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一話のみ
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「えぇ!? 雅也、今年の冬は実家帰るのかよ!?」
「うん……悪いな太一」
「や、まぁ雅也が謝ることでもないけどさ……」
大学の食堂、俺は目の前で箸を握りしめたまま俯いてしまった雅也に慌てて言葉をかける。
俺と雅也は一年生の時たまたま授業で席が隣になった時に話してから、なにかと馬が合い今では授業どころか休日まで一緒に過ごすような親友となっていた。三年間ずっと長期休暇であってもどちらかの家でグダグダと遊んでいたため今年もそうなるかと思っていたのが、暗い顔をした雅也を不審に思って話を聞けばまさかの帰省を告げられる。
残念ではあるがそれを俺が止められるはずもない。そもそも毎年正月にすら家に帰らない俺達の方が世間から見ればずれてるのかもしれないし。俺の家はそこらへん適当だからたまに連絡すればいいってなっているが、もしかしたら雅也は毎年顔を見せに来いとか言われていたのを断ってたのかもしれない。
「ありえるな……俺の方こそ悪かったな雅也……」
「……言っとくけど、今年はどうしてもやらなきゃいけないことがあるから帰るのであって、いつもは本当に連絡すら来ないんだからな。俺が変に気を使う性格してないのは太一も知ってるだろ?」
「そういやそうか。ん? そんな雅也がどうしてもっていう用事ってなんだ?」
「……祭りがな、あるんだよ。俺の故郷の、まぁめちゃくちゃ田舎なんだけど、そこで5年に一度のお祭りがあってさ。今回祭りの、なんていうかな、主役みたいなのを俺がやることになってるんだ」
「へぇ、すげぇじゃん」
「村の成人した男の中で一番若い奴が主役ってだけだから別にな……で、かなり信心深い村だから、そういうの放っておくわけにいかないんだよ。ほら、俺の両親にも迷惑かけることになるし……」
「そういうもんなのか……」
歯切れの悪そうに語る雅也はどうにも乗り気ではないらしい。どんよりと影を落とした暗い表情、それを見た俺は親友として心配するよりも別のことが頭を占めていた。
(やっぱ格好いいよなぁ……)
吊り目でクールな印象のイケメン。目は二重だし鼻は高いし、口はちょっと小さめ。身長は割と高めで適度に鍛えているモテるだろうなって見た目をしていて、実際かなりモテている雅也。
正直どうして雅也が俺とこんなにも仲良くしてくれているのか分からないほど見た目的には釣り合っていない気がする。これで雅也の性格が悪いなら釣り合いが取れるが、どっこい雅也は皮肉っぽかったりはするが性格は悪くはなく、おまけに頭もいい。劣等感を刺激されるなという方が無理である。まぁその劣等感を越えるほど一緒に居て楽しいっていうことなのだが。
「ところで太一。お前、このカタログの中ならどれが一番好きだ?」
「っ、ああ、どれどれ……って、これ女物のエロ下着じゃねぇか! え、何、雅也彼女でもできたのか? 俺の知らないところで??」
「違うわ! ま、いろいろあるんだよ。とにかく選べ」
「えぇ……んー、じゃ、これかな」
少しだけ黒い感情に引きずられそうになっていた俺を引き戻した雅也が見せたのは、それはもう“下着”と呼称するにも躊躇うほどの布切れの画像だった。どれもこれも刺激が強くて、童貞の俺は直視できない。薄目で遠くから眺めた後に選んだのは、普通の黒いビキニの乳首と股間の部分に切り込みが入っているもの。
「……逆に実用的なの選んでてキモいな」
「うるせぇよ!!!!」
「うん……悪いな太一」
「や、まぁ雅也が謝ることでもないけどさ……」
大学の食堂、俺は目の前で箸を握りしめたまま俯いてしまった雅也に慌てて言葉をかける。
俺と雅也は一年生の時たまたま授業で席が隣になった時に話してから、なにかと馬が合い今では授業どころか休日まで一緒に過ごすような親友となっていた。三年間ずっと長期休暇であってもどちらかの家でグダグダと遊んでいたため今年もそうなるかと思っていたのが、暗い顔をした雅也を不審に思って話を聞けばまさかの帰省を告げられる。
残念ではあるがそれを俺が止められるはずもない。そもそも毎年正月にすら家に帰らない俺達の方が世間から見ればずれてるのかもしれないし。俺の家はそこらへん適当だからたまに連絡すればいいってなっているが、もしかしたら雅也は毎年顔を見せに来いとか言われていたのを断ってたのかもしれない。
「ありえるな……俺の方こそ悪かったな雅也……」
「……言っとくけど、今年はどうしてもやらなきゃいけないことがあるから帰るのであって、いつもは本当に連絡すら来ないんだからな。俺が変に気を使う性格してないのは太一も知ってるだろ?」
「そういやそうか。ん? そんな雅也がどうしてもっていう用事ってなんだ?」
「……祭りがな、あるんだよ。俺の故郷の、まぁめちゃくちゃ田舎なんだけど、そこで5年に一度のお祭りがあってさ。今回祭りの、なんていうかな、主役みたいなのを俺がやることになってるんだ」
「へぇ、すげぇじゃん」
「村の成人した男の中で一番若い奴が主役ってだけだから別にな……で、かなり信心深い村だから、そういうの放っておくわけにいかないんだよ。ほら、俺の両親にも迷惑かけることになるし……」
「そういうもんなのか……」
歯切れの悪そうに語る雅也はどうにも乗り気ではないらしい。どんよりと影を落とした暗い表情、それを見た俺は親友として心配するよりも別のことが頭を占めていた。
(やっぱ格好いいよなぁ……)
吊り目でクールな印象のイケメン。目は二重だし鼻は高いし、口はちょっと小さめ。身長は割と高めで適度に鍛えているモテるだろうなって見た目をしていて、実際かなりモテている雅也。
正直どうして雅也が俺とこんなにも仲良くしてくれているのか分からないほど見た目的には釣り合っていない気がする。これで雅也の性格が悪いなら釣り合いが取れるが、どっこい雅也は皮肉っぽかったりはするが性格は悪くはなく、おまけに頭もいい。劣等感を刺激されるなという方が無理である。まぁその劣等感を越えるほど一緒に居て楽しいっていうことなのだが。
「ところで太一。お前、このカタログの中ならどれが一番好きだ?」
「っ、ああ、どれどれ……って、これ女物のエロ下着じゃねぇか! え、何、雅也彼女でもできたのか? 俺の知らないところで??」
「違うわ! ま、いろいろあるんだよ。とにかく選べ」
「えぇ……んー、じゃ、これかな」
少しだけ黒い感情に引きずられそうになっていた俺を引き戻した雅也が見せたのは、それはもう“下着”と呼称するにも躊躇うほどの布切れの画像だった。どれもこれも刺激が強くて、童貞の俺は直視できない。薄目で遠くから眺めた後に選んだのは、普通の黒いビキニの乳首と股間の部分に切り込みが入っているもの。
「……逆に実用的なの選んでてキモいな」
「うるせぇよ!!!!」
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