511 / 1,503
第5章 加速する混乱
劇飲み会
しおりを挟む
「どけ!」
そう言うとアンを張り飛ばしたのはかなめだった。そして誠の手のコップに珍しく自分のラム酒でなくビールを注いだ。
「これは飲めるだろ?」
かなめは満足げな表情を浮かべる。そして誠がそのビールに目をやると、かなめは背後でビールを持って待機していたカウラを見つめる。カウラは明らかに失敗したと言う表情を浮かべていた。そして今度はかなめはアイシャを見つめた。その様子を横目で伺いながら、サラ、島田、ヨハンと言ったこの部屋に通いなれた面々が手際よく皿と箸とグラスを配っていく。
「みんな酒は行き渡ったかしら?」
あくまでも仕切ろうとするアイシャにつまらないと言った顔をするかなめは、必要も無いのにそれまでラッパ飲みしていたラム酒をグラスを手にしてなみなみと注いだ。
「えーと。まあどうでもいいや!とりあえず乾杯!」
アイシャのいい加減な音頭に乗って部屋中の隊員が乾杯を叫ぶ。
「まあぐっとやれよ。どうせ次がつかえてるんだろ?アンには悪いが順番と言うものがあってな」
かなめはニヤニヤと笑いながらグラスを開けるべくビールを喉に流し込んでいる誠を見つめる。そしてその隣にはいつの間にかビール瓶を持って次に誠に勺をしようと待ち構えるアイシャが居た。
「はい!誠ちゃん」
アイシャは誠の空になったグラスにビールを差し出す。
「オメー等……またこいつを潰す気か?」
本当に酒を飲んでいいのかと言いたくなるようなあどけない面立ちのランがうまそうにビールを飲みながらそう言った。見た目は幼く見えるが誠が知る限りランはここにいる女性士官では一番の年配者である。先日かなめにビールを飲まされてからその魅力に取り付かれた彼女はすっかりビール党となり最近は変わったビールを取り寄せて振舞うのを趣味としていた。
「良いんですよ!こいつはおもちゃだから、アタシ等の!」
そう言い切ってかなめはそばに置かれていた唐辛子の赤に染まったピザを切り分け始める。
「マジで勘弁してくださいよ……」
かなめとアイシャに注がれたビールで顔が赤くなるのを感じながらそう言った誠の視界の中で、ビールの瓶を持ったまま躊躇しているエメラルドグリーンの瞳が揺れた。二人の目が合う。カウラは少し上目遣いに誠を見つめる。そしてそのままおどおどと瓶を引き戻そうとした。
「カウラさん。飲みますよ!僕は!」
そう言って誠はカウラに空のコップを差し出した。誠が困ったような瞳のカウラを拒めるわけが無かった。ポニーテールの髪を揺らして笑顔で誠のコップにビールを注ぐカウラ。その後ろのアンは喜び勇んでビールの瓶を持ち上げるが、その顔面にかなめの蹴りが入りそのまま壁際に叩きつけられる。
「西園寺!」
すぐに振り返ったカウラが叫ぶ。かなめはまるで何事も無かったかのように自分のグラスの中のラム酒を飲み干していた。かなめも手加減をしていたようでアンは後頭部をさすりながら手にしたビール瓶が無事なのを確認している。
「西園寺。オメーはなあ……やりすぎなんだよ!」
ランはそう言うとかなめの頭を叩いた。倒れたアンにサラとパーラが駆け寄る。
「大丈夫?痛くない?」
「ひどいな、西園寺大尉は」
サラとパーラに介抱されるアンに差し入れを運んできた男性隊員から嫉妬に満ちた視線が送られている。誠はこの状況で自分に火の粉がかかるいつものパターンを思い出し、手酌でビールを注ぎ始めた。
「お姉さま。僕も今回はやっぱりかなめお姉さまが悪いと思います!アン、大丈夫そうだな」
「そうですね」
自分の味方になると思っていたかえでと渡辺が敵に回ったのを見てかなめは表情を曇らせた。かなめはいらだちながら再びラム酒の瓶をあおった。
「よく飲むなあ……少しは味わえよ」
「うるせえ!餓鬼に意見されるほど落ちちゃいねえよ!」
ランから文句を言われているかなめだが、そっと彼女は切り分けたピザを誠に渡した。
「あ、ありがとうございます」
「礼なんて言うなよ。そのうちオメエが暴れだして踏んだりしたらもったいないからあげただけだ」
そう言うかなめの肩にアイシャが手を寄せてうなづいている。その瞳はすばらしい光景に出会った人のように感嘆に満ちたものだった。
「なんだよ!」
「グッジョブ!」
思い切り良く親指を立てるアイシャにかなめはただそのタレ目で不思議そうな視線を送っていた。
「ったく何がグッジョブだよ」
誠は苦笑いを浮かべて注がれたビールを飲み干した。明らかに部隊で根を詰めて絵を描き続けてきた反動か、意識がいつもよりもすばやく立ち去ろうとしているのを感じる。そしてそのままふらふらとカウラを見つめる誠。その目は完全に据わっていた。カウラも少しばかり引き気味に誠を見つめる。ランは誠に哀れみの視線を送っていた。
「あーあ、なんだか顔が赤いわよ。誠ちゃんいつものストレスが出てきたのね」
アイシャはラム酒をラッパ飲みしているかなめを見つめてため息をつく。
「なんだよ、そのため息は。アタシになんか文句あるのか?」
「ここにいる全員が西園寺の飲み方に文句があるんじゃねーのか?」
開き直るかなめに突き刺さるようなランの一言。かなめは周りに助けを求めるが、いつもは彼女の言うことにはすべてに賛成するかえでもアンの介抱をしながら責める様な視線を送ってくる。
「ああ、いいもんね!私切れちゃったもんね!神前!こいつを飲め!」
そう言うとかなめは手にしたラム酒をビールだけで半分出来上がった誠の半開きの口にねじ込んだ。ばたばたと手を振って抵抗する誠だが、相手は軍用の義体のサイボーグである。次第に抵抗するのを止めて喉を鳴らして酒を飲み始めた。
「あっ、間接キッス!」
突然そう言ったのはカウラだった。意外な人物からの意外な一言にうろたえたかなめは瓶を誠の口から引き抜いた。そのまま目を回したように誠は倒れこむ。その顔は真っ赤に染まり、瞳は焦点を定めることもできず、ふらふらとうごめいている。
「馬鹿野郎!神前を殺す気か?ちょっと起こせ!」
蛮行もここまで来るといじめだった。そう思ったランは手にしていたコップを置くと顔色を変えて誠に飛びついた。そしてそのまま口に手を突っ込んで酒を吐かせようとするが、誠は抵抗して口を開こうとしない。
そう言うとアンを張り飛ばしたのはかなめだった。そして誠の手のコップに珍しく自分のラム酒でなくビールを注いだ。
「これは飲めるだろ?」
かなめは満足げな表情を浮かべる。そして誠がそのビールに目をやると、かなめは背後でビールを持って待機していたカウラを見つめる。カウラは明らかに失敗したと言う表情を浮かべていた。そして今度はかなめはアイシャを見つめた。その様子を横目で伺いながら、サラ、島田、ヨハンと言ったこの部屋に通いなれた面々が手際よく皿と箸とグラスを配っていく。
「みんな酒は行き渡ったかしら?」
あくまでも仕切ろうとするアイシャにつまらないと言った顔をするかなめは、必要も無いのにそれまでラッパ飲みしていたラム酒をグラスを手にしてなみなみと注いだ。
「えーと。まあどうでもいいや!とりあえず乾杯!」
アイシャのいい加減な音頭に乗って部屋中の隊員が乾杯を叫ぶ。
「まあぐっとやれよ。どうせ次がつかえてるんだろ?アンには悪いが順番と言うものがあってな」
かなめはニヤニヤと笑いながらグラスを開けるべくビールを喉に流し込んでいる誠を見つめる。そしてその隣にはいつの間にかビール瓶を持って次に誠に勺をしようと待ち構えるアイシャが居た。
「はい!誠ちゃん」
アイシャは誠の空になったグラスにビールを差し出す。
「オメー等……またこいつを潰す気か?」
本当に酒を飲んでいいのかと言いたくなるようなあどけない面立ちのランがうまそうにビールを飲みながらそう言った。見た目は幼く見えるが誠が知る限りランはここにいる女性士官では一番の年配者である。先日かなめにビールを飲まされてからその魅力に取り付かれた彼女はすっかりビール党となり最近は変わったビールを取り寄せて振舞うのを趣味としていた。
「良いんですよ!こいつはおもちゃだから、アタシ等の!」
そう言い切ってかなめはそばに置かれていた唐辛子の赤に染まったピザを切り分け始める。
「マジで勘弁してくださいよ……」
かなめとアイシャに注がれたビールで顔が赤くなるのを感じながらそう言った誠の視界の中で、ビールの瓶を持ったまま躊躇しているエメラルドグリーンの瞳が揺れた。二人の目が合う。カウラは少し上目遣いに誠を見つめる。そしてそのままおどおどと瓶を引き戻そうとした。
「カウラさん。飲みますよ!僕は!」
そう言って誠はカウラに空のコップを差し出した。誠が困ったような瞳のカウラを拒めるわけが無かった。ポニーテールの髪を揺らして笑顔で誠のコップにビールを注ぐカウラ。その後ろのアンは喜び勇んでビールの瓶を持ち上げるが、その顔面にかなめの蹴りが入りそのまま壁際に叩きつけられる。
「西園寺!」
すぐに振り返ったカウラが叫ぶ。かなめはまるで何事も無かったかのように自分のグラスの中のラム酒を飲み干していた。かなめも手加減をしていたようでアンは後頭部をさすりながら手にしたビール瓶が無事なのを確認している。
「西園寺。オメーはなあ……やりすぎなんだよ!」
ランはそう言うとかなめの頭を叩いた。倒れたアンにサラとパーラが駆け寄る。
「大丈夫?痛くない?」
「ひどいな、西園寺大尉は」
サラとパーラに介抱されるアンに差し入れを運んできた男性隊員から嫉妬に満ちた視線が送られている。誠はこの状況で自分に火の粉がかかるいつものパターンを思い出し、手酌でビールを注ぎ始めた。
「お姉さま。僕も今回はやっぱりかなめお姉さまが悪いと思います!アン、大丈夫そうだな」
「そうですね」
自分の味方になると思っていたかえでと渡辺が敵に回ったのを見てかなめは表情を曇らせた。かなめはいらだちながら再びラム酒の瓶をあおった。
「よく飲むなあ……少しは味わえよ」
「うるせえ!餓鬼に意見されるほど落ちちゃいねえよ!」
ランから文句を言われているかなめだが、そっと彼女は切り分けたピザを誠に渡した。
「あ、ありがとうございます」
「礼なんて言うなよ。そのうちオメエが暴れだして踏んだりしたらもったいないからあげただけだ」
そう言うかなめの肩にアイシャが手を寄せてうなづいている。その瞳はすばらしい光景に出会った人のように感嘆に満ちたものだった。
「なんだよ!」
「グッジョブ!」
思い切り良く親指を立てるアイシャにかなめはただそのタレ目で不思議そうな視線を送っていた。
「ったく何がグッジョブだよ」
誠は苦笑いを浮かべて注がれたビールを飲み干した。明らかに部隊で根を詰めて絵を描き続けてきた反動か、意識がいつもよりもすばやく立ち去ろうとしているのを感じる。そしてそのままふらふらとカウラを見つめる誠。その目は完全に据わっていた。カウラも少しばかり引き気味に誠を見つめる。ランは誠に哀れみの視線を送っていた。
「あーあ、なんだか顔が赤いわよ。誠ちゃんいつものストレスが出てきたのね」
アイシャはラム酒をラッパ飲みしているかなめを見つめてため息をつく。
「なんだよ、そのため息は。アタシになんか文句あるのか?」
「ここにいる全員が西園寺の飲み方に文句があるんじゃねーのか?」
開き直るかなめに突き刺さるようなランの一言。かなめは周りに助けを求めるが、いつもは彼女の言うことにはすべてに賛成するかえでもアンの介抱をしながら責める様な視線を送ってくる。
「ああ、いいもんね!私切れちゃったもんね!神前!こいつを飲め!」
そう言うとかなめは手にしたラム酒をビールだけで半分出来上がった誠の半開きの口にねじ込んだ。ばたばたと手を振って抵抗する誠だが、相手は軍用の義体のサイボーグである。次第に抵抗するのを止めて喉を鳴らして酒を飲み始めた。
「あっ、間接キッス!」
突然そう言ったのはカウラだった。意外な人物からの意外な一言にうろたえたかなめは瓶を誠の口から引き抜いた。そのまま目を回したように誠は倒れこむ。その顔は真っ赤に染まり、瞳は焦点を定めることもできず、ふらふらとうごめいている。
「馬鹿野郎!神前を殺す気か?ちょっと起こせ!」
蛮行もここまで来るといじめだった。そう思ったランは手にしていたコップを置くと顔色を変えて誠に飛びついた。そしてそのまま口に手を突っ込んで酒を吐かせようとするが、誠は抵抗して口を開こうとしない。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
潜水艦艦長 深海調査手記
ただのA
SF
深海探査潜水艦ネプトゥヌスの艦長ロバート・L・グレイ が深海で発見した生物、現象、景観などを書き残した手記。
皆さんも艦長の手記を通して深海の神秘に触れてみませんか?
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる