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第6章 日課の8キロ走
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「揃ったな」
軽くジャンプしながら迎えたのはランだった。だるそうに頭を掻くフェデロ。ロナルドと岡部はスクラッチをしている。そんな二人の前で手持ち無沙汰で立ち尽くす誠とアン。
「今日は並走は?」
シャムの言葉にランがグラウンドの果てを指差した。
北風の吹きすさぶ中、一台の自転車がシャム達に近づいてくる。部隊の備品の古い家庭用自転車に乗るその巨体がその人物が誰であるかを知らしめている。
「なんだよタコか」
かなめがめんどくさそうにつぶやいた。タコと呼ばれたランの先任の司法局実働部隊副長明石清海中佐が颯爽と自転車をシャム達の前に止めた。
「明石。一言言っていーか?」
「何ですか?クバルカ中佐」
剃りあげた頭を撫でながらサングラスを光らせる身長2メートルを超える大男にランはため息をついた。
「自転車壊すんじゃねーぞ」
「あ?……ああ、大丈夫なんちゃいますか?」
とぼけたような赤ら顔でそのまま自転車から降りて固定する明石。その様はまるで子供用自転車を片付ける親のように見えてシャムは噴出しそうになった。
「ああ、今日はオフやったんやけど……明華はんはダウンしとるからな。西園寺。久しぶりに練習頼むわ」
そう言うとそのままポジションであるキャッチャーミットを構えるポーズを取る明石。彼の転任で野球サークルの正捕手を務めている岡部が複雑な表情でそれを見つめていた。
「見ての通りだ。これなら西園寺がぶっ倒れてもフォローできるだろ?」
「確かに」
ランの言葉にカウラが大きくうなづく。隣でかなめはいかにも不服だと言うように口を尖らせながら手足の関節をまげてその機能を確認している。
「それじゃあ行くぞ」
ランはそのままゲートに向けて歩き出した。シャム達も久しぶりの明石の姿をちらちら見ながらもランに続いてゲートへと歩き出した。
ゲートの新入り警備員が警備部制式のカラシニコフライフルを手にして直立不動の姿勢でシャム達を迎える。その姿に自転車を止めて明石は彼等の前に立った。
「なにやっとんねん」
突然野球のユニフォーム姿の大男に声をかけられ、彫りの深い外惑星出身と思われる新兵は敬礼をした。
「自分は!警備をしております!」
「あのなあ。そないにしゃっちょこばっとれば不逞のやからは帰ってくれる言うんか?」
相変わらず手に銃を持ったまま微動だにしない。その視線だけはニヤニヤ笑っているジャージ姿のランを捉えている。ランが目の前の見たことの無い大男の乱行を止める気が無い。すなわち目の前のサングラスの禿はランの指示を受けないクラスの高級将校であることは間違いない。新人もそこまで判断がついて次第に顔を高潮させ始める。
「明石、そんなに新人苛めるんじゃねーぞ」
「はあ、でも先任……これじゃあいざと言うとき役に立ちそうに無いですよ……」
頭をさすりながら自転車にまたがる明石。それを見てすばやく詰め所に飛び込んでゲートを開く新人。
「姐御は厳しいからな。まあ慣れりゃあ力が抜けてくるんじゃねえか?」
「古参の連中は力が抜けすぎだけどな」
かなめとカウラが笑いあう。ゲートが開くと明石は先頭に立って自転車を漕いだ。それにつられるようにして一同は一斉に走り出した。
菱川重工豊川工場は地球外では屈指の規模を誇る総合重工業施設である。シャムは先頭を走るランとロナルドの後ろに続いてその二人の間から前を見るが、いつもどおり工場内循環路は視界の果てまで延々と続いている。
「どうします?生協経由がええんとちゃいますか?」
「馬鹿言うな。途中休憩は無し!このまま工場正門まで行って往復だ」
ランの言葉にシャムは思わずげんなりした。振り返るとかなめと誠が呆れたと言うように顔を見合わせている。
「ったく……なんで俺まで……新兵じゃねえってんだ」
「フェデロ!聞こえてんぞ!」
愚痴るフェデロを振り返ってランが怒鳴りつけた。循環路には次々と圧延鋼やシートの被さった重機部品を満載した電気駆動のトレーラーが行き来する。
「なんだか目立つんだな」
「いつも自転車だからわからねえか……結構トレーラーのアンちゃん達はアタシ等を見てるもんだぞ」
かなめは久しぶりのランニングに戸惑いながらランの言葉を聞いてずるずる後ろへと後退した。
冬の北風が一同を迎える。ちょうど追い風になっていて走ることの邪魔にはならないが、帰りにはそれが向かい風になることを想像するとさすがのシャムも黙って走り続けるしかなかった。
目の前に工場内循環バスの停留所が現れる。
「あと7.2キロ……」
「誠ちゃん。そんなこと計ってたら疲れるだけだよ」
残りの距離をつぶやく誠に一言言った後シャムは思い切ってそのままロナルドとランの隣を抜いて一気に加速をしてみた。
「馬鹿が……」
抜き去る瞬間にランがそうつぶやいた。シャムはそれにかまわずそのままピッチを上げて進む。
「シャム……えらい元気やな」
呆れつつシャムに並走する明石の口元に笑みが浮かんでいるのを見てシャムはさらに足取りを速めた。昼下がりの工場の循環路。低い冬の太陽がようやく部隊の塀を乗り越えてシャムに降り注いでいる。そんな壁もしばらく行くと途切れて右手には巨大な工場の建物、左には田畑が広がるのが見えてきた。
「……ここさあ」
さすがに息を切らしながらシャムは隣を平然と自転車で走る明石に声をかける。
「アタシの好きな場所なんだよね……」
「だから飛ばしたんか……アホやな」
明石の言葉を聞くとさすがにペースを上げすぎたとシャムは減速を始めた。しかしかなりの差をつけていたらしく、主に宇宙航行用エンジンを生産している銀色の工場の角を曲がって後方を確認するとランとロナルドが小さくまだ部隊の塀のところを走っているのが見えた。
「タコ……さあ」
「ワシはタコちゃう」
シャムの呼びかけを無視して明石は同じペースで自転車を漕ぎ続ける。シャムは言っても無駄だとわかってさらにペースを落とした。銀色の工場の隣にはグラウンドが広がっている。
東和都市対抗野球でも何度と無く優勝の栄冠を勝ち取っている名門社会人チーム、菱川重工豊川野球部の専用グラウンドである。すでに何人かの選手がユニフォームを着てランニングを始めていた。
「やっぱりプロを目指すのんは違うんやなあ」
明石が遠い目で彼等を見つめているのが見えた。シャムはぶすりと不機嫌になる。これまで練習試合で三度対戦しすべてコールド負けを喫しているものの、シャムの出塁率は4割を超えていた。
「……日ごろから練習してるからだよ」
「そないなこと言うたら今もワレはランニングして足腰鍛えとるやないか」
さすがにそう言われるとシャムは何もいえない。さらに先ほどの無理なペースアップでさすがのシャムの息も切れて来た。
「おー、やっぱり飛ばしすぎか?」
追いついてきたランがそう言ってシャムの背中を叩く。シャムはすっかりへそを曲げてさらにペースを落とした。岡部、カウラ、かなめがシャムを追い抜いていく。かなめは追い抜きざまにわざと振り返って嫌らしい笑みを浮かべてシャムを置き去りにしていった。
さすがにダッシュをした後、シャムも十分体が温まって冷たい風も気にならなくなってくる。
「……はっ、はっ」
誠がまじめな顔をして隣を追い抜こうとしている。シャムはそのまま大きな誠を風除け代わりに後ろにくっついて走り出した。
「中尉……」
「何?」
突然誠から声をかけられて驚いて返事をした。
「……後ろ、どうなってます?」
「何よ、誠ちゃんは上官を使うわけ?」
「……そんなつもりじゃ……」
そう言うと誠が振り向いた、一瞬下のシャムを見た後遠くを見るような目をした。その目は明らかに呆れたような感じでそのまま前を向いた。シャムもそれを見て真似して後ろを眺めてみた。
軽くジャンプしながら迎えたのはランだった。だるそうに頭を掻くフェデロ。ロナルドと岡部はスクラッチをしている。そんな二人の前で手持ち無沙汰で立ち尽くす誠とアン。
「今日は並走は?」
シャムの言葉にランがグラウンドの果てを指差した。
北風の吹きすさぶ中、一台の自転車がシャム達に近づいてくる。部隊の備品の古い家庭用自転車に乗るその巨体がその人物が誰であるかを知らしめている。
「なんだよタコか」
かなめがめんどくさそうにつぶやいた。タコと呼ばれたランの先任の司法局実働部隊副長明石清海中佐が颯爽と自転車をシャム達の前に止めた。
「明石。一言言っていーか?」
「何ですか?クバルカ中佐」
剃りあげた頭を撫でながらサングラスを光らせる身長2メートルを超える大男にランはため息をついた。
「自転車壊すんじゃねーぞ」
「あ?……ああ、大丈夫なんちゃいますか?」
とぼけたような赤ら顔でそのまま自転車から降りて固定する明石。その様はまるで子供用自転車を片付ける親のように見えてシャムは噴出しそうになった。
「ああ、今日はオフやったんやけど……明華はんはダウンしとるからな。西園寺。久しぶりに練習頼むわ」
そう言うとそのままポジションであるキャッチャーミットを構えるポーズを取る明石。彼の転任で野球サークルの正捕手を務めている岡部が複雑な表情でそれを見つめていた。
「見ての通りだ。これなら西園寺がぶっ倒れてもフォローできるだろ?」
「確かに」
ランの言葉にカウラが大きくうなづく。隣でかなめはいかにも不服だと言うように口を尖らせながら手足の関節をまげてその機能を確認している。
「それじゃあ行くぞ」
ランはそのままゲートに向けて歩き出した。シャム達も久しぶりの明石の姿をちらちら見ながらもランに続いてゲートへと歩き出した。
ゲートの新入り警備員が警備部制式のカラシニコフライフルを手にして直立不動の姿勢でシャム達を迎える。その姿に自転車を止めて明石は彼等の前に立った。
「なにやっとんねん」
突然野球のユニフォーム姿の大男に声をかけられ、彫りの深い外惑星出身と思われる新兵は敬礼をした。
「自分は!警備をしております!」
「あのなあ。そないにしゃっちょこばっとれば不逞のやからは帰ってくれる言うんか?」
相変わらず手に銃を持ったまま微動だにしない。その視線だけはニヤニヤ笑っているジャージ姿のランを捉えている。ランが目の前の見たことの無い大男の乱行を止める気が無い。すなわち目の前のサングラスの禿はランの指示を受けないクラスの高級将校であることは間違いない。新人もそこまで判断がついて次第に顔を高潮させ始める。
「明石、そんなに新人苛めるんじゃねーぞ」
「はあ、でも先任……これじゃあいざと言うとき役に立ちそうに無いですよ……」
頭をさすりながら自転車にまたがる明石。それを見てすばやく詰め所に飛び込んでゲートを開く新人。
「姐御は厳しいからな。まあ慣れりゃあ力が抜けてくるんじゃねえか?」
「古参の連中は力が抜けすぎだけどな」
かなめとカウラが笑いあう。ゲートが開くと明石は先頭に立って自転車を漕いだ。それにつられるようにして一同は一斉に走り出した。
菱川重工豊川工場は地球外では屈指の規模を誇る総合重工業施設である。シャムは先頭を走るランとロナルドの後ろに続いてその二人の間から前を見るが、いつもどおり工場内循環路は視界の果てまで延々と続いている。
「どうします?生協経由がええんとちゃいますか?」
「馬鹿言うな。途中休憩は無し!このまま工場正門まで行って往復だ」
ランの言葉にシャムは思わずげんなりした。振り返るとかなめと誠が呆れたと言うように顔を見合わせている。
「ったく……なんで俺まで……新兵じゃねえってんだ」
「フェデロ!聞こえてんぞ!」
愚痴るフェデロを振り返ってランが怒鳴りつけた。循環路には次々と圧延鋼やシートの被さった重機部品を満載した電気駆動のトレーラーが行き来する。
「なんだか目立つんだな」
「いつも自転車だからわからねえか……結構トレーラーのアンちゃん達はアタシ等を見てるもんだぞ」
かなめは久しぶりのランニングに戸惑いながらランの言葉を聞いてずるずる後ろへと後退した。
冬の北風が一同を迎える。ちょうど追い風になっていて走ることの邪魔にはならないが、帰りにはそれが向かい風になることを想像するとさすがのシャムも黙って走り続けるしかなかった。
目の前に工場内循環バスの停留所が現れる。
「あと7.2キロ……」
「誠ちゃん。そんなこと計ってたら疲れるだけだよ」
残りの距離をつぶやく誠に一言言った後シャムは思い切ってそのままロナルドとランの隣を抜いて一気に加速をしてみた。
「馬鹿が……」
抜き去る瞬間にランがそうつぶやいた。シャムはそれにかまわずそのままピッチを上げて進む。
「シャム……えらい元気やな」
呆れつつシャムに並走する明石の口元に笑みが浮かんでいるのを見てシャムはさらに足取りを速めた。昼下がりの工場の循環路。低い冬の太陽がようやく部隊の塀を乗り越えてシャムに降り注いでいる。そんな壁もしばらく行くと途切れて右手には巨大な工場の建物、左には田畑が広がるのが見えてきた。
「……ここさあ」
さすがに息を切らしながらシャムは隣を平然と自転車で走る明石に声をかける。
「アタシの好きな場所なんだよね……」
「だから飛ばしたんか……アホやな」
明石の言葉を聞くとさすがにペースを上げすぎたとシャムは減速を始めた。しかしかなりの差をつけていたらしく、主に宇宙航行用エンジンを生産している銀色の工場の角を曲がって後方を確認するとランとロナルドが小さくまだ部隊の塀のところを走っているのが見えた。
「タコ……さあ」
「ワシはタコちゃう」
シャムの呼びかけを無視して明石は同じペースで自転車を漕ぎ続ける。シャムは言っても無駄だとわかってさらにペースを落とした。銀色の工場の隣にはグラウンドが広がっている。
東和都市対抗野球でも何度と無く優勝の栄冠を勝ち取っている名門社会人チーム、菱川重工豊川野球部の専用グラウンドである。すでに何人かの選手がユニフォームを着てランニングを始めていた。
「やっぱりプロを目指すのんは違うんやなあ」
明石が遠い目で彼等を見つめているのが見えた。シャムはぶすりと不機嫌になる。これまで練習試合で三度対戦しすべてコールド負けを喫しているものの、シャムの出塁率は4割を超えていた。
「……日ごろから練習してるからだよ」
「そないなこと言うたら今もワレはランニングして足腰鍛えとるやないか」
さすがにそう言われるとシャムは何もいえない。さらに先ほどの無理なペースアップでさすがのシャムの息も切れて来た。
「おー、やっぱり飛ばしすぎか?」
追いついてきたランがそう言ってシャムの背中を叩く。シャムはすっかりへそを曲げてさらにペースを落とした。岡部、カウラ、かなめがシャムを追い抜いていく。かなめは追い抜きざまにわざと振り返って嫌らしい笑みを浮かべてシャムを置き去りにしていった。
さすがにダッシュをした後、シャムも十分体が温まって冷たい風も気にならなくなってくる。
「……はっ、はっ」
誠がまじめな顔をして隣を追い抜こうとしている。シャムはそのまま大きな誠を風除け代わりに後ろにくっついて走り出した。
「中尉……」
「何?」
突然誠から声をかけられて驚いて返事をした。
「……後ろ、どうなってます?」
「何よ、誠ちゃんは上官を使うわけ?」
「……そんなつもりじゃ……」
そう言うと誠が振り向いた、一瞬下のシャムを見た後遠くを見るような目をした。その目は明らかに呆れたような感じでそのまま前を向いた。シャムもそれを見て真似して後ろを眺めてみた。
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