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第11章 デート
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エントリーが行われた。チーム分けはゲームセンターの場所を根拠にしているようで、32人のエントリー者は東と西に分けられた。誠とアイシャは東に振り分けられた。
「法術無しでどれだけできるか見せてよね」
アイシャの声が出動前の管制官の声をさえぎるようにして誠の耳に届いた。
『負けられない!』
へたれの自覚がある誠にも意地はある。撃墜スコアー6機。エースの末席にいる誠はスタートと同時に敵に突進して行った。
『誠ちゃん!それじゃあ駄目よ。まず様子を見てから……』
そんなアイシャの声が耳を掠める。敵はミサイルを発射していた。
25世紀も終わりに近づく中、実戦においてミサイルの有効性はすでに失われていた。アンチショックパルスと呼ばれる敵の攻撃に対し高周波の波動エネルギーを放射してミサイル等を破壊する技術は、現在の最新鋭のアサルト・モジュールには標準装備となっている防御システムである。
当然05式にも搭載されているそのシステムを利用して、一気に弾幕の突破を図る。
『へ?』
初弾は防いだものの次弾が命中する、そして次々と誠の機体に降り注ぐ敵のミサイルはあっさりと05式の装甲を破壊した。
『はい、ゲームオーバー』
アイシャの声が響いた。
「これ!違うじゃないですか!ミサイル防御システムが……」
『言い訳は無しよ。このゲームではアンチショックパルスシステムなんかも再現されてはいるけどゲームバランスの関係であまり使えないのよ』
そう言いながらレールガンを振り回し、アイシャは敵機を次々と撃墜していく。誠はそのままゲーム機のハッチを開けて外に出た。格闘ゲームに飽きたというようにギャラリーがアイシャの機体のモニターを映した大画面を見つめている。
圧倒的だった。
アイシャの機体の色がオリジナルと違うのを見て、誠はもう一度丁寧にゲーム機の説明を読んだ。そこには端末登録をすることである程度の撃墜スコアーの合計したポイントを使って機体の設定やカスタムが可能になると書いてある。
「やっぱりやりこんでるんだなあ」
敵の半分はすでにアイシャ一人の活躍で撃墜されていた。空気を読んだのかアイシャはそのまま友軍機のフォローにまわるほどの余裕を持っている。
味方の集団を挟撃しようとする敵を警戒しつつ損傷を受けた味方を援護する。
「あのオリジナルカラーの機体の奴、凄いぜ」
「また落したよ、いったいこれで何機目だ?」
小声でギャラリーがささやきあう。誠はアイシャの活躍を複雑な表情で見つめていた。
最後の一機がアイシャのレールガンの狙撃で撃墜されると、モニターにアイシャの写真が大写しにされる。
「すっげー美人じゃん」
「女だったのかよ」
周りでざわめいて筐体から顔を出そうとするアイシャをギャラリーが驚嘆《きょうたん》の目で見つめる。
「はい!これが見本ね」
そう言ってゲーム機から降りたアイシャが誠の頭を軽く叩く。誠は周りを見回した。10人くらいのギャラリーが二人を見つめている。明らかにアイシャが誠とこのゲームセンターに一緒に来たと分かると彼らは悔しそうな顔で散っていく。
「もう一回やる?」
そう言うアイシャの得意げな顔を見ると、誠は静かに首を横に振った。
「遠慮します。やりこんでいる人には勝てませんから」
「言うわね」
アイシャは苦笑いを浮かべると再び誠の腕を手に取った。
「法術無しでどれだけできるか見せてよね」
アイシャの声が出動前の管制官の声をさえぎるようにして誠の耳に届いた。
『負けられない!』
へたれの自覚がある誠にも意地はある。撃墜スコアー6機。エースの末席にいる誠はスタートと同時に敵に突進して行った。
『誠ちゃん!それじゃあ駄目よ。まず様子を見てから……』
そんなアイシャの声が耳を掠める。敵はミサイルを発射していた。
25世紀も終わりに近づく中、実戦においてミサイルの有効性はすでに失われていた。アンチショックパルスと呼ばれる敵の攻撃に対し高周波の波動エネルギーを放射してミサイル等を破壊する技術は、現在の最新鋭のアサルト・モジュールには標準装備となっている防御システムである。
当然05式にも搭載されているそのシステムを利用して、一気に弾幕の突破を図る。
『へ?』
初弾は防いだものの次弾が命中する、そして次々と誠の機体に降り注ぐ敵のミサイルはあっさりと05式の装甲を破壊した。
『はい、ゲームオーバー』
アイシャの声が響いた。
「これ!違うじゃないですか!ミサイル防御システムが……」
『言い訳は無しよ。このゲームではアンチショックパルスシステムなんかも再現されてはいるけどゲームバランスの関係であまり使えないのよ』
そう言いながらレールガンを振り回し、アイシャは敵機を次々と撃墜していく。誠はそのままゲーム機のハッチを開けて外に出た。格闘ゲームに飽きたというようにギャラリーがアイシャの機体のモニターを映した大画面を見つめている。
圧倒的だった。
アイシャの機体の色がオリジナルと違うのを見て、誠はもう一度丁寧にゲーム機の説明を読んだ。そこには端末登録をすることである程度の撃墜スコアーの合計したポイントを使って機体の設定やカスタムが可能になると書いてある。
「やっぱりやりこんでるんだなあ」
敵の半分はすでにアイシャ一人の活躍で撃墜されていた。空気を読んだのかアイシャはそのまま友軍機のフォローにまわるほどの余裕を持っている。
味方の集団を挟撃しようとする敵を警戒しつつ損傷を受けた味方を援護する。
「あのオリジナルカラーの機体の奴、凄いぜ」
「また落したよ、いったいこれで何機目だ?」
小声でギャラリーがささやきあう。誠はアイシャの活躍を複雑な表情で見つめていた。
最後の一機がアイシャのレールガンの狙撃で撃墜されると、モニターにアイシャの写真が大写しにされる。
「すっげー美人じゃん」
「女だったのかよ」
周りでざわめいて筐体から顔を出そうとするアイシャをギャラリーが驚嘆《きょうたん》の目で見つめる。
「はい!これが見本ね」
そう言ってゲーム機から降りたアイシャが誠の頭を軽く叩く。誠は周りを見回した。10人くらいのギャラリーが二人を見つめている。明らかにアイシャが誠とこのゲームセンターに一緒に来たと分かると彼らは悔しそうな顔で散っていく。
「もう一回やる?」
そう言うアイシャの得意げな顔を見ると、誠は静かに首を横に振った。
「遠慮します。やりこんでいる人には勝てませんから」
「言うわね」
アイシャは苦笑いを浮かべると再び誠の腕を手に取った。
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