短編まとめ

あるのーる

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『あ、あらた……入れるぞ……』
『おう……っ、ふぅ……っ』
『! 新、苦しいか? やっぱり今日は止めるか?』
『ふ、バカ……っ! そんな凶器ケツ穴に入れるとか、いつまでも慣れるわきゃないだろ! 何回やったって変わらないんだからいい加減腹括って突っ込めや浩紀ひろき!』
『いてっ! なにも蹴らなくても』
『俺が下になってやるって言ってんのに、毎回毎回お前が怖気づくのがわりーんだろが! おら、さっさとハメやがれ!』
『新、思い切りが良すぎるだろ……けど、うん。本当にダメだったら言ってくれよ?』
『たりめーだろ。というか、その時こそ本気で蹴飛ばすわ』
『……まずは足じゃなくて口を出してくれ』

 そんな、初めて2人でセックスした時のことを俺は思い出す。俺と浩紀はどちらも童貞処女、お互いが初めての相手という中臨んだ初夜だった。
 それまでもいい雰囲気になりベッドまでもつれこむことはあったのだが、いざ挿入、となったとき毎回俺の恋人、浩紀が躊躇してうやむやになる、というパターンで終わっていた。
 それに焦れた俺が浩紀を焚き付けようやく繋がったはいいものの、痛くて騒ぎ狼狽して騒ぎと到底初夜っぽいしっとりさとは無縁だったのはいい思い出だ。

・・・・・

 俺と浩紀は大学の時から付き合い始め今では同棲3年目、とそれなりに長く愛し合った恋人同士である。
 少々ガサツな俺と少々抜けてる浩紀は上手く性格が噛み合ったらしく、出会ってそう経たない内から俺は浩紀に惹かれていった。そしてどうやら浩紀もそうだったようで、気付けば2人で遊びに行くことが増え、いつの間にやら親密な関係へと発展していった。
 ひっそりファンがいるほどに顔の良い浩紀だが、実のところあまりモテない。というのもほとんどの時間を無表情で過ごしているため、整いすぎて怖いと近寄られないのだ。
 当の本人はその無表情の下で『今日の晩御飯何にしようか……』みたいなどうでもいいことを考えているのだが、そんなの相当仲良くならなきゃ分からないだろう。
 とはいえ、それでも少なからず誰かと付き合った経験はあると思っていた俺は、浩紀のあんまりなぎこちなさに少し嬉しくなっていた。大切なのは中身だ、といっても多少気後れしていた俺は、持ってる性事情の進捗が同じくらいであることに俄然張り切ってしまったのだ。
 自然とデートプランも俺が率先して考えていたことからも分かるように、付き合いたては俺がリードを取っていたと思う。いつまでたってもキスと愛撫以上に進まない触れ合いに、俺の方から『挿れていい』と浩紀をベッドに引きずりこんだほどだ。まぁ浩紀がギラギラ俺の尻を見てたのと、ちょっと挿れられることに俺が興味があったのも理由ではあるが。
 俺だって経験はないため色々調べ、ときたまぐだぐだな失敗をしながらもお互い手探りで過ごしたのが同棲1年目くらいまで。これくらいまでは俺も浩紀も同じくらい格好がついていなかった。
 だというのに、だ。

「ひっ、う♡っ♡くぅっ♡♡」
「ふ……新、またイってる……♡」
「そんなっ♡奥ばっかこねる、から、ぁっ♡♡」
「だって新がギチギチに締め付けて俺のちんこ離さないんだもん。っは、また締まった。恥ずかしいこと言われて気持ちよくなっちゃった……?」
「んぅっ♡そんなこと、ぁあ゛っ♡♡いきなり♡動くな、ああ゛あ゛っ♡♡」
「ちょっと動かしただけでお腹ビクビクさせて、可愛いな……新の好きなとこ、いっぱいちんこでゴシゴシしてあげるからね♡」
「ひあ゛っ♡いらな♡いらないっ♡♡っ♡ちんこ♡もういいっ♡ふぅ゛♡う゛ぅ゛あ゛♡♡」
「そうは言ってるけど、足俺にギュッて絡ませて新の体は欲しがってるの分かってるよ♡大丈夫、俺もそろそろ、イきそう、だから……っ♡」
「っあ゛♡あ゛♡激し♡ああ゛♡ぁっ♡ふ、ぅ♡ん、あ゛♡あ゛あ゛あ゛あ゛っ♡♡♡」

 グッと全身を抱き込まれ、逃げられない中与えられる快感。バチュバチュ入り口から奥まで容赦なく掻き回されるアナルは浩紀の腰の動きに合わせて縁から淫靡な汁を溢れさせ、入れるときは歓迎するように、抜くときはすがりつくように俺の意志と関係なくちんこに媚びる。頭は限界を訴えているのに体はそうではないらしく、浩紀の言うとおり腰に回した足はぎっちり浩紀を捕まえていた。
 そんな動き辛い中でもさらに激しさを増した抽挿に俺の口からはひっきりなしに喘ぎ声が流れ、突き入れられたモノがぶくりと膨らんだと思った時には期待にきゅん♡と内壁を蠢かせる。どぷどぷ奥深くに熱い液体が注がれる感覚にも小さく体を跳ねさせる俺は、涙やら涎やらまき散らした体液やらで顔も体もぐちゃぐちゃだ。
 一方浩紀はというと、涼しい顔で俺の全身にキスを落としていた。額に汗をかいてはいるものの俺とは違いむしろ様になっており、髪をかき上げる姿などは見慣れているはずの俺でも色っぽいと感じる。

「っ♡は……んっ♡んぷっ♡っは♡んんぅ♡♡」
「は、新♡ふっ♡ココ、上手に俺のを飲んでくれたね♡」
「ひぐっ♡やめっ♡今そこ触られたらっ♡く♡ふぁ♡♡♡」
「ふふ、お腹撫でただけで甘イキしちゃった。ほんとエッチで可愛い……♡」
「~~~っ!♡」

 くちゅ♡くちゅ♡と柔らかくなっているちんこで緩く俺の中を刺激しながら、荒い息を吐いている俺の口を浩紀は塞いでくる。たっぷり吐き出された精液で少しばかり膨らんだ下腹部を擽るように触られれば思わずアナルを締めつけてしまい、ちょうど前立腺が亀頭に押し潰されてまた俺はイってしまった。
 ぴくぴく震える俺の突き出した舌を吸い上げながら、可愛い可愛いと俺の体を撫でまくる浩紀。
 その後もじれったいほどの愛撫を施され、イくにイけない状態でぐずぐずに蕩けた俺を見て再勃起を果たした浩紀に再び抱かれた。今度はアナルの浅いところばかりで出し入れされ、どうしようもなく疼いた奥に俺がもっと深くまで突いてくれと口にすればずっぷりちんこを捻じ込んで中出しされる。
 体位を変え責める部位を変え、出した回数も出された回数も分からない。気が付けば夜は明けており、取り換えられたシーツから身を起こした俺は綺麗に拭かれた体を見下ろした。
 気絶してしまったのか、最後の方はあまり覚えていない。それでも散々喘いだのだろう少し痛む喉をさすっていると、ベッド横の机にペットボトルに入った水が置かれているのを見つけた。
 自分本位ではなく、様子を見ながら俺を快楽の底に沈めるようなセックス。それでいて惜しげもなく愛情を露わにし、我慢している様子など欠片も見せない。そして、終わった後の処理も片づけも完璧にこなし、アフターケアにも気をかけている。
 もう、どう見ても素晴らしい恋人で間違いない。誰が聞いても羨ましがる、最高の相手。俺と同じく徐々に知識を付けていった浩紀はいつしか完全に俺を翻弄するようになり、べとべとのベッドで2人して寝落ちていたのが最近ではここまでになったのだ。
 ほのかに香るいい匂いから察するに、先に起きた浩紀は朝食を作っているようだ。本当にできた恋人である。
 ある、のだが。俺の顔に浮かんでいるのはなんともいえない表情だろう。
 なにせ俺が導いて、そうでなくとも同じくらいの手際の悪さだったのが、方や非の打ちどころのないエッチ所作で、方やぐちゃどろのヘロヘロと圧倒的な差がついているのだ。
 そんな、そんなのーー

「俺だけ、成長してねーみたいじゃねーか……!」

 ぼふっ、と布団に拳を叩きつけ、悔しさに俺は歯ぎしりをする。
 勝負ではないのは分かっているが、どうにも納得できない。俺も浩紀も同じ経験値のはずなのに、俺ばっかりが喘がされている。そもそもヤってる最中俺はいっぱいいっぱいだってのに、俺の様子を見れるほど浩紀に余裕があるのもしゃくに触る。
 始めは入れただけで暴発させてたのに。半泣きになりながら腰が溶けるとか言ってたのに! ここ最近はなんだ? 無駄にキラキラさせながら抱きやがって!!
 ……とまあ、プライドが刺激されてしょうがない。俺としてもされっぱなしは性に合わないし、少しくらいは浩紀にあっと言わせたいものである。
 どうにかしてもう一度優位に立てないものか……。うんうんと唸るもすぐにいい案は出ず、ぐぅと鳴る腹に一先ず俺は腹ごしらえをしようと浩紀の待つリビングへと足を運んだ。
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