レジェンド・オブ・ダーク 遼州司法局異聞

橋本 直

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第17章 操りの糸

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「じゃあ誠ちゃんはここで」 

 誠は男子更衣室の前に置き去りにされる。中に入ってもやはりひんやりとした空気が中を占めているばかり。いかに多くの技術部の面々がこの部屋を利用していたのかを実感しながら誠は自分のロッカーを開いた。

 慣れた手つきでジャンバーを脱いでセーターをハンガーに引っかけ、カーキーグリーンのワイシャツを身にまとい、ワンタッチ式のネクタイを首に巻く。

「ふう……」 

 いつもならそこで島田や菰田の突っ込みが入るところだった。その島田はたぶん新港で05式の運搬作業の監督をしていることだろう。菰田は管理室の中で端末のモニターを睨み付けながら首をひねっている様を見たばかりだった。

「なんだか寂しい感じなんだな」 

 それだけ言うと誠はスラックスを素早く履き、ベルトを無造作に締め、ジャケットを羽織って略章の位置を直すと下士官用の制帽を被って廊下へと出てみた。まだ女性陣の姿は無い。

「このまま一人で隊長室か……」 

「そりゃあストレスだわな」 

 突然足下から声をかけられて驚いて飛び跳ねる。

「おい……そんなに驚かれても困るんだけど」 

 苦笑いを浮かべているのは部隊長の嵯峨本人だった。

「隊長……暇なんですか?」 

「まあね……鑑定を頼まれてる品物は全部東都の別邸に送っちゃったし……さすがにこれから任意の取り調べを受ける人間が銃のカスタムなんて……する気も起きないしね。吉田も面倒なこと押し付けてくれたもんだよ」 

 そう言うとそのままよたよたと健康サンダルの間抜けな音を立てながら隊長室へと歩いて行った。

「隊長!」 

 誠の突然の呼びかけに頭を掻きながら嵯峨は面倒くさそうに振り向いた。

「今回の演習……」 

「なんだ?あのもっぱら噂の東和宇宙軍の秘密兵器と一戦交えるとでも思ったか?」

 振り返った嵯峨はそう言ってにんまりと笑う。

「だって……西園寺さん達が言うには……」

 言い訳をするように口を開いた誠を見て、嵯峨はいつも通りのけだるい表情を浮かべながらもじゃもじゃの頭を掻く。

「かなめ坊が何を言ったか知らねえが、予定通りだ。なんにも起きないよ。宇宙軍のことは宇宙軍がケリをつけりゃあいい。うちは関係ない」 

 あっさりとそれだけ言うと嵯峨は再び隊長室に歩き始める。

『隊長から『関係ない』なんて言葉を聞くなんて……本心は……聞くだけ……無駄だよな』
 
 さすがに嵯峨という人物が分かってきた誠はそう思い直すと奥の女子更衣室からかなめ達が出てくるのを待った。

「おう、暇そうだな。待ちぼうけか?」 

 再び暇そうな人物が誠の前の医務室のドアを開いて現われた。小太りの眼鏡、浅黒い肌がどう見ても部隊の誰とも一致しない個性を持っている男。

「ドム大尉。出撃前の健康診断とかは……」 

「健康診断だ?そんなものをしなくたってお前等はみんな健康だろ?それとも何か?日々の訓練はあれは飾りか何かか?」 

 不機嫌そうに呟く司法局実働部隊付き軍医、ドム・ヘン・タン大尉の言葉にただ誠は苦笑いを浮かべる他無かった。

「そう言うわけでは無いんですが……データをとるとか……出動時の隊員の精神データとか」 

「戦闘が人に与えるストレスのデータなんざ16世記くらいから集められてるんだ。今更俺が何をしろって言うんだよ。それに法術絡みとなれば俺はお役ご免だ。その点ならヨハンあたりに聞くのが一番だろ?」 

「ええ、まあ」 

 尤もな発言に誠はただ黙るしかない。

「まあ、あれだ。帰還後はみっちり検査の予定が入ってるからな。こう言うのは始まる前より終わった後が大事なんだ。いくら技術が進んでも、うちの整備の連中ががんばっても宇宙放射線の影響やら反重力エンジンから発せられた素粒子の遺伝子に与えたダメージやらの計測はヨハンの手にはあまるからな。覚悟しとけよ」 

 それだけ言うと出て来たときと同じく突然のように扉を閉めて医務室に閉じこもる。

「何が言いたかったのやら……」 

「待たせたな」 

 考え込んでいる誠の背後からカウラの声が響いた。驚いて振り返る誠の前に苦笑いを浮かべるかなめと口笛を吹いて余裕の表情のアイシャの姿も目に入ってきた。

「さあ、小言でも食らいに行きますか!」 

 やけに張り切ったようにそう言うとかなめはすたすたと隊長室目指して歩き始める。誠も重い足取りでその後を静かに付けていった。

 隊長室の前に付くと早速ドアノブに手を伸ばそうとするかなめの前をカウラが遮った。

「礼というものがある」 

 ただそれだけ言うと無表情にカウラはノックをする。

『おう!どうせベルガー達だろ!』 

 相変わらずのやる気のなさそうな声にカウラは肩を落としながらドアを開いた。

「どうだ?ずいぶん片付いたろ?」 

 誠達が部屋を見回す前に嵯峨が叫ぶ。いつも見慣れた書類と銃の部品の散乱した隊長の執務机とは別物のように磨き上げられてそれらしく見える机と何もない部屋に誠達はただ言葉もなく黙り込んでいた。

「あれだ……公安の連中が俺のことを嗅ぎ回ってるからな……近々任意の取り調べってことになるかも知れないからな。そうなると鑑定を頼まれてる品が心配だ。物の価値も知らない連中のことだ。下手をして傷つけられたらたまったもんじゃねえから片付けた」 

「簡単に言うけど……あれじゃねえのか?また茜の奴を使ったんだろ?あいつも人が良いねえ」 

 かなめはそう言って苦笑いを浮かべる。

「まあ……門前の小僧、習わぬ経を読むって奴でね。茜も餓鬼のころから俺の事務所で骨董の類を見て育ったからな。それなりに見る眼もあるし、そう言う品を専門に預かる業者にも顔が利くしな」 

「かわいそうな茜ちゃん」 

 いつもはこういう時には黙っているアイシャですら同情の言葉を吐く。美術品運搬の専門業者がこの部屋に鎮座していた嵯峨に鑑定や極め書きを頼んだ品を運び去っただけには見えなかった。軍の連隊長クラスのそれなりに威厳のある机に不釣り合いな使い込まれた万力を初めとした嵯峨の趣味とも言える拳銃のカスタム用の部品や工具まで部屋から消えている。さらにいつもなら歩く度に巻き上がる金属粉も、べっとりと染みついているガンオイルの汚れすらぱっと見た限りどこにも存在しなかった。

「この部屋を三日かそこらで一人で掃除……」 

「一人じゃ無理だな。茜とかえで……つきあいで渡辺。それに叔父貴のカスタムの秘密を盗みたいと言うことでキム……さらにはそのつきあいでエダ……6人がかりならなんとかなるだろ?」 

 かなめの推測に嵯峨は満足げにうなづく。

「当りだ……少しはモノが見えてきたみたいだねえ……叔父として心強い限りだが……」 

 そこまで言うと嵯峨は胸のポケットからマイクロチップを取り出す。

「ギリギリのところでまだまだ脇が甘いな。あれだろ?租界の『預言者』に吉田の情報を探らせているらしいじゃねえか……しかも出してる金額聞いたら……呆れたよ」 

 嵯峨は哀れむような視線をかなめに向けたままどっかりと隊長の机に腰を下ろした。

「機密には金がつきものだろ?」 

 若干自信が揺らいでいるようでかなめの言葉は振えていた。嵯峨はいつものように胸のポケットからタバコを取り出すと自動的に火を付ける。

「まあ何物にも相場という奴があってね。それにだ。お前さんは俺が『預言者』の話を持ち出すことに疑問を感じていないようだが……水漏れの準備もまるで無しか?機密が聞いて呆れるよ」 

 嵯峨の言葉は明らかにかなめを嘲笑していた。強気のかなめが完全に打ちのめされたというように俯いて両手を握りしめている。カウラもアイシャも相手が嵯峨、胡州陸軍では諜報活動の先端を担う東和大使館付き武官を出発点として、外地におけるゲリラ摘発の特殊部隊『外憲』の部隊長を勤めたその道のプロであることを思い知らされた。

「ただ……相手も一流の情報屋だ。俺も何度か依頼をしたが……突っぱねられた口でね。そう考えると、よくまあつなぎを付けたもんだと感心させられないこともないな」 

「そ……そうかねえ……」 

 かなめはそう言いながら俯いたままだった。その表情を誠がのぞき見ると少しだけ口元が緩んでいるように見えた。

「二つ名が付くような裏の世界の人間は仕事を選ぶからな。金、主義、顧客の人柄。しかもそういう奴はどいつもこいつも海千山千の怪物ばかりだ。そいつ等の審美眼は常人の推し量れるところじゃねえよ。そんな一流どころの一人が俺を嫌ってかなめを選んだ……なかなかおもしろい話だな」 

 嵯峨の口から吐かれたタバコの煙。元々遠慮と言うことはしない嵯峨らしくせっかくきれいになった隊長室の天井がすぐにヤニで染まることになるだろうと言うことはすぐに想像が付いた。

「しかし……なぜ西園寺を選んだんですか?隊長を袖にしたと言いますから……」 

 カウラの真っ当な質問にアイシャもうなづいて嵯峨の答えを待つ。嵯峨はただひたすら天井を見上げてじっとしている。

「お前さん達。依頼者……『預言者』ネネについてはどれだけ知ってるよ」 

 突然の嵯峨の言葉は鋭く残酷に響いた。カウラもアイシャもそこで自分達が依頼した相手についてただかなめのチョイスだけに任せていた事実に気がついた。

「東都戦争の時にはすでに伝説だったな……抗争の最中、旧共和軍系のシンジケートとイスラム系のシンジケートの銃撃戦の中を一人の少女が買い物かごを持って歩いて渡った。その少女が近づくと両者は銃撃を止め、彼女が通り過ぎればまた激しい銃弾が飛び交う……誰もが彼女に手を触れることは出来ない。それをした組織は東都じゃ飯が食えなくなる」 

「かなめ……それは伝説ができあがってから後の『預言者』の立場だ。何でネネと呼ばれるどう見ても栄養失調のメス餓鬼が、億単位の東和から遼南に向けての援助物資の横領品の争奪戦をしている最中でも、それを気にせずに行動できる身分に成り上がったか……それの説明が無ければ回答としては0点だ」 

 嵯峨の言葉は全く持ってその通りだった。カウラとアイシャはかなめの俯いた姿に目を向ける。かなめは再び目を落としたまま動くことも出来ずに黙り込んでいた。

「そう言う叔父貴は……知ってるのか?」 

 振り絞るような要の一言。誠達は息を飲んで嵯峨に目をやる。嵯峨は相変わらず天井にタバコの煙を噴き上げていた。

「噂はねえ……どれも信憑性が乏しいから。まあ確実に言えるのは……そのメスガキがもたらしてくれる『預言』の中で語られる『次の手』と言うのが、信じられないくらい正確だったということは事実だな」 

「次の手?」 

 かなめがゆっくりと顔を上げる。うちひしがれていた姪が少しばかり元気が出たのがうれしいのか、にんまり笑いながら嵯峨は言葉を続けた。

「横流し品、横領品、密輸品。どれもモノが動き出した時点じゃ情報を売り買いして飯を食っている二流の連中でもその様子は熟知しているもんだ。動き出す直前、そこですでにその品物の輸送ルートのパターンを想定して対立勢力や関心のある連中に情報を売りつける。まあそれも一流とは言えないねえ……本当の一流はすでにその時点でどこがその品物に関心を持っているか、官憲などはどこまでその動きを把握しているか、そしてその品物の行方によって状況はどう変わるのか。そこまで分析できて初めて一流だ。だがそれただの情報屋の戯言が世に『預言』と呼ばれるような伝説になるには程遠い」 

「もったい付けるなよ」 

 すでに嵯峨の話に身を乗り出している要の変わり身に呆れながらも誠は嵯峨の言葉の続きを待つ。

「ネネって奴の『預言』の本質は、一流どころが手にするだろう情報の内容を当ててみせるんだ。つまり情報屋の情報を売りつけるってわけだ……情報屋も頭がネットとつながっているサイボーグばかりじゃ無いのはお前さん達も知ってるだろ? そんな人様のおつむの中身をぴたりと当ててみせる。まあ伝説にもなるわな」 

 そこまで言うと嵯峨は満足したように咥えていたタバコを真新しい灰皿でもみ消す。

「そんな芸当……占いの類か何かじゃないですか」 

 誠の当然の疑問に嵯峨は満足そうな笑みを浮かべる。

「それが出来るから『預言者』の二つ名で呼ばれるんだよ。鈍い連中には予兆も感じない人の流れや物資の動き。時には時代さえもぴたりと当てる。確かにこいつは『預言者』と呼ぶしか無いよな」 

「時空間干渉能力……法術師ですね」 

 しばらく黙って嵯峨の話を聞きながら自分の顎に手を当てて考え込んでいたカウラの一言。嵯峨は曖昧な笑みを浮かべる。

「時間……俺達の次元の把握能力じゃただ流れていくとしか思えないもんだ。それをまるで俺達がサイコロを見て裏の目を当てるように自然に分かる力のある奴がいる……気分のいい話じゃ無いがヨハンに聞いたらあってもおかしくはない能力なんだそうな」

 嵯峨の言葉に部屋に沈黙が拡がった。未来を読む能力を持つ予知能力者。その存在はある意味これまでの法術に対する誠達の考え方を根底から揺るがすことになる。

「でも……それならお仕事を受けた時点で吉田少佐が何者かってことくらい教えてくれても良いんじゃないの?」 

 それとなくアイシャが呟いた言葉に誠も大きくうなづく。

「そりゃあ『預言』だけで飯が食える世界にネネが生きているならな。だが、奴は自分が現実世界を、厳しい租界の競争社会を生きてきた人間だ。相手が自分の言うことを信じるかどうかさえ奴にとっちゃあ理解の範疇なんだ。実際、吉田の馬鹿が行方不明になってから起きた出来事をすべて言い当てて見せたところで……オメエ等がそんなネネの言葉をいきなり信じるか?」 

 嵯峨のふざけたような口調に誠はむくれながら隣のかなめの顔をのぞき見た。

「確かに……そう言う能力があるって話は知ってたさ……」 

 苦し紛れのようにかなめがつぶやく。アイシャはその言葉にあざけるように肩を揺らして笑いをこらえている。

「でも……あれだろ?先の可能性……いくつかある時間の分岐点の一部が見えるってだけって話じゃねえか」 

「あのなあ、それでも十分だよ。言ったろ?ネネってのは特別勘が良いんだって。可能性が見えるってことはそれだけ未来が絞られるってことだ。しかもその持ち前の勘で見える未来の中から可能性の薄いモノを消していけば後は答えが分かっている推理小説の犯人を当てるような話だ」 

「それはそれは本当に便利。私も欲しい能力だわ」 

 アイシャの徒労に付き合わされた嫌みから出た一言。だがそれも嵯峨には鼻で笑う戯言だというように面倒くさそうに再びタバコに火を付けながら言葉を続けるきっかけでしかなかった。

「本当にそうか?見たくもないものまで見えるんだぜ……俺はご免だね。それにお前さんみたいに先を見たがっている連中はごまんといる。其奴等が大挙して喋りたくもない未来を喋れと迫ってくるんだ……そんな人生、悪夢そのものじゃないのか?」 

 嵯峨にそこまで言われるといつもの鼻っ柱の強いアイシャも自然と伏せ目がちになる。

「法術……俺の祖母さん。あの遼南の女帝ムジャンタ・ラスバは帝位に就く前は先遼州文明の研究者だったからその絡みで、餓鬼の頃は会うたびにそんな話をいろいろ話は聞いていたが……法術師を作った古代宇宙文明って奴は確かに悪趣味の極みだね。人間はそんなに強くちゃいけないよ。強さってのは弱者に自慢するだけが取り柄の馬鹿野郎にはうれしいものかも知れねえが……その強さの意味ってモノが分かっちまうだけの頭の回転がある人間には重荷意外の何物でもないよ。自分の出来ること、しなければならないこと。それが嫌でも分かっちまう。そして人もそれを期待してしまう。伝説の預言者が東都のゲットーに籠もるようになったのも何となく分かるような気がするね」 

 独白。それは嵯峨が自分自身のことを言っている。そして誠達のこれからについても暗示している。誠にはそのような意味に聞こえて自然と口元が引き締まるのを感じていた。

「まあ……明日は新港への移動日だ。今日中にネネからかなめに連絡が入ると思うぞ……吉田の正体。しっかり聞いてきてくれよ」 

 それだけ言うと嵯峨はくるりと隊長の椅子を回して窓の外へと視線を移した。

「おい、叔父貴は吉田のことを……」 

 かなめの言葉にめんどくさそうに嵯峨が顔だけで振り向く。

「くどいねえ。俺は部下の才能は買うが個人のプライバシーまでのぞき見て喜ぶ趣味はねえんだよ。とっとと寮に帰って演習の予定表にでも目を通しておけよ。それと反省文の提出も忘れないように」 

 そのまま振り向いて手で出て行けと合図する嵯峨。誠達は仕方なくいつもとは勝手の違うきれいすぎる隊長室を後にした。
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