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第十四章 法術師と言う存在
動き出す時代の鼓動
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「なんだ。決闘でも始めるつもりか?なんなら見届けてやってもいいぞ」
そう声をかけてきたのが、警備部部長マリア・シュバーキナ大尉だった。部下を連れて、隣のテーブルを占拠する。それを見たかなめはやる気をそがれたと言うようにマリアに目を向ける。
「分かったよマリアの姐さん。ここは引いとくがカウラ!今度の出撃の時は背中に気をつけることだな」
「餓鬼みたいなこと言っている状況か?それよりついに天誅組が出たそうだ」
マリアの言葉はかなめとカウラに水をかけるような効果があった。近藤一派、あるいはそのシンパのテロ。誠はそれが起きるのを予想していなかった自分の甘さに打ちのめされた。カウラもかなめもそれが当然と言うように驚くわけでもなくマリアを見上げる。
「狙われたのは親父か?」
真剣な調子でかなめが口を開いた。
「さすがにVIPを狙うほど官派の勢力は大きくない。まして西園寺首相の周りには、シークレットサービスだけじゃなく胡州警察が警備要員を相当数貼り付けているし、同盟公安局のエージェントが報道にまぎれて目を光らせている」
「じゃああれか?陸軍省内部か?同士討ちとは……らしいと言えばらしいか……」
「そう言うことだ。作戦部付の将校が出勤してきた小見(おみ)胡州陸軍諜報部長を拳銃で撃ったそうだ。撃った将校はすぐ捕らえられ現在取調べ中。完全黙秘を続けてるらしい」
『彼らは追い詰められているのか?それともこちらを追い詰めているのか?』
誠は心の中でそう思った。
戦闘艦の内惑星での長空間転移が禁止されている東都条約が有効である以上、その法規の管理者であるという側面もある司法局実働部隊には全速力で通常航行を続けるほかない。胡州の勢力圏へ到着するまでは悪化する状況をなすすべも無く見守る以外に手は無かった。そんな中、明らかに胡州の混乱は拡大しつつある。
誠はただ今の状況に歯がゆさを感じつつ、テーブルに置かれたコップの底に残ったコーヒーを飲み下すだけだった。
「状況は全て嵯峨隊長の思惑通りと言うわけだ」
マリアは部下からカレーの皿を受け取りながらそう続けた。その表情が微笑んでいるように見えるのは彼女もまた戦場を駆けてきた猛者だと言う証なのかと、誠は背筋が寒くなるのを感じた。
「この状態が隊長の望んだことなのですか?」
おずおずと誠がそう尋ねた。それを見ながらマリアは言葉を続けた。
「私はあまり隠し事は上手くないほうだから言ってしまおう。隊長は以前から、それこそ遼南帝国皇帝の地位にあった時から、近藤資金に関する情報を手にしていたようだ。しかし、同盟の成立には胡州の安定が不可欠だった。また、遼州各国の政権の弱体化に繋がりかねないと言うことで情報収集以外の行動は取れなかった」
「なるほどねえ。結果、遼南経由で主要国に『東都租界』を経由しての物資が金になるという情報がリークされ、そのルートの持つ利潤をめぐりシンジケートや各国の非正規活動団体による抗争『東都戦争』が発生した。そんなことはその熱い戦場の中にいたアタシもすぐ気がついたよ」
かなめはそう言いながら胸のポケットからいったん煙草を取り出すも、カウラの責めるような視線に手を離さなければならなくなった。
「近藤中佐は胡州海軍の現役の将校だ。さらに彼の非公然組織のネットワークの過激な排外思想は、陸軍の若手将校たちには大変受けがいい。『国家の秩序再建』と言う名目での軍部の政府からの独立、『旧領に関する強硬姿勢』と言う聞こえのいい拡大思考。どちらも国家主義的な嗜好を持つ軍や産業界、政界やマスコミなんかが喜びそうなスローガンだ」
マリアはそこまで言うと目の前に置かれた番茶を飲んだ。その話の大きさに戸惑っている誠を一瞥した後、彼女はさらに話を続けた。
「だがスローガンだけでは人は動かない。潤沢な資金はシンパを募る際には最大の武器になる。しかし逆に近藤中佐の資金の場合、非正規活動の結果生まれたあってはならない資金だ。それが表に出れば大スキャンダルに発展するというリスクを負うことにもなる。同盟に加入して以降経済に変化が見られないと言うことで西園寺内閣の支持を拒み始めた国民も、対抗勢力が金で汚れているとなればすぐに態度を変えるだろう」
マリアの言うとおり、誠もアステロイドベルトの領有権やベルルカンの内戦での弱腰姿勢を非難するデモが行われていると言う、胡州の首都帝都の映像は見慣れていた。
「同盟政治機構も黙っていたわけじゃない。内偵は進めているものの近藤中佐の周りの連中は誰も口だけは堅い連中だ。口を割れば既得権を持ってる政府の高官や軍の司令部から粛清されることになるからな」
「アタシも何度か近藤中佐立案の作戦に従事したが、明らかにお偉いさんの汚職の尻拭いと言うような仕事もあったからな。大物は近藤本人が捕まるまでだんまりを決め込むだろうし、捕まったらそれはそれで逃げ道を考えているだろうがな」
かなめはそう言うと誠の顔を見つめた。典型的縦社会の胡州を理解していない誠はただ呆然と二人の会話を聞くしかなかった。
「そしてその自称『高潔な愛国者』のネットワークが機能を始めると同時に、身辺がきな臭くなったというわけで、政治には無関心な本間司令を戴く第六艦隊に出向を希望したわけか。中央を離れてほとぼりが冷めるまでのんびり構えるつもりだったんだろうな」
そう言うとカウラはコップの水を飲み干す。
「だが本間司令が思いのほか石頭で、自分の非公然活動を知ると、すぐに呼びつけにかかるような人物だったとは……。それは完全に計算違いだったんじゃねえの?」
そう言うとかなめはいつもの下品な笑いを浮かべる。
「加盟国の胡州領域への出兵は、胡州への内政干渉と捕らえられて、作戦が成功してもリスクが大きすぎる。その為の司法機関直下の機動部隊か。じゃあこいつの経歴の嘘情報を吉田の馬鹿がリークしたのはなぜだ?少なくとも近藤の旦那の懐が暖まるようなもんじゃないと思うが」
自分を指差して愚痴を垂れるかなめに誠はただそのタレ目を見つめるしかなかった。
「こいつが口が悪いのはいつものことだ。気にするな神前少尉。じゃあ西園寺。この状況下でなぜ地球の列強が直接行動に出ないと思う?胡州帝国主義の再来、彼らにとってはのっぴきならない脅威だと思うが?」
マリアは何かスイッチが入ったとでも言うように、冷たく整った面差しの中に鋭利な刃物のような笑みを浮かべてそう言った。
「軍を動かす口実が無いからだろ?遼南内戦でアメリカを中心とする多国籍軍が無駄に死人を出してから、どの国も遼州での戦闘行動には慎重になってるからな」
「半分は正解だが、半分は不正解だな。口実や国内世論さえあれば叩けるというのなら、前の大戦で遼南はとうの昔に植民地になっているし、胡州も無事では済まなかったろう」
マリアは目の前に置かれたカレーを混ぜ始めた。
「地球勢力は直接的にこの星系に干渉することを恐れているように見えるな。まるで腫れ物に触れるのを恐れるように。地球外での唯一の原住知的生命体が居た星だ、判断が慎重になるのもわかるといえばわかる」
一口カレーを口に含むとマリアは少しばかり驚いたような顔をして、コップの水を一気に飲み干した。
沈黙が周りを支配する。マリアもかなめもカウラも口を開くつもりは無いとでも言うようだった。
「いつも気になっていたんですが、その近藤中佐が正体を見せるきっかけになった僕の力ってなんですか?それが気になってしょうがないんですが……」
思わず何も考えずに誠が口にした言葉に、マリアは笑顔で答えた。
「法術。先遼州文明の遺産。分かりやすく言えば超能力みたいなものだ」
かなめの視線が鋭くマリアの表情を殺した目を刺した。カウラは何かを思い出したようにかなめと誠を見比べる。
「法術……ですか?魔法みたいなものですか?」
唐突にマリアが発した言葉に誠は面食らっていた。しかもその中心人物が自分だということに戸惑いを隠せなかった。
その時不意にカウラが立ち上がった。かなめもそれに遅れて立ち上がってかなめの肩をつかむ。
「行くぞ」
かなめの口調には有無を言わせぬ勢いがあった。誠は食事のトレーを片付けようとするが、マリアがそのまま行けと言うようにうなづく。食堂を出て、そのままブリッジへ向かうエレベータに乗り込む。
「なんですか?どこに行くんですか?」
無理やりエレベータに押し込まれた誠が二人を見つめる。どちらも唇をかみ締めて真面目な表情で扉を見つめていた。
そう声をかけてきたのが、警備部部長マリア・シュバーキナ大尉だった。部下を連れて、隣のテーブルを占拠する。それを見たかなめはやる気をそがれたと言うようにマリアに目を向ける。
「分かったよマリアの姐さん。ここは引いとくがカウラ!今度の出撃の時は背中に気をつけることだな」
「餓鬼みたいなこと言っている状況か?それよりついに天誅組が出たそうだ」
マリアの言葉はかなめとカウラに水をかけるような効果があった。近藤一派、あるいはそのシンパのテロ。誠はそれが起きるのを予想していなかった自分の甘さに打ちのめされた。カウラもかなめもそれが当然と言うように驚くわけでもなくマリアを見上げる。
「狙われたのは親父か?」
真剣な調子でかなめが口を開いた。
「さすがにVIPを狙うほど官派の勢力は大きくない。まして西園寺首相の周りには、シークレットサービスだけじゃなく胡州警察が警備要員を相当数貼り付けているし、同盟公安局のエージェントが報道にまぎれて目を光らせている」
「じゃああれか?陸軍省内部か?同士討ちとは……らしいと言えばらしいか……」
「そう言うことだ。作戦部付の将校が出勤してきた小見(おみ)胡州陸軍諜報部長を拳銃で撃ったそうだ。撃った将校はすぐ捕らえられ現在取調べ中。完全黙秘を続けてるらしい」
『彼らは追い詰められているのか?それともこちらを追い詰めているのか?』
誠は心の中でそう思った。
戦闘艦の内惑星での長空間転移が禁止されている東都条約が有効である以上、その法規の管理者であるという側面もある司法局実働部隊には全速力で通常航行を続けるほかない。胡州の勢力圏へ到着するまでは悪化する状況をなすすべも無く見守る以外に手は無かった。そんな中、明らかに胡州の混乱は拡大しつつある。
誠はただ今の状況に歯がゆさを感じつつ、テーブルに置かれたコップの底に残ったコーヒーを飲み下すだけだった。
「状況は全て嵯峨隊長の思惑通りと言うわけだ」
マリアは部下からカレーの皿を受け取りながらそう続けた。その表情が微笑んでいるように見えるのは彼女もまた戦場を駆けてきた猛者だと言う証なのかと、誠は背筋が寒くなるのを感じた。
「この状態が隊長の望んだことなのですか?」
おずおずと誠がそう尋ねた。それを見ながらマリアは言葉を続けた。
「私はあまり隠し事は上手くないほうだから言ってしまおう。隊長は以前から、それこそ遼南帝国皇帝の地位にあった時から、近藤資金に関する情報を手にしていたようだ。しかし、同盟の成立には胡州の安定が不可欠だった。また、遼州各国の政権の弱体化に繋がりかねないと言うことで情報収集以外の行動は取れなかった」
「なるほどねえ。結果、遼南経由で主要国に『東都租界』を経由しての物資が金になるという情報がリークされ、そのルートの持つ利潤をめぐりシンジケートや各国の非正規活動団体による抗争『東都戦争』が発生した。そんなことはその熱い戦場の中にいたアタシもすぐ気がついたよ」
かなめはそう言いながら胸のポケットからいったん煙草を取り出すも、カウラの責めるような視線に手を離さなければならなくなった。
「近藤中佐は胡州海軍の現役の将校だ。さらに彼の非公然組織のネットワークの過激な排外思想は、陸軍の若手将校たちには大変受けがいい。『国家の秩序再建』と言う名目での軍部の政府からの独立、『旧領に関する強硬姿勢』と言う聞こえのいい拡大思考。どちらも国家主義的な嗜好を持つ軍や産業界、政界やマスコミなんかが喜びそうなスローガンだ」
マリアはそこまで言うと目の前に置かれた番茶を飲んだ。その話の大きさに戸惑っている誠を一瞥した後、彼女はさらに話を続けた。
「だがスローガンだけでは人は動かない。潤沢な資金はシンパを募る際には最大の武器になる。しかし逆に近藤中佐の資金の場合、非正規活動の結果生まれたあってはならない資金だ。それが表に出れば大スキャンダルに発展するというリスクを負うことにもなる。同盟に加入して以降経済に変化が見られないと言うことで西園寺内閣の支持を拒み始めた国民も、対抗勢力が金で汚れているとなればすぐに態度を変えるだろう」
マリアの言うとおり、誠もアステロイドベルトの領有権やベルルカンの内戦での弱腰姿勢を非難するデモが行われていると言う、胡州の首都帝都の映像は見慣れていた。
「同盟政治機構も黙っていたわけじゃない。内偵は進めているものの近藤中佐の周りの連中は誰も口だけは堅い連中だ。口を割れば既得権を持ってる政府の高官や軍の司令部から粛清されることになるからな」
「アタシも何度か近藤中佐立案の作戦に従事したが、明らかにお偉いさんの汚職の尻拭いと言うような仕事もあったからな。大物は近藤本人が捕まるまでだんまりを決め込むだろうし、捕まったらそれはそれで逃げ道を考えているだろうがな」
かなめはそう言うと誠の顔を見つめた。典型的縦社会の胡州を理解していない誠はただ呆然と二人の会話を聞くしかなかった。
「そしてその自称『高潔な愛国者』のネットワークが機能を始めると同時に、身辺がきな臭くなったというわけで、政治には無関心な本間司令を戴く第六艦隊に出向を希望したわけか。中央を離れてほとぼりが冷めるまでのんびり構えるつもりだったんだろうな」
そう言うとカウラはコップの水を飲み干す。
「だが本間司令が思いのほか石頭で、自分の非公然活動を知ると、すぐに呼びつけにかかるような人物だったとは……。それは完全に計算違いだったんじゃねえの?」
そう言うとかなめはいつもの下品な笑いを浮かべる。
「加盟国の胡州領域への出兵は、胡州への内政干渉と捕らえられて、作戦が成功してもリスクが大きすぎる。その為の司法機関直下の機動部隊か。じゃあこいつの経歴の嘘情報を吉田の馬鹿がリークしたのはなぜだ?少なくとも近藤の旦那の懐が暖まるようなもんじゃないと思うが」
自分を指差して愚痴を垂れるかなめに誠はただそのタレ目を見つめるしかなかった。
「こいつが口が悪いのはいつものことだ。気にするな神前少尉。じゃあ西園寺。この状況下でなぜ地球の列強が直接行動に出ないと思う?胡州帝国主義の再来、彼らにとってはのっぴきならない脅威だと思うが?」
マリアは何かスイッチが入ったとでも言うように、冷たく整った面差しの中に鋭利な刃物のような笑みを浮かべてそう言った。
「軍を動かす口実が無いからだろ?遼南内戦でアメリカを中心とする多国籍軍が無駄に死人を出してから、どの国も遼州での戦闘行動には慎重になってるからな」
「半分は正解だが、半分は不正解だな。口実や国内世論さえあれば叩けるというのなら、前の大戦で遼南はとうの昔に植民地になっているし、胡州も無事では済まなかったろう」
マリアは目の前に置かれたカレーを混ぜ始めた。
「地球勢力は直接的にこの星系に干渉することを恐れているように見えるな。まるで腫れ物に触れるのを恐れるように。地球外での唯一の原住知的生命体が居た星だ、判断が慎重になるのもわかるといえばわかる」
一口カレーを口に含むとマリアは少しばかり驚いたような顔をして、コップの水を一気に飲み干した。
沈黙が周りを支配する。マリアもかなめもカウラも口を開くつもりは無いとでも言うようだった。
「いつも気になっていたんですが、その近藤中佐が正体を見せるきっかけになった僕の力ってなんですか?それが気になってしょうがないんですが……」
思わず何も考えずに誠が口にした言葉に、マリアは笑顔で答えた。
「法術。先遼州文明の遺産。分かりやすく言えば超能力みたいなものだ」
かなめの視線が鋭くマリアの表情を殺した目を刺した。カウラは何かを思い出したようにかなめと誠を見比べる。
「法術……ですか?魔法みたいなものですか?」
唐突にマリアが発した言葉に誠は面食らっていた。しかもその中心人物が自分だということに戸惑いを隠せなかった。
その時不意にカウラが立ち上がった。かなめもそれに遅れて立ち上がってかなめの肩をつかむ。
「行くぞ」
かなめの口調には有無を言わせぬ勢いがあった。誠は食事のトレーを片付けようとするが、マリアがそのまま行けと言うようにうなづく。食堂を出て、そのままブリッジへ向かうエレベータに乗り込む。
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