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第11章 デート
年休
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「オメー等、有給の計画使用できてねーだろ」
朝、いつものように出勤してすぐのことだった。本部管理部のガラス窓の前でたたずんでいたランにに誠とアイシャそうして呼び止められた。
「そうなんですか?」
誠はいつものように同じく出勤してきたカウラとかなめに目をやる。
「私は年単位で予定を入れているからな」
「アタシは……この体だからな。メンテとかいろいろかかるんだわ」
カウラとかなめはそう言ってアイシャを見た。
「何よ……私が有給残してるのがそんなにおかしい?」
誠は正直驚いていた。確かに職場に来ているイメージはあるが、宿直室で漫画のネームを書いていたり、正規のパイロットでないのに誠の機体に乗り込んでシミュレーターをしていたり、アイシャが仕事をしているイメージは正直この場の誰にもなかった。
「そんなことはないですけど……夏に海行ったじゃないですか、それにコミケでも結構……」
誠はとりあえずそう言ってみた、ランはその言葉に大きくため息をつく。
「こいつはコミケの時は都心で研修受けてただろ?夏の海の時は休日出勤の代休だし」
ランの言葉に誠はコミケの際にすぐにいなくなったアイシャを思い出した。確かにアイシャには仕事をしているイメージは無いが、職場には来ていることは間違いなかった。
「あの時……買い物じゃなくて研修受けてたんですか……」
「まあやりくり上手って奴よ。いいでしょ?」
「やりくり上手ねえ……」
開き直るアイシャにかなめは呆れたようにつぶやいた。
「それじゃあ私達デートに行きますんで」
「へ?」
突然のアイシャの言葉が廊下に響いた。誠も周りの聴衆もその突拍子もない言葉に唖然とさせられる。
「じゃあパーラに車借りましょ」
誠の手を取りアイシャは一階の運行部詰所に向かった。突然のことにカウラもかなめも、そしてランもその場に置いて行かれてしまった。
「いいんですか?」
医務室の前の階段を一階の運行部部室に向かっておりながら誠がつぶやく。
「いいのよ。休めっていうんだからしっかり休んでやりましょうよ」
アイシャはそう言いながら階段をおりきって運行部のドアを開けた。
「みんな!仕事してる!」
ご機嫌のアイシャはそう言うとそれがいつものことらしく運行部の女子隊員達は挨拶もせず始業前の雑談に花を咲かせていた。
「アイシャ。あと十分よ。着替えてきなさいよ」
腐れ縁だけあって、いつものように赤い髪のサラがアイシャにそう言った。
「いいのよ。ちっちゃい姐御が休めって。それでー」
アイシャはそのままサラの向かいで話を中座されて黙り込んでいたパーラの肩に手を置く。
「パーラ」
「なによ。お金なら貸さないわよ」
明らかに何かろくでもない頼みごとをされると思っている顔をしているパーラがつっけんどんにそう答えた。
「違うわよ。誠ちゃんとデートするから車、貸して」
アイシャから頼まれることとしてはあまりにも害のない話だったので拍子抜けしたような顔をするとパーラ机の引き出しからカギを取り出した。
「ぶつけないでね」
「任せておきなさい!」
嬉しそうにアイシャはそう言うと誠の手を引いて運行部の部屋を後にした。
「運転しましょうか?」
「何言ってるのよ!ここはお姉さんに任せておきなさい!」
得意満面にそう言うとアイシャはそのまま誠を引っ張って正面玄関へと向かった。
朝、いつものように出勤してすぐのことだった。本部管理部のガラス窓の前でたたずんでいたランにに誠とアイシャそうして呼び止められた。
「そうなんですか?」
誠はいつものように同じく出勤してきたカウラとかなめに目をやる。
「私は年単位で予定を入れているからな」
「アタシは……この体だからな。メンテとかいろいろかかるんだわ」
カウラとかなめはそう言ってアイシャを見た。
「何よ……私が有給残してるのがそんなにおかしい?」
誠は正直驚いていた。確かに職場に来ているイメージはあるが、宿直室で漫画のネームを書いていたり、正規のパイロットでないのに誠の機体に乗り込んでシミュレーターをしていたり、アイシャが仕事をしているイメージは正直この場の誰にもなかった。
「そんなことはないですけど……夏に海行ったじゃないですか、それにコミケでも結構……」
誠はとりあえずそう言ってみた、ランはその言葉に大きくため息をつく。
「こいつはコミケの時は都心で研修受けてただろ?夏の海の時は休日出勤の代休だし」
ランの言葉に誠はコミケの際にすぐにいなくなったアイシャを思い出した。確かにアイシャには仕事をしているイメージは無いが、職場には来ていることは間違いなかった。
「あの時……買い物じゃなくて研修受けてたんですか……」
「まあやりくり上手って奴よ。いいでしょ?」
「やりくり上手ねえ……」
開き直るアイシャにかなめは呆れたようにつぶやいた。
「それじゃあ私達デートに行きますんで」
「へ?」
突然のアイシャの言葉が廊下に響いた。誠も周りの聴衆もその突拍子もない言葉に唖然とさせられる。
「じゃあパーラに車借りましょ」
誠の手を取りアイシャは一階の運行部詰所に向かった。突然のことにカウラもかなめも、そしてランもその場に置いて行かれてしまった。
「いいんですか?」
医務室の前の階段を一階の運行部部室に向かっておりながら誠がつぶやく。
「いいのよ。休めっていうんだからしっかり休んでやりましょうよ」
アイシャはそう言いながら階段をおりきって運行部のドアを開けた。
「みんな!仕事してる!」
ご機嫌のアイシャはそう言うとそれがいつものことらしく運行部の女子隊員達は挨拶もせず始業前の雑談に花を咲かせていた。
「アイシャ。あと十分よ。着替えてきなさいよ」
腐れ縁だけあって、いつものように赤い髪のサラがアイシャにそう言った。
「いいのよ。ちっちゃい姐御が休めって。それでー」
アイシャはそのままサラの向かいで話を中座されて黙り込んでいたパーラの肩に手を置く。
「パーラ」
「なによ。お金なら貸さないわよ」
明らかに何かろくでもない頼みごとをされると思っている顔をしているパーラがつっけんどんにそう答えた。
「違うわよ。誠ちゃんとデートするから車、貸して」
アイシャから頼まれることとしてはあまりにも害のない話だったので拍子抜けしたような顔をするとパーラ机の引き出しからカギを取り出した。
「ぶつけないでね」
「任せておきなさい!」
嬉しそうにアイシャはそう言うと誠の手を引いて運行部の部屋を後にした。
「運転しましょうか?」
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