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第50章 国士落つ
沈黙の傍観者
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「清原さんは撤退を始めたのか……」
渋い表情で佐賀高家はつぶやいた。
ささやきあう参謀達。彼らが自分を見捨てて保身に走ることは分かりきっていた。だがそれをとめることなど今の彼にはできなかった。
「江州第三師団、出撃を開始しました!」
「『鈴鹿』からの連絡です!『これより叛乱軍討伐を開始する。清原氏の乗艦の情報を送られたし!』との事です」
力が抜けていくのが分かった。佐賀のそんな表情にすでに半数の指揮官達は彼の言葉も待たずに会議室を後にしていた。
「佐賀閣下……」
満面の笑みでうつむく佐賀を見下ろす小見。そして静かに佐賀は立ち上がった。
「満足か?」
「いえ、あなたが生きている限り私は満足しませんよ」
その言葉に佐賀は小見の胸倉をつかみ上げた。
「この状況。ある程度打開できるのは閣下しかいないと思いますが」
まだ小見は笑っていた。その笑みに自分の全身の力が抜けていくのを感じる佐賀。
「仕方が無い……」
「どう仕方が無いんですか?」
再び笑みを向けてくる小見。だがそれに反応をする力は佐賀には残っていなかった。
「全艦攻撃を開始。敵は清原和人」
小さい声で佐賀がつぶやいた。満足げに頷くと小見はオペレータがモニターを見つめている執務室に向かう。
「終わったな……」
佐賀のつぶやきに耳を貸すものはもう誰もいなかった。
渋い表情で佐賀高家はつぶやいた。
ささやきあう参謀達。彼らが自分を見捨てて保身に走ることは分かりきっていた。だがそれをとめることなど今の彼にはできなかった。
「江州第三師団、出撃を開始しました!」
「『鈴鹿』からの連絡です!『これより叛乱軍討伐を開始する。清原氏の乗艦の情報を送られたし!』との事です」
力が抜けていくのが分かった。佐賀のそんな表情にすでに半数の指揮官達は彼の言葉も待たずに会議室を後にしていた。
「佐賀閣下……」
満面の笑みでうつむく佐賀を見下ろす小見。そして静かに佐賀は立ち上がった。
「満足か?」
「いえ、あなたが生きている限り私は満足しませんよ」
その言葉に佐賀は小見の胸倉をつかみ上げた。
「この状況。ある程度打開できるのは閣下しかいないと思いますが」
まだ小見は笑っていた。その笑みに自分の全身の力が抜けていくのを感じる佐賀。
「仕方が無い……」
「どう仕方が無いんですか?」
再び笑みを向けてくる小見。だがそれに反応をする力は佐賀には残っていなかった。
「全艦攻撃を開始。敵は清原和人」
小さい声で佐賀がつぶやいた。満足げに頷くと小見はオペレータがモニターを見つめている執務室に向かう。
「終わったな……」
佐賀のつぶやきに耳を貸すものはもう誰もいなかった。
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