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第12章 決戦兵器
実験
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「起動準備!島田、固定状態はどうだ?」
明華の言葉がハンガーに響く。島田は黒いアサルト・モジュール、『カネミツ』の前で部下達のハンドサインを待つ。
「固定状況異常なし!」
空気がぴんと張り詰めたように感じられる。それが黒い機体の周囲に浮かんでは消える干渉空間の振動のせいだと気づいたとき、誠はヘッドギアをつけてタイミングを計っている明華の顔に目を向けた。
「よし!ヨハンの方はどうだ!」
明華がカネミツの隣に置かれている簡易調整装置をいじっている巨体の持ち主に声をかける。ヨハンはすぐに手を当ててコックピット内部にいる嵯峨の法術展開状況が最適値に達していることを示した。
「よし!じゃあ、隊長!起動開始してください」
『ハーイ』
抜けたような返事をしている嵯峨の姿が一階のハンガーの隣にある管制室に映る。実働部隊の今日の当番の第一、第二小隊。そしてなぜか出てきている第四小隊の面々や、リアナやアイシャ等の運行部の面々もそこにつめていた。
「狭い……」
シャムがそう言うので隣に立っていた誠は少し反対に体をひねる。
「神前君……手が当たるんだけど」
やわらかい腕に当たる感触とリアナの声に誠は手を引っ込める。かなめは振り向いて誠をにらみつける。カウラは画面に映されたくわえタバコでエンジン起動実験を開始している嵯峨を見つめていた。
『とりあえず……現在維持している干渉空間を制御してエンジンのバイパスと連結させれば良いんだな?』
嵯峨はパイロットスーツではなく普段の勤務服のままコックピットに座っている。誠も何度か模擬戦の時に相手をしたことがあるが、嵯峨のパイロットスーツ嫌いは徹底していた。
「お願いします。展開率80パーセントを越えた時点で対消滅エンジンの炉を展開空間に干渉させますからそのタイミングを間違えないように」
明華は慎重に指示を出す。対消滅エンジンの発する熱気でむせかえる管制室。彼女は額の汗をぬぐうと後ろで固まっている野次馬達に目を移した。
「暇というか……何というか……」
「まあ、言うなよ」
その隣でほかの野次馬と同じくランは薄ら笑いを浮かべつつそう答えた。シャムは必死になって管制用モニターの空いているのを見つけて自分の機体のスペックを再確認していた。
「シャム……だからちゃんとさっきそこらへんの確認をしておけって言ったんだ」
ランはいらだたしげに必死に起動手順を暗記しようとしているシャムにため息をつく。
「でも大丈夫だよ。初めてじゃないし」
「まあ、それでもミスは許されねーぞ。場合によっては神前に乗ってもらうことになるかも知れないからな」
そう言ってランは皮肉を言いそうな笑みで誠を見上げた。
『おーい、明華。どこまで出力上げればいいの?』
画像の中、嵯峨は余裕で鼻歌交じりである。スロットルインジケーターは順調に上がる。すでに出力は10パーセントを超えていた。
「この時点で05式と互角のパワー……化け物だな、こりゃ」
かなめは首筋にコードを差し込んで試験状態をチェックしながらニヤついている。誠も目の前の黒い機体が化け物と呼ばれる由来がよくわかってきた。
「とりあえずノーマルのシステムで対応可能なラインまで回してみてください。そこでデータを取った後で本稼動の試験を行うかどうかの判断をしますから」
明華の言葉に嵯峨は余裕でうなづく。
「よくまああれほど余裕な表情ができるねー」
呆れたというようにランがつぶやく。そして急にエンジン音が途切れた。
「駆動炉を干渉空間に移行したか……」
場違いなほどに緊張した言葉に、誠が振り向けばつなぎを着たままのロナルドが親指のつめを口でかみながら画面を見つめていた。
「あんな芸当ができる法術師は他にいないんじゃねーかな」
そんなランの言葉にロナルドは大きくうなづく。エンジンの音が途切れて沈黙が支配するハンガー。固定器具の冷却液の吹き上げる音、ハンガーを渡る強い北風の風鳴り、そのような音が響いてまるで何も起きていないかのような錯覚にとらわれる。
『実に静かだねえ……こりゃあ環境にやさしいや』
嵯峨は笑う。だが、真剣な表情で彼の様子と調査データ見比べている明華にそんな言葉は届くものではなかった。
「ヨハン!データは?」
『ばっちり取れてますよ……ってこれは干渉空間がでかい!これだけのエネルギー退避領域があれば予定の倍ぐらいまで標準システムで回りそうですけど』
ヨハンの声に明華は複雑な表情で腕を抱えて考え込む。
『明華。エンジン回すのは良いけど俺の負担も考えてくれよな』
言葉とは裏腹に嵯峨は余裕の表情で笑みを浮かべていた。だが、しばらく考えた後明華は決断した。
「とりあえず30パーセントまで上昇後、そのままエンジンのエネルギーを正常空間内に誘導。停止ミッションに移行する」
「だろうな。焦る必要もねーだろ」
明華の判断にランも同意するようにうなづいた。
「なんだよ……中途半端というか……煮え切らないと言うか……」
そんなことをつぶやくかなめをランがにらみつける。
「わかってるよ。干渉領域に逃げてるエネルギーがエンジンに逆流してきたらドカンと行くって話だろ?確かに急いで稼動状態に持っていく必要も無いわけだし……」
合格点の言い訳と捉えたのか、ランはそのまま視線を明華に向けた。
「全てにおいて予想以上というところかしら。隊長!予定出力に達しました。後は……」
『はいはい、絞ればいいんだろ?早速はじめるよ』
嵯峨はそう言うと口に左手を持っていく。それでタバコを口にくわえていないことを再確認するとそのまま大きくため息をつく。
「タバコなら後にしてくださいよ!以前どれだけその臭いで……」
『すみません。申し訳ないです』
おどけたようにそう言うと嵯峨はエンジン出力を絞る。
『こちらも順調です。観測された干渉空間が縮小……エンジン通常空間に出力転移!』
ヨハンの言葉が届いたとたん、轟音が黒い機体から響きはじめる。再び機体の周りを制御を離れた干渉空間が覆う。
「つまらねえなあ。もっとやる気の出るようなアクションはねえのかよ」
ぼそりとつぶやいたかなめをランが見上げる。
「なんなら……」
そう言ってランはにやりと笑う。明らかにそれは無茶な課題を振るときのランの表情だった。
「遠慮します!全力で遠慮します!」
かなめはそう言ってごまかしにかかる。そんな彼女をランは鼻で笑う。今度は黒い機体から冷却液が蒸発する煙と振動を伴う轟音が上がり始めた。整備班員の一部、耐熱装備を着込んだ一群がそれを見守っている。
「島田!固定器具の冷却液を追加注入!それと各部の発生動力の観測データをこっちに送れ」
明華はそこまで言うと隣にあった椅子に腰掛けて勤務服の襟の辺りに指を差し込む。
「疲れましたか、大佐」
カウラの言葉に明華は黙って笑みで返す。次第に機体の振動は止まり、島田の指示で整備班員達がホースやコードを持ってハンガーを走り回る。勢い良く沸騰した冷却液の蒸気が吹き上がる。作業員の叫び声が響き渡る。
「予想以上。そう言う事だな」
モニターを見つめていたランの言葉に明華は大きくうなづいた。
「まあそういうこと」
明華はそれだけ言うとテーブルに置かれていたジュースのカップに手を伸ばした。
明華の言葉がハンガーに響く。島田は黒いアサルト・モジュール、『カネミツ』の前で部下達のハンドサインを待つ。
「固定状況異常なし!」
空気がぴんと張り詰めたように感じられる。それが黒い機体の周囲に浮かんでは消える干渉空間の振動のせいだと気づいたとき、誠はヘッドギアをつけてタイミングを計っている明華の顔に目を向けた。
「よし!ヨハンの方はどうだ!」
明華がカネミツの隣に置かれている簡易調整装置をいじっている巨体の持ち主に声をかける。ヨハンはすぐに手を当ててコックピット内部にいる嵯峨の法術展開状況が最適値に達していることを示した。
「よし!じゃあ、隊長!起動開始してください」
『ハーイ』
抜けたような返事をしている嵯峨の姿が一階のハンガーの隣にある管制室に映る。実働部隊の今日の当番の第一、第二小隊。そしてなぜか出てきている第四小隊の面々や、リアナやアイシャ等の運行部の面々もそこにつめていた。
「狭い……」
シャムがそう言うので隣に立っていた誠は少し反対に体をひねる。
「神前君……手が当たるんだけど」
やわらかい腕に当たる感触とリアナの声に誠は手を引っ込める。かなめは振り向いて誠をにらみつける。カウラは画面に映されたくわえタバコでエンジン起動実験を開始している嵯峨を見つめていた。
『とりあえず……現在維持している干渉空間を制御してエンジンのバイパスと連結させれば良いんだな?』
嵯峨はパイロットスーツではなく普段の勤務服のままコックピットに座っている。誠も何度か模擬戦の時に相手をしたことがあるが、嵯峨のパイロットスーツ嫌いは徹底していた。
「お願いします。展開率80パーセントを越えた時点で対消滅エンジンの炉を展開空間に干渉させますからそのタイミングを間違えないように」
明華は慎重に指示を出す。対消滅エンジンの発する熱気でむせかえる管制室。彼女は額の汗をぬぐうと後ろで固まっている野次馬達に目を移した。
「暇というか……何というか……」
「まあ、言うなよ」
その隣でほかの野次馬と同じくランは薄ら笑いを浮かべつつそう答えた。シャムは必死になって管制用モニターの空いているのを見つけて自分の機体のスペックを再確認していた。
「シャム……だからちゃんとさっきそこらへんの確認をしておけって言ったんだ」
ランはいらだたしげに必死に起動手順を暗記しようとしているシャムにため息をつく。
「でも大丈夫だよ。初めてじゃないし」
「まあ、それでもミスは許されねーぞ。場合によっては神前に乗ってもらうことになるかも知れないからな」
そう言ってランは皮肉を言いそうな笑みで誠を見上げた。
『おーい、明華。どこまで出力上げればいいの?』
画像の中、嵯峨は余裕で鼻歌交じりである。スロットルインジケーターは順調に上がる。すでに出力は10パーセントを超えていた。
「この時点で05式と互角のパワー……化け物だな、こりゃ」
かなめは首筋にコードを差し込んで試験状態をチェックしながらニヤついている。誠も目の前の黒い機体が化け物と呼ばれる由来がよくわかってきた。
「とりあえずノーマルのシステムで対応可能なラインまで回してみてください。そこでデータを取った後で本稼動の試験を行うかどうかの判断をしますから」
明華の言葉に嵯峨は余裕でうなづく。
「よくまああれほど余裕な表情ができるねー」
呆れたというようにランがつぶやく。そして急にエンジン音が途切れた。
「駆動炉を干渉空間に移行したか……」
場違いなほどに緊張した言葉に、誠が振り向けばつなぎを着たままのロナルドが親指のつめを口でかみながら画面を見つめていた。
「あんな芸当ができる法術師は他にいないんじゃねーかな」
そんなランの言葉にロナルドは大きくうなづく。エンジンの音が途切れて沈黙が支配するハンガー。固定器具の冷却液の吹き上げる音、ハンガーを渡る強い北風の風鳴り、そのような音が響いてまるで何も起きていないかのような錯覚にとらわれる。
『実に静かだねえ……こりゃあ環境にやさしいや』
嵯峨は笑う。だが、真剣な表情で彼の様子と調査データ見比べている明華にそんな言葉は届くものではなかった。
「ヨハン!データは?」
『ばっちり取れてますよ……ってこれは干渉空間がでかい!これだけのエネルギー退避領域があれば予定の倍ぐらいまで標準システムで回りそうですけど』
ヨハンの声に明華は複雑な表情で腕を抱えて考え込む。
『明華。エンジン回すのは良いけど俺の負担も考えてくれよな』
言葉とは裏腹に嵯峨は余裕の表情で笑みを浮かべていた。だが、しばらく考えた後明華は決断した。
「とりあえず30パーセントまで上昇後、そのままエンジンのエネルギーを正常空間内に誘導。停止ミッションに移行する」
「だろうな。焦る必要もねーだろ」
明華の判断にランも同意するようにうなづいた。
「なんだよ……中途半端というか……煮え切らないと言うか……」
そんなことをつぶやくかなめをランがにらみつける。
「わかってるよ。干渉領域に逃げてるエネルギーがエンジンに逆流してきたらドカンと行くって話だろ?確かに急いで稼動状態に持っていく必要も無いわけだし……」
合格点の言い訳と捉えたのか、ランはそのまま視線を明華に向けた。
「全てにおいて予想以上というところかしら。隊長!予定出力に達しました。後は……」
『はいはい、絞ればいいんだろ?早速はじめるよ』
嵯峨はそう言うと口に左手を持っていく。それでタバコを口にくわえていないことを再確認するとそのまま大きくため息をつく。
「タバコなら後にしてくださいよ!以前どれだけその臭いで……」
『すみません。申し訳ないです』
おどけたようにそう言うと嵯峨はエンジン出力を絞る。
『こちらも順調です。観測された干渉空間が縮小……エンジン通常空間に出力転移!』
ヨハンの言葉が届いたとたん、轟音が黒い機体から響きはじめる。再び機体の周りを制御を離れた干渉空間が覆う。
「つまらねえなあ。もっとやる気の出るようなアクションはねえのかよ」
ぼそりとつぶやいたかなめをランが見上げる。
「なんなら……」
そう言ってランはにやりと笑う。明らかにそれは無茶な課題を振るときのランの表情だった。
「遠慮します!全力で遠慮します!」
かなめはそう言ってごまかしにかかる。そんな彼女をランは鼻で笑う。今度は黒い機体から冷却液が蒸発する煙と振動を伴う轟音が上がり始めた。整備班員の一部、耐熱装備を着込んだ一群がそれを見守っている。
「島田!固定器具の冷却液を追加注入!それと各部の発生動力の観測データをこっちに送れ」
明華はそこまで言うと隣にあった椅子に腰掛けて勤務服の襟の辺りに指を差し込む。
「疲れましたか、大佐」
カウラの言葉に明華は黙って笑みで返す。次第に機体の振動は止まり、島田の指示で整備班員達がホースやコードを持ってハンガーを走り回る。勢い良く沸騰した冷却液の蒸気が吹き上がる。作業員の叫び声が響き渡る。
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