725 / 1,503
第13章 厄介なお出かけ
関係
しおりを挟む
「でも……吉田少佐とシャムちゃん……どんな関係なのかしら?」
突然のアイシャの問題提起に静かにかなめが目を開く。
「男女関係って訳じゃ無いよな……吉田はそれなりに名の知れた傭兵だ。甘い戦友としての友情なんてもんでも無いだろうしな……」
かなめの言葉に誠も静かに頷きながら目の前に見える白く雪を湛えた山脈を臨んだ。
「次の交差点を右だ」
流れていく景色を薄目を開けて眺めていたのか。かなめがぼそりと呟いた。
「便利ね……人間ナビ」
「殺すぞ」
冷やかすアイシャにかなめは殺気を向ける。誠はただ代わり映えのしない冬枯れの森の景色を見ながらそれを瞬時に判断するかなめに感心していた。
「山道になるな……路面は大丈夫か?」
「先週は……この辺も雪だったらしいからな。まあ速度は落としておいた方が良いな」
かなめのアドバイスにカウラはギアをさらに落としてそのまま対向車の居ない交差点を大きく右にハンドルを切る。後輪を空転させながら爆走するスポーツカー。誠はカウラのテクニックを信じて木々の根元に雪の残る山道の光景を眺めていた。
「でも……こんなに寒いところに来るなんて……」
「あの餓鬼の故郷はもっと寒いんだ。平気なんだろ」
それとないアイシャの心配もまるでどうでも良いことのようにかなめは切って捨てると窓の外にそのタレ目を向ける。森の奥深くまで見通せるのは落葉樹の葉のない木々で覆われた森だからこそ。その森の奥深くは根雪となった雪が視界の果てまで続いていた。
「こんな景色……私、コロニー育ちだからわくわくするわ」
「そうか?写真や映像で腐るほど見て飽き飽きしてたところだ」
「そうね、かなめちゃんならそうかも。その重い義体じゃあ雪の中で動き回るのは難しそうだし……それにスキーとかもしないんでしょ?」
「オメエもしねえじゃないか」
「出来ないのとやらないのはまるで意味が違うわよ」
どうでも良いことで言い争いをする二人を見ながら誠は少しばかり安心していた。シャムの動揺はそれとして他の面々までいつもの調子は失ってはいない。これならシャムを笑顔で迎えられる。そう思うとなんだか誠はうれしくなっていた。
「神前……何か良いことでもあったのか?」
バックミラーに誠の笑顔が写っていたようでカウラが笑顔でつぶやく。
「うちはみんなで一つのチームなんだなって」
「みんなで一つ?よしてくれよ。こんな腐ったのと一緒にされたら迷惑だ」
「私は腐ってはいません!」
「いいんだよ!そんなこと!」
アイシャとかなめのやりとりはあくまでいつも通りだった。上り坂が終わり、急に道が下り始める。
「まもなくだな」
自分に言い聞かせるようなカウラの静かな声に気づいて周りを見た誠の目にこれまでの明るい森とは違う暗い森、針葉樹の濃い緑色が飛び込んできた。
「菰田の奴……うまくやってくれてるかねえ……」
「何してるの?」
それとなく振り返るアイシャの目に革ジャンの下のホルスターから愛用の拳銃XDM40を取り出すかなめの姿があった。
「あれだ、相手は猛獣だからな……40S&Wじゃ力不足かねえ……カウラ!後ろのトランクにショットガン積んであったろ!」
「お前は何がしたいんだ……あれは下ろした。クバルカ実働隊長からの指示だ」
苦笑いとともに答えるカウラにかなめが渋い表情をする。その姿があまりに滑稽に見えた誠が吹き出しそうになるが、かなめの一睨みでそのままおずおずと視線を外に向けた。
車の速度は制限速度に落ちていた。それもそのはず、急激なクランクが次々と行く手に現われ、制限速度でも十分後輪は横滑りをするほどの状況だった。
「カウラちゃん……かなめちゃんじゃないんだからもっと穏やかに行きましょうよ」
「私は穏やかに運転しているつもりだ。ちゃんとメーターを見ろ。制限速度は守っているだろ?」
「確かにそうなんだけどねえ……もう、私の周りはどうしてこう言う面々ばかりなのかしら……誠ちゃんの苦労も分かるわ」
「オメエが一番苦労させているように見えるがねえ……」
自分をなだめすかすように愚痴るアイシャに一言入れるとかなめの表情が厳しくなった。
「おい、レンタカーが一台……この先1キロだ。連絡があった西字天神下に停まってやがる……あの馬鹿!見つかりやがった!」
おそらく自動車のGPSシステムに介入しているからだろう。瞬時にそう言ったかなめにさすがのアイシャの表情も硬くなった。
「レンタカー……ハイカーさんかなにかだとやっかいだわね」
そのままアイシャは親指の爪を噛みながら続くカーブの先を睨み付けている。誠は部隊配属直後の事件が頭をよぎった。
「あのー……法術反応をたどってどこかの組織が動いているとか……」
心配そうな顔の誠を瞬間あきれ果てたと言う顔でかなめが見つめる。そして彼女は大きくため息をついた後軽く誠の左肩に手を置いた。
「あのなあ……どこの世界にレンタカーで巨大な熊の護衛付きの法術師を拉致しようって馬鹿がいるんだ?それもこの業界じゃあ使い手で知られた遼南帝国青銅騎士団団長のナンバルゲニア・シャムラード中尉だぞ?」
「でも暴力団とかの素人連中に実行を依頼しているとか……」
あまりにも屈辱的だったのでムキになって叫ぶ誠に今度は同じように呆れた顔のアイシャが助手席から顔を覗かせる。
「そんな時間があったと思う?私達だってさっきまで知らなかった話じゃないの」
自分の珍しくした意思表示を完膚無きまでに叩きつぶされて誠は力なくぐんにゃりとうつむく。カウラはバックミラー越しにその様子を見ながらさすがに同情を感じているのか苦笑を浮かべている。
「次のカーブを曲がれば分かることだ……それと西園寺。レンタカーの会社のデータベースにハッキングして掴んだ情報を全部話せ」
素早くハンドルを切りながらカウラが呟いた。その言葉の直後に針葉樹の深い森が一瞬で途切れて大きな丸裸にされた丘が目に飛び込んでくる。
「車種は小型のファミリーカー。四駆じゃ無いからそれほど本格的な装備の奴じゃ無いと思うけどなあ……」
今度は開き直ったように銃をホルスターから抜いてスライドを引く。
「かなめちゃん……穏便に行きましょうね」
さすがのアイシャもこれはまずいとばかりに苦笑いを浮かべるが無情にも山の下に置かれた水色のハッチバックの車影は次第に近づいてくる。
「人気がないな……それにしても肝心のグリンは?」
「見えるわよ……山の頂点」
アイシャが指さす先に小指の先ほどの茶色い塊がじっとしているのが誠にも見えた。
「本当に馬鹿だな……丸見えだぞ」
「菰田が交通規制の偽情報を流している……この車でも確認できるからな」
「冒険するわね……菰田君も。うちのカラーに染まってきてるってことかしら」
他人事のように呟くアイシャを一瞥した後、カウラは静かに枯れ草だらけの路肩に車を停めた。目の前には人気のない空色の小型車。どうにもハイキングなどの客が好みそうなはやりの新車だった。
突然のアイシャの問題提起に静かにかなめが目を開く。
「男女関係って訳じゃ無いよな……吉田はそれなりに名の知れた傭兵だ。甘い戦友としての友情なんてもんでも無いだろうしな……」
かなめの言葉に誠も静かに頷きながら目の前に見える白く雪を湛えた山脈を臨んだ。
「次の交差点を右だ」
流れていく景色を薄目を開けて眺めていたのか。かなめがぼそりと呟いた。
「便利ね……人間ナビ」
「殺すぞ」
冷やかすアイシャにかなめは殺気を向ける。誠はただ代わり映えのしない冬枯れの森の景色を見ながらそれを瞬時に判断するかなめに感心していた。
「山道になるな……路面は大丈夫か?」
「先週は……この辺も雪だったらしいからな。まあ速度は落としておいた方が良いな」
かなめのアドバイスにカウラはギアをさらに落としてそのまま対向車の居ない交差点を大きく右にハンドルを切る。後輪を空転させながら爆走するスポーツカー。誠はカウラのテクニックを信じて木々の根元に雪の残る山道の光景を眺めていた。
「でも……こんなに寒いところに来るなんて……」
「あの餓鬼の故郷はもっと寒いんだ。平気なんだろ」
それとないアイシャの心配もまるでどうでも良いことのようにかなめは切って捨てると窓の外にそのタレ目を向ける。森の奥深くまで見通せるのは落葉樹の葉のない木々で覆われた森だからこそ。その森の奥深くは根雪となった雪が視界の果てまで続いていた。
「こんな景色……私、コロニー育ちだからわくわくするわ」
「そうか?写真や映像で腐るほど見て飽き飽きしてたところだ」
「そうね、かなめちゃんならそうかも。その重い義体じゃあ雪の中で動き回るのは難しそうだし……それにスキーとかもしないんでしょ?」
「オメエもしねえじゃないか」
「出来ないのとやらないのはまるで意味が違うわよ」
どうでも良いことで言い争いをする二人を見ながら誠は少しばかり安心していた。シャムの動揺はそれとして他の面々までいつもの調子は失ってはいない。これならシャムを笑顔で迎えられる。そう思うとなんだか誠はうれしくなっていた。
「神前……何か良いことでもあったのか?」
バックミラーに誠の笑顔が写っていたようでカウラが笑顔でつぶやく。
「うちはみんなで一つのチームなんだなって」
「みんなで一つ?よしてくれよ。こんな腐ったのと一緒にされたら迷惑だ」
「私は腐ってはいません!」
「いいんだよ!そんなこと!」
アイシャとかなめのやりとりはあくまでいつも通りだった。上り坂が終わり、急に道が下り始める。
「まもなくだな」
自分に言い聞かせるようなカウラの静かな声に気づいて周りを見た誠の目にこれまでの明るい森とは違う暗い森、針葉樹の濃い緑色が飛び込んできた。
「菰田の奴……うまくやってくれてるかねえ……」
「何してるの?」
それとなく振り返るアイシャの目に革ジャンの下のホルスターから愛用の拳銃XDM40を取り出すかなめの姿があった。
「あれだ、相手は猛獣だからな……40S&Wじゃ力不足かねえ……カウラ!後ろのトランクにショットガン積んであったろ!」
「お前は何がしたいんだ……あれは下ろした。クバルカ実働隊長からの指示だ」
苦笑いとともに答えるカウラにかなめが渋い表情をする。その姿があまりに滑稽に見えた誠が吹き出しそうになるが、かなめの一睨みでそのままおずおずと視線を外に向けた。
車の速度は制限速度に落ちていた。それもそのはず、急激なクランクが次々と行く手に現われ、制限速度でも十分後輪は横滑りをするほどの状況だった。
「カウラちゃん……かなめちゃんじゃないんだからもっと穏やかに行きましょうよ」
「私は穏やかに運転しているつもりだ。ちゃんとメーターを見ろ。制限速度は守っているだろ?」
「確かにそうなんだけどねえ……もう、私の周りはどうしてこう言う面々ばかりなのかしら……誠ちゃんの苦労も分かるわ」
「オメエが一番苦労させているように見えるがねえ……」
自分をなだめすかすように愚痴るアイシャに一言入れるとかなめの表情が厳しくなった。
「おい、レンタカーが一台……この先1キロだ。連絡があった西字天神下に停まってやがる……あの馬鹿!見つかりやがった!」
おそらく自動車のGPSシステムに介入しているからだろう。瞬時にそう言ったかなめにさすがのアイシャの表情も硬くなった。
「レンタカー……ハイカーさんかなにかだとやっかいだわね」
そのままアイシャは親指の爪を噛みながら続くカーブの先を睨み付けている。誠は部隊配属直後の事件が頭をよぎった。
「あのー……法術反応をたどってどこかの組織が動いているとか……」
心配そうな顔の誠を瞬間あきれ果てたと言う顔でかなめが見つめる。そして彼女は大きくため息をついた後軽く誠の左肩に手を置いた。
「あのなあ……どこの世界にレンタカーで巨大な熊の護衛付きの法術師を拉致しようって馬鹿がいるんだ?それもこの業界じゃあ使い手で知られた遼南帝国青銅騎士団団長のナンバルゲニア・シャムラード中尉だぞ?」
「でも暴力団とかの素人連中に実行を依頼しているとか……」
あまりにも屈辱的だったのでムキになって叫ぶ誠に今度は同じように呆れた顔のアイシャが助手席から顔を覗かせる。
「そんな時間があったと思う?私達だってさっきまで知らなかった話じゃないの」
自分の珍しくした意思表示を完膚無きまでに叩きつぶされて誠は力なくぐんにゃりとうつむく。カウラはバックミラー越しにその様子を見ながらさすがに同情を感じているのか苦笑を浮かべている。
「次のカーブを曲がれば分かることだ……それと西園寺。レンタカーの会社のデータベースにハッキングして掴んだ情報を全部話せ」
素早くハンドルを切りながらカウラが呟いた。その言葉の直後に針葉樹の深い森が一瞬で途切れて大きな丸裸にされた丘が目に飛び込んでくる。
「車種は小型のファミリーカー。四駆じゃ無いからそれほど本格的な装備の奴じゃ無いと思うけどなあ……」
今度は開き直ったように銃をホルスターから抜いてスライドを引く。
「かなめちゃん……穏便に行きましょうね」
さすがのアイシャもこれはまずいとばかりに苦笑いを浮かべるが無情にも山の下に置かれた水色のハッチバックの車影は次第に近づいてくる。
「人気がないな……それにしても肝心のグリンは?」
「見えるわよ……山の頂点」
アイシャが指さす先に小指の先ほどの茶色い塊がじっとしているのが誠にも見えた。
「本当に馬鹿だな……丸見えだぞ」
「菰田が交通規制の偽情報を流している……この車でも確認できるからな」
「冒険するわね……菰田君も。うちのカラーに染まってきてるってことかしら」
他人事のように呟くアイシャを一瞥した後、カウラは静かに枯れ草だらけの路肩に車を停めた。目の前には人気のない空色の小型車。どうにもハイキングなどの客が好みそうなはやりの新車だった。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる