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第22章 脅迫と協調
脅迫と協調
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胡州、摂都。
第一摂都ホテルと言えば、胡州の最高級のホテルとして名が通っていた。その赤い絨毯の敷き詰められた落ち着いた雰囲気のラウンジに一人の胡州陸軍少将の制服に身を包んだ長身の男が現れた。
吊り下げていた朱塗りの軍刀をホテルマンに預けると、男はそのまま人を探しているかのようにラウンジに集う賓客達をちらちらと見つめながら歩いた。胡州の貴族の称号を持っている数名の賓客は、その男のことをすぐに思い出した。
「あれは、泉州公じゃないですか」
「ええ、間違いありませんわ。でもなんでこんなところに……」
ざわめく人々、殿上会での四大公家三位の嵯峨家の家督相続の末、隠居して泉州公の位を賜った先の嵯峨公爵家当主、嵯峨惟基。特務大佐という階級が存在しない胡州陸軍では彼は二階級上の少将の階級の制服を着る様に指導されているので、彼は義娘のかえでに無理やりその制服を着せられてこのホテルのラウンジを徘徊していた。
嵯峨はふらふらとしばらくラウンジを散策していたが、次第に彼の視線が見事な英国風庭園が見える個室に集中していることはこの場にいる誰もが気づいていた。
ホテルマンが嵯峨のあからさまな嫌がらせとも取れる徘徊を注意しようとした時、嵯峨はようやく決意がついたとでも言うようにその目当ての個室に向かった。
嵯峨はノックもせずにその扉を開いた。
中には白髪の欧州系の顔立ちをした紳士が一人で優雅に庭を見ながらコーヒーを飲んでいた。
「君らしいと言うか……来るとは思っていたがね」
紳士、ルドルフ・カーンは笑みを浮かべて、仏頂面を下げて彼を見下ろす嵯峨を迎え入れた。先の大戦で外惑星系の大国ゲルパルト帝国を戦争へと指導したアーリア民主党の幹部として戦犯扱いされている彼が、当時の同盟国とは言え人目につくホテルにいることに嵯峨はまるで疑問を持たないというよう見えた。そして彼はカーンに向かい合うようにテーブルのそばに進む。そして嵯峨は感情を押し殺したような表情で紳士の手前にある椅子に腰掛けた。
「どうだね、前公爵殿。二億の民を抱える領邦領主の座から降りた気分は」
カーンはそう言うと余裕のある物腰で大柄な嵯峨を見上げた。かつて何千万という人々を刑場に引く為の方策を苦心したということが嘘のような穏やかな瞳が鈍く光る。だが、嵯峨もそれを嘲(あざけ)るような挑戦的な表情で老紳士を見つめる。
「別に私の中身が変わったわけじゃないですから。それに以前は遼州帝国皇帝なんていう面倒な肩書きを持ってた経験もありますからね」
嵯峨もカーンの言葉を聞くと少しばかり余裕を得たと言うように微笑んだ。
「そうですか、まあ遼州の山猿の大将より重たい位だと私は思うんだがね」
そのあからさまに挑発的なカーンの言葉に、嵯峨は逆に笑顔のようなものを浮かべた。ゲルパルト帝国内で行われた遼州系住民の大量虐殺の理論的根拠を作り上げた精緻な頭脳は嵯峨と言う遼州人の位を極めた男を興味深げに見つめている。
老紳士の前にある嵯峨の表情は彼を知る人ならば見たくはない表情だった。それは敵意を示す前に嵯峨が見せる警告のような意味を持つ表情だと知られていたからだった。口元が引きつり、瞬きもせずに上目がちに相手を見上げる。それを知らない人でもこんな悪意に満ちた表情を向けられればひるむに違いない。
「地球至上主義のスポンジ頭には理解できないかも知れませんがね……いや、地球至上主義なんぞではなく白人至上主義者でしたかあんたは」
そう言った嵯峨の言葉に合わせるかのようにドアがノックされる。
「入りたまえ」
静かなカーンの言葉に白いジャケットのウェイターが現れる。嵯峨は首を振る。
「彼は客とは呼べない存在でね。悪いね、無駄足を踏ませてしまって」
ウェイターが言葉を発するまもなくカーンは彼を追い返す。
「でもまあ、あんたのスポンジ頭のスカスカな情報網には今回は感謝しているんですよ」
そう言うと嵯峨は挑発するようにカーンの前で足を組んで反り返り口元を緩める。そのような嵯峨を見ながらカーンは表情も変えずにコーヒーを飲み干した。
「なに、常に大局を見据えながら行動するならば今回は手を引いた方が利口だと踏んだだけだよ。野蛮人の似非公爵殿」
お互いに相手を罵倒する言葉を吐きあう二人。嵯峨の視線もカーンの視線もお互いを憎みあうものの瞳の光を帯びていた。絶対に和解できない不倶戴天の敵。お互いにそう思っているとカーンは考えていたが、目の前の大柄な遼州の野蛮人の血を引く男がそうは思っていないと感じて顔をしかめた。
「しかし災難ですね、カント将軍は。ゲリラへのアサルト・モジュールの譲渡のの段取りを指示してくれたあなたが、その計画を潰そうとする俺とつるんでいるなんて想像もしてないんじゃないですか?」
そう言うと嵯峨はこの部屋の主の意向を聞かないで胸のポケットからタバコを取り出す。母国のゲルパルトには喫煙者は皆無に等しく、カーンは不快そうな顔でタバコに火をつける嵯峨を見つめていた。
「なに、彼はそこまでの人物だった……」
「つれないねえ、あんたがどれだけそう言う言葉で部下を切り捨てて行ったかよくわかりますよ。私にとってはいい反面教師だ」
嵯峨のふかしたタバコの煙がカーンを襲う。その匂いにさらに不愉快そうな顔をするカーンだが、嵯峨はまるでそれを楽しんでいるように口元にだけ笑顔を作って見せる。
「より優れたものが生き延びる、それが……」
「使い古しの優性論ですか?社会学的なその論理が実際に意味を持っていたのは20世紀はじめの話ですよ。それも当時のおめでたい為政者や民族主義者なんかが気に食わない奴をぶっ殺すのに便利なお題目として使っただけで、彼らがそれを本気で信じてたとは俺も思えないんですがね」
カーンは苛立っていた。目の前の男が法律学・政治学・経済学の博士号を持つ秀才であることはカーンも知ってはいた。だが、それ以上に屁理屈をこねる天才であることは今日初めて目の前に嵯峨と言う男を見てようやく理解できた。
「なるほど、君がただの野蛮人でないことはよくわかったよ。そして、そんな秀才がただ情報の提供の礼を言うためだけにここに来たわけじゃないということもね」
「ほう、物分りがいいですね。もっとガチガチで俺の顔を見たら機嫌を損ねて部屋に帰るとばかり思っていましたが」
再び嵯峨はタバコの煙を吐き出す。それを受けてカーンは咳き込むが、嵯峨はそれを狙っていたとでも言うように笑顔でカーンを見つめる。
「今日はあなたに確かめたいことがあったんですよ」
嵯峨はそう言うとポケットから一人の長身の男の写真を取り出した。細い目と鋭くとがった鼻が目に付くどれも長髪の男の写真が三枚あった。
一つは遼南軍の軍服姿で戦場視察でもしているかのように部下達に指示を出している写真。その軍服は百年ほど前の遼南帝国の将官の着る制服に酷似していた。
そしてもう一枚は何かの記念行事のようで背広を着て整列している人々の中央に座っているとでも言うような感じの写真。生気のないその顔はどこと無く不気味に見える。
最後の一枚は雪の中の街頭らしいところで上から隠し撮りされたとでも言うようなアングルで撮られた写真だった。
「なるほど、この男を知っているかと?」
カーンはその三枚の写真を手にとった。すぐに胸元から老眼鏡を取り出しそれぞれの写真を見つめる。嵯峨は黙ってそんなカーンの様子を観察している。
「知っていたらどうするつもりだね」
写真を見つめながらカーンが尋ねた。
「どうもしません。知らなくても同じですよ。ただこの人物の顔をあなたも近々多く見ることになるだろうと思いましてね。いうなれば私のささやかな贈り物ですよ。当然その三枚の写真はお持ち帰りいただいてもかまいませんよ」
嵯峨の言葉にカーンはさらによくその写真の男を見つめた。
「見た覚えが無いわけでは無いが、遼州人やアジア人の顔の区別がつかないものでね」
そう言いながら写真を手元に置くカーンを見ながら嵯峨は取り出した携帯灰皿にくわえていたタバコをねじ込んだ。
「ほう、これでおしまいかね」
そう言って笑うカーンに嵯峨は微笑みで返す。
「死に損ないのおいぼれの時間を取り上げるのは私の理性が許しませんから。それに老人を敬う精神は持ち合わせているつもりでしてね。まあいつかはその両手に鉄のわっかを掛けに来ますんで、それまで元気にしておいてくださいよ」
それだけ言うと嵯峨は扉を静かに開いてラウンジへと姿を消した。
カーンは自分の体が思った以上に疲れていることを感じていた。嵯峨の毒舌は予想の範囲内だったが、その圧倒的存在感にかなり驚きを隠せない自分に戸惑っていた。
「私も年かな」
そう独り言を言うと甘いものでも頼もうと呼び鈴に手をかけた。
第一摂都ホテルと言えば、胡州の最高級のホテルとして名が通っていた。その赤い絨毯の敷き詰められた落ち着いた雰囲気のラウンジに一人の胡州陸軍少将の制服に身を包んだ長身の男が現れた。
吊り下げていた朱塗りの軍刀をホテルマンに預けると、男はそのまま人を探しているかのようにラウンジに集う賓客達をちらちらと見つめながら歩いた。胡州の貴族の称号を持っている数名の賓客は、その男のことをすぐに思い出した。
「あれは、泉州公じゃないですか」
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嵯峨はふらふらとしばらくラウンジを散策していたが、次第に彼の視線が見事な英国風庭園が見える個室に集中していることはこの場にいる誰もが気づいていた。
ホテルマンが嵯峨のあからさまな嫌がらせとも取れる徘徊を注意しようとした時、嵯峨はようやく決意がついたとでも言うようにその目当ての個室に向かった。
嵯峨はノックもせずにその扉を開いた。
中には白髪の欧州系の顔立ちをした紳士が一人で優雅に庭を見ながらコーヒーを飲んでいた。
「君らしいと言うか……来るとは思っていたがね」
紳士、ルドルフ・カーンは笑みを浮かべて、仏頂面を下げて彼を見下ろす嵯峨を迎え入れた。先の大戦で外惑星系の大国ゲルパルト帝国を戦争へと指導したアーリア民主党の幹部として戦犯扱いされている彼が、当時の同盟国とは言え人目につくホテルにいることに嵯峨はまるで疑問を持たないというよう見えた。そして彼はカーンに向かい合うようにテーブルのそばに進む。そして嵯峨は感情を押し殺したような表情で紳士の手前にある椅子に腰掛けた。
「どうだね、前公爵殿。二億の民を抱える領邦領主の座から降りた気分は」
カーンはそう言うと余裕のある物腰で大柄な嵯峨を見上げた。かつて何千万という人々を刑場に引く為の方策を苦心したということが嘘のような穏やかな瞳が鈍く光る。だが、嵯峨もそれを嘲(あざけ)るような挑戦的な表情で老紳士を見つめる。
「別に私の中身が変わったわけじゃないですから。それに以前は遼州帝国皇帝なんていう面倒な肩書きを持ってた経験もありますからね」
嵯峨もカーンの言葉を聞くと少しばかり余裕を得たと言うように微笑んだ。
「そうですか、まあ遼州の山猿の大将より重たい位だと私は思うんだがね」
そのあからさまに挑発的なカーンの言葉に、嵯峨は逆に笑顔のようなものを浮かべた。ゲルパルト帝国内で行われた遼州系住民の大量虐殺の理論的根拠を作り上げた精緻な頭脳は嵯峨と言う遼州人の位を極めた男を興味深げに見つめている。
老紳士の前にある嵯峨の表情は彼を知る人ならば見たくはない表情だった。それは敵意を示す前に嵯峨が見せる警告のような意味を持つ表情だと知られていたからだった。口元が引きつり、瞬きもせずに上目がちに相手を見上げる。それを知らない人でもこんな悪意に満ちた表情を向けられればひるむに違いない。
「地球至上主義のスポンジ頭には理解できないかも知れませんがね……いや、地球至上主義なんぞではなく白人至上主義者でしたかあんたは」
そう言った嵯峨の言葉に合わせるかのようにドアがノックされる。
「入りたまえ」
静かなカーンの言葉に白いジャケットのウェイターが現れる。嵯峨は首を振る。
「彼は客とは呼べない存在でね。悪いね、無駄足を踏ませてしまって」
ウェイターが言葉を発するまもなくカーンは彼を追い返す。
「でもまあ、あんたのスポンジ頭のスカスカな情報網には今回は感謝しているんですよ」
そう言うと嵯峨は挑発するようにカーンの前で足を組んで反り返り口元を緩める。そのような嵯峨を見ながらカーンは表情も変えずにコーヒーを飲み干した。
「なに、常に大局を見据えながら行動するならば今回は手を引いた方が利口だと踏んだだけだよ。野蛮人の似非公爵殿」
お互いに相手を罵倒する言葉を吐きあう二人。嵯峨の視線もカーンの視線もお互いを憎みあうものの瞳の光を帯びていた。絶対に和解できない不倶戴天の敵。お互いにそう思っているとカーンは考えていたが、目の前の大柄な遼州の野蛮人の血を引く男がそうは思っていないと感じて顔をしかめた。
「しかし災難ですね、カント将軍は。ゲリラへのアサルト・モジュールの譲渡のの段取りを指示してくれたあなたが、その計画を潰そうとする俺とつるんでいるなんて想像もしてないんじゃないですか?」
そう言うと嵯峨はこの部屋の主の意向を聞かないで胸のポケットからタバコを取り出す。母国のゲルパルトには喫煙者は皆無に等しく、カーンは不快そうな顔でタバコに火をつける嵯峨を見つめていた。
「なに、彼はそこまでの人物だった……」
「つれないねえ、あんたがどれだけそう言う言葉で部下を切り捨てて行ったかよくわかりますよ。私にとってはいい反面教師だ」
嵯峨のふかしたタバコの煙がカーンを襲う。その匂いにさらに不愉快そうな顔をするカーンだが、嵯峨はまるでそれを楽しんでいるように口元にだけ笑顔を作って見せる。
「より優れたものが生き延びる、それが……」
「使い古しの優性論ですか?社会学的なその論理が実際に意味を持っていたのは20世紀はじめの話ですよ。それも当時のおめでたい為政者や民族主義者なんかが気に食わない奴をぶっ殺すのに便利なお題目として使っただけで、彼らがそれを本気で信じてたとは俺も思えないんですがね」
カーンは苛立っていた。目の前の男が法律学・政治学・経済学の博士号を持つ秀才であることはカーンも知ってはいた。だが、それ以上に屁理屈をこねる天才であることは今日初めて目の前に嵯峨と言う男を見てようやく理解できた。
「なるほど、君がただの野蛮人でないことはよくわかったよ。そして、そんな秀才がただ情報の提供の礼を言うためだけにここに来たわけじゃないということもね」
「ほう、物分りがいいですね。もっとガチガチで俺の顔を見たら機嫌を損ねて部屋に帰るとばかり思っていましたが」
再び嵯峨はタバコの煙を吐き出す。それを受けてカーンは咳き込むが、嵯峨はそれを狙っていたとでも言うように笑顔でカーンを見つめる。
「今日はあなたに確かめたいことがあったんですよ」
嵯峨はそう言うとポケットから一人の長身の男の写真を取り出した。細い目と鋭くとがった鼻が目に付くどれも長髪の男の写真が三枚あった。
一つは遼南軍の軍服姿で戦場視察でもしているかのように部下達に指示を出している写真。その軍服は百年ほど前の遼南帝国の将官の着る制服に酷似していた。
そしてもう一枚は何かの記念行事のようで背広を着て整列している人々の中央に座っているとでも言うような感じの写真。生気のないその顔はどこと無く不気味に見える。
最後の一枚は雪の中の街頭らしいところで上から隠し撮りされたとでも言うようなアングルで撮られた写真だった。
「なるほど、この男を知っているかと?」
カーンはその三枚の写真を手にとった。すぐに胸元から老眼鏡を取り出しそれぞれの写真を見つめる。嵯峨は黙ってそんなカーンの様子を観察している。
「知っていたらどうするつもりだね」
写真を見つめながらカーンが尋ねた。
「どうもしません。知らなくても同じですよ。ただこの人物の顔をあなたも近々多く見ることになるだろうと思いましてね。いうなれば私のささやかな贈り物ですよ。当然その三枚の写真はお持ち帰りいただいてもかまいませんよ」
嵯峨の言葉にカーンはさらによくその写真の男を見つめた。
「見た覚えが無いわけでは無いが、遼州人やアジア人の顔の区別がつかないものでね」
そう言いながら写真を手元に置くカーンを見ながら嵯峨は取り出した携帯灰皿にくわえていたタバコをねじ込んだ。
「ほう、これでおしまいかね」
そう言って笑うカーンに嵯峨は微笑みで返す。
「死に損ないのおいぼれの時間を取り上げるのは私の理性が許しませんから。それに老人を敬う精神は持ち合わせているつもりでしてね。まあいつかはその両手に鉄のわっかを掛けに来ますんで、それまで元気にしておいてくださいよ」
それだけ言うと嵯峨は扉を静かに開いてラウンジへと姿を消した。
カーンは自分の体が思った以上に疲れていることを感じていた。嵯峨の毒舌は予想の範囲内だったが、その圧倒的存在感にかなり驚きを隠せない自分に戸惑っていた。
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