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 俺はすっかり忘れていたのだ。淫紋シールをアナルの縁に貼りまくるという愚行を何度もした中で、一回だけ成功してしまっていたことを。

(辛くなったからだから……でも秀太に迷惑かけないためだから……)

 深夜、秀太の部屋で寝ている秀太を起こさないように跨ぐ俺。大慌てでシーツの交換やらなんやらをした後寝たのだが、途中で体の疼きに目が覚めてしまった。放っておくとどんどん強まる腹の奥の疼きは、精液をかけられないまま腹の奥に残っていた淫紋シールのせいだ。
 くらくらと再び淫気に侵されていく脳内で、思ったのは早く秀太の所へ行かねばならない、ということ。どうせ隣だからとパジャマのまま玄関を出て、合鍵で秀太の家へと入った。
 そこかしこに世紀の大発明が転がっているような家にしてはセキュリティがザルすぎるが、今の俺にはありがたい。忍び足で家の中を進み、秀太の部屋の前まで来ると、そっと扉を開いた。
 ベッドの上には寝息を立てて寝ている秀太。意外と寝起きの悪い秀太は一度寝たら決めた時間までちょっとやそっとじゃ起きやしない。それを知っている俺は布団をめくり、そーっと秀太のズボンを下ろしていく。

「っ♡」

 昼間の名残なのか、何もしなくともすでに勃起しているチンコにキュンとアナルがヒクついた。ただでさえ家を抜け出してこの家に侵入しているのだ。あまりぐずぐずしてはいられないと家でほぐして仕込んできたのだが、正解だったようだ。
チンコを目にしただけでどうしようもなく体が昂り、一秒ごとに膨らんでいく欲求は俺のアナルをさらに蕩けさせていく。ぷちゅ♡と中に仕込んでおいたローションが少し飛び出し、昼間ほどでなくとも脳内がチンコを求めて体は早速動き始めた。
 俺もパジャマを脱いでぴとり、とアナルに先端を当てれば、勝手に息が荒くなっていく。右手で秀太のチンコを支え、ゆっくりと腰を下ろしていった。

「っ♡っ~~~~~♡~~~~~っ♡♡~~~っ~~~~っぁ♡♡♡」

 ようやく侵入してきた待望のモノに、みっちり絡みついて歓迎する俺のアナル。少しでも気を抜けば絶叫しそうで、俺は必死に左手の指を噛んだ。いくら秀太が起きないといっても、近くで大声を上げられたら流石に起きてしまう。ずっぽり根本まで咥え込めば、シールの貼ってある最奥に先走りを塗り付けようと秀太の腰に尻を押し付けながら腰だけがくねくねと前後に揺れてしまった。
 騎乗位をするのは始めてではないが、こんなに奥だけを責めることに特化した動きは恥ずかしくてたまらない。亀頭に嬲られて俺の結腸口がもう口を開き始めているのもはしたなくて、あり得ないほど気持ちがいい。

(秀太のチンコに俺の中撫でられてる♡♡俺の弱点、自分から秀太に曝け出して♡秀太には勝てないって本能に刻みつけようとしてる♡♡刻みつけなくてももう勝てないのに♡それでももっと秀太に支配されたいって俺の心が言ってる♡こんなの♡絶対秀太に言えねぇ♡♡俺は秀太に頼りにされたいのに♡こんなチン負け願望見せたら失望されちまうっ♡♡)

 これも淫紋の影響なのだろうか、頭の中で白旗をあげ、ぎゅんぎゅんチンコを締め付けている俺はメスイキしっぱなしだ。目を閉じ指を噛んでイき地獄に尻を震わせる俺は、その姿をいつの間にか起きていた秀太が見ていることに気が付くことができなかった。

(秀太♡♡好きっ♡♡もっと俺の全てを知ってほしい♡♡秀太になら俺、何されてもいいから♡少しでも秀太が喜ぶならなんだってするからぁ♡♡♡だからご褒美に♡たまにでいい♡こうしてチンコはめはめして俺を征服してくれよぉ♡♡)
「……あの、健助っ! ちょっと、もう限界が近いんだけど、イってもいい、かな?」
「……へ?……!? しゅうっ……!?!?!? な、ぁはっ!!!!♡♡♡♡♡♡」

 へたりこんで座っている俺の太ももに手をかけ、こちゅん♡と下から一度だけ突き上げた秀太。たったそれだけの微かな動きで仰け反って絶頂する俺に、秀太はさらに追い打ちをかけるように奥を小突いていく。あっさりと秀太のチンコを受け入れた結腸口は当然のように亀頭に侵略され、くぽくぽ出入りされる度に腹の奥から全身へと快楽の波が押し寄せた。
 そんな結腸責めは数秒だったのだろう、俺の腹の中で秀太のチンコが膨らみ、あ、出るんだ、と感じた時にはじんわりと温かいものが俺の腹を満たしていた。結腸を出入りしていたはずだが射精の瞬間には少し腰を引いていたらしく結腸口の表面にかけられた秀太の精液は、正しく俺の貼ったシールに命中して効果を失わせていく。
 狂おしいほどの欲求から解放された俺がどうなるか。それは、昼間と同じく強烈な羞恥を伴う反省会が開かれることを意味していた。

「…………いつから、起きてたんだ」
「んー、俺のチンコ入れたまま腰を揺すってるところからかな?」
「ほぼ最初からじゃねぇか……なんで起きてんだよ……」
「だって、健助の中に入れるって約束守らないまま帰っちゃったから、健助夜に来るかなって思って。多分疼きも凄いことになるだろうしいつ来てもいいようにずっと起きてようと思ってたんだけど、ちょっと寝ちゃってたね」

 俺をベッドに横たえた後、落ち着かせるように俺の肩を撫でながら話す秀太。中出ししてから帰ってくれればよかったものを、と思いかけたが、残ろうとする秀太を追い出したのは他でもない俺自身であったことを思い出し口をつぐむ。
 布団にもぐり込んでしまった俺をなおも撫で続ける秀太の手に、精液の入ったままの俺のアナルはくぱくぱと開閉しまだ物足りないと欲張りな主張を始めた。だが俺はもう正気に戻っており、とてもじゃないが秀太にハメ請いなんてできやしない。
 秀太の布団だというのに独占して丸まる俺。巨大なダンゴムシのようになっているところへ、秀太の仕方がないというような笑い声が聞こえた。

「落ち着いたらお風呂入ってね。俺、用意してくるよ」

 布団の隙間からそっと覗けば、そう言い残して秀太は風呂場へと消えていく。

「んっ♡……はぁ……」

 余韻の残る体に、秀太の匂いに包まれ再び昂ってしまった心。点いてしまった火を消すために秀太の布団を頭まで被りながら、俺はくちゅくちゅと精液を絡めた指でアナルを弄る。
もし俺がもっと素直になれたなら、もっとうまく振舞えたなら。二人でいるのにこうしてオナニーをしなくてもよくなるんだろう。
 秀太に好きだと伝えないまま、どうすれば触れ合えるようになれるのか。そんなことをアナルを広げながら真剣に考えていた俺は秀太が戻ってきたことに気が付かず、「物足りなかったんなら言ってよ!」という底抜けの気軽さを持った秀太に中出しセックスを気絶するまで行われ、次の日このままでも十分かもな、と思ったりしたのだった。
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