1,010 / 1,531
第7章 気のいいアンちゃん
結果、気に入られた
しおりを挟む
「おい、バイクは好きか……」
そう言って島田は自分のピカピカのバイクを見せた。
「嫌いじゃないですよ。メカニカルなものが好きなんで」
とりあえず話題を合わせようと誠はそう言った。事実ではあるので、その言葉に疚しさは感じなかった。
「そうか!好きか!やっぱ良いわ、お前。ますます気に入った。パイロットでメカを理解しようとしているのは、あのちっちゃな姐御だけだからな。好きか……好きなんだな」
そう言って島田は満足げにうなづき、自分のバイクのシートをなでる。
「大学もそれで選んだんで」
確かにそれも事実だった。何かわからないが、何かを作りたい。その為に必要な機械、化学のことを学べる学科に入りたい。その為に理科大にその学科があるので、それなりに勉強して合格した。それもまた事実だった。
「そうか、理科大は色々学科がそろってるからな。俺の入った電大は電気系の学科は色々あるが、機械となると……少ないんだ学科が」
瓶の『モヒート』の味は癖になるものだった。誠はそれを味わいながら、上機嫌の島田を観察していた。
「今、少し俺のこと馬鹿にしてる?俺の方が偏差値高いとか思ってる?」
島田はチューハイの缶を握るとそう言いながら誠をにらみつけた。
「違います!そんな目してないです!」
瓶のモヒートを飲み終わった誠は、そう言いながら空いた缶を地面に置いた。
「じゃあ……」
そう言いながら、島田はつなぎの後ろのポケットから小銭入れを取り出した。
「なんです?」
島田は立ち上がって小銭入れを脇に挟んだ。そのままバイクに近づいていく。
「何か言いたいことがあるんじゃないですか?」
「ちょっと待ってろ、タバコだ」
そう言って島田はバイクの前輪の前に置いてあった缶を手に取る。
「タバコじゃないんですか?」
その缶を眺めて手に取って見回している島田に誠は声を掛ける。
「缶ピー。缶に入ってる。ほら」
そう言って島田は白いものを取り出した。タバコが身近なものではない誠にもその白く細長い物体はタバコにしか見えなかった。島田はそれを口にくわえると、別のポケットから取り出したジッポーでタバコに火をつけた。そして、脇に挟んでいた小銭入れの中を見ながら誠に近づいてくる。ニコニコ笑いながら近づいてくる島田を見て、誠は直感で悪いことが起きるようなそんな雰囲気を感じた。
「ここに五円玉あるじゃん」
そう言って島田は誠に見えるように小銭入れの中から五円玉を取り出して誠の前に取り出す。
「ええ、確かに五円玉ですね」
自然と誠は手を伸ばす。島田は当然のようにそれを誠の手の中央に置いた。
「五円やる。それでスパゲティーナポリタンを作れ。時間は五秒やる。それで作って俺に食わせろ」
突然、島田は理解不能な鳴き声をあげた。誠は理解できずにただこういうしかなかった。
「そんなの無理ですよー!」
明らかに困り果てている誠に島田はタバコの煙を吹きかけた。
「やってもみねえのに、あきらめるな!やりゃあできるんだよ!なんでも……じゃあ数えるぞ。五秒で作れ。1,2、3……」
島田は右手を出して指を折って数えていく。
「できないですよ!そんなこと!できないと何をするんですか!」
誠は半泣きで叫ぶ。島田はその表情に満足したように話を続けた。
「んなもん、決まってるだろ?俺がタバコを吸っててこう言ったら……そして、その願いがかなえられない時は当然……根性焼き」
そう言って島田は咥えていたタバコを手に取る。
「根性焼き……聞いたことはありますが……何をどうするか……」
誠はどうせ島田のことだから、ろくでもないことをするとは想像しているが、確認のためにそう尋ねた。
「さっきの五円玉を渡したのと同じ要領でこのタバコを手のひらに押し付ける。それが根性焼き」
島田はそう言うと悪党の笑顔を浮かべながら誠を見つめた。
「それは単なるいじめですよ!」
もう目の前の不良そのものの島田にはこうしてジェスチャーで伝えなければ理解できない。その思いから誠は大げさに両腕を振り回しながら叫んだ。
「嘘だよー。ビビった?そんなのやるわけないじゃん。気に入ったって言ってんだろ?冗談だよ。おめえ、偏差値高いわりに馬鹿なんだな」
そう言ってニヤリと笑うと、島田は誠に背を向けた。
「島田先輩!酷いですよ!これじゃあいじめです!いたずらにしても度が過ぎます!」
誠は本気で怒りながら、歩いてバイクに向かう島田の背中に向けて抗議した。
「なあに、お前を気に入ったのは本当。これはちょっとしたいたずら。俺のいたずらはどうにも度が過ぎるってちっちゃい姐御からいわれるよ。まあそうなんだろうな」
そう言うと島田はバイクの前にしゃがみこんだ。
セミの鳴き声に交じってサイレンの音が響いた。
「昼か……弁当はあるか?」
立ち上がった島田はそう言ってにやりと笑う。
「持ってきてないですけど……コンビニとかは?」
誠の問いに島田はあきれ果てたという表情をする。
「そんなもん工場の外まで行かなきゃねえよ。まあ、今日は仕出しの弁当を取ってるから。そいつを食ってけ」
島田はそう言うと本部の建物に向けて歩き始めた。
「どうもすみません」
「なに謝ってんだよ。オメエはこれまで来た軽薄な馬鹿とは違うんだ。何しろ俺の舎弟になるんだからな!」
そう言って誠の肩を叩く島田を見て、誠は少し嫌な予感がした。
「舎弟ですか?」
「そう、舎弟。パシリ、丁稚、下請け。どう呼ぶのがいい?」
島田は肩で風を切って歩きながらそう言った。
「舎弟、パシリ、丁稚、下請け……どれも嫌ですけど」
「なあに、新人なんて社会に出たらみんなやらされるんだよ、パシリをさ。だから、次の新人が来るまではオメエが一番下のパシリ。さっきの新米もオメエの先輩だから。ちゃんと顔を立てろよ」
上機嫌の島田を見ながら誠は自分が『体育会系・縦社会』に取り込まれていくのを感じていた。
そう言って島田は自分のピカピカのバイクを見せた。
「嫌いじゃないですよ。メカニカルなものが好きなんで」
とりあえず話題を合わせようと誠はそう言った。事実ではあるので、その言葉に疚しさは感じなかった。
「そうか!好きか!やっぱ良いわ、お前。ますます気に入った。パイロットでメカを理解しようとしているのは、あのちっちゃな姐御だけだからな。好きか……好きなんだな」
そう言って島田は満足げにうなづき、自分のバイクのシートをなでる。
「大学もそれで選んだんで」
確かにそれも事実だった。何かわからないが、何かを作りたい。その為に必要な機械、化学のことを学べる学科に入りたい。その為に理科大にその学科があるので、それなりに勉強して合格した。それもまた事実だった。
「そうか、理科大は色々学科がそろってるからな。俺の入った電大は電気系の学科は色々あるが、機械となると……少ないんだ学科が」
瓶の『モヒート』の味は癖になるものだった。誠はそれを味わいながら、上機嫌の島田を観察していた。
「今、少し俺のこと馬鹿にしてる?俺の方が偏差値高いとか思ってる?」
島田はチューハイの缶を握るとそう言いながら誠をにらみつけた。
「違います!そんな目してないです!」
瓶のモヒートを飲み終わった誠は、そう言いながら空いた缶を地面に置いた。
「じゃあ……」
そう言いながら、島田はつなぎの後ろのポケットから小銭入れを取り出した。
「なんです?」
島田は立ち上がって小銭入れを脇に挟んだ。そのままバイクに近づいていく。
「何か言いたいことがあるんじゃないですか?」
「ちょっと待ってろ、タバコだ」
そう言って島田はバイクの前輪の前に置いてあった缶を手に取る。
「タバコじゃないんですか?」
その缶を眺めて手に取って見回している島田に誠は声を掛ける。
「缶ピー。缶に入ってる。ほら」
そう言って島田は白いものを取り出した。タバコが身近なものではない誠にもその白く細長い物体はタバコにしか見えなかった。島田はそれを口にくわえると、別のポケットから取り出したジッポーでタバコに火をつけた。そして、脇に挟んでいた小銭入れの中を見ながら誠に近づいてくる。ニコニコ笑いながら近づいてくる島田を見て、誠は直感で悪いことが起きるようなそんな雰囲気を感じた。
「ここに五円玉あるじゃん」
そう言って島田は誠に見えるように小銭入れの中から五円玉を取り出して誠の前に取り出す。
「ええ、確かに五円玉ですね」
自然と誠は手を伸ばす。島田は当然のようにそれを誠の手の中央に置いた。
「五円やる。それでスパゲティーナポリタンを作れ。時間は五秒やる。それで作って俺に食わせろ」
突然、島田は理解不能な鳴き声をあげた。誠は理解できずにただこういうしかなかった。
「そんなの無理ですよー!」
明らかに困り果てている誠に島田はタバコの煙を吹きかけた。
「やってもみねえのに、あきらめるな!やりゃあできるんだよ!なんでも……じゃあ数えるぞ。五秒で作れ。1,2、3……」
島田は右手を出して指を折って数えていく。
「できないですよ!そんなこと!できないと何をするんですか!」
誠は半泣きで叫ぶ。島田はその表情に満足したように話を続けた。
「んなもん、決まってるだろ?俺がタバコを吸っててこう言ったら……そして、その願いがかなえられない時は当然……根性焼き」
そう言って島田は咥えていたタバコを手に取る。
「根性焼き……聞いたことはありますが……何をどうするか……」
誠はどうせ島田のことだから、ろくでもないことをするとは想像しているが、確認のためにそう尋ねた。
「さっきの五円玉を渡したのと同じ要領でこのタバコを手のひらに押し付ける。それが根性焼き」
島田はそう言うと悪党の笑顔を浮かべながら誠を見つめた。
「それは単なるいじめですよ!」
もう目の前の不良そのものの島田にはこうしてジェスチャーで伝えなければ理解できない。その思いから誠は大げさに両腕を振り回しながら叫んだ。
「嘘だよー。ビビった?そんなのやるわけないじゃん。気に入ったって言ってんだろ?冗談だよ。おめえ、偏差値高いわりに馬鹿なんだな」
そう言ってニヤリと笑うと、島田は誠に背を向けた。
「島田先輩!酷いですよ!これじゃあいじめです!いたずらにしても度が過ぎます!」
誠は本気で怒りながら、歩いてバイクに向かう島田の背中に向けて抗議した。
「なあに、お前を気に入ったのは本当。これはちょっとしたいたずら。俺のいたずらはどうにも度が過ぎるってちっちゃい姐御からいわれるよ。まあそうなんだろうな」
そう言うと島田はバイクの前にしゃがみこんだ。
セミの鳴き声に交じってサイレンの音が響いた。
「昼か……弁当はあるか?」
立ち上がった島田はそう言ってにやりと笑う。
「持ってきてないですけど……コンビニとかは?」
誠の問いに島田はあきれ果てたという表情をする。
「そんなもん工場の外まで行かなきゃねえよ。まあ、今日は仕出しの弁当を取ってるから。そいつを食ってけ」
島田はそう言うと本部の建物に向けて歩き始めた。
「どうもすみません」
「なに謝ってんだよ。オメエはこれまで来た軽薄な馬鹿とは違うんだ。何しろ俺の舎弟になるんだからな!」
そう言って誠の肩を叩く島田を見て、誠は少し嫌な予感がした。
「舎弟ですか?」
「そう、舎弟。パシリ、丁稚、下請け。どう呼ぶのがいい?」
島田は肩で風を切って歩きながらそう言った。
「舎弟、パシリ、丁稚、下請け……どれも嫌ですけど」
「なあに、新人なんて社会に出たらみんなやらされるんだよ、パシリをさ。だから、次の新人が来るまではオメエが一番下のパシリ。さっきの新米もオメエの先輩だから。ちゃんと顔を立てろよ」
上機嫌の島田を見ながら誠は自分が『体育会系・縦社会』に取り込まれていくのを感じていた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第六部 『特殊な部隊の特殊な自主映画』
橋本 直
SF
毎年恒例の時代行列に加えて豊川市から映画作成を依頼された『特殊な部隊』こと司法局実働部隊。
自主映画作品を作ることになるのだがアメリアとサラの暴走でテーマをめぐり大騒ぎとなる。
いざテーマが決まってもアメリアの極めて趣味的な魔法少女ストーリに呆れて隊員達はてんでんばらばらに活躍を見せる。
そんな先輩達に振り回されながら誠は自分がキャラデザインをしたという責任感のみで参加する。
どたばたの日々が始まるのだった……。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる