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第2章 取材開始
先の大戦の置き土産
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「楠木少佐。もしかして名前は伸介じゃないですか? 」
当たりをつけてクリスは明華に聞いてみた。先頭を歩いていた明華がその言葉で立ち止まる。めんどくさそうに明華が彼を見上げる。
「そうですよ。先の大戦時に当時の胡州陸軍外事憲兵隊遼州派遣隊の副官をしていた人物 」
明華はそこまで言うと言葉を止め、クリスを振り返る。
「そして上級戦争犯罪被告人 」
先の大戦。強権政治で戦争に踏み出した遼南皇帝ムジャンタ・カバラ。革命勢力を糾合する遼北系ゲリラと民主化を要求する親米派ゲリラ達により悪化した治安を引き締めるために、胡州から呼び寄せた『悪魔』の異名を持つ特殊部隊があった。情報収集と拠点急襲に特化した恐怖の憲兵部隊は『人斬り新三』の異名を取る嵯峨惟基に率いられ、多くのゲリラやレジスタンスの殲滅活動を実行した部隊だった。
その活動の主力を担っていた男の存在に、クリスは興味を引かれた。楠木伸介少佐……生死不明。それが米軍の情報網の結論だった。圧倒的な物量で胡州・遼南連合軍を駆逐した遼北の紅軍の波に飲み込まれ、彼らは死に絶えたと言うのが普通の見方だった。そしてその戦死者のリストの中に楠木という情報将校の名も並んでいた。
「楠木氏ですか。ずいぶんと微妙なところから来た人材ですね。大丈夫なんですか? 」
先の大戦の激しさを知るクリスは一人の将校の生死など終戦協定の取りまとめの中で外務官僚にとって取るに足らない事実として扱われていたことは知っていた。そんな彼の問いにめんどくさそうな表情の明華が答える。
「そう? 適材適所って奴よ。敵地潜入、情報操作、かく乱作戦。人格はともかく最高の人材じゃないんですか 」
明華はそう言うと再び隊員達を引き連れて本部の建物に入る。
「よう、姉ちゃん 」
大柄な太った中年男がそこに立っていた。四角い顔に、小さな目鼻が並んでいる男が明華に声を掛けた。露骨に不機嫌そうな顔で男を見つめる明華。ルーラとレム、そしてキーラもあまり良い顔はしていない。
「そう邪険にしてくれるなよ。いい話が出来そうだって言うのに 」
男はそう言うとがっちりとした口元から、タバコのヤニに染まった黄色い歯をむき出して笑みを浮かべる。確かにこれでは好感を持てというほうが難しいだろう。楠木はそのまま手を振ると、階段の方へと消えていった。明華は不愉快な気分をどうにかしようと、大きく深呼吸をしてから二階への階段を上りだした。クリスもキーラ達の後に続いて急ぎ足で階段を上る明華を追いかけた。
先ほど楠木少佐を見つけてからというもの女性士官に微妙な気配が漂い、会議室まで奇妙な沈黙が続いた。それでも戦場と言うものを職業上知るしかなかったクリスはこのような沈黙には慣れていた。フリーライターと言うのは戦場では歓迎される存在ではない。幹部ならどこで足をすくわれるか警戒し、兵卒は自分の行動が監視されていると言う妄想に襲われて黙り込むことになる。嵯峨の妙に馴れ馴れしい態度の方がクリスには余計気になるものだった。そしてその手足として情報を管理する将校が根っからのスケベ親父であっても聞いてみればなんとなくしっくりする話だった。
不愉快が作り出す沈黙が会議室のドアを開き、席に腰を掛けても一同にはまとわり付いていた。さすがにそこまで嫌われると言うことの意味を知りたいという好奇心から楠木少佐をもう一度クリスは観察してみた。好意を抱かれると言うこととは無縁に生きてきたらしいその鷲鼻の胡州軍人は、下卑た視線を時々女性隊員に向けている。これでは嫌われるはずだと苦笑するクリス。
だが、敵との接触が予想される最前線でこういうふてぶてしい表情を浮かべられると言うのはそれなりの自信があってこそとクリスは思っていた。別にどこの軍隊でも見かけるクレバーな指揮官は決して勇敢そうな顔をしていないことは経験上分かっていた。そんな指揮官が長生きできるほど戦場はあまいところではない。だが、楠木のにやけた目の奥に何が映っているかはクリスにもわからなかった。明華達が明らかに楠木を毛嫌いしているにもかかわらず、黙って彼の舐めるような視線に耐えているのは彼の情報の精度が彼女達の戦場で生き延びると言う目的に必要だからなのだろう。
そんな状況を放任している嵯峨と言う人物の部隊長としての能力については現段階でクリスはかなり疑問を持っていた。そして憲兵隊長としての特殊な作戦の立案者としてではなく、正規部隊の戦闘指揮官としての成果をあまり上げていないこともクリスの嵯峨の評価を下げる原因の一つだった。
先の大戦では、枢軸陣営の最後の大博打として胡州軍が行った遼南軍との共同作戦による遼北への越境攻撃、『北伐作戦 』。その作戦に借り出された嵯峨はアサルト・モジュールと機械化歩兵部隊で構成された混成連隊を指揮しているが、圧倒的な遼北の物量と開戦直後にゴンザレス将軍のクーデターによる遼南の地球側との停戦協定成立により、彼は戦果らしい物を一つも上げてはいない。
東海軍閥が嵯峨の実弟ムジャンタ・バスバ擁立を諦めて人民軍に協力するまでの何度かの戦闘を彼が指揮したという情報もあるが、これと言った実績の無い嵯峨が手持ちの情報をどう料理して物量に勝る共和軍に対峙するのかクリスにはまるで予想がつかなかった。
そんな事を考えているうちにクリスはそのまま会議室を一望できる席まで案内されていた。
「どうぞ、ここに 」
キーラの銀色の髪がひらめくのを目にしてクリスは現実世界に引き戻された。彼女はクリスの椅子を用意するとそのまま部屋を出て行った。
誰一人としてクリスと言う外部の人間、しかも報道の人間がこの部屋での会議に列席するというのにそれが当然と言う顔をしている。まるでこれからの会議の内容が外部に漏れることを歓迎しているようにも感じられる。
「文屋さん。どうですか、北兼軍と言う奴は。まあ、一日二日じゃあ分からないかもしれませんがね 」
そう言うと楠木は静かにタバコを取り出す。周りの将校達は別にそれをとがめる風でもなく、隣の席に腰を下ろした胡州浪人と思しき青年将校が彼のために灰皿を用意している。そして上座、嵯峨が座るだろう席にも汚らしいアルミの灰皿が置かれていた。
「あの、すいませんが。ちょっと窓を開けてもらえますか? 」
クリスはいつものようにそう言って周りの反応を試してみた。ちょっとした日常会話から戦線に関する見方などが見て取れることもある。従軍記者を十年ほど続けてきたクリスはそう言うところを推し量る力には自信を持っていた。
「ああ、そうですねアメリカの方はあまりタバコはやらんでしょう。柴崎! 窓開けろ 」
言葉に性格が表れるというが、その媚びたような口調はクリスには気分の良い物ではなかった。その時クリスの背後で物音がした。思わず振り返ってみてそこにこの会議を仕切る男が頭を掻きながら手を合わせて入ってくる様子が目に入る。
「遅くなったね。紅茶おばさんがうるさくてさ 」
そう言いながら嵯峨が部屋に到着する。誰一人席を立って敬礼する者はいない。紅茶おばさんと言う嵯峨の言葉も誰のことか特定できるようで何人かの士官は笑いを堪えながら議長席に向かう嵯峨を見つめていた。
「それじゃあはじめようか 」
そう言いつつ、嵯峨はクリスの方を向いた。
「あの、一応これは戦争なんで、秘匿したい情報が出そうになったら退席してもらいますが……いいですか? 」
突然の質問にクリスは絶句した。当たり前の話だがそんなことを前もって言った指揮官にクリスは初めて出会った。
「かまいませんよ。私達の為に戦争をしているんじゃないでしょうから 」
クリスはそう言うととりあえず笑っておいたほうが良いと、経験上わかっていた。それを見ると嵯峨はクリスが存在しないかのような真剣な目つきで楠木に目をやった。そして楠木は立ち上がると、手にした情報端末をテーブルの中央にあるプロジェクターにつないだ。
立体的な、北兼台地の情報が表示される。ここから南に遼州最大の大河、兼江を下れば両岸に広がるのは緑に満ちた森の広がる北兼台地だった。
『北兼台地? 希土類の鉱山以外は戦略的価値は無いはずでは…… 』
速記代わりのレコーダーのスイッチを入れながら心の中でこれまでクリスが手にしていた情報からは意外としか思えない攻略目標を知って、次に楠木が何を話すのかに注目した。
「驚きましたか? 」
静かにクリスを見つめてつぶやく楠木。クリスは呆然としながら周りを見回した。嵯峨をはじめ部隊の主要人物はすべてそろっている。その視線は特にクリスなどいないと言うようにモニターに目を向けていた。そして隊員は一人としてこの状況を意外とは思っていないことはクリスも理解できた。さすがに情報屋だ。クリスが置かれた状況が他の軍ではありえないことを知り抜いている楠木の口元に下卑た笑みが浮かぶ。
「それじゃあ入手した情報を反映させますか 」
一転して嵯峨に目をやると楠木は端末を操作する。いくつかの赤い点、そして縦横に伸びる青いラインと、それにいくつか群がる紫、緑、黒の点の群れ。
「現状、この赤い点にあるのが菱川鉱山の所有鉱山と菱川の民間軍事会社である東和安全保障の拠点になりますねえ。そして青いラインが物流の要となる交通網で現在×印の地点は地雷や自動防御装置が配備されて検問が行われている場所。そして紫が共和軍、緑がこちら側に協力的なゲリラの拠点。そして、黒は米軍を中心とした地球連邦平和維持軍のキャンプになるわけだ 」
明らかにこの地図の読み方の説明をしたのはクリスに読み方を教えるためのサービスのようだった。隊員達の顔は早く本題に進めと言うように厳しくなっている。だが楠木はそれだけ話すとそのまま席に着いてしまった。それにより新たに楠木が得た情報が部隊の配置ではないことを理解してテーブルについている士官達は腕組みをして考え込んでいた。
「東和安全保障の方はどうなっているんですか? 先週と拠点の位置の移動は無いようですが……噂になっている伝説的傭兵が部隊長として雇われたと言う話もありますが 」
ルーラのその言葉に、楠木は眉をひそめた。
「吉田俊平のことか? まあな。ここしばらくおとなしくしていたんだが、金が尽きたんあじゃないのかね、相当な額の報酬で提携を結んでいるのは本当だよ 」
忌々しげに楠木が吐き捨てるように言葉を荒げるのはもっともなことだ。クリスは従軍記者として10年近く戦場を歩いてきたが、『吉田俊平』の名は何度と無く耳にしてきた。残忍、冷酷、そして金に汚いことで知られる名の知られた傭兵。勝つ戦い、それも勝者に多額の報酬を支払う能力があるときにのみ動くというクレバーな戦争屋。特に電子戦、諜報戦に優れた能力を発揮するところから、体の多くの部分をサイボーグ化しているとも言われ、その写真はどれも違う顔違う体つきをしていた。そもそもそれが一人の人間であるということ自体、かなり疑わしいのではないかとクリスはにらんでいた。
「確かに共和軍もアメリカも積極的に部隊を展開するつもりは無いようですね。東和軍の権益がある北兼台地に人民軍と距離のある我々が簡単に手を出すはずが無いと思っているんでしょうね 」
明華はその部隊配備状況を一言で片付けた。東和共和国は現在展開されている遼南内戦に重大な関心を寄せていた。その強力な航空戦力は遼南全体を飛行禁止空域と設定し、偵察機を飛ばして内戦を続ける人民軍と共和軍を監視していた。間抜けな共和軍や人民軍のアサルト・モジュールがこれに発見され上空に待機している対地攻撃機のレールガンで蜂の巣にされた事例はいくらでもある。直接介入を嫌う東和軍。その関心を引く行動が禁じ手だと理解しているのは人民軍も共和軍も同じだった。
だがそんな中一人忌々しげに画面を見上げて頭を掻いている男がいた。
「もしこれが上層部から届いた命令書も無くて、共和軍殲滅の為に央都への道を作る方法を考えろって言うのならかなり楽だったかもしれねえけどなあ 」
嵯峨は懐から一枚の情報カードを取り出す。そのカードは楠木の端末に挿入された。目の前の立体画像が、一枚の命令書に変わる。強い調子での北兼軍への命令書だった。鉱山の無傷での接収作戦とアメリカ軍の排除指示書。明らかにそれが不可能であると言うことを分かりきった上で出されたような文面は、自分へ出されたものでないと言うのにクリスにも憤りを覚えさせるものだった。
「鉱山の接収? 何を考えているんですか? 北天の連中は? 」
叫んでいたのは伊藤だった。クリスにも彼の言葉の意味は理解できた。政治将校である彼にはすでに胡州軍の制服を着ている胡州浪人らしい男達の非難するような視線が向けられている。
「伊藤さんの言うとおりですよ。鉱山の接収なんかしようものなら東和の全面介入の口実を与えることになるじゃないですか? 無謀すぎます……でもまあ北天の偉い人には我々は信用ならないならず者扱いですからね 」
そう言うと御子神は店を見上げで自虐的に笑う。嵯峨はだまって腕を組んでいる。
だが、クリスは気づいていた。嵯峨がにんまりと口元に笑みを浮かべていると言う事実を。そして彼が何かをつかんでいると言うクリスの記者としての確信が嵯峨の言葉を待つと言う体勢に持って行った。
「伊藤ちゃんに御子神の。それは最初からわかってたことだろ?うちは人民軍の連中から見れば外様だ。この作戦の結果、東和からクレームが来たら俺等の独断先行として俺の首で話をつけようと言う魂胆だろ? 俺が人民軍の参謀総局にいたら今頃そのときの言い訳でも考えてるよ 」
嵯峨は笑っている。まるで他人事のように言ってのける嵯峨。クリスはそんな彼の態度で周りの部下達の雰囲気がどう変わるかを読み取ろうとした。
「もし外交問題に発展すれば北兼軍を切り捨てるつもりってことですね 」
そう言う御子神の頬が震えていた。セニアは彼を心配そうに眺めている。まるで敗戦が確定した部隊のようだった。そのくせ指揮官の嵯峨は悠然とタバコに火をつけてもうすでに笑みと読んでいい表情を浮かべていた。
「よろしいですか? 」
沈黙が続く中でクリスは恐る恐る手を上げた。会議を仕切るような風に見えた明華が視線を投げてくる。
「どうぞ。客観的な視点も参考になるでしょうから 」
どこか棘のある明華の言葉にクリスは立ち上がった。
「北兼台地の鉱山群への攻撃は、できるだけ避けるべきだと思います。私はジャーナリストですから、それが共和軍の遼州星系国家郡に対して『我等こそが遼南の利益を代表している。そこに妨害を加える勢力は誰であれ排除する』という格好のプロパガンダの材料になるのは間違いないですよ。どんな政権であれ自国の利益を守ってくれるならそれに越したことは無いでしょうから。それに相手は『殺戮機械』の異名をとる吉田俊平。戦力を消耗するだけ無駄ですね 」
それだけ言うとクリスはへたり込むように椅子に座り込んだ。会議の席にいる誰もがそんなことくらいはわかっていると言うような顔で招かれざる客である二人の記者を見つめていた。
「誰が見てもそうですよねえ。でもまあ一応、人民軍本部の指示は無視するわけにはいかないんですよ。それに逆にここで俺の狙い通りの筋書きに持っていければ、人民党の偉いさんの鼻をあかせるかもしれないもんでね 」
嵯峨のその言葉に、この場のメンバーは彼のにやけた面を凝視した。そんな突然の部下達の食いつきに、驚いたようにタバコを灰皿に押し付けた嵯峨。
「先に言っておくぜ。別に相手を潰すいい作戦があるとか言うことじゃないんだ。ただいくつかの情報があってね、それが面白い結果を出しそうだというだけの話なんだ。共和軍の隙間って奴に手が出そうな話でね 」
自分が何かを知っている、情報を握っているとにおわせる嵯峨の余裕の表情に会議に列席している士官達は目の色を変えて自分達の上官である嵯峨を見た。
「俺の情報には無い話でしょうね。御前 」
一人その流れに乗り遅れたと言うように楠木が頭を掻く。嵯峨は特に気にすることもなく再び取り出したタバコに火をつけた。
「じゃあこれから先は身内だけでやりたいんで 」
そう言うと嵯峨は扉近くの将校に目配せした。クリスも音声レコーダーを止めて立ち上がった。部下達は、嵯峨の言葉を待っているような表情を浮かべながら去っていくクリスを眺めていた。
当たりをつけてクリスは明華に聞いてみた。先頭を歩いていた明華がその言葉で立ち止まる。めんどくさそうに明華が彼を見上げる。
「そうですよ。先の大戦時に当時の胡州陸軍外事憲兵隊遼州派遣隊の副官をしていた人物 」
明華はそこまで言うと言葉を止め、クリスを振り返る。
「そして上級戦争犯罪被告人 」
先の大戦。強権政治で戦争に踏み出した遼南皇帝ムジャンタ・カバラ。革命勢力を糾合する遼北系ゲリラと民主化を要求する親米派ゲリラ達により悪化した治安を引き締めるために、胡州から呼び寄せた『悪魔』の異名を持つ特殊部隊があった。情報収集と拠点急襲に特化した恐怖の憲兵部隊は『人斬り新三』の異名を取る嵯峨惟基に率いられ、多くのゲリラやレジスタンスの殲滅活動を実行した部隊だった。
その活動の主力を担っていた男の存在に、クリスは興味を引かれた。楠木伸介少佐……生死不明。それが米軍の情報網の結論だった。圧倒的な物量で胡州・遼南連合軍を駆逐した遼北の紅軍の波に飲み込まれ、彼らは死に絶えたと言うのが普通の見方だった。そしてその戦死者のリストの中に楠木という情報将校の名も並んでいた。
「楠木氏ですか。ずいぶんと微妙なところから来た人材ですね。大丈夫なんですか? 」
先の大戦の激しさを知るクリスは一人の将校の生死など終戦協定の取りまとめの中で外務官僚にとって取るに足らない事実として扱われていたことは知っていた。そんな彼の問いにめんどくさそうな表情の明華が答える。
「そう? 適材適所って奴よ。敵地潜入、情報操作、かく乱作戦。人格はともかく最高の人材じゃないんですか 」
明華はそう言うと再び隊員達を引き連れて本部の建物に入る。
「よう、姉ちゃん 」
大柄な太った中年男がそこに立っていた。四角い顔に、小さな目鼻が並んでいる男が明華に声を掛けた。露骨に不機嫌そうな顔で男を見つめる明華。ルーラとレム、そしてキーラもあまり良い顔はしていない。
「そう邪険にしてくれるなよ。いい話が出来そうだって言うのに 」
男はそう言うとがっちりとした口元から、タバコのヤニに染まった黄色い歯をむき出して笑みを浮かべる。確かにこれでは好感を持てというほうが難しいだろう。楠木はそのまま手を振ると、階段の方へと消えていった。明華は不愉快な気分をどうにかしようと、大きく深呼吸をしてから二階への階段を上りだした。クリスもキーラ達の後に続いて急ぎ足で階段を上る明華を追いかけた。
先ほど楠木少佐を見つけてからというもの女性士官に微妙な気配が漂い、会議室まで奇妙な沈黙が続いた。それでも戦場と言うものを職業上知るしかなかったクリスはこのような沈黙には慣れていた。フリーライターと言うのは戦場では歓迎される存在ではない。幹部ならどこで足をすくわれるか警戒し、兵卒は自分の行動が監視されていると言う妄想に襲われて黙り込むことになる。嵯峨の妙に馴れ馴れしい態度の方がクリスには余計気になるものだった。そしてその手足として情報を管理する将校が根っからのスケベ親父であっても聞いてみればなんとなくしっくりする話だった。
不愉快が作り出す沈黙が会議室のドアを開き、席に腰を掛けても一同にはまとわり付いていた。さすがにそこまで嫌われると言うことの意味を知りたいという好奇心から楠木少佐をもう一度クリスは観察してみた。好意を抱かれると言うこととは無縁に生きてきたらしいその鷲鼻の胡州軍人は、下卑た視線を時々女性隊員に向けている。これでは嫌われるはずだと苦笑するクリス。
だが、敵との接触が予想される最前線でこういうふてぶてしい表情を浮かべられると言うのはそれなりの自信があってこそとクリスは思っていた。別にどこの軍隊でも見かけるクレバーな指揮官は決して勇敢そうな顔をしていないことは経験上分かっていた。そんな指揮官が長生きできるほど戦場はあまいところではない。だが、楠木のにやけた目の奥に何が映っているかはクリスにもわからなかった。明華達が明らかに楠木を毛嫌いしているにもかかわらず、黙って彼の舐めるような視線に耐えているのは彼の情報の精度が彼女達の戦場で生き延びると言う目的に必要だからなのだろう。
そんな状況を放任している嵯峨と言う人物の部隊長としての能力については現段階でクリスはかなり疑問を持っていた。そして憲兵隊長としての特殊な作戦の立案者としてではなく、正規部隊の戦闘指揮官としての成果をあまり上げていないこともクリスの嵯峨の評価を下げる原因の一つだった。
先の大戦では、枢軸陣営の最後の大博打として胡州軍が行った遼南軍との共同作戦による遼北への越境攻撃、『北伐作戦 』。その作戦に借り出された嵯峨はアサルト・モジュールと機械化歩兵部隊で構成された混成連隊を指揮しているが、圧倒的な遼北の物量と開戦直後にゴンザレス将軍のクーデターによる遼南の地球側との停戦協定成立により、彼は戦果らしい物を一つも上げてはいない。
東海軍閥が嵯峨の実弟ムジャンタ・バスバ擁立を諦めて人民軍に協力するまでの何度かの戦闘を彼が指揮したという情報もあるが、これと言った実績の無い嵯峨が手持ちの情報をどう料理して物量に勝る共和軍に対峙するのかクリスにはまるで予想がつかなかった。
そんな事を考えているうちにクリスはそのまま会議室を一望できる席まで案内されていた。
「どうぞ、ここに 」
キーラの銀色の髪がひらめくのを目にしてクリスは現実世界に引き戻された。彼女はクリスの椅子を用意するとそのまま部屋を出て行った。
誰一人としてクリスと言う外部の人間、しかも報道の人間がこの部屋での会議に列席するというのにそれが当然と言う顔をしている。まるでこれからの会議の内容が外部に漏れることを歓迎しているようにも感じられる。
「文屋さん。どうですか、北兼軍と言う奴は。まあ、一日二日じゃあ分からないかもしれませんがね 」
そう言うと楠木は静かにタバコを取り出す。周りの将校達は別にそれをとがめる風でもなく、隣の席に腰を下ろした胡州浪人と思しき青年将校が彼のために灰皿を用意している。そして上座、嵯峨が座るだろう席にも汚らしいアルミの灰皿が置かれていた。
「あの、すいませんが。ちょっと窓を開けてもらえますか? 」
クリスはいつものようにそう言って周りの反応を試してみた。ちょっとした日常会話から戦線に関する見方などが見て取れることもある。従軍記者を十年ほど続けてきたクリスはそう言うところを推し量る力には自信を持っていた。
「ああ、そうですねアメリカの方はあまりタバコはやらんでしょう。柴崎! 窓開けろ 」
言葉に性格が表れるというが、その媚びたような口調はクリスには気分の良い物ではなかった。その時クリスの背後で物音がした。思わず振り返ってみてそこにこの会議を仕切る男が頭を掻きながら手を合わせて入ってくる様子が目に入る。
「遅くなったね。紅茶おばさんがうるさくてさ 」
そう言いながら嵯峨が部屋に到着する。誰一人席を立って敬礼する者はいない。紅茶おばさんと言う嵯峨の言葉も誰のことか特定できるようで何人かの士官は笑いを堪えながら議長席に向かう嵯峨を見つめていた。
「それじゃあはじめようか 」
そう言いつつ、嵯峨はクリスの方を向いた。
「あの、一応これは戦争なんで、秘匿したい情報が出そうになったら退席してもらいますが……いいですか? 」
突然の質問にクリスは絶句した。当たり前の話だがそんなことを前もって言った指揮官にクリスは初めて出会った。
「かまいませんよ。私達の為に戦争をしているんじゃないでしょうから 」
クリスはそう言うととりあえず笑っておいたほうが良いと、経験上わかっていた。それを見ると嵯峨はクリスが存在しないかのような真剣な目つきで楠木に目をやった。そして楠木は立ち上がると、手にした情報端末をテーブルの中央にあるプロジェクターにつないだ。
立体的な、北兼台地の情報が表示される。ここから南に遼州最大の大河、兼江を下れば両岸に広がるのは緑に満ちた森の広がる北兼台地だった。
『北兼台地? 希土類の鉱山以外は戦略的価値は無いはずでは…… 』
速記代わりのレコーダーのスイッチを入れながら心の中でこれまでクリスが手にしていた情報からは意外としか思えない攻略目標を知って、次に楠木が何を話すのかに注目した。
「驚きましたか? 」
静かにクリスを見つめてつぶやく楠木。クリスは呆然としながら周りを見回した。嵯峨をはじめ部隊の主要人物はすべてそろっている。その視線は特にクリスなどいないと言うようにモニターに目を向けていた。そして隊員は一人としてこの状況を意外とは思っていないことはクリスも理解できた。さすがに情報屋だ。クリスが置かれた状況が他の軍ではありえないことを知り抜いている楠木の口元に下卑た笑みが浮かぶ。
「それじゃあ入手した情報を反映させますか 」
一転して嵯峨に目をやると楠木は端末を操作する。いくつかの赤い点、そして縦横に伸びる青いラインと、それにいくつか群がる紫、緑、黒の点の群れ。
「現状、この赤い点にあるのが菱川鉱山の所有鉱山と菱川の民間軍事会社である東和安全保障の拠点になりますねえ。そして青いラインが物流の要となる交通網で現在×印の地点は地雷や自動防御装置が配備されて検問が行われている場所。そして紫が共和軍、緑がこちら側に協力的なゲリラの拠点。そして、黒は米軍を中心とした地球連邦平和維持軍のキャンプになるわけだ 」
明らかにこの地図の読み方の説明をしたのはクリスに読み方を教えるためのサービスのようだった。隊員達の顔は早く本題に進めと言うように厳しくなっている。だが楠木はそれだけ話すとそのまま席に着いてしまった。それにより新たに楠木が得た情報が部隊の配置ではないことを理解してテーブルについている士官達は腕組みをして考え込んでいた。
「東和安全保障の方はどうなっているんですか? 先週と拠点の位置の移動は無いようですが……噂になっている伝説的傭兵が部隊長として雇われたと言う話もありますが 」
ルーラのその言葉に、楠木は眉をひそめた。
「吉田俊平のことか? まあな。ここしばらくおとなしくしていたんだが、金が尽きたんあじゃないのかね、相当な額の報酬で提携を結んでいるのは本当だよ 」
忌々しげに楠木が吐き捨てるように言葉を荒げるのはもっともなことだ。クリスは従軍記者として10年近く戦場を歩いてきたが、『吉田俊平』の名は何度と無く耳にしてきた。残忍、冷酷、そして金に汚いことで知られる名の知られた傭兵。勝つ戦い、それも勝者に多額の報酬を支払う能力があるときにのみ動くというクレバーな戦争屋。特に電子戦、諜報戦に優れた能力を発揮するところから、体の多くの部分をサイボーグ化しているとも言われ、その写真はどれも違う顔違う体つきをしていた。そもそもそれが一人の人間であるということ自体、かなり疑わしいのではないかとクリスはにらんでいた。
「確かに共和軍もアメリカも積極的に部隊を展開するつもりは無いようですね。東和軍の権益がある北兼台地に人民軍と距離のある我々が簡単に手を出すはずが無いと思っているんでしょうね 」
明華はその部隊配備状況を一言で片付けた。東和共和国は現在展開されている遼南内戦に重大な関心を寄せていた。その強力な航空戦力は遼南全体を飛行禁止空域と設定し、偵察機を飛ばして内戦を続ける人民軍と共和軍を監視していた。間抜けな共和軍や人民軍のアサルト・モジュールがこれに発見され上空に待機している対地攻撃機のレールガンで蜂の巣にされた事例はいくらでもある。直接介入を嫌う東和軍。その関心を引く行動が禁じ手だと理解しているのは人民軍も共和軍も同じだった。
だがそんな中一人忌々しげに画面を見上げて頭を掻いている男がいた。
「もしこれが上層部から届いた命令書も無くて、共和軍殲滅の為に央都への道を作る方法を考えろって言うのならかなり楽だったかもしれねえけどなあ 」
嵯峨は懐から一枚の情報カードを取り出す。そのカードは楠木の端末に挿入された。目の前の立体画像が、一枚の命令書に変わる。強い調子での北兼軍への命令書だった。鉱山の無傷での接収作戦とアメリカ軍の排除指示書。明らかにそれが不可能であると言うことを分かりきった上で出されたような文面は、自分へ出されたものでないと言うのにクリスにも憤りを覚えさせるものだった。
「鉱山の接収? 何を考えているんですか? 北天の連中は? 」
叫んでいたのは伊藤だった。クリスにも彼の言葉の意味は理解できた。政治将校である彼にはすでに胡州軍の制服を着ている胡州浪人らしい男達の非難するような視線が向けられている。
「伊藤さんの言うとおりですよ。鉱山の接収なんかしようものなら東和の全面介入の口実を与えることになるじゃないですか? 無謀すぎます……でもまあ北天の偉い人には我々は信用ならないならず者扱いですからね 」
そう言うと御子神は店を見上げで自虐的に笑う。嵯峨はだまって腕を組んでいる。
だが、クリスは気づいていた。嵯峨がにんまりと口元に笑みを浮かべていると言う事実を。そして彼が何かをつかんでいると言うクリスの記者としての確信が嵯峨の言葉を待つと言う体勢に持って行った。
「伊藤ちゃんに御子神の。それは最初からわかってたことだろ?うちは人民軍の連中から見れば外様だ。この作戦の結果、東和からクレームが来たら俺等の独断先行として俺の首で話をつけようと言う魂胆だろ? 俺が人民軍の参謀総局にいたら今頃そのときの言い訳でも考えてるよ 」
嵯峨は笑っている。まるで他人事のように言ってのける嵯峨。クリスはそんな彼の態度で周りの部下達の雰囲気がどう変わるかを読み取ろうとした。
「もし外交問題に発展すれば北兼軍を切り捨てるつもりってことですね 」
そう言う御子神の頬が震えていた。セニアは彼を心配そうに眺めている。まるで敗戦が確定した部隊のようだった。そのくせ指揮官の嵯峨は悠然とタバコに火をつけてもうすでに笑みと読んでいい表情を浮かべていた。
「よろしいですか? 」
沈黙が続く中でクリスは恐る恐る手を上げた。会議を仕切るような風に見えた明華が視線を投げてくる。
「どうぞ。客観的な視点も参考になるでしょうから 」
どこか棘のある明華の言葉にクリスは立ち上がった。
「北兼台地の鉱山群への攻撃は、できるだけ避けるべきだと思います。私はジャーナリストですから、それが共和軍の遼州星系国家郡に対して『我等こそが遼南の利益を代表している。そこに妨害を加える勢力は誰であれ排除する』という格好のプロパガンダの材料になるのは間違いないですよ。どんな政権であれ自国の利益を守ってくれるならそれに越したことは無いでしょうから。それに相手は『殺戮機械』の異名をとる吉田俊平。戦力を消耗するだけ無駄ですね 」
それだけ言うとクリスはへたり込むように椅子に座り込んだ。会議の席にいる誰もがそんなことくらいはわかっていると言うような顔で招かれざる客である二人の記者を見つめていた。
「誰が見てもそうですよねえ。でもまあ一応、人民軍本部の指示は無視するわけにはいかないんですよ。それに逆にここで俺の狙い通りの筋書きに持っていければ、人民党の偉いさんの鼻をあかせるかもしれないもんでね 」
嵯峨のその言葉に、この場のメンバーは彼のにやけた面を凝視した。そんな突然の部下達の食いつきに、驚いたようにタバコを灰皿に押し付けた嵯峨。
「先に言っておくぜ。別に相手を潰すいい作戦があるとか言うことじゃないんだ。ただいくつかの情報があってね、それが面白い結果を出しそうだというだけの話なんだ。共和軍の隙間って奴に手が出そうな話でね 」
自分が何かを知っている、情報を握っているとにおわせる嵯峨の余裕の表情に会議に列席している士官達は目の色を変えて自分達の上官である嵯峨を見た。
「俺の情報には無い話でしょうね。御前 」
一人その流れに乗り遅れたと言うように楠木が頭を掻く。嵯峨は特に気にすることもなく再び取り出したタバコに火をつけた。
「じゃあこれから先は身内だけでやりたいんで 」
そう言うと嵯峨は扉近くの将校に目配せした。クリスも音声レコーダーを止めて立ち上がった。部下達は、嵯峨の言葉を待っているような表情を浮かべながら去っていくクリスを眺めていた。
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一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
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その文明は出会うべきではなかった
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法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
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この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
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SFお仕事ギャグロマン小説。
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