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第5章 帰郷
帰郷
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そこは林と呼ぶにはすさまじい喧騒の中にあった。その一隅、銀色の干渉空間が展開された。その中央から現れた影がしばらく歪んだあと大地に立ち上がった。
「久しぶりだな……」
その人影、革ジャンにジーンズの中年男が木々の合間から周りを見回す。
そこは大学の構内だった。拡声器の絶叫。時折シュプレヒコールがあちこちで上がる。革ジャンの男、北川公平はそのまま走り回るヘルメットをかぶった学生達の合間を縫うようにそのまま学内の小道を歩き続けた。
『学費値上げ反対闘争完遂!』
『帝国主義的同盟強化政策打倒!』
同じような書体の文字で彩られた立て看板とアジビラ。それを見るとかつての自分を思い出し北川は笑みを浮かべながらそのままアジビラで薄汚れたように見える学生会館の扉を開いた。
階段で談笑していたヘルメットにゲバ棒の女学生達が珍しそうに北川を迎えた。門番気取りの長身の学生が北川の行く手を阻む。
「おい、あんちゃん。通れないんだけどな」
北川の言葉に青年は無言で冷たい視線を浴びせる。
「あ!北川先輩じゃないですか!」
奥から護衛のシンパを引き連れて歩いてきたタオルとサングラスで顔を覆った幹部らしき男が声を上げる。
「よう」
北川が軽く手を挙げるのを見て長身の学生は少しばかりおどおどしたような調子で脇に下がる。
「工大は相変わらずだな」
「うちは最後まで落ちませんよ。犬達もそう簡単に話がつくとは思っていないでしょ」
マスクを外した男。どう見ても学生には見えない年の頃。北川はこの男が学生運動に執着するあまりもう四回もこの東都工業大学に入学し直したというほとんど奇癖と思える事実を思い出して苦笑いを浮かべた。
「コーヒーくらいは出せますよ……外の機動隊もまだ兵糧攻めをするところまでは行っていないですから」
男の言葉に北川は曖昧な笑みを浮かべるとそのまま男とそのシンパについて学生会館の階段をのぼりはじめた。
様々な思いが北川の中を去来する。すべての出発点であり、そしてすでにそこに戻ることは出来ない場所である母校。8年前に首相官邸にペンキを投げて逮捕され除籍になって以来の母校に足を運ぶ気になった自分の気まぐれをこの段階になって少し後悔する。そんな北川の感傷を気にもせずに先頭を歩く男はずんずんと学生会館の奥の学生会執行委員会の執務室へと北川を誘った。
青いペンキで彩られた安っぽいドアを入るとそこにはまだ幼い表情を浮かべている下級生達がパソコンを覗き込んで下卑た笑いを浮かべていた。
「貴様等!」
男の一括で下級生達はそのまま慌ててパソコンの電源を落とすとそのまま手近にあったヘルメットをかぶって外へと飛び出していった。
「若いんだ。いろいろあるさ」
北川の言葉に男は大きくため息をつくとそのままテーブルにシンパ達を従えて腰掛けた。
「それにしても先輩がわざわざ我々に会いに来るなんて……どういう風の吹き回しですか?」
当たり前の質問に北川は苦笑いを浮かべた。逮捕から出所まで完全黙秘を貫いた闘士として知られる北川だが、出所から今までここを訪れたのは二回ほどである。どちらも闘争への助力を曖昧な言葉で回避して逃げるようにいなくなった人物の訪問がそれほど歓迎されることではないことは分かっていた。
インスタントコーヒーをぬるいお湯で溶いたものが目の前に差し出される。仕方がないと心を決めて北川はそれで口の周りを湿らせる。
「しばらく遼州を離れることになるからな。自分の出発点を見てみたくなったんだ」
北川の言葉は周りの学生活動家達にはそれほど意外なものではなかったようで、ただ曖昧に頷きながらそれぞれにささやきあっている。
「法術師の権利獲得闘争。大変でしょうが……他の星系で同志を募るんですか?」
男の無理に興味を持っているというような態度に少しばかり腹を立てながら北川は軽くうなづく。
「遼州系住民が暮らすのはこの遼州ばかりじゃない。地球の東アジア地方はもとより他の地球の植民星系にもあまたの法術師がいるんだ。ところによってはすでに法術師の脅威を叫ぶ右派の連中に踊らされて隔離政策をとっている星系も存在する」
「キンバルタ太陽系ですね……あそこは元々テラフォーミングが失敗して過酷な環境を良いことに国家権力が好き放題ですからね」
興奮した様子の下級生の勢いに少しばかり押されながら北川は再びコーヒーらしきものを口に運んだ。苦みと渋みばかりが口の中に広がり香りのようなものはまるで感じられない。賞味期限をかなり過ぎたものなのだろう。そう思いながらそんなことを些事として自分達の闘争を絶対化できる彼等の若さに羨望のようなものを感じながら静かにカップをテーブルに置いた。
「しかし……遼州系住民差別はすでにこの遼州の東和でも公然と行われているんですよ。先輩が居なくなれば国家権力の思い通りになってしまうんじゃないですか?」
執行委員の腕章を付けた青いヘルメットの女学生の言葉に北川はにこやかな笑みで答えた。
「何も俺の今いる組織の法術師は俺一人じゃない。いや、もしかするとさらに上手の人間が山ほど……まあ期待はしてもらっても良いだろうな。まもなく宇宙は変わる。変えてみせる」
確信を持って放たれた北川の言葉に学生達は一様にどよめいた。すでに学生運動は斜陽だと言うことは北川もそしてここにいる活動家達自身も分かっていることだった。
第二次遼州大戦後の財閥企業が遼州の復興で独占的な利潤を得たことへのアンチテーゼとして始まった東和学生運動は復興が一段落すると急速に力を失っていった。
一部の大企業の関係者に集中していた利潤は世間一般を潤し、過激なデモや時には政府要人に対するテロで庶民の鬱憤を晴らしてみせる安全弁としての役割を担っていた学生活動家達の行動は次第に支持を失って社会から孤立していった。闘争路線を巡る確執、各大学の運営母体による切り崩し、そして警察による徹底的な壊滅作戦。これらが東都の主要大学のほとんどに存在した学生運動の母体を次々と壊滅させ、現在ではこの東都工業大学など一部の国立単科大学や地方の私立大学にその残滓を残すのみとなっていた。
今更彼等に北川がノスタルジーを感じる義理は無かった。目の前の若者達はいつでも『元活動家』として社会に散っていくことが出来る。しかし、『ギルド』と言う特殊な秘密結社の一員となった北川にはその選択肢は存在しない。闘争の帰結は『勝利』か『死』かしかない。首領『廃帝』ハドはそれ以外は認めることは無かった。
「良い面がまえを見られて東和の名残も尽きたな。じゃあ行くわ」
そう言うと北川は半分ほどコーヒーを残したまま立ち上がった。
「ああ、そうですか」
見送るような酔狂な連中はいない。そのことが北川にはうれしかった。彼等が理想で動いている限り、自分と行動を共にすることは無いだろう。そのことは分かっていた。法術師の解放と言う大義。だがそれが理想郷を建設すると言うような学生達の夢とは遠く離れたものだと言うことは北川自身がよく知っていた。弱肉強食の地獄絵図を宇宙全体に拡散すること。それが『ギルド』の理想達成の末路なのは十分北川も分かっている。
そのまま自分でドアを開いて学生会館の廊下に出る。通り過ぎる学生達はそれぞれに殺気立っているように見せてはいるが、北川の巡ってきた戦場や闘争の現場の殺意に満ちた視線は彼等には存在しなかった。
「平和だねえ……」
周りに聞こえないように小声でつぶやく。理想で動く人間の出来ることがいかに小さいかを身をもって知ってきた自分とまだ知らない若者達。どちらが偉いかと言えば後者に決まっている。自分はただの抜け殻に過ぎない。ただ生きると言うことはそう言うことだ。
北川はいつの間にかジャンバーのポケットから煙草を取り出していた。そのまま階段を駆け下りて、学生会館の入り口に門番のように立つ学生の隣に立った。
「火……くれるかな?」
最初ヘルメットの下から北川を睨み付けている顔がごついだけの幼げな学生は北川の言葉が理解できないでいた。
「火だよ」
繰り返された言葉とその迫力に負けた学生は思わずポケットからライターを取り出していた。暖かみを感じるような初春の春の日差しの中。北川はゆっくりと煙草をふかした。
「お前さん……上には顔は利くのかい?」
またも突然につぶやかれた北川の言葉に意味が分からないというように学生は首をひねる。それを見てにんまりと笑いながら北川はジャンバーのポケットから小さな記憶媒体を取り出した。
「これは……すぐには上には渡さない方がいい。そうだな……明日になったらコンピュータに詳しい理論物理学を専攻している学生に渡してくれ。きっと面白いことが起きるだろうから」
北川の遠回しな言葉に学生はただ受け取った小さなチップを眺め回すだけだった。
「確かに渡したよ……早すぎると天地がひっくり返るがその程度の時間が経つとちょうど良いくらいに事件は起きる。そうすりゃお前さんも世の中捨てたもんじゃないことがわかるだろうね」
意味ありげな、そして無意味にも聞こえる北川の言葉に大柄の学生はただ首をひねるだけだった。それを満足げに眺めた北川はそのまま煙草を灰皿でもみ消すとそのまま大学の中庭へと消えていった。
「久しぶりだな……」
その人影、革ジャンにジーンズの中年男が木々の合間から周りを見回す。
そこは大学の構内だった。拡声器の絶叫。時折シュプレヒコールがあちこちで上がる。革ジャンの男、北川公平はそのまま走り回るヘルメットをかぶった学生達の合間を縫うようにそのまま学内の小道を歩き続けた。
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「あ!北川先輩じゃないですか!」
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「コーヒーくらいは出せますよ……外の機動隊もまだ兵糧攻めをするところまでは行っていないですから」
男の言葉に北川は曖昧な笑みを浮かべるとそのまま男とそのシンパについて学生会館の階段をのぼりはじめた。
様々な思いが北川の中を去来する。すべての出発点であり、そしてすでにそこに戻ることは出来ない場所である母校。8年前に首相官邸にペンキを投げて逮捕され除籍になって以来の母校に足を運ぶ気になった自分の気まぐれをこの段階になって少し後悔する。そんな北川の感傷を気にもせずに先頭を歩く男はずんずんと学生会館の奥の学生会執行委員会の執務室へと北川を誘った。
青いペンキで彩られた安っぽいドアを入るとそこにはまだ幼い表情を浮かべている下級生達がパソコンを覗き込んで下卑た笑いを浮かべていた。
「貴様等!」
男の一括で下級生達はそのまま慌ててパソコンの電源を落とすとそのまま手近にあったヘルメットをかぶって外へと飛び出していった。
「若いんだ。いろいろあるさ」
北川の言葉に男は大きくため息をつくとそのままテーブルにシンパ達を従えて腰掛けた。
「それにしても先輩がわざわざ我々に会いに来るなんて……どういう風の吹き回しですか?」
当たり前の質問に北川は苦笑いを浮かべた。逮捕から出所まで完全黙秘を貫いた闘士として知られる北川だが、出所から今までここを訪れたのは二回ほどである。どちらも闘争への助力を曖昧な言葉で回避して逃げるようにいなくなった人物の訪問がそれほど歓迎されることではないことは分かっていた。
インスタントコーヒーをぬるいお湯で溶いたものが目の前に差し出される。仕方がないと心を決めて北川はそれで口の周りを湿らせる。
「しばらく遼州を離れることになるからな。自分の出発点を見てみたくなったんだ」
北川の言葉は周りの学生活動家達にはそれほど意外なものではなかったようで、ただ曖昧に頷きながらそれぞれにささやきあっている。
「法術師の権利獲得闘争。大変でしょうが……他の星系で同志を募るんですか?」
男の無理に興味を持っているというような態度に少しばかり腹を立てながら北川は軽くうなづく。
「遼州系住民が暮らすのはこの遼州ばかりじゃない。地球の東アジア地方はもとより他の地球の植民星系にもあまたの法術師がいるんだ。ところによってはすでに法術師の脅威を叫ぶ右派の連中に踊らされて隔離政策をとっている星系も存在する」
「キンバルタ太陽系ですね……あそこは元々テラフォーミングが失敗して過酷な環境を良いことに国家権力が好き放題ですからね」
興奮した様子の下級生の勢いに少しばかり押されながら北川は再びコーヒーらしきものを口に運んだ。苦みと渋みばかりが口の中に広がり香りのようなものはまるで感じられない。賞味期限をかなり過ぎたものなのだろう。そう思いながらそんなことを些事として自分達の闘争を絶対化できる彼等の若さに羨望のようなものを感じながら静かにカップをテーブルに置いた。
「しかし……遼州系住民差別はすでにこの遼州の東和でも公然と行われているんですよ。先輩が居なくなれば国家権力の思い通りになってしまうんじゃないですか?」
執行委員の腕章を付けた青いヘルメットの女学生の言葉に北川はにこやかな笑みで答えた。
「何も俺の今いる組織の法術師は俺一人じゃない。いや、もしかするとさらに上手の人間が山ほど……まあ期待はしてもらっても良いだろうな。まもなく宇宙は変わる。変えてみせる」
確信を持って放たれた北川の言葉に学生達は一様にどよめいた。すでに学生運動は斜陽だと言うことは北川もそしてここにいる活動家達自身も分かっていることだった。
第二次遼州大戦後の財閥企業が遼州の復興で独占的な利潤を得たことへのアンチテーゼとして始まった東和学生運動は復興が一段落すると急速に力を失っていった。
一部の大企業の関係者に集中していた利潤は世間一般を潤し、過激なデモや時には政府要人に対するテロで庶民の鬱憤を晴らしてみせる安全弁としての役割を担っていた学生活動家達の行動は次第に支持を失って社会から孤立していった。闘争路線を巡る確執、各大学の運営母体による切り崩し、そして警察による徹底的な壊滅作戦。これらが東都の主要大学のほとんどに存在した学生運動の母体を次々と壊滅させ、現在ではこの東都工業大学など一部の国立単科大学や地方の私立大学にその残滓を残すのみとなっていた。
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「良い面がまえを見られて東和の名残も尽きたな。じゃあ行くわ」
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「ああ、そうですか」
見送るような酔狂な連中はいない。そのことが北川にはうれしかった。彼等が理想で動いている限り、自分と行動を共にすることは無いだろう。そのことは分かっていた。法術師の解放と言う大義。だがそれが理想郷を建設すると言うような学生達の夢とは遠く離れたものだと言うことは北川自身がよく知っていた。弱肉強食の地獄絵図を宇宙全体に拡散すること。それが『ギルド』の理想達成の末路なのは十分北川も分かっている。
そのまま自分でドアを開いて学生会館の廊下に出る。通り過ぎる学生達はそれぞれに殺気立っているように見せてはいるが、北川の巡ってきた戦場や闘争の現場の殺意に満ちた視線は彼等には存在しなかった。
「平和だねえ……」
周りに聞こえないように小声でつぶやく。理想で動く人間の出来ることがいかに小さいかを身をもって知ってきた自分とまだ知らない若者達。どちらが偉いかと言えば後者に決まっている。自分はただの抜け殻に過ぎない。ただ生きると言うことはそう言うことだ。
北川はいつの間にかジャンバーのポケットから煙草を取り出していた。そのまま階段を駆け下りて、学生会館の入り口に門番のように立つ学生の隣に立った。
「火……くれるかな?」
最初ヘルメットの下から北川を睨み付けている顔がごついだけの幼げな学生は北川の言葉が理解できないでいた。
「火だよ」
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「お前さん……上には顔は利くのかい?」
またも突然につぶやかれた北川の言葉に意味が分からないというように学生は首をひねる。それを見てにんまりと笑いながら北川はジャンバーのポケットから小さな記憶媒体を取り出した。
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北川の遠回しな言葉に学生はただ受け取った小さなチップを眺め回すだけだった。
「確かに渡したよ……早すぎると天地がひっくり返るがその程度の時間が経つとちょうど良いくらいに事件は起きる。そうすりゃお前さんも世の中捨てたもんじゃないことがわかるだろうね」
意味ありげな、そして無意味にも聞こえる北川の言葉に大柄の学生はただ首をひねるだけだった。それを満足げに眺めた北川はそのまま煙草を灰皿でもみ消すとそのまま大学の中庭へと消えていった。
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