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第6.5部 ナンバルゲニア・シャムラード中尉の1日 第1章 出勤まで
目覚め
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ナンバルゲニア・シャムラード中尉の朝は早い。
まず、目をパッチリ開けて周りを見渡す。
彼女は遼州同盟司法局実働部隊第一小隊二番機担当である。世に言う『無駄飯喰い』と陰口を叩かれる愚連隊の一員されている。そんな彼女が夜明け前の冷たい空気の中で、目覚ましもかけずに静かにその瞼を開けた。
「おはよう……」
遠くに自動車のエンジン音だけが響いている誰もいない六畳間にシャムの声が広がった。冷たい空気の冬の朝三時。当然のことながら朝日などはまだまだで、部屋は冷気と暗さの中にあった。それでもシャムはかすかな窓から漏れる街灯の光を頼りになれた調子でもぞもぞと起き出す。その生ぬるい布団の中から黒いバスケットボール大の塊がゆっくり這い出そうとする。
「チロは寝てていいよ」
布団の中には『チロ』と彼女が名付けたサバトラ模様の猫が、ちらりとシャムの顔を見るとそのまま温かみを残している布団の中へともぐりこんで行った。
彼女が辺境惑星『遼州』での先進国である『東和共和国』に来てから初めて飼っているのがこのサバトラ猫だった。
チロが布団にもぐりこむのを確認するとそのまま畳の上を四足で歩いてそのまま箪笥までシャムは這っていった。二番目の棚に手を伸ばすとそのまま着ていた寝間着代わりの戦隊モノのキャラがプリントされたジャージを脱ぎ始める。
「眠い……」
寝ぼけ眼で近くにぶら下がっていた電気の紐を引っ張ると、暗い六畳間は一気に明るくなる。
「ふう」
少しばかり目が覚めてきたというように伸びをするが、相変わらずのんびりとしたペースで彼女はまずタンスの中に右手を突っ込んでブラジャーを取り出すとそれをつけることからはじめた。だが小学校3,4年生というような小柄でぺったんこな胸にブラジャーを着けるのは、無理矢理布を巻き付けるような形だった。そしてそのままその上の引き出しからシャツを取り出しすばやく頭を入れた。
「む……」
しばらく寝ぼけたように頭を振りながらシャツに頭を通すと回りを見回す。特に何も変わったところはない。外では何かを恫喝するように犬が吼えていた。いつものことなので気にもかけずにあくびをした後、シャムは今度はその上の引き出しを引っ張って中からジーパンを取り出してよたよたしながら履いてみた。立ち上がると一瞬だけ立ちくらみを起こしたようにシャムはよろめいた。
「眠い……」
再び訪れた睡魔にどうにか逆らいつつシャムは目をこする。だが顔から離れた右手は隣のクローゼットから美少女戦隊モノのヒロインがプリントされた厚手のシャツに伸びていた。そのまま再びのろのろとそれを着込む。そしてようやく気分が出てきたというように自分の頬を叩いて気合を入れると天井を見上げて意識を集中させた。
「シャムちゃん!」
まだ早朝と呼ぶにも早い時間帯だというのに階下から遠慮なく大声でシャムの名を呼ぶ声が響いた。シャムが下宿しているのは商店街の魚屋の二階の一部屋。大家の店主が仕入れに出かける今の時間に起きるのはいつものことだった。シャムはシャツの上にセーターを着込むと周りを確認する。
「もうご飯出来てるわよ!」
「はい!今行きます!」
きっぷのいい女性の声に反射的に答えるとシャムは大きく息を吸った。
まず、目をパッチリ開けて周りを見渡す。
彼女は遼州同盟司法局実働部隊第一小隊二番機担当である。世に言う『無駄飯喰い』と陰口を叩かれる愚連隊の一員されている。そんな彼女が夜明け前の冷たい空気の中で、目覚ましもかけずに静かにその瞼を開けた。
「おはよう……」
遠くに自動車のエンジン音だけが響いている誰もいない六畳間にシャムの声が広がった。冷たい空気の冬の朝三時。当然のことながら朝日などはまだまだで、部屋は冷気と暗さの中にあった。それでもシャムはかすかな窓から漏れる街灯の光を頼りになれた調子でもぞもぞと起き出す。その生ぬるい布団の中から黒いバスケットボール大の塊がゆっくり這い出そうとする。
「チロは寝てていいよ」
布団の中には『チロ』と彼女が名付けたサバトラ模様の猫が、ちらりとシャムの顔を見るとそのまま温かみを残している布団の中へともぐりこんで行った。
彼女が辺境惑星『遼州』での先進国である『東和共和国』に来てから初めて飼っているのがこのサバトラ猫だった。
チロが布団にもぐりこむのを確認するとそのまま畳の上を四足で歩いてそのまま箪笥までシャムは這っていった。二番目の棚に手を伸ばすとそのまま着ていた寝間着代わりの戦隊モノのキャラがプリントされたジャージを脱ぎ始める。
「眠い……」
寝ぼけ眼で近くにぶら下がっていた電気の紐を引っ張ると、暗い六畳間は一気に明るくなる。
「ふう」
少しばかり目が覚めてきたというように伸びをするが、相変わらずのんびりとしたペースで彼女はまずタンスの中に右手を突っ込んでブラジャーを取り出すとそれをつけることからはじめた。だが小学校3,4年生というような小柄でぺったんこな胸にブラジャーを着けるのは、無理矢理布を巻き付けるような形だった。そしてそのままその上の引き出しからシャツを取り出しすばやく頭を入れた。
「む……」
しばらく寝ぼけたように頭を振りながらシャツに頭を通すと回りを見回す。特に何も変わったところはない。外では何かを恫喝するように犬が吼えていた。いつものことなので気にもかけずにあくびをした後、シャムは今度はその上の引き出しを引っ張って中からジーパンを取り出してよたよたしながら履いてみた。立ち上がると一瞬だけ立ちくらみを起こしたようにシャムはよろめいた。
「眠い……」
再び訪れた睡魔にどうにか逆らいつつシャムは目をこする。だが顔から離れた右手は隣のクローゼットから美少女戦隊モノのヒロインがプリントされた厚手のシャツに伸びていた。そのまま再びのろのろとそれを着込む。そしてようやく気分が出てきたというように自分の頬を叩いて気合を入れると天井を見上げて意識を集中させた。
「シャムちゃん!」
まだ早朝と呼ぶにも早い時間帯だというのに階下から遠慮なく大声でシャムの名を呼ぶ声が響いた。シャムが下宿しているのは商店街の魚屋の二階の一部屋。大家の店主が仕入れに出かける今の時間に起きるのはいつものことだった。シャムはシャツの上にセーターを着込むと周りを確認する。
「もうご飯出来てるわよ!」
「はい!今行きます!」
きっぷのいい女性の声に反射的に答えるとシャムは大きく息を吸った。
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