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第14章 同志達
危急存亡の秋
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「これで全員だな」
魚住が走り出したのを見てタイミングを計るように奥の部屋から出てきた別所が立ち上がる。その様子を見て集まった士官達は醍醐の方に頭を向けた。
「同志諸君!残念なお知らせはご存知だろうが波多野卿が凶弾に倒れて一週間が経った。警察は烏丸殿に遠慮して捜査らしい捜査もせず、テロリストは野放しにされている」
この別所の言葉に多くの士官が頷く。
「こうしている間にも、烏丸殿の作った貴族制擁護、官僚擁護の法案に触れるとして多くの志を同じくする人々が囚われ、殺されている現状を我々は看過することが出来ずにこうして集まったわけだ」
その別所の言葉でこの場に上官であり一番の民派と呼ばれるようになった西園寺派の領袖である赤松がいない理由が明石にも分かった。これはクーデター計画を練るための会合であると。
見れば士官の中には陸軍のレンジャー部隊、海軍の陸戦隊や空挺部隊の部隊長の顔も見て取れて、これから話し合う内容が要人略取や施設占拠を目的とする作戦行動を目指すと言うことが読み取れた。
「これも清原将軍を討ち取れば話が済むんじゃないか!」
末席ですでにかなり酒が入って赤い顔をしている海軍陸戦隊の少佐が叫ぶ。さすがに極論だと言うように周りの士官達は冷ややかに笑った。
だが、一人楓だけは静かに頷いていた。
「おう、姫様は分かるんだな!」
そんな楓を見つけて不器用な笑顔でにじり寄ってくるその男を睨み返す楓。
「はい、この場で酒を飲みすぎて正気を失うような同志の発言は無視した方が良いことは分かります」
はっきりと言い切った楓の言葉に同志達は拍手と笑いを送る。陸戦隊の少佐は頭を抱えてそのまま席に戻った。
「実際我々が動くか、それとも彼等が動くかは情勢によるわけですが、波多野卿の無念を晴らすためにもそれぞれが同志を募り、策を練り、機会をうかがうべき時であると……」
別所がそこまで言ったとき、杯が砕ける音が響いた。
それは明石の隣の斎藤と言う海軍大尉が床に杯をたたきつけた音だった。
「君達は馬鹿か?」
その一言に場は一挙に緊張した。明石も魚住や黒田の顔に殺気が走るのを見て身構える。
「馬鹿?馬鹿とは聞き捨てなりませんなあ!」
海軍大尉の階級章の男が立ち上がる。それを見ても斎藤はうろたえずに座ったままで彼を見つめる。
「今現在、この胡州をめぐる状況をどうお考えなのか皆さんにお聞かせ願いたい!」
一瞬盛り上がった怒りが急に衰え始めた。黙って周りを眺める明石の目にもその言葉が血気にはやる者たちに十分な打撃を与えるに足る言葉だとわかった。そんな明石を見つけた斎藤は言葉を続けた。
「確かに一撃で倒せる相手ならいざ知らず、今事を起こせば間違いなく胡州の植民コロニーをめぐった大騒乱になることは確実だ。そうなれば先の大戦の傷が癒えないこの国は地球や同盟諸国に切り取られることにもなりかねない。事実、遼南の東海州は嵯峨殿に切り取られたではないか!」
東海州の事象が効果的にこの場の将校達に冷や水を浴びせた。第三惑星の崑崙大陸東部の飛び地である東海州は胡州貴族に列する花山院家の領邦であったが、遼南皇帝ムジャンタ・ラスコー、胡州名嵯峨惟基の姦計により切り取られ遼南帝国領にされたのは否定のしようがない事実だった。
「ゲルパルトの独立戦争をめぐり、地球と対立関係にある我が胡州で内乱が起きる。それを待っているのはなにも地球圏の列強ばかりではないということをお忘れいただいては困る」
そう言うと斎藤は手にした一升瓶に口をつける。
「では、斎藤さんはどうこれからの道のりを考えるおつもりですかな」
そんな醍醐の言葉に場の将校達の視線は斎藤に向いた。隣でスルメを口にくわえていた楓が斎藤を見ているのに気づいた明石も自然と隣の中年士官を見つめた。
「なに、時代は我々に風が吹いていますよ。東和も遼南も大麗もこの国の民主化を望み、国民もそれを望んでいる。腐った貴族制は自然に崩れる。それまで国を支えていれば自然と時は満ちるものだ」
そこまでいうと再び斎藤は一升瓶を傾ける。だが青年将校達は納得する様子は無く鋭い視線を斎藤に浴びせている。
「根拠は?どこにそんな根拠がある!」
「弱腰ですなあ!濃州はいつこんなに弱腰になられたのか!」
「老人の出る幕ではない!」
叫ぶのはどれも明石より年下。先の大戦を経験したことがないであろう若い士官達だった。さすがに彼等の勢いについていくことは出来ずに魚住も苦笑いを浮かべながら場を眺めていた。
斎藤は黙って酒を飲み続ける。そこに楓が自分に渡されていた杯を斎藤に渡した。
「おう、姫様。いかがお考えですか?」
静かな斎藤の一言。それを聞くと急に青年士官達は黙り込んだ。
「そうですね。波多野様を暗殺計画を策定したと自首してきた陸軍将校は完全黙秘していますがすでに烏丸一派であることは分かっていますから。我々が動けば私怨としか国民は見てくれないでしょう。さらに政治に暴力を持ち込んだことで官派の信用は国際的には低下しています。ここは耐えてみせるのが得策だと思います」
冷静な楓の言葉に場が静まる。青年士官達は小声でささやき会った。
そんな中、明石は醍醐に視線を向けていた。平然と自分を慕う若者達の議論を聞き入っていた殿上人は何も言葉を吐くつもりは無いというように黙り込んでいる。そしてその隣では別所が満足げに楓の言葉に頷いていた。
「ワシは……難しいことをいうつもりは無い」
たまらずに明石は自然と口を開いていた。
「ただ……」
周りの空気がピンと張りつめて明石の言葉を待っていた。その空気に呑まれて一瞬言葉を躊躇するがすぐに明石は気を落ち着けた。
「水がよどめば腐るものですよ。そんなところで魚は飼えない。この国の貴族制度、国家体制がよどんだ水のようなものだと思って皆さんはこの場に集まったのだと思う」
柄にも無く標準語を使おうとして見せるだけアクセントがいつもの関西弁に近づくのに気づきながらも明石は言葉を続けた。
「ワ……いや、私も貴族制度の恩恵を受けてきたのは事実だ。復員してからそれなりに食えたのも貴族年金のおかげ、闇屋を始める手付金もそれで出しました。でもほとんどの復員兵が金も、いや明日の食にもありつけない状況だったのは皆さんもご存知だと思う」
そこまで言って明石は言葉を止めた。周りの同志達は皆それなりの階級に生まれてきた者達である。彼等は庶民の困窮を『見た』と言うがそれがどの程度のものなのかは明石も想像が付いた。
メディアが両派のプロパガンダ機関に成り下がっていることは誰もが知っていた。そんな中で時折見かける上辺だけの民衆の困窮と同志からの根拠の無い噂話。どちらも闇屋で生きてきた明石からは噴飯モノのたわごとばかりだった。
「だったら変えれば良いじゃないですか!」
明石の沈黙を破る海軍兵学校の制服を着た少年。
「変える?明らかに足りないものだと言うのに……変えれば一皿の団子が二皿になると言うんですか?」
自分でもアクセントがかなりおかしくなっていることは知っていたが、明石は口調を変えずに関西のアクセントのまま話を続ける。
「この国を変える?大いに結構。血のつながりで能力無視で採用された役人、親から領地を引き継いでは見たものの管理も出来ない領主、地盤を引き継いだことだけでいつまでも大臣の椅子にしがみつく政治家。それらのはしごをいっぺんに外す?さぞ爽快だとは思いますよ」
開き直ってそう言いきる明石。同志達はとげとげしい視線を彼に向けた。
「だが本当にそれで変わるんですか?国家の持つ最大の暴力機関である軍を動かす。それで変えられるというが本当ですか?」
そう言って明石は手にしたコップの中になみなみと注がれた清酒を一気に飲み下す。そして明石の視線はこの席の主である醍醐の方に向かった。
「それなら明石君は座して死を待つつもりなのかな」
ぽつりと醍醐がつぶやくと座の青年士官達は大きく頷いてそのまま棘のある視線を明石に向けた。
「守旧派を打倒するって言うと綺麗なもんだ。だがそこで血が流れること。その中には我々が救いたいと思う人の血も混じることになる覚悟を君達はしているのかね」
斎藤が明石の言葉を引き継ぐ。そして彼の言葉で熱狂の中にあった青年士官達の心が冷やされていくのを明石は見つめていた。
魚住が走り出したのを見てタイミングを計るように奥の部屋から出てきた別所が立ち上がる。その様子を見て集まった士官達は醍醐の方に頭を向けた。
「同志諸君!残念なお知らせはご存知だろうが波多野卿が凶弾に倒れて一週間が経った。警察は烏丸殿に遠慮して捜査らしい捜査もせず、テロリストは野放しにされている」
この別所の言葉に多くの士官が頷く。
「こうしている間にも、烏丸殿の作った貴族制擁護、官僚擁護の法案に触れるとして多くの志を同じくする人々が囚われ、殺されている現状を我々は看過することが出来ずにこうして集まったわけだ」
その別所の言葉でこの場に上官であり一番の民派と呼ばれるようになった西園寺派の領袖である赤松がいない理由が明石にも分かった。これはクーデター計画を練るための会合であると。
見れば士官の中には陸軍のレンジャー部隊、海軍の陸戦隊や空挺部隊の部隊長の顔も見て取れて、これから話し合う内容が要人略取や施設占拠を目的とする作戦行動を目指すと言うことが読み取れた。
「これも清原将軍を討ち取れば話が済むんじゃないか!」
末席ですでにかなり酒が入って赤い顔をしている海軍陸戦隊の少佐が叫ぶ。さすがに極論だと言うように周りの士官達は冷ややかに笑った。
だが、一人楓だけは静かに頷いていた。
「おう、姫様は分かるんだな!」
そんな楓を見つけて不器用な笑顔でにじり寄ってくるその男を睨み返す楓。
「はい、この場で酒を飲みすぎて正気を失うような同志の発言は無視した方が良いことは分かります」
はっきりと言い切った楓の言葉に同志達は拍手と笑いを送る。陸戦隊の少佐は頭を抱えてそのまま席に戻った。
「実際我々が動くか、それとも彼等が動くかは情勢によるわけですが、波多野卿の無念を晴らすためにもそれぞれが同志を募り、策を練り、機会をうかがうべき時であると……」
別所がそこまで言ったとき、杯が砕ける音が響いた。
それは明石の隣の斎藤と言う海軍大尉が床に杯をたたきつけた音だった。
「君達は馬鹿か?」
その一言に場は一挙に緊張した。明石も魚住や黒田の顔に殺気が走るのを見て身構える。
「馬鹿?馬鹿とは聞き捨てなりませんなあ!」
海軍大尉の階級章の男が立ち上がる。それを見ても斎藤はうろたえずに座ったままで彼を見つめる。
「今現在、この胡州をめぐる状況をどうお考えなのか皆さんにお聞かせ願いたい!」
一瞬盛り上がった怒りが急に衰え始めた。黙って周りを眺める明石の目にもその言葉が血気にはやる者たちに十分な打撃を与えるに足る言葉だとわかった。そんな明石を見つけた斎藤は言葉を続けた。
「確かに一撃で倒せる相手ならいざ知らず、今事を起こせば間違いなく胡州の植民コロニーをめぐった大騒乱になることは確実だ。そうなれば先の大戦の傷が癒えないこの国は地球や同盟諸国に切り取られることにもなりかねない。事実、遼南の東海州は嵯峨殿に切り取られたではないか!」
東海州の事象が効果的にこの場の将校達に冷や水を浴びせた。第三惑星の崑崙大陸東部の飛び地である東海州は胡州貴族に列する花山院家の領邦であったが、遼南皇帝ムジャンタ・ラスコー、胡州名嵯峨惟基の姦計により切り取られ遼南帝国領にされたのは否定のしようがない事実だった。
「ゲルパルトの独立戦争をめぐり、地球と対立関係にある我が胡州で内乱が起きる。それを待っているのはなにも地球圏の列強ばかりではないということをお忘れいただいては困る」
そう言うと斎藤は手にした一升瓶に口をつける。
「では、斎藤さんはどうこれからの道のりを考えるおつもりですかな」
そんな醍醐の言葉に場の将校達の視線は斎藤に向いた。隣でスルメを口にくわえていた楓が斎藤を見ているのに気づいた明石も自然と隣の中年士官を見つめた。
「なに、時代は我々に風が吹いていますよ。東和も遼南も大麗もこの国の民主化を望み、国民もそれを望んでいる。腐った貴族制は自然に崩れる。それまで国を支えていれば自然と時は満ちるものだ」
そこまでいうと再び斎藤は一升瓶を傾ける。だが青年将校達は納得する様子は無く鋭い視線を斎藤に浴びせている。
「根拠は?どこにそんな根拠がある!」
「弱腰ですなあ!濃州はいつこんなに弱腰になられたのか!」
「老人の出る幕ではない!」
叫ぶのはどれも明石より年下。先の大戦を経験したことがないであろう若い士官達だった。さすがに彼等の勢いについていくことは出来ずに魚住も苦笑いを浮かべながら場を眺めていた。
斎藤は黙って酒を飲み続ける。そこに楓が自分に渡されていた杯を斎藤に渡した。
「おう、姫様。いかがお考えですか?」
静かな斎藤の一言。それを聞くと急に青年士官達は黙り込んだ。
「そうですね。波多野様を暗殺計画を策定したと自首してきた陸軍将校は完全黙秘していますがすでに烏丸一派であることは分かっていますから。我々が動けば私怨としか国民は見てくれないでしょう。さらに政治に暴力を持ち込んだことで官派の信用は国際的には低下しています。ここは耐えてみせるのが得策だと思います」
冷静な楓の言葉に場が静まる。青年士官達は小声でささやき会った。
そんな中、明石は醍醐に視線を向けていた。平然と自分を慕う若者達の議論を聞き入っていた殿上人は何も言葉を吐くつもりは無いというように黙り込んでいる。そしてその隣では別所が満足げに楓の言葉に頷いていた。
「ワシは……難しいことをいうつもりは無い」
たまらずに明石は自然と口を開いていた。
「ただ……」
周りの空気がピンと張りつめて明石の言葉を待っていた。その空気に呑まれて一瞬言葉を躊躇するがすぐに明石は気を落ち着けた。
「水がよどめば腐るものですよ。そんなところで魚は飼えない。この国の貴族制度、国家体制がよどんだ水のようなものだと思って皆さんはこの場に集まったのだと思う」
柄にも無く標準語を使おうとして見せるだけアクセントがいつもの関西弁に近づくのに気づきながらも明石は言葉を続けた。
「ワ……いや、私も貴族制度の恩恵を受けてきたのは事実だ。復員してからそれなりに食えたのも貴族年金のおかげ、闇屋を始める手付金もそれで出しました。でもほとんどの復員兵が金も、いや明日の食にもありつけない状況だったのは皆さんもご存知だと思う」
そこまで言って明石は言葉を止めた。周りの同志達は皆それなりの階級に生まれてきた者達である。彼等は庶民の困窮を『見た』と言うがそれがどの程度のものなのかは明石も想像が付いた。
メディアが両派のプロパガンダ機関に成り下がっていることは誰もが知っていた。そんな中で時折見かける上辺だけの民衆の困窮と同志からの根拠の無い噂話。どちらも闇屋で生きてきた明石からは噴飯モノのたわごとばかりだった。
「だったら変えれば良いじゃないですか!」
明石の沈黙を破る海軍兵学校の制服を着た少年。
「変える?明らかに足りないものだと言うのに……変えれば一皿の団子が二皿になると言うんですか?」
自分でもアクセントがかなりおかしくなっていることは知っていたが、明石は口調を変えずに関西のアクセントのまま話を続ける。
「この国を変える?大いに結構。血のつながりで能力無視で採用された役人、親から領地を引き継いでは見たものの管理も出来ない領主、地盤を引き継いだことだけでいつまでも大臣の椅子にしがみつく政治家。それらのはしごをいっぺんに外す?さぞ爽快だとは思いますよ」
開き直ってそう言いきる明石。同志達はとげとげしい視線を彼に向けた。
「だが本当にそれで変わるんですか?国家の持つ最大の暴力機関である軍を動かす。それで変えられるというが本当ですか?」
そう言って明石は手にしたコップの中になみなみと注がれた清酒を一気に飲み下す。そして明石の視線はこの席の主である醍醐の方に向かった。
「それなら明石君は座して死を待つつもりなのかな」
ぽつりと醍醐がつぶやくと座の青年士官達は大きく頷いてそのまま棘のある視線を明石に向けた。
「守旧派を打倒するって言うと綺麗なもんだ。だがそこで血が流れること。その中には我々が救いたいと思う人の血も混じることになる覚悟を君達はしているのかね」
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