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第16章 引っ越し
部屋割りと
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「そう言えば部屋なんですけど、三つのうちどこにしますか?」
明らかにアイシャとかなめを無視して菰田はカウラに話しかける。
「私は別にこだわりは無いが」
「それじゃあお前が一番奥の部屋な」
そう言ってかなめは粥を口に運ぶ。その表情は明らかに量が足りないと言う不機嫌なものだった。
「じゃあ私が手前の……」
「テメエだといつ誠を襲うかわからねえだろ?アタシがそこに……」
「それはやめるべきだな。アイシャより西園寺の方が危ない」
「どういう意味だ!ベルガー!」
完全に菰田のことを忘れてカウラとかなめがにらみ合う。
「やめましょうよ。食事中ですし」
誠のその言葉で二人はおとなしく座った。誠の言うことはカウラとかなめは聞くという事実が食堂中に知れ渡る。痛い視線を感じて振り返った誠の
目の前に、嫉妬に狂うとはどういうことかと言う見本のような菰田の顔があった。
「おいおい、新人いじめるなんて。先任曹長だろ?一応は。見苦しいねえ」
そこに入ってきたのはキム・ジュンヒ少尉だった。続いてエダ・ラクール少尉が食堂に入る。キムは小火器管理責任者で隊の二番狙撃手でもある。そして一応は少尉と言うことで寮ではなく近くのアパートで暮らしている。島田とは馬が合うので寮で人手が必要になるとこうして現れることが多かった。
「余計なお世話だ」
そう言いながら菰田は高菜の握り飯に手をつけた。
「神前君、いじめられなかった?」
エダが正面に座り、その隣にキムが座る。島田派と言われるキムの登場でヒンヌー教徒の刺すような視線が止んで誠は一息ついた。
「いいっすねえ、お三方とも。部屋代かなり浮きますよ。俺もここに住みたいんですが口実が無くってねえ」
そう言いながらキムはコンビニの袋からサンドイッチを取り出す。それにあわせてエダがコーラのボトルを取り出した。
「そうよねえ。この部屋の賃料なら近くにロッカールーム借りても今の半分の値段だもの」
アイシャはゆっくりとリゾットをすする。
「しかし、島田の奴。将校に昇進したくせに何でここを出ないんですかね」
「それは俺へのあてつけか?」
隣のテーブルにはいつの間にかヨハンが座っていた。
「シュペルター中尉は良いんですよ。ほっとくとどこまでも太るんで」
キムはそのまま誠達に向き直る。
「おい、キム。何しに来たんだ?」
高菜の握り飯を手にする菰田は明らかに不機嫌そうに見えた。
「決まってるじゃないですか。島田の馬鹿が手を貸せっていうもんで来たんですよ」
「島田ねえ……」
そう言いながら菰田が高菜の握り飯を口に運ぶ。
「そういえばグリファン少尉が来てないですね」
「サラか?あいつは低血圧だからな」
いつの間に気に入ったのかかなめはリゾットを満足げに食べていた。携帯をいじっているアイシャはサラとパーラに連絡をつけるつもりだろう。周りを見れば当番の隊員達が食器を戻している。
「キム、また有給か?残りあるのかよ」
「西園寺さんに心配されるほどじゃないですよ」
そう言うとキムはほおばっていたサンドイッチをコーラで胃に流し込んだ。
「サラとパーラなら駐車場まで来てるって。島田の馬鹿がメンチカツ弁当じゃなきゃ嫌だとか言ったもんで5軒もコンビニ回って見つけてきたって怒ってたわよ」
「奴らしいや」
キムがそう言って笑う。とりあえず誠も場の流れに従うようにして笑みを作って見せた。
明らかにアイシャとかなめを無視して菰田はカウラに話しかける。
「私は別にこだわりは無いが」
「それじゃあお前が一番奥の部屋な」
そう言ってかなめは粥を口に運ぶ。その表情は明らかに量が足りないと言う不機嫌なものだった。
「じゃあ私が手前の……」
「テメエだといつ誠を襲うかわからねえだろ?アタシがそこに……」
「それはやめるべきだな。アイシャより西園寺の方が危ない」
「どういう意味だ!ベルガー!」
完全に菰田のことを忘れてカウラとかなめがにらみ合う。
「やめましょうよ。食事中ですし」
誠のその言葉で二人はおとなしく座った。誠の言うことはカウラとかなめは聞くという事実が食堂中に知れ渡る。痛い視線を感じて振り返った誠の
目の前に、嫉妬に狂うとはどういうことかと言う見本のような菰田の顔があった。
「おいおい、新人いじめるなんて。先任曹長だろ?一応は。見苦しいねえ」
そこに入ってきたのはキム・ジュンヒ少尉だった。続いてエダ・ラクール少尉が食堂に入る。キムは小火器管理責任者で隊の二番狙撃手でもある。そして一応は少尉と言うことで寮ではなく近くのアパートで暮らしている。島田とは馬が合うので寮で人手が必要になるとこうして現れることが多かった。
「余計なお世話だ」
そう言いながら菰田は高菜の握り飯に手をつけた。
「神前君、いじめられなかった?」
エダが正面に座り、その隣にキムが座る。島田派と言われるキムの登場でヒンヌー教徒の刺すような視線が止んで誠は一息ついた。
「いいっすねえ、お三方とも。部屋代かなり浮きますよ。俺もここに住みたいんですが口実が無くってねえ」
そう言いながらキムはコンビニの袋からサンドイッチを取り出す。それにあわせてエダがコーラのボトルを取り出した。
「そうよねえ。この部屋の賃料なら近くにロッカールーム借りても今の半分の値段だもの」
アイシャはゆっくりとリゾットをすする。
「しかし、島田の奴。将校に昇進したくせに何でここを出ないんですかね」
「それは俺へのあてつけか?」
隣のテーブルにはいつの間にかヨハンが座っていた。
「シュペルター中尉は良いんですよ。ほっとくとどこまでも太るんで」
キムはそのまま誠達に向き直る。
「おい、キム。何しに来たんだ?」
高菜の握り飯を手にする菰田は明らかに不機嫌そうに見えた。
「決まってるじゃないですか。島田の馬鹿が手を貸せっていうもんで来たんですよ」
「島田ねえ……」
そう言いながら菰田が高菜の握り飯を口に運ぶ。
「そういえばグリファン少尉が来てないですね」
「サラか?あいつは低血圧だからな」
いつの間に気に入ったのかかなめはリゾットを満足げに食べていた。携帯をいじっているアイシャはサラとパーラに連絡をつけるつもりだろう。周りを見れば当番の隊員達が食器を戻している。
「キム、また有給か?残りあるのかよ」
「西園寺さんに心配されるほどじゃないですよ」
そう言うとキムはほおばっていたサンドイッチをコーラで胃に流し込んだ。
「サラとパーラなら駐車場まで来てるって。島田の馬鹿がメンチカツ弁当じゃなきゃ嫌だとか言ったもんで5軒もコンビニ回って見つけてきたって怒ってたわよ」
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