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第26章 会戦
恐るべき母
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ラン以外の誰もがこの場の結末を読めずにいた。
そこに管制官のサラの言葉が響いた。
『正体不明の艦隊の背後に重力波感知!』
サラの言葉は誠をさらに絶望させた。
「そんな!これ以上敵が来たら……」
『敵だなんて……本当に困ったものね』
スクリーンに大写しにされた和服を着た妙齢の女性の姿に誠は唖然とした。
『シャムちゃん本当にお疲れね。私が出られなかったから手間をかけたみたいで……』
『そんなこと無いよ!怒ったのはアタシの勝手だから』
女性のねぎらいの言葉に照れながらシャムはそう答えた。
「あのー……誰ですか?」
誠は空気を読まずにそう尋ねた。ちらりとモニターを見るとかなめの頬がぴくぴく動いているのが分かる。
『お母さま!じゃあ、それは摂州の州軍ですか!』
明るい調子でかえでが叫んだ。
「かえでさんのお母さんってことは……西園寺さんのお母さんでもあるわけですよね」
『まあな……叔父貴の野郎、知ってて黙ってやがったな。帰ったら殺す』
『まあ、殺すだなんて……かなめちゃんには無理無理!私ならできるけどね』
そう言ってほほ笑むかなめの母の表情に一瞬殺気が漲ったのを誠は見逃さなかった。
『ああ、自己紹介がまだだったわね。私がかなめちゃんとかえでちゃんの母の康子と申します』
かなめに似たたれ目の美女の言葉が響いた。
『ずいぶんとお若く見えますが……あなたも『不死人』ですか?ああ、自己紹介が遅れました。私はロナルド・スミスJr大尉、第四小隊小隊長を拝命しています』
『ああ、アメリカ海軍からの出向の方ですね……存じてますわよ。なかなかの切れ者とか……』
そう言って含み笑いを浮かべる西園寺康子の姿に誠はどことなく恐怖を感じていた。
『正体不明艦隊の周囲の重力震が拡大しています!空間跳躍態勢入ったようです!』
サラの報告を康子は涼しい顔で聞いていた。
『逃げるならいいでしょう……まあ、逃げるとしても行けるとこなんて限られてるでしょうけど』
そう言ってのける康子の態度に誠は少しばかり違和感を感じながら操縦桿を握りしめていた。
そこに管制官のサラの言葉が響いた。
『正体不明の艦隊の背後に重力波感知!』
サラの言葉は誠をさらに絶望させた。
「そんな!これ以上敵が来たら……」
『敵だなんて……本当に困ったものね』
スクリーンに大写しにされた和服を着た妙齢の女性の姿に誠は唖然とした。
『シャムちゃん本当にお疲れね。私が出られなかったから手間をかけたみたいで……』
『そんなこと無いよ!怒ったのはアタシの勝手だから』
女性のねぎらいの言葉に照れながらシャムはそう答えた。
「あのー……誰ですか?」
誠は空気を読まずにそう尋ねた。ちらりとモニターを見るとかなめの頬がぴくぴく動いているのが分かる。
『お母さま!じゃあ、それは摂州の州軍ですか!』
明るい調子でかえでが叫んだ。
「かえでさんのお母さんってことは……西園寺さんのお母さんでもあるわけですよね」
『まあな……叔父貴の野郎、知ってて黙ってやがったな。帰ったら殺す』
『まあ、殺すだなんて……かなめちゃんには無理無理!私ならできるけどね』
そう言ってほほ笑むかなめの母の表情に一瞬殺気が漲ったのを誠は見逃さなかった。
『ああ、自己紹介がまだだったわね。私がかなめちゃんとかえでちゃんの母の康子と申します』
かなめに似たたれ目の美女の言葉が響いた。
『ずいぶんとお若く見えますが……あなたも『不死人』ですか?ああ、自己紹介が遅れました。私はロナルド・スミスJr大尉、第四小隊小隊長を拝命しています』
『ああ、アメリカ海軍からの出向の方ですね……存じてますわよ。なかなかの切れ者とか……』
そう言って含み笑いを浮かべる西園寺康子の姿に誠はどことなく恐怖を感じていた。
『正体不明艦隊の周囲の重力震が拡大しています!空間跳躍態勢入ったようです!』
サラの報告を康子は涼しい顔で聞いていた。
『逃げるならいいでしょう……まあ、逃げるとしても行けるとこなんて限られてるでしょうけど』
そう言ってのける康子の態度に誠は少しばかり違和感を感じながら操縦桿を握りしめていた。
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