみつけた。
「カウラ……こいつになんか文句あんのか?」
「西園寺さん……良いんですよ……」
誠は頭を掻きながら笑っていた。
「今日の宴会の主役は我等がヒーローである誠ちゃんよ!なんでも『釣り部』がとっておきの『クエ』を出すから、『クエ鍋』なんですって!よかったわね、誠ちゃん」
糸目でほほ笑むアメリアの口調には純粋に誠をおもちゃにするお姉さん気質があふれていた。
「『クエ鍋』?なんだよ『クエ』って……『食う』から鍋だろ?とっておきなら『トラフグ』とか『アンコウ』とかじゃねえの?」
島田は意味も分からず彼女のサラと見つめあう。この二人はアホなので誠も知っている『高級料理』の知識がないことは予想ができた。
「島田君……『フグ』はね、養殖ができるから安いのがあるの!『アンコウ』は獲るのに底引き網漁を使うから獲れるときはいっぺんに取れるわけ。でも『クエ』は滅多に獲れない幻の魚なの。うちの『釣り部』だって年に数回ぐらいしか食べないんだから……」
無知な島田のボケにパーラが丁寧なフォローを入れた。
「年に数回もクエを食べるって……うちの『釣りマニア』はどういう食生活を送ってるんですか?」
さすがの誠も彼等が魚のみでたんぱく質を取っていることは今でも信じられなかった。
「西園寺大尉!」
急にアメリアがそう叫んだ。
「なんだよ、芸人」
かなめは嫌々そう言ってアメリアのハイテンションに付き合う。
「私は『少佐』。かなめちゃんは『中尉』。そして、私はこの『ふさ』の艦長 なの。かなめちゃん流に言うと『格が違う』わけ?分かった?」
そう言うアメリアの態度には嫌味の成分があふれていた。
『ハイ!少佐殿』
普段自分が『女王様』としてふるまっているだけに以後の偉そうな態度が否定されると感じたのか、かなめはわざとらしくそう叫んだ。
「西園寺中尉はガスコンロ等の物資をハンガーに運搬する指揮を執ること!ラビロフ中尉!グリファン少尉!島田曹長!」
アメリアは視線をパーラ・ラビロフ、サラ・グリファン、島田正人の三名に向けた。
『ハイ!』
「以上は会場の設営の指揮を担当!以上!かかれ!」
『了解!』
三人はアメリアのこんな急な態度の変化に慣れているらしく、きびきびとした態度で廊下を走っていった。
「僕とカウラさんはなにを?」
残された誠とカウラはアメリアのおもちゃにされる恐怖から顔を引きつらせて彼女の糸目を見つめた。
「ああ、誠ちゃんは主賓でしょ?それにカウラちゃんはいい子だからそのお供。今頃は、『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐がご自慢の『いい酒』を選んでいるころだと思うけど」
そう言ってアメリアは二人を置いて今来た医務室に足を向けた。
「アメリアさん。どこに行くんですか?」
誠の問いにアメリアは満面の笑みを浮かべる。
「当然、隊長に持ってきた甲種焼酎以外の酒の供出を要求するわけ。何かあった時に『甲武国』の偉い軍人さんに送る用の酒も持ってきてるはずだから。どうせあの人にはどうせ安酒しか口に合わないって公言してるし」
そんなアメリアの一言に誠は彼女がある意味『鬼』である事実に気づいて驚愕した。
誠とカウラ。二人は医務室を出て廊下を格納庫に向けて歩いた。技術部員がコンロやテーブルを持って走るのが目に入る。一方、運航部の『ラストバタリオン』の女子士官達がビールや焼酎を台車に乗せて行きかう。
「何でこんな用意が良いんですか?」
次々と出てくる宴会用品に呆れながら誠がカウラに尋ねた。
「いいんじゃないのか?たまに楽しむのも」
カウラは笑顔を保ったままで、脇をすり抜ける技術部員の不思議そうな視線を見送っていた。
「そう言えば『釣り部』の人は見ないのですが、調理中ですか?」
「ああ、あいつ等か?魚類にすべてをささげ、『神』とあがめる連中だからな。これからそれを食する前に『神』に祈りでも捧げてるんじゃないか?」
「はあ……」
誠は彼等の『釣り』に対する情熱をこの数日で理解していたので、彼等が隊員の誰かを生贄に捧げていたとしても不思議だとは思わなかった。
「土鍋、あるだけ持ってこい!そこ!しゃべってる暇あったらテーブル運ぶの手伝え!」
エレベータの所では島田が部下達を指揮していた。
「島田先輩!」
「おう、ちょっと待てよ。とりあえず設営やってるところだから。そこの自販機でジュースでも買ってろ!俺は奢らないがな!」
そう言って島田はまた作業に戻る。
「そうだな、誠。少し休んでいくか?」
カウラが自分の名前の方を呼んでくれた。少しばかりその言葉が頭の中を回転する。
「どうした?」
不思議そうにカウラは誠をエメラルドグリーンの瞳で見つめる。
「そうですね。ははは、とりあえず座りましょう」
そう言うと頭をかきながら誠はソファーに腰掛けた。
「何を飲む?マックスコーヒーで良いか?」
「甘いの苦手なんで、普通のコーヒー。出来ればブラックで」
カウラは自分のカードを取り出すとコーヒーを選んだ。ガタガタと音を立てて熱いコーヒーの缶が落ちてくる。
「熱いぞ、気をつけろ」
そう言うとカウラは缶コーヒーを誠に手渡した。
「どうだ?ここの居心地は」
野菜ジュースを取り出し口から出しながらカウラがそう尋ねた。この『特殊な部隊』は編成されてまだ二年半と言う司法実力部隊である。彼女も東和共和国陸軍に所属していた経歴がある以上、同じように嵯峨の強烈な個性に染まった司法局実働部隊に戸惑ったこともあるのだろう。
「出動の後はいつもこんな感じなんですか?」
誠は隣に座ったカウラの緑の髪を見ながら缶コーヒーを啜る。
「出動は、部隊創設以来二回目だ。ほとんどは東都警察の特殊部隊の増援、同盟加盟国の会議時の警備の応援、災害時の治安出動などが多いな。もっとも、最近は県警の縄張り意識が強くなってきて、あちらの人手が足りないと言うことでネズミ捕りの応援や路駐の摘発なんてことしかしないこともある」
そう言いながら野菜ジュースのふたを開けるカウラ。エレベータはひっきりなしに食堂とハンガーの間を往復し続けた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第六部 『特殊な部隊の特殊な自主映画』
橋本 直
SF
毎年恒例の時代行列に加えて豊川市から映画作成を依頼された『特殊な部隊』こと司法局実働部隊。
自主映画作品を作ることになるのだがアメリアとサラの暴走でテーマをめぐり大騒ぎとなる。
いざテーマが決まってもアメリアの極めて趣味的な魔法少女ストーリに呆れて隊員達はてんでんばらばらに活躍を見せる。
そんな先輩達に振り回されながら誠は自分がキャラデザインをしたという責任感のみで参加する。
どたばたの日々が始まるのだった……。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる