491 / 1,503
第5.5部『突然魔法少女』 第一章 祭りの予感
萌え武将
しおりを挟む
「よかったわね、なにも起きなくて」
そう言うとアイシャはカウラの肩を叩く。カウラも気付いたように太刀を抜いたり差したりして遊んでいる第一小隊の小さなエースナンバルゲニア・シャムラードを取り押さえる。小学生にしか見えない彼女はおずおずとうなづいた。
「ちゃんと着替えましょうね」
微笑みながらアイシャはそう言うとシャムもようやく諦めたように舌を出してカウラについて時代行列を支える裏方達の群れる境内の裏手の広場に足を向けた。
そこには仮装をしない裏方役の技術部の整備担当の面々や管理部門の女性下士官達が行列を終えて帰ってきた隊員の着ている鎧が壊れていないかチェックしたりすでに着替えを終えた隊員に甘酒振舞ったりと忙しい様子を見せていた。
「アイシャさん!」
そんな忙しく立ち働く面々の中からそう言って技術部整備班班長島田正人准尉と運用艦ブリッジクルーのサラ・グリファン少尉が駆け寄ってくる。二人ともすでに東和陸軍と同じ深い緑色の勤務服に着替えていた。
「早く着替えた方がいいですよ。何でもあと一時間で豆を撒きにきたタレントさんが到着して場所が取れなくなるみたいですから」
そう言うと島田はきょろきょろと人ごみを見回す。
「そう言えばクバルカ中佐、見ませんでした?」
島田の言葉にアイシャもカウラも、誠ですら首を横に振った。司法局実働部隊のまさに実働部隊の名の所以である主力人型兵器『アサルト・モジュール』を運用する最高任者で司法局実働部隊の副長でもあるクバルカ・ラン中佐。重鎮の行方不明に島田は焦ったように周りを見回していた。
「なんかあのジャリがいねえと困ることでもあるのか?」
にやけているかなめがランを『ジャリ』と呼ぶのにカウラは難しい顔をしてかなめをにらみつける。そのとなりで立ち働く隊員に挨拶しているシャムも十分子供にしか見えないが、ランはどう見ても小学生、しかも低学年にしか見えない。この雑踏に鎧兜姿の小さい子が歩き回っているシュールな光景を想像して誠は噴出しそうになる。
「いやあ、祭りの場には野暮なのはわかっているんですが……進藤が急ぎの決済の必要な書類をここまで持ってきてしまいましてね。それでなんとか見てもらえないかなあと……」
島田の言葉にかなめは大きなため息をつく。
「仕事が優先だ。神前曹長、探すぞ」
そう言うとカウラはサラに兜を持たせて歩き出す。仕方がないというようにアイシャも島田に兜を持たせる。
「私の勘だと……あの椿の生垣の後ろじゃないかしら?」
明らかにいい加減にアイシャが御神木の後ろの見事に赤い花を咲かせている椿の生垣を指差した。
誠は仕方なく生垣に目をやる。その視界に入ったのは中学生位の少年だった。誠達はそのまま早足で生垣を迂回して木々の茂る森に足を踏み入れる。そこには見覚えのある中学校の校章をあしらったボタンの学ランのを着た少年達が数名こそこそと内緒話をしているのが目に入った。
「ああ、西園寺さん達はそのまま着替えていてください。僕がなんとかしますから」
そうカウラ達に言うと誠は少年達の後をつけた。
常緑樹の森の中を進む少年達。誠は彼のつけている校章から司法局実働部隊のたまり場であるお好み焼きの店『あまさき屋』の看板娘、家村小夏の同級生であるとあたりをつけた。
「遅いぞ!宮崎伍長!ちゃんと買ってきただろうな!」
そう言って少年を叱りつけたのは確かに小夏である。そして隣にメガネをかけた同級生らしい少女と太った男子生徒。そしてその中央にどっかと折りたたみ椅子に腰掛けているのは他でもない、緋色の大鎧に派手な鍬形の兜を被ったランだった。
「クバルカ中佐!何やってるんですか?」
声をかけられてしばらくランは呆然と誠を見ていた。しかし、その顔色は次第に赤みを増し、そして誠の手が届くところまで来た頃には思わず手で顔を覆うようになっていた。
「おい!」
そう言うと120センチに満たない身長に似合わない力で誠の首を締め上げた。
「いいか、ここでの事を誰かに話してみろ。この首ねじ切るからな!」
そう言うランに誠はうなづくしかなかった。
「それと小夏!あの写真は誰にも見せるんじゃねーぞ!」
「わかりました中佐殿!」
そう言って小夏は凛々しく敬礼する。彼女の配下らしい中学生達も釣られるようにして敬礼する。
「もうそろそろ時間だろうとは思ってたんだけどよー、どうも餓鬼共が離してくれねーから……」
ランはぶつぶつと文句を言いながら本部への近道を通る。獣道に延びてくる枯れ枝も彼女には全く障害にはならなかった。本殿の裏に設営された本部のテント。そこに立っている大柄な僧兵の姿に思わずランと誠は立ち止まった。
その大男。どこからどう見ても武蔵坊弁慶である。
「なんじゃ?誠。アイシャ達が探しとったぞ」
武蔵坊弁慶がそう言った。司法局実働部隊の前任の副長で、現在は同盟司法局で調整担当のトップを勤めている明石清海中佐は手にした薙刀を天に翳して見せる。
「着替えないんですか?」
そう言う誠にしばらく沈黙した明石だがすぐに気が変わったとでも言うように本部に入っていった。
「それじゃあアタシ等もいくぞ」
ランの言葉につられるようにして誠は本部のテントに入る。
「良い所に来たわね誠!とりあえず鎧を片付けて頂戴」
そう言ったのは誠の母、神前薫《しんぜんかおる》だった。剣道場の女当主でもある彼女はこう言うことにも通じていて、見慣れた紺色の稽古着姿で手際よく鎧の紐を解いていく。
「俺、この格好なんだけど……」
「胴丸なら自分で脱げるでしょ?文句は言わないで手を動かして!」
そう言って薫はかなめの小手を外していた。
「いつもお母様にはお世話になってばかりで……」
かなめの声に着替えを待っているカウラ達は白い目を向ける。いつものじゃじゃ馬姫の日常などをすっかり隠し通そうと言うつもりでかなめは同盟加盟の大国胡州帝国宰相の娘、四大公家の跡取りの上品な姫君を演じていた。隊で一番ガサツ、隊で一番暴力的、隊で一番品が悪い。そう言われているかなめだが、薫の前ではたおやかな声で良家の子女になりきっている。
誠からの話でかなめの正体を知っているはずの彼女は笑顔で見上げながら手を動かす。そんな母が何を考えているのか誠には読めなかった。
「大変ねえ、なにか手伝う?」
呆然と上品なお姫様を演じているかなめを見つめていた誠にそう言ってきたのは小手を外してくれる順番待ちをしていたアイシャだった。
「ああ、お願いします。そこの靭を奥の箱に入れてください」
「いいわよ」
そう言って弓を抜き終わった靭を取り上げたアイシャだが、まじまじとそれを覗き込んでいる。
「私はあまり詳しいこと知らないんだけど、高いんでしょ?これ」
そう言いながらアイシャは手にした靭を箱の中の油紙にくるむアイシャ。
「まあな。それ一つでテメエの10年分の給料くらいするんじゃないか?」
脛当てを外してもらいながらかなめがそう言ってにやにやと笑う。地が出てはっとするかなめだが、まるでそれがわかっていたように薫は笑顔を浮かべていた。
「そんなにしないわよ。まあ確かにかなり本格的な複製だけど……じゃあここから先はご自分でね」
そう言って薫は主な結び目を解いたかなめを送り出す。すぐさまアイシャが立ち上がって薫に小手を外してもらう。
「模造品だって高けえんだぜ。さすがは嵯峨家。胡州一の身代というところか?」
かなめはそう言うと誠の隣で兜の鍬形を外していた。
「そう言えば叔父貴はどうしたんだよ。それに茜は?」
流鏑馬で観客を唸らせた司法局実働部隊隊長嵯峨惟基特務大佐。彼はかなめの家の養子として育ったこともあり、かなめはいつも嵯峨を『叔父貴』と呼ぶ。しかしその口調にはまったく敬意は感じられない。
「ああ、嵯峨君は外で整備班の胴丸を脱がせてたわよ。それに茜さんは自分で脱げるからって……」
ちょうどそんな噂の茜とかえでが司法局の制服で更衣室に入ってくる。
「なんだ、かなめお姉さまはもう脱いでしまったのか……」
ぼそりとつぶやいて瞳を潤ませて自分を見つめるかえでにかなめは思わず後ずさる。
「神前君、あなたも着替えなさいよ。それと薫さんも私が代わりますから休んでください」
そう言って茜はアイシャの左腕の小手を外しにかかる。
「そうね、誠。外に出てなさい」
「いいんですよお母様、私は見られ……ごぼ!」
満面の笑みを浮かべて話し出した胴を脱いだばかりのアイシャの腹にかなめのボディブローが炸裂する。
「邪魔だ!出てけ」
そう言ってかなめはまた部屋の隅に戻り、カウラが着ていた大鎧を油紙に包む。さらに奥のテーブルで制服姿のカウラと談笑している大鎧を着たままのサラとパーラの冷たい視線が誠を襲う。
「それじゃあ着替えてきますね」
そう言って誠は二月の寒空の中に飛び出した。
そう言うとアイシャはカウラの肩を叩く。カウラも気付いたように太刀を抜いたり差したりして遊んでいる第一小隊の小さなエースナンバルゲニア・シャムラードを取り押さえる。小学生にしか見えない彼女はおずおずとうなづいた。
「ちゃんと着替えましょうね」
微笑みながらアイシャはそう言うとシャムもようやく諦めたように舌を出してカウラについて時代行列を支える裏方達の群れる境内の裏手の広場に足を向けた。
そこには仮装をしない裏方役の技術部の整備担当の面々や管理部門の女性下士官達が行列を終えて帰ってきた隊員の着ている鎧が壊れていないかチェックしたりすでに着替えを終えた隊員に甘酒振舞ったりと忙しい様子を見せていた。
「アイシャさん!」
そんな忙しく立ち働く面々の中からそう言って技術部整備班班長島田正人准尉と運用艦ブリッジクルーのサラ・グリファン少尉が駆け寄ってくる。二人ともすでに東和陸軍と同じ深い緑色の勤務服に着替えていた。
「早く着替えた方がいいですよ。何でもあと一時間で豆を撒きにきたタレントさんが到着して場所が取れなくなるみたいですから」
そう言うと島田はきょろきょろと人ごみを見回す。
「そう言えばクバルカ中佐、見ませんでした?」
島田の言葉にアイシャもカウラも、誠ですら首を横に振った。司法局実働部隊のまさに実働部隊の名の所以である主力人型兵器『アサルト・モジュール』を運用する最高任者で司法局実働部隊の副長でもあるクバルカ・ラン中佐。重鎮の行方不明に島田は焦ったように周りを見回していた。
「なんかあのジャリがいねえと困ることでもあるのか?」
にやけているかなめがランを『ジャリ』と呼ぶのにカウラは難しい顔をしてかなめをにらみつける。そのとなりで立ち働く隊員に挨拶しているシャムも十分子供にしか見えないが、ランはどう見ても小学生、しかも低学年にしか見えない。この雑踏に鎧兜姿の小さい子が歩き回っているシュールな光景を想像して誠は噴出しそうになる。
「いやあ、祭りの場には野暮なのはわかっているんですが……進藤が急ぎの決済の必要な書類をここまで持ってきてしまいましてね。それでなんとか見てもらえないかなあと……」
島田の言葉にかなめは大きなため息をつく。
「仕事が優先だ。神前曹長、探すぞ」
そう言うとカウラはサラに兜を持たせて歩き出す。仕方がないというようにアイシャも島田に兜を持たせる。
「私の勘だと……あの椿の生垣の後ろじゃないかしら?」
明らかにいい加減にアイシャが御神木の後ろの見事に赤い花を咲かせている椿の生垣を指差した。
誠は仕方なく生垣に目をやる。その視界に入ったのは中学生位の少年だった。誠達はそのまま早足で生垣を迂回して木々の茂る森に足を踏み入れる。そこには見覚えのある中学校の校章をあしらったボタンの学ランのを着た少年達が数名こそこそと内緒話をしているのが目に入った。
「ああ、西園寺さん達はそのまま着替えていてください。僕がなんとかしますから」
そうカウラ達に言うと誠は少年達の後をつけた。
常緑樹の森の中を進む少年達。誠は彼のつけている校章から司法局実働部隊のたまり場であるお好み焼きの店『あまさき屋』の看板娘、家村小夏の同級生であるとあたりをつけた。
「遅いぞ!宮崎伍長!ちゃんと買ってきただろうな!」
そう言って少年を叱りつけたのは確かに小夏である。そして隣にメガネをかけた同級生らしい少女と太った男子生徒。そしてその中央にどっかと折りたたみ椅子に腰掛けているのは他でもない、緋色の大鎧に派手な鍬形の兜を被ったランだった。
「クバルカ中佐!何やってるんですか?」
声をかけられてしばらくランは呆然と誠を見ていた。しかし、その顔色は次第に赤みを増し、そして誠の手が届くところまで来た頃には思わず手で顔を覆うようになっていた。
「おい!」
そう言うと120センチに満たない身長に似合わない力で誠の首を締め上げた。
「いいか、ここでの事を誰かに話してみろ。この首ねじ切るからな!」
そう言うランに誠はうなづくしかなかった。
「それと小夏!あの写真は誰にも見せるんじゃねーぞ!」
「わかりました中佐殿!」
そう言って小夏は凛々しく敬礼する。彼女の配下らしい中学生達も釣られるようにして敬礼する。
「もうそろそろ時間だろうとは思ってたんだけどよー、どうも餓鬼共が離してくれねーから……」
ランはぶつぶつと文句を言いながら本部への近道を通る。獣道に延びてくる枯れ枝も彼女には全く障害にはならなかった。本殿の裏に設営された本部のテント。そこに立っている大柄な僧兵の姿に思わずランと誠は立ち止まった。
その大男。どこからどう見ても武蔵坊弁慶である。
「なんじゃ?誠。アイシャ達が探しとったぞ」
武蔵坊弁慶がそう言った。司法局実働部隊の前任の副長で、現在は同盟司法局で調整担当のトップを勤めている明石清海中佐は手にした薙刀を天に翳して見せる。
「着替えないんですか?」
そう言う誠にしばらく沈黙した明石だがすぐに気が変わったとでも言うように本部に入っていった。
「それじゃあアタシ等もいくぞ」
ランの言葉につられるようにして誠は本部のテントに入る。
「良い所に来たわね誠!とりあえず鎧を片付けて頂戴」
そう言ったのは誠の母、神前薫《しんぜんかおる》だった。剣道場の女当主でもある彼女はこう言うことにも通じていて、見慣れた紺色の稽古着姿で手際よく鎧の紐を解いていく。
「俺、この格好なんだけど……」
「胴丸なら自分で脱げるでしょ?文句は言わないで手を動かして!」
そう言って薫はかなめの小手を外していた。
「いつもお母様にはお世話になってばかりで……」
かなめの声に着替えを待っているカウラ達は白い目を向ける。いつものじゃじゃ馬姫の日常などをすっかり隠し通そうと言うつもりでかなめは同盟加盟の大国胡州帝国宰相の娘、四大公家の跡取りの上品な姫君を演じていた。隊で一番ガサツ、隊で一番暴力的、隊で一番品が悪い。そう言われているかなめだが、薫の前ではたおやかな声で良家の子女になりきっている。
誠からの話でかなめの正体を知っているはずの彼女は笑顔で見上げながら手を動かす。そんな母が何を考えているのか誠には読めなかった。
「大変ねえ、なにか手伝う?」
呆然と上品なお姫様を演じているかなめを見つめていた誠にそう言ってきたのは小手を外してくれる順番待ちをしていたアイシャだった。
「ああ、お願いします。そこの靭を奥の箱に入れてください」
「いいわよ」
そう言って弓を抜き終わった靭を取り上げたアイシャだが、まじまじとそれを覗き込んでいる。
「私はあまり詳しいこと知らないんだけど、高いんでしょ?これ」
そう言いながらアイシャは手にした靭を箱の中の油紙にくるむアイシャ。
「まあな。それ一つでテメエの10年分の給料くらいするんじゃないか?」
脛当てを外してもらいながらかなめがそう言ってにやにやと笑う。地が出てはっとするかなめだが、まるでそれがわかっていたように薫は笑顔を浮かべていた。
「そんなにしないわよ。まあ確かにかなり本格的な複製だけど……じゃあここから先はご自分でね」
そう言って薫は主な結び目を解いたかなめを送り出す。すぐさまアイシャが立ち上がって薫に小手を外してもらう。
「模造品だって高けえんだぜ。さすがは嵯峨家。胡州一の身代というところか?」
かなめはそう言うと誠の隣で兜の鍬形を外していた。
「そう言えば叔父貴はどうしたんだよ。それに茜は?」
流鏑馬で観客を唸らせた司法局実働部隊隊長嵯峨惟基特務大佐。彼はかなめの家の養子として育ったこともあり、かなめはいつも嵯峨を『叔父貴』と呼ぶ。しかしその口調にはまったく敬意は感じられない。
「ああ、嵯峨君は外で整備班の胴丸を脱がせてたわよ。それに茜さんは自分で脱げるからって……」
ちょうどそんな噂の茜とかえでが司法局の制服で更衣室に入ってくる。
「なんだ、かなめお姉さまはもう脱いでしまったのか……」
ぼそりとつぶやいて瞳を潤ませて自分を見つめるかえでにかなめは思わず後ずさる。
「神前君、あなたも着替えなさいよ。それと薫さんも私が代わりますから休んでください」
そう言って茜はアイシャの左腕の小手を外しにかかる。
「そうね、誠。外に出てなさい」
「いいんですよお母様、私は見られ……ごぼ!」
満面の笑みを浮かべて話し出した胴を脱いだばかりのアイシャの腹にかなめのボディブローが炸裂する。
「邪魔だ!出てけ」
そう言ってかなめはまた部屋の隅に戻り、カウラが着ていた大鎧を油紙に包む。さらに奥のテーブルで制服姿のカウラと談笑している大鎧を着たままのサラとパーラの冷たい視線が誠を襲う。
「それじゃあ着替えてきますね」
そう言って誠は二月の寒空の中に飛び出した。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる