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第6章 日常
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「あなた達少しは静かにできないの?」
甲高い厳しい声が響いてマリアが入ってくる。運動の後という事でランニングの肩に汗がにじんでいるのがわかる。その後ろに続く吉田は着ぐるみをたたんでいるシャムのところに行くと大きくため息をついた。
「叔父貴はなんか言ってたのか?」
かなめの言葉に一瞬言葉をためらうマリアだが、それをさえぎるように吉田が口を開く。
「ああ、マリアの姐さんのご一行も休みをとらなきゃならなくなるってことでな。それの穴埋めの人員の帳尻あわせの会議だよ。まったく隊長はいつもぎりぎりにこう言う話を持ってくるから泣きを見るのはいつだって俺等だ」
そう言いながら着ぐるみをたたもうとするシャム横目に見ながら吉田は愚痴る。
「マリアの姐御が休み?どっかでクーデターでも起こす予定でもあるんですか?」
「何言ってるんだ。休みは休みだ」
ふざけたかなめにそう言うとマリアは冷たい笑みを浮かべた。衆人の注目を集めるマリアだが涼しい表情であたりを見渡しその雑然とした様に少しばかり目を吊り上げた。
「あっ!」
急に誠が叫んだ。
「驚かすんじゃねえよ。なんだ?」
「クバルカ中佐に報告書の再提出を頼まれたんで……。ちょっと冷蔵庫に入りますね」
そう言って誠は立ち上がる。
「ああ、終わったらこのディスクの内容にも目を通しておいてくれねえかな。先日の実験のデータが入ってる」
そう言って吉田が胸のポケットから小さなディスクを取り出す。
「はあ」
「おい、行くぞ!」
吉田から渡されたチップを見つめる誠の背を叩いたのはかなめだった。
「そうだな、私にもその実験結果を確認する義務がある」
そう言ってドアを開いたかなめの後ろにカウラは続く。
「待ってくださいよ!」
いつの間にか二人に挟まれるようにして誠は廊下に出た。そこからは隊長室から出てくるキムとエダの姿が見えた。
「おう、お二人さん。なんだ?婚約の報告でもしてたのか?」
ニヤニヤと笑いながらかなめはキムを見上げる。
「仕事の話ですよ。出張任務」
そう言い切るキムにかなめはがっくりと肩を落とす。
「つまんねえなあ。神前、そのディスク貸せよ」
「部屋に入ってからにしろ」
かなめとカウラに連れ込まれるようにして、誠は冷蔵庫と呼ばれるコンピュータルームのセキュリティーを解除した。
甲高い厳しい声が響いてマリアが入ってくる。運動の後という事でランニングの肩に汗がにじんでいるのがわかる。その後ろに続く吉田は着ぐるみをたたんでいるシャムのところに行くと大きくため息をついた。
「叔父貴はなんか言ってたのか?」
かなめの言葉に一瞬言葉をためらうマリアだが、それをさえぎるように吉田が口を開く。
「ああ、マリアの姐さんのご一行も休みをとらなきゃならなくなるってことでな。それの穴埋めの人員の帳尻あわせの会議だよ。まったく隊長はいつもぎりぎりにこう言う話を持ってくるから泣きを見るのはいつだって俺等だ」
そう言いながら着ぐるみをたたもうとするシャム横目に見ながら吉田は愚痴る。
「マリアの姐御が休み?どっかでクーデターでも起こす予定でもあるんですか?」
「何言ってるんだ。休みは休みだ」
ふざけたかなめにそう言うとマリアは冷たい笑みを浮かべた。衆人の注目を集めるマリアだが涼しい表情であたりを見渡しその雑然とした様に少しばかり目を吊り上げた。
「あっ!」
急に誠が叫んだ。
「驚かすんじゃねえよ。なんだ?」
「クバルカ中佐に報告書の再提出を頼まれたんで……。ちょっと冷蔵庫に入りますね」
そう言って誠は立ち上がる。
「ああ、終わったらこのディスクの内容にも目を通しておいてくれねえかな。先日の実験のデータが入ってる」
そう言って吉田が胸のポケットから小さなディスクを取り出す。
「はあ」
「おい、行くぞ!」
吉田から渡されたチップを見つめる誠の背を叩いたのはかなめだった。
「そうだな、私にもその実験結果を確認する義務がある」
そう言ってドアを開いたかなめの後ろにカウラは続く。
「待ってくださいよ!」
いつの間にか二人に挟まれるようにして誠は廊下に出た。そこからは隊長室から出てくるキムとエダの姿が見えた。
「おう、お二人さん。なんだ?婚約の報告でもしてたのか?」
ニヤニヤと笑いながらかなめはキムを見上げる。
「仕事の話ですよ。出張任務」
そう言い切るキムにかなめはがっくりと肩を落とす。
「つまんねえなあ。神前、そのディスク貸せよ」
「部屋に入ってからにしろ」
かなめとカウラに連れ込まれるようにして、誠は冷蔵庫と呼ばれるコンピュータルームのセキュリティーを解除した。
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