166 / 1,503
第10章 いざ海へ
モテ要素
しおりを挟む「神前君!」
名前を呼ばれて振り向けば、そこにはカキ氷を食べているリアナの姿があった。隣では健一がリアナと同じ苺金時を、カウラはメロン、アイシャはブルーハワイを食べていた。
「見てました?」
「人気者だな」
「これなんてエロゲ?」
カウラ、アイシャは冷たく誠を一瞥すると、カキ氷を食べ続ける。
「違うんです!」
誠は叫ぶ。
『何が?』
夫婦でシンクロして鈴木夫妻が誠を見つめてくる。
「言い訳はいい」
冷静に答えるカウラ。こめかみの辺りに青い筋が浮かんでいてもおかしくないような形相だった。
「誠ちゃんはこれからフラグクラッシャーと呼びましょうよ」
アイシャが明るく話す分だけ恐ろしさが増す。
「だから!」
「だからなんだよ」
背中からの声に誠が振り向くとその先には誠が選んだことになっているきわどいピンク色の水着を着たかなめが立っていた。
「西園寺さん、いつからいました?」
自分で言葉を確かめながら誠が言葉を発する。額を走る汗は暑さがもたらすものでは無かった。
「オメエがあのおっぱいお化けと腕組んで歩いてる所くらいからか」
誠は助けを求めるような視線をカウラ達に投げる。四人とも誠がそこにいることを無視してカキ氷を食べている。
「怒ってますか?」
誠は恐る恐るたずねる。
「いや、別に怒る必要のあることなのか?所詮お前はアタシの部下の一人に過ぎないし」
明らかに感情のこもっていない言葉に誠はうなだれた。そんなかなめを見つめる誠は手のひらに汗がにじんでくるのを感じていた。
「言っちゃったー。ご愁傷様ねえ誠ちゃん」
わざと誠達に聞こえるようにアイシャが大声で話す。かなめがそのまま無視して誠から離れようとしたところで、突然誠の視界からかなめが消えた。
「スーパーキックだ!見たか!悪者め!」
代わってそこにはシャムがいた。誠が視線を落とすと、顔面から砂に突っ込んだかなめの姿が見える。
「外道!参ったか!」
小夏の叫び声。しかし、誠にとってはシャムと小夏の着ている水着が衝撃的であった。
「シャム先輩。その水着は……」
思考停止。予想はしていたが二人を見て誠の頭は完全に止まっていた。
「そう!海と言えば、スクール水着!当然胸には白い名前コーナーをつけて、当然黄色いキャップは忘れずに!」
そう言って倒れているかなめの上で胸を張るポーズのシャム。
「神前の兄貴!アタシもおそろいですよ!」
元気に小夏はシャムの言葉を引き継ぐ。
『3-2 なんばるげにあ』、『2-3 家村』。胸に踊る手書きのネーム。
「やっぱりシャム先輩が年上の設定なんですね」
あきれ果てていた誠だが、とりあえずそう言ってみる。
「違うよ!誠ちゃん。アタシは小学生の……」
シャムの姿がまた消えた。そこに立っていたのは砂にまみれたかなめだった。
「いつまで乗ってんだ!このアホ餓鬼が!」
跳ね飛ばされたシャムだが、受身を取ってすばやく体勢を整える。かなめは顔から胸にかけて付いた砂を払いながら、シャムをにらみつけた。
「人に砂浜とキスさせたんだ!ただで帰れると思うなよ」
そう言ってかなめは指を鳴らしてじりじりとシャム達に歩み寄る。
「師匠!どうしましょう。外道はまだ健在ですよ」
「そう言う時はね!小夏」
シャムは浮き輪を手にじっとかなめと相対する。
「逃げるのよ!」
ちょこまかと人ごみの中に逃げ込んでいく二人。
「待てよ!こら!」
条件反射のようにかなめはそれを追い始める。誠はとりあえずかなめの関心が自分からそれたことに胸をなでおろすと、海の家の更衣室に向かった。
名前を呼ばれて振り向けば、そこにはカキ氷を食べているリアナの姿があった。隣では健一がリアナと同じ苺金時を、カウラはメロン、アイシャはブルーハワイを食べていた。
「見てました?」
「人気者だな」
「これなんてエロゲ?」
カウラ、アイシャは冷たく誠を一瞥すると、カキ氷を食べ続ける。
「違うんです!」
誠は叫ぶ。
『何が?』
夫婦でシンクロして鈴木夫妻が誠を見つめてくる。
「言い訳はいい」
冷静に答えるカウラ。こめかみの辺りに青い筋が浮かんでいてもおかしくないような形相だった。
「誠ちゃんはこれからフラグクラッシャーと呼びましょうよ」
アイシャが明るく話す分だけ恐ろしさが増す。
「だから!」
「だからなんだよ」
背中からの声に誠が振り向くとその先には誠が選んだことになっているきわどいピンク色の水着を着たかなめが立っていた。
「西園寺さん、いつからいました?」
自分で言葉を確かめながら誠が言葉を発する。額を走る汗は暑さがもたらすものでは無かった。
「オメエがあのおっぱいお化けと腕組んで歩いてる所くらいからか」
誠は助けを求めるような視線をカウラ達に投げる。四人とも誠がそこにいることを無視してカキ氷を食べている。
「怒ってますか?」
誠は恐る恐るたずねる。
「いや、別に怒る必要のあることなのか?所詮お前はアタシの部下の一人に過ぎないし」
明らかに感情のこもっていない言葉に誠はうなだれた。そんなかなめを見つめる誠は手のひらに汗がにじんでくるのを感じていた。
「言っちゃったー。ご愁傷様ねえ誠ちゃん」
わざと誠達に聞こえるようにアイシャが大声で話す。かなめがそのまま無視して誠から離れようとしたところで、突然誠の視界からかなめが消えた。
「スーパーキックだ!見たか!悪者め!」
代わってそこにはシャムがいた。誠が視線を落とすと、顔面から砂に突っ込んだかなめの姿が見える。
「外道!参ったか!」
小夏の叫び声。しかし、誠にとってはシャムと小夏の着ている水着が衝撃的であった。
「シャム先輩。その水着は……」
思考停止。予想はしていたが二人を見て誠の頭は完全に止まっていた。
「そう!海と言えば、スクール水着!当然胸には白い名前コーナーをつけて、当然黄色いキャップは忘れずに!」
そう言って倒れているかなめの上で胸を張るポーズのシャム。
「神前の兄貴!アタシもおそろいですよ!」
元気に小夏はシャムの言葉を引き継ぐ。
『3-2 なんばるげにあ』、『2-3 家村』。胸に踊る手書きのネーム。
「やっぱりシャム先輩が年上の設定なんですね」
あきれ果てていた誠だが、とりあえずそう言ってみる。
「違うよ!誠ちゃん。アタシは小学生の……」
シャムの姿がまた消えた。そこに立っていたのは砂にまみれたかなめだった。
「いつまで乗ってんだ!このアホ餓鬼が!」
跳ね飛ばされたシャムだが、受身を取ってすばやく体勢を整える。かなめは顔から胸にかけて付いた砂を払いながら、シャムをにらみつけた。
「人に砂浜とキスさせたんだ!ただで帰れると思うなよ」
そう言ってかなめは指を鳴らしてじりじりとシャム達に歩み寄る。
「師匠!どうしましょう。外道はまだ健在ですよ」
「そう言う時はね!小夏」
シャムは浮き輪を手にじっとかなめと相対する。
「逃げるのよ!」
ちょこまかと人ごみの中に逃げ込んでいく二人。
「待てよ!こら!」
条件反射のようにかなめはそれを追い始める。誠はとりあえずかなめの関心が自分からそれたことに胸をなでおろすと、海の家の更衣室に向かった。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第三部 『暗黒大陸』
橋本 直
SF
遼州司法局も法術特捜の発足とともに実働部隊、機動隊、法術特捜の三部体制が確立することとなった。
それまで東和陸軍教導隊を兼務していた小さな隊長、クバルカ・ラン中佐が実働部隊副隊長として本異動になることが決まった。
彼女の本拠地である東和陸軍教導隊を訪ねた神前誠に法術兵器の実験に任務が課せられた。それは広域にわたり兵士の意識を奪ってしまうという新しい発想の非破壊兵器だった。
実験は成功するがチャージの時間等、運用の難しい兵器と判明する。
一方実働部隊部隊長嵯峨惟基は自分が領邦領主を務めている貴族制国家甲武国へ飛んだ。そこでは彼の両方を西園寺かなめの妹、日野かえでに継がせることに関する会議が行われる予定だった。
一方、南の『魔窟』と呼ばれる大陸ベルルカンの大国、バルキスタンにて総選挙が予定されており、実働部隊も支援部隊を派遣していた。だが選挙に不満を持つ政府軍、反政府軍の駆け引きが続いていた。
嵯峨は万が一の両軍衝突の際アメリカの介入を要請しようとする兄である西園寺義基のシンパである甲武軍部穏健派を牽制しつつ貴族の群れる会議へと向かった。
そしてそんな中、バルキスタンで反政府軍が機動兵器を手に入れ政府軍との全面衝突が発生する。
誠は試験が済んだばかりの非破壊兵器を手に戦線の拡大を防ぐべく出撃するのだった。
潜水艦艦長 深海調査手記
ただのA
SF
深海探査潜水艦ネプトゥヌスの艦長ロバート・L・グレイ が深海で発見した生物、現象、景観などを書き残した手記。
皆さんも艦長の手記を通して深海の神秘に触れてみませんか?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
レジェンド・オブ・ダーク遼州司法局異聞 2 「新たな敵」
橋本 直
SF
「近藤事件」の決着がついて「法術」の存在が世界に明らかにされた。
そんな緊張にも当事者でありながら相変わらずアバウトに受け流す遼州司法局実働部隊の面々はちょっとした神前誠(しんぜんまこと)とカウラ・ベルガーとの約束を口実に海に出かけることになった。
西園寺かなめの意外なもてなしや海での意外な事件に誠は戸惑う。
ふたりの窮地を救う部隊長嵯峨惟基(さがこれもと)の娘と言う嵯峨茜(さがあかね)警視正。
また、新編成された第四小隊の面々であるアメリカ海軍出身のロナルド・スミスJr特務大尉、ジョージ・岡部中尉、フェデロ・マルケス中尉や、技術士官レベッカ・シンプソン中尉の4名の新入隊員の配属が決まる。
新たなメンバーを加えても相変わらずの司法局実働部隊メンバーだったが嵯峨の気まぐれから西園寺かなめ、カウラ・ベルガー、アイシャ・クラウゼの三人に特殊なミッションが与えられる。
誠はただ振り回されるだけだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる