748 / 1,505
第26章 会戦
発砲
しおりを挟む
『砲台のチャージ完了まで一分切ったわよ!』
管制官のサラが叫んだ。
「またですか?いくら砲身が解けて、威力が下がったって次の一撃は僕じゃあ耐えられません!」
誠はそう言いながら機体前方に干渉空間を生成した。
『できるもなにも、やるのがアタシ等の仕事だ。オメーが蒸発してもアタシのでなんとか耐える』
そう言って非情に誠の後方で待機していたランは干渉空間を展開した。
『クバルカ中佐!神前を見捨てるんですか?神前!逃げろ!もう私達にはやれることは何もない!クバルカ中佐!我々は何があっても生き延びなきゃならないんじゃないんですか!隊長が言う命の使いどころは今じゃないですよ!』
干渉空間を展開する、誠とラン、二機の法術師乗る機体の間でカウラが叫ぶ。
『カウラよ。どうやらそいつが今らしいや。オメーも神前の上司だ。司法局実働部隊機動部隊第二小隊小隊長だ。神前の馬鹿の上司だ。覚悟ぐらい決めろ……」
誠は唇をかみしめながらモニターの小窓の中で強がりを言うランを眺めていた。
『ですが!』
『カウラ、シャムは何してる?』
カウラの機体の隣でレールガンを構えていたかなめがそう言った。
『西園寺!今は前線のシャムのことなんかどうでもいいだろ!』
いつもは冷静なはずのカウラ。だが、いつもとは逆で今こうして運行艦『高雄』の隣にいる四人の中でかなめ一人が冷静だった。
『どうでも良くないね……サラどうだ?』
『どうだって……さっき急に動くのをやめて……まだ止まってる?なんで?シャムちゃん諦めちゃったの?』
かなめの問いに答えたサラだが、その声は自分の見たデータの意外さに戸惑っているように聞こえた。
「動くのをやめた?シャムちゃんが?諦めない不屈の騎士を自称するあの子が?」
誠もレーダーを見た。
シャムの機体は完全に一点から動かなかった。周りには砲台の艦載機が十重二十重にシャムの機体を取り囲んでいる。
『どういう事だ!西園寺!いつもの貴様なら!こんな時は!』
『ブチ切れて敵につっこんでるって言いたいのか?まあな。いつものアタシならな。だが、オメエ等も同席していたはずだぜ。そしてデータのコピーなら『高雄』が出港する時に渡したはずだ』
いつもにない冷静沈着なかなめ。
『何言ってるのよ!時間がないのよ!』
艦長代理のアイシャが艦長席で怒鳴る。
『アイシャもだ。ネネの報告書。オメエ等読んでないのか?』
かなめはそう言って舌なめずりをする。
『読んでないのが何よ!』
そう言ってアイシャは艦長席で開き直る。
『そうだよなあ……じゃあオメエ等が今、焦ってるのは当然か……まあ、当然と言ったら当然……』
かなめの言葉には余裕がある。誠の機体のモニターに映る、かなめ。サイボーグ用の口元しか見えない彼女の顔の見える口元には笑みが浮かんでいる。
『今、焦って何が悪い!今は!』
叫ぶカウラ。
突然、誠の背後で干渉空間を展開していたランが、その干渉空間の展開をやめた。
『なるほど……そうかい……そりゃあ良かった。じゃあ、あの砲台の命運も尽きたってことだ。カウラ!心配するな!少なくともあの砲台相手の勝負はついた。アタシ等の勝ちだ』
ランはそう言うとにんまりと笑う。
『クバルカ中佐まで何を言ってるんですか!目標発砲!』
悲痛なサラの叫びが宇宙空間にこだまする。エネルギーの流れが誠達に向けて押し寄せた。
管制官のサラが叫んだ。
「またですか?いくら砲身が解けて、威力が下がったって次の一撃は僕じゃあ耐えられません!」
誠はそう言いながら機体前方に干渉空間を生成した。
『できるもなにも、やるのがアタシ等の仕事だ。オメーが蒸発してもアタシのでなんとか耐える』
そう言って非情に誠の後方で待機していたランは干渉空間を展開した。
『クバルカ中佐!神前を見捨てるんですか?神前!逃げろ!もう私達にはやれることは何もない!クバルカ中佐!我々は何があっても生き延びなきゃならないんじゃないんですか!隊長が言う命の使いどころは今じゃないですよ!』
干渉空間を展開する、誠とラン、二機の法術師乗る機体の間でカウラが叫ぶ。
『カウラよ。どうやらそいつが今らしいや。オメーも神前の上司だ。司法局実働部隊機動部隊第二小隊小隊長だ。神前の馬鹿の上司だ。覚悟ぐらい決めろ……」
誠は唇をかみしめながらモニターの小窓の中で強がりを言うランを眺めていた。
『ですが!』
『カウラ、シャムは何してる?』
カウラの機体の隣でレールガンを構えていたかなめがそう言った。
『西園寺!今は前線のシャムのことなんかどうでもいいだろ!』
いつもは冷静なはずのカウラ。だが、いつもとは逆で今こうして運行艦『高雄』の隣にいる四人の中でかなめ一人が冷静だった。
『どうでも良くないね……サラどうだ?』
『どうだって……さっき急に動くのをやめて……まだ止まってる?なんで?シャムちゃん諦めちゃったの?』
かなめの問いに答えたサラだが、その声は自分の見たデータの意外さに戸惑っているように聞こえた。
「動くのをやめた?シャムちゃんが?諦めない不屈の騎士を自称するあの子が?」
誠もレーダーを見た。
シャムの機体は完全に一点から動かなかった。周りには砲台の艦載機が十重二十重にシャムの機体を取り囲んでいる。
『どういう事だ!西園寺!いつもの貴様なら!こんな時は!』
『ブチ切れて敵につっこんでるって言いたいのか?まあな。いつものアタシならな。だが、オメエ等も同席していたはずだぜ。そしてデータのコピーなら『高雄』が出港する時に渡したはずだ』
いつもにない冷静沈着なかなめ。
『何言ってるのよ!時間がないのよ!』
艦長代理のアイシャが艦長席で怒鳴る。
『アイシャもだ。ネネの報告書。オメエ等読んでないのか?』
かなめはそう言って舌なめずりをする。
『読んでないのが何よ!』
そう言ってアイシャは艦長席で開き直る。
『そうだよなあ……じゃあオメエ等が今、焦ってるのは当然か……まあ、当然と言ったら当然……』
かなめの言葉には余裕がある。誠の機体のモニターに映る、かなめ。サイボーグ用の口元しか見えない彼女の顔の見える口元には笑みが浮かんでいる。
『今、焦って何が悪い!今は!』
叫ぶカウラ。
突然、誠の背後で干渉空間を展開していたランが、その干渉空間の展開をやめた。
『なるほど……そうかい……そりゃあ良かった。じゃあ、あの砲台の命運も尽きたってことだ。カウラ!心配するな!少なくともあの砲台相手の勝負はついた。アタシ等の勝ちだ』
ランはそう言うとにんまりと笑う。
『クバルカ中佐まで何を言ってるんですか!目標発砲!』
悲痛なサラの叫びが宇宙空間にこだまする。エネルギーの流れが誠達に向けて押し寄せた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる