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第20章 大乱の予感
苦悩と友情
しおりを挟む ※※※
今日は高校生になって初めて、女友達と二人で遊びに行く。凄く嬉しい。行く前から何だかわくわくしてる。こういうらしい事したかったから。でも、今日私が遊びに行くのを知っている恩田さんは、やっぱりというか、私が家を出てからずっと、監視をつけていた。電柱や家の影からこっそり覗く数人の人影。昔の私なら分からなかっただろうけど、今は慣れてきたのもあってさすがに気づいてる。
……仕方ない。できるだけ気にしないようにして、明歩とのデートを楽しもう。恩田さんの言う通り、これが最初で最後かも知れないし。でも、こんな状態なの、何だか明歩に申し訳ないな。一応そういう人達いるかも、って明歩には事前に伝えておいたけど。
待ち合わせ場所は自宅から、自転車で十五分ほど走ったショッピングセンターの前。だから今日は私も明歩も自転車で待ち合わせ。あ、あれ明歩かな? 私が声をかけようとすると、先に明歩が私に気づいた。
「え? 美久……だよね?」でも疑問系だ。という事は上手くいったな。良かった。
「うん。言われた通り地味な格好で、顔も帽子被ってわからなくしてきた……って、明歩派手過ぎない?」改めて明歩の姿に唖然とした私。
G生地の超ミニのタイトスカートに、ふくよかな明歩の胸を強調するようなピッチピチのTシャツ。大きめのゴールドのイヤリングに首からはチェーンネックレス。しかも化粧もかなり濃い目。……まるでわざと目立とうとしてるみたい。
「そりゃそれが作戦だからねー」とニッコリする明歩。作戦? どういう事だろ?
そしておもむろに、アーケード街入り口の上についてる時計を見て「まだ間に合う」と呟き、それからあちこちをキョロキョロしだす明歩。やっぱいるね、とか言ってる? あ、監視の人達の事かな。
そこで私に「スマホ見て」と、声を出さず口をパクパクさせて伝える。どういう事? 声出せばいいのに、と不思議に思うも言われた通り、スマホを出して見てみると、つい「え?」と声が出てしまった。
「じゃあ自転車停めに行こう」でも明歩は何ともないと言った表情で、自転車に跨がり駐輪場に向かう。私も黙ってそれに従う。けれど、
「行くよ!」といきなりペダルに力を込め、全力疾走する明歩。私も急いで付いていく。駐輪場の中を抜けていく私達。一方のんびり構えていた監視の人達は、私達の突然の行動に、慌てて走って追いかけてきた。でも、明歩は事前にこの辺りをリサーチしてたみたいで、車が入れない、更に土曜でかなり人通りが多いアーケード街の中を、自転車ですり抜けていく。監視の人達は人混みに邪魔され私達に追いつけないようだ。急いで車に戻って追いかけようとした人達も、これだと多分、私達が何処に行ったか分からないだろう。
暫く二人、全力で自転車で走らせ、それからとある建物の陰に明歩が隠れた。私もついでそこに入っていった。「はあっ、はあっ、……ふう、ついて来てないね」と、明歩は息を切らせながら、そーっと物陰から覗く。
そう。明歩は私が監視されてるのを知って、彼らを撒くよ、と私にlineで伝えてきた。驚いたのも束の間、明歩はすぐ行動に出てしまったから、私もつい付き合ってしまった。
それからすぐに、私のスマホがバイブする。だけど明歩がすぐ私からそれを奪い、電源を切った。
「あ、明歩。それはさすがにまずいよ」「今日くらいは大丈夫だって。せっかく遊びに行くのに監視されてちゃ楽しめないっしょ? てか、今日の目的はここなんだけどね」今日は六月の下旬。暑い盛りに全力で走ってきたから、明歩も私も汗だくだ。明歩はその建物を見上げニヤッとする。
今度は明歩のスマホがバイブしたようだ。画面を見てすぐ出る明歩。
『何処行ったの?』「それ言う必要あります?」恩田さんの声が明歩のスマホから漏れ聞こえてきた。結構大きな声。怒ってるのが分かる。
「そもそも、監視つけるとかおかしいっしょ。女子高生ストーカーするんすか?」『何言ってるの? 美久に万が一の事があったら……』「それはまず大丈夫っすよ。心配要らないっす」
『どういう事なの?』と言う恩田さんの声が聞こえたけど明歩はすぐ切った。
「よし! じゃあ行こう」ふう、と息を吐いて明歩は私を建物の影から出るよう促す。そして改めて建物を見てここが何処か分かった。
「ねえ、明歩。ここって……」「そう。市民体育館。空手大会があるんだよ」
※※※
「あ! 雄介ー! 頑張ってー!」
明歩が一段と大きな声で三浦君を応援してる。その黄色い声援を聞いた、ちょっと離れたところで固まっている何処かの高校の男子部員達が一斉にこちらを見てる。……怨念とかやっかみとか妬みとか、色んな感情が入り混じってるね。
「てか明歩。余り大きな声だと目立つよ」「あ、いっけなーい」私が小声で注意しテヘヘと頭を掻く明歩。まあ、愛しの三浦君がこれから出るんだから、つい声を張り上げちゃうのも仕方ないよね。でも周りも結構声出して応援してたりするから、明歩の声紛れて聞こえていないかも? あ、でも三浦君、こっちに手振ってる。それに気づいた明歩もブンブンと嬉しそうに手を振り返す。何だか微笑ましくて羨ましいな。
でも空手の試合ってこんな風に沢山の高校が集まってやるんだ。そう言えば私、部活動の大会見るの初めて。ついあちこちキョロキョロしてしまう。会場はかなりの熱気が充満していて、でも私達がいる観覧席は上の方で窓が全開なのもあって、風が吹き込んできて暑さは若干マシかな? 下の会場はもっと暑いんだろうけど。
あ、三浦君が勝った? 相手選手が蹲ってて旗持った審判が、三浦君を指さして何か言ってるし。でもさすがイケメン三浦君。空手道着も様になってて、普段の練習と違って一段とカッコよく見えるね。とか思ってると、明歩が突然抱きついてきた。「キャー! 雄介勝った勝った!」そうだね、嬉しいよね。でも明歩、さすがに暑いし汗ついちゃってるよ。
そこで急に会場がざわめいた。何かな? と明歩を引き剥がしながら騒ぎの中心辺りを見ると……、武智君がこれから試合するみたい。あ、そうか。きっと武智君だからかな? 昨年二年生ながらに準優勝したから。
試合場に上がり「押忍!」と武智君の声が聞こえてきた。そう。武智君の試合になった途端、辺りが静かになったから、武智君の声が聞こえた。凄い。こんなに注目されてんだ。そして武智君、真剣な眼差しで相手選手を見てる。鋭い眼光。普段の優しい雰囲気とは全然違う。
「はじめ!」の審判のコールで武智君と相手選手が互いに軽やかにステップを踏み始める。と一瞬、武智君が相手選手に近づいたかと思ったら、その場で相手選手が膝を折って倒れ込んだ。……速い。何があったか分からなかった。途端、おおー、と歓声が上がる。
武智君が「押忍!」と試合終了して挨拶して降りてくるさなか、チラリとこちらを見た。つい、小さく手を振っちゃった。あ、武智君、私を見てニコリとしてくれた。
試合の時はあんなに凛々しいのか。練習は見た事あったけど、試合とは全然雰囲気違うんだ。……どうしよう。かっこ良かった。つい私も興奮しちゃった。そしてさっきの笑顔が可愛くて、そのギャップもいいな、武智君。
それからも順当に武智君は勝ち進む。前評判通りの実力に、どうやら周りの選手達は舌を巻いていたよう。一方の三浦君も、武智君ほど余裕はなかったけど、何とかぎりぎり勝ち進む事が出来た。明歩は三浦君が攻撃を受ける度ハラハラし、勝つ度私に抱きつく。汗だくで。その都度明歩を引き剥がすのが若干大変だった。因みに武智君は一切攻撃を貰っていなかった。やっぱり強いんだ。凄いなあ。
でも、来て良かった。武智君の戦ってる姿見れたし。隣では三浦君が勝って感激して泣いてる明歩。……本当、明歩には心底感謝してる。
「明歩。ありがとう」「グズ、ヒック。え? 何が?」
「今日ここに連れてきてくれた事」「グス。なあんだそんな事か、ヒック」
泣きながら微笑む明歩にクスリとする私。明歩は私の気持ちを知ってる。だからこそ、ああやって監視を振り切って連れてきてくれた。事前にあれこれ調べてくれて。もし、空手会場に来るって恩田さんが知っていたら、間違いなく今日、明歩と遊びに行くの止められてた。それを分かってて、色々下準備してくれた明歩。
「私も何か、明歩にお返ししたいな」「本当? じゃあ今度美久の家に連れてってよ」
そう言われて固まってしまう私。友達を家に連れて来た事、そう言えば一度もない。でも、明歩なら来てほしいな。
「そうね。それでお返しになるなら」「オッケー、約束だよ!」そう言ってまたもこの暑い中抱きついてくる明歩。もう明歩の汗が私にこびりつくのは諦めた。更に遠慮なく頬ずりしてくるし。私は明歩のペットじゃないよ。
そして後片付けしてる武智君達を見ると、三浦君と共にこちらを見てた。またも小さく手を振る私に、武智君はグッと拳を突き上げた。何よそれ? 無駄にかっこいい。つい頬が赤くなっちゃった。もうこれ以上、武智君への気持ちを大きくしちゃいけないのに……。
今日は高校生になって初めて、女友達と二人で遊びに行く。凄く嬉しい。行く前から何だかわくわくしてる。こういうらしい事したかったから。でも、今日私が遊びに行くのを知っている恩田さんは、やっぱりというか、私が家を出てからずっと、監視をつけていた。電柱や家の影からこっそり覗く数人の人影。昔の私なら分からなかっただろうけど、今は慣れてきたのもあってさすがに気づいてる。
……仕方ない。できるだけ気にしないようにして、明歩とのデートを楽しもう。恩田さんの言う通り、これが最初で最後かも知れないし。でも、こんな状態なの、何だか明歩に申し訳ないな。一応そういう人達いるかも、って明歩には事前に伝えておいたけど。
待ち合わせ場所は自宅から、自転車で十五分ほど走ったショッピングセンターの前。だから今日は私も明歩も自転車で待ち合わせ。あ、あれ明歩かな? 私が声をかけようとすると、先に明歩が私に気づいた。
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「じゃあ自転車停めに行こう」でも明歩は何ともないと言った表情で、自転車に跨がり駐輪場に向かう。私も黙ってそれに従う。けれど、
「行くよ!」といきなりペダルに力を込め、全力疾走する明歩。私も急いで付いていく。駐輪場の中を抜けていく私達。一方のんびり構えていた監視の人達は、私達の突然の行動に、慌てて走って追いかけてきた。でも、明歩は事前にこの辺りをリサーチしてたみたいで、車が入れない、更に土曜でかなり人通りが多いアーケード街の中を、自転車ですり抜けていく。監視の人達は人混みに邪魔され私達に追いつけないようだ。急いで車に戻って追いかけようとした人達も、これだと多分、私達が何処に行ったか分からないだろう。
暫く二人、全力で自転車で走らせ、それからとある建物の陰に明歩が隠れた。私もついでそこに入っていった。「はあっ、はあっ、……ふう、ついて来てないね」と、明歩は息を切らせながら、そーっと物陰から覗く。
そう。明歩は私が監視されてるのを知って、彼らを撒くよ、と私にlineで伝えてきた。驚いたのも束の間、明歩はすぐ行動に出てしまったから、私もつい付き合ってしまった。
それからすぐに、私のスマホがバイブする。だけど明歩がすぐ私からそれを奪い、電源を切った。
「あ、明歩。それはさすがにまずいよ」「今日くらいは大丈夫だって。せっかく遊びに行くのに監視されてちゃ楽しめないっしょ? てか、今日の目的はここなんだけどね」今日は六月の下旬。暑い盛りに全力で走ってきたから、明歩も私も汗だくだ。明歩はその建物を見上げニヤッとする。
今度は明歩のスマホがバイブしたようだ。画面を見てすぐ出る明歩。
『何処行ったの?』「それ言う必要あります?」恩田さんの声が明歩のスマホから漏れ聞こえてきた。結構大きな声。怒ってるのが分かる。
「そもそも、監視つけるとかおかしいっしょ。女子高生ストーカーするんすか?」『何言ってるの? 美久に万が一の事があったら……』「それはまず大丈夫っすよ。心配要らないっす」
『どういう事なの?』と言う恩田さんの声が聞こえたけど明歩はすぐ切った。
「よし! じゃあ行こう」ふう、と息を吐いて明歩は私を建物の影から出るよう促す。そして改めて建物を見てここが何処か分かった。
「ねえ、明歩。ここって……」「そう。市民体育館。空手大会があるんだよ」
※※※
「あ! 雄介ー! 頑張ってー!」
明歩が一段と大きな声で三浦君を応援してる。その黄色い声援を聞いた、ちょっと離れたところで固まっている何処かの高校の男子部員達が一斉にこちらを見てる。……怨念とかやっかみとか妬みとか、色んな感情が入り混じってるね。
「てか明歩。余り大きな声だと目立つよ」「あ、いっけなーい」私が小声で注意しテヘヘと頭を掻く明歩。まあ、愛しの三浦君がこれから出るんだから、つい声を張り上げちゃうのも仕方ないよね。でも周りも結構声出して応援してたりするから、明歩の声紛れて聞こえていないかも? あ、でも三浦君、こっちに手振ってる。それに気づいた明歩もブンブンと嬉しそうに手を振り返す。何だか微笑ましくて羨ましいな。
でも空手の試合ってこんな風に沢山の高校が集まってやるんだ。そう言えば私、部活動の大会見るの初めて。ついあちこちキョロキョロしてしまう。会場はかなりの熱気が充満していて、でも私達がいる観覧席は上の方で窓が全開なのもあって、風が吹き込んできて暑さは若干マシかな? 下の会場はもっと暑いんだろうけど。
あ、三浦君が勝った? 相手選手が蹲ってて旗持った審判が、三浦君を指さして何か言ってるし。でもさすがイケメン三浦君。空手道着も様になってて、普段の練習と違って一段とカッコよく見えるね。とか思ってると、明歩が突然抱きついてきた。「キャー! 雄介勝った勝った!」そうだね、嬉しいよね。でも明歩、さすがに暑いし汗ついちゃってるよ。
そこで急に会場がざわめいた。何かな? と明歩を引き剥がしながら騒ぎの中心辺りを見ると……、武智君がこれから試合するみたい。あ、そうか。きっと武智君だからかな? 昨年二年生ながらに準優勝したから。
試合場に上がり「押忍!」と武智君の声が聞こえてきた。そう。武智君の試合になった途端、辺りが静かになったから、武智君の声が聞こえた。凄い。こんなに注目されてんだ。そして武智君、真剣な眼差しで相手選手を見てる。鋭い眼光。普段の優しい雰囲気とは全然違う。
「はじめ!」の審判のコールで武智君と相手選手が互いに軽やかにステップを踏み始める。と一瞬、武智君が相手選手に近づいたかと思ったら、その場で相手選手が膝を折って倒れ込んだ。……速い。何があったか分からなかった。途端、おおー、と歓声が上がる。
武智君が「押忍!」と試合終了して挨拶して降りてくるさなか、チラリとこちらを見た。つい、小さく手を振っちゃった。あ、武智君、私を見てニコリとしてくれた。
試合の時はあんなに凛々しいのか。練習は見た事あったけど、試合とは全然雰囲気違うんだ。……どうしよう。かっこ良かった。つい私も興奮しちゃった。そしてさっきの笑顔が可愛くて、そのギャップもいいな、武智君。
それからも順当に武智君は勝ち進む。前評判通りの実力に、どうやら周りの選手達は舌を巻いていたよう。一方の三浦君も、武智君ほど余裕はなかったけど、何とかぎりぎり勝ち進む事が出来た。明歩は三浦君が攻撃を受ける度ハラハラし、勝つ度私に抱きつく。汗だくで。その都度明歩を引き剥がすのが若干大変だった。因みに武智君は一切攻撃を貰っていなかった。やっぱり強いんだ。凄いなあ。
でも、来て良かった。武智君の戦ってる姿見れたし。隣では三浦君が勝って感激して泣いてる明歩。……本当、明歩には心底感謝してる。
「明歩。ありがとう」「グズ、ヒック。え? 何が?」
「今日ここに連れてきてくれた事」「グス。なあんだそんな事か、ヒック」
泣きながら微笑む明歩にクスリとする私。明歩は私の気持ちを知ってる。だからこそ、ああやって監視を振り切って連れてきてくれた。事前にあれこれ調べてくれて。もし、空手会場に来るって恩田さんが知っていたら、間違いなく今日、明歩と遊びに行くの止められてた。それを分かってて、色々下準備してくれた明歩。
「私も何か、明歩にお返ししたいな」「本当? じゃあ今度美久の家に連れてってよ」
そう言われて固まってしまう私。友達を家に連れて来た事、そう言えば一度もない。でも、明歩なら来てほしいな。
「そうね。それでお返しになるなら」「オッケー、約束だよ!」そう言ってまたもこの暑い中抱きついてくる明歩。もう明歩の汗が私にこびりつくのは諦めた。更に遠慮なく頬ずりしてくるし。私は明歩のペットじゃないよ。
そして後片付けしてる武智君達を見ると、三浦君と共にこちらを見てた。またも小さく手を振る私に、武智君はグッと拳を突き上げた。何よそれ? 無駄にかっこいい。つい頬が赤くなっちゃった。もうこれ以上、武智君への気持ちを大きくしちゃいけないのに……。
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